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川崎市行財政改革プラン(はじめに)

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2004年11月11日

 在野の一研究者として,また,旧自治省の一役人として,長年,地方自治に携わってきた私は,これまでの経験に基づいて,川崎市長への立候補を決断する段階から,川崎市の行財政が容易ならざる状況に陥りつつあることは,十二分に承知しているつもりでした。旧自治省の在籍経験があったとはいえ,川崎市や神奈川県での勤務経験は一切なく,有力な支持母体をほとんど持たなかった私が市長に当選できた背景には,役所のムダを省いて「最小の費用で最大の効果をあげる」行財政改革の断行を求める市民の熱い要望があったものと,強く認識しております。そして,こうした強い認識に基づき,昨年11月の市長就任以来,既に走り出していた平成14年度予算編成を引き継ぎ,「行財政改革の断行」を正面に掲げて,川崎市の再生に向けた第一歩としたところであります。
 しかしながら,川崎市をめぐる経済環境は容易に好転せず,財政状況はさらに逼迫しつつあります。今後の財政収支を見通したとき,これまでの行財政運営をそのまま続けていくとすれば,平成17年度には一般会計決算が赤字となり,さらに翌年度以降には財政再建団体に転落する可能性に瀕していることが,この夏の精査で新たに判明しました。豊かな税財源に恵まれてきた川崎市としては,これまで経験したことのない極めて厳しい事態に陥っています。
 しかも,こうした財政逼迫が,単に不況による一時的な税収減がもたらした結果ではなく,指定都市移行以来約30年間の制度疲労や少子高齢社会の到来といった構造的な要因に基づいているところに,最大の問題があります。このままでは,極めて近い将来,現行の市民負担で現行のサービス水準を維持することすら不可能であり,今や,小出しの部分的改良を重ねた程度では,川崎市の再生はあり得ない状況です。ここに,今回,改めて「財政危機」を宣言し,「行政体制の再整備」「公共公益施設・都市基盤整備の見直し」「市民サービスの再構築」を骨子とする行財政改革プランを提示する最大の理由があります。
 今回の行財政改革は,「行政を小さくして民間活力を引き出す」ということと,「受益者負担以外の市民負担の増加を回避する」ということを前提として,「活力とうるおいのある市民都市」を目指すという点にあります。すなわち,市民が求める質の高いサービスを,効率的かつ多様に享受できる環境をつくり上げることを目的に,市場原理が的確に働く領域においては,サービス提供を民間部門に委ねることとし,また,市場原理が的確に働かない領域においては,民間部門によって提供されるサービスの価格と品質が的確であるかどうかを,公共部門が責任をもって効率的に監視・指導し,必要な支援策を効果的に講じることを原則とします。
 こうした行財政改革の基本的な考え方に基づいて,私は,

  1. 行政体制を再整備し,民間の雇用を増やします。むこう3カ年で指定都市において最大規模の職員削減(約1,000人)を行い,また,給与水準を是正します。さらに,能力・実績に基づく人材登用,労使慣行の見直し,区の機能強化等,市役所の内部改革を徹底的に行います。
  2. 公共公益施設・都市基盤整備のあり方を見直します。新規着工の大規模事業等については,原則として3年間凍結して,すべての公共事業・普通建設事業を対象に費用対効果に基づく検証を進め,廃止を含めて抜本的に見直します。
  3. 市民サービスを再構築します。少子高齢社会の進展に合わせて,保健福祉関連の支出総額は今後も着実に増やしながら,真に必要とする人々に,必要なサービスを,迅速に,適正な費用で選択的に提供される環境をつくりあげます。

 今から約30年前,指定都市移行前夜の川崎市は「青い空,白い雲」を取り戻そうと「人間都市川崎」を宣言し,多くの市民や職員から支持を得ました。21 世紀となった今日においても,人間都市川崎のコンセプトは正しく,継承すべきものと私は考えています。そして,幸いにして,この30年あまりの間に,産業構造の転換とさまざまな努力によって「青い空,白い雲」を相当程度,私たちは取り戻すことができました。しかしながら,他方でこの間に,私たちが失ってきたものがあります。それは,私の言葉でいえば,「萌える大地」と「躍るこころ」なのです。
 私が取り戻したいと考える「萌える大地」とは,緑豊かな住環境とならんで,活力あふれる都市産業を象徴的に意味します。この30年間,人口増加に伴って緑は一貫して減少してきました。開発前の保全,市街地における復元,あるいは屋上緑化などあらゆる手法を駆使して,市民の皆さんと一緒になって,緑を極力確保していきます。この緑の回復を一つの基調に,さらに住み良い住環境を追求していきたいと思います。
 そればかりではありません。川崎市が取り戻さなければならない重要なものに,産業や商業の活力があります。とりわけ近年において,人間都市川崎を支えてきた経済基盤である第2次産業の空洞化が進み,雇用は減少しています。かつての公害時代とは異なり,社会的責任を十分に果たす企業活動は,人間都市川崎を構成する重要な要素であり,新たな国際経済環境のなかで,企業活力の再生は喫緊の課題となっています。
 また,東京や横浜に比べて遅れをとっている商業の求心力を高め,首都圏の購買力を川崎市内に確保していく努力も求められています。農業に関しても,安全で新鮮な農産物を市民に供給することだけが川崎市内において求められているのではありません。「川崎ブランド」づくりとも相まって,市民の誇りと愛着とうるおいを育む重要な地域活動の基盤として期待されています。
 比較的狭い市域の大半が既成市街地となっている川崎市を対象に,敢えて「大地」と表現するのは,その潜在的な発展可能性がまだまだ大きいことを示しています。産業・商業・農業等さまざまな領域で市民の活力が「萌え」,また,市内各地に文字通り,緑が「萌え」る大地としての「市民都市・川崎」を目指したいのです。
 私が取り戻したいと考えているもう一つは「躍るこころ」です。30数年前は,高度成長期の真っ只なかで,多くの市民ががむしゃらに仕事をしてきました。当時は,経済状況や住環境は悪くとも,「若さ」と「感動」にあふれていたかもしれません。しかし,かつてなく高齢化が進む21世紀の日本のなかでも,これまで若年層が比較的多かった川崎市においては,より急速に高齢化が進展すると予想されています。
 そこで重要なことは,社会の主役の一人である高齢者が生き甲斐をもって生活し続ける環境を整えることです。長い人生経験に裏打ちされて,実に多様な関心を示す高齢者に対しては,細心の配慮をもってその「躍るこころ」に対応し,場合によっては「躍るこころ」を引き出していかなければならないと考えます。一方,若年層や中堅層については,これまでの伝統にかかわらず常に革新を求めて活躍できる仕組みを用意しておくことが重要になっています。
 老若男女を問わず,失敗をおそれず新しいことに一生懸命挑戦すること,創意工夫をもって新製品や新技術の開発に取り組むこと,リスクを背負って新規起業化・事業化に取り組むこと,各種ボランティア活動に努めること,区づくりや緑地保全といった地域づくりへの参画,芸術文化活動における「自己実現」等,「躍るこころ」が今ほどさまざまな局面で求められていることはありません。川崎市内には誇れる資源が数多く埋もれており,市民の皆さんと一緒になって「躍るこころ」をもってそれを評価・開発・顕彰し,「地域の宝」として新しい川崎の主役に育って欲しいと考えています。
 「人間都市川崎」は,今や,市民を主役に「躍るこころ」を取り戻し,「萌える大地」として再生すべき新たなステージに到達しているのです。「萌える大地と躍るこころ」を取り戻した人間都市川崎を,私は,「活力とうるおいのある市民都市」と表現してみました。急速に進む経済発展に対抗して人間のあり方を考えた高度成長期の「人間都市」とは異なって,持続的なゆるやかな安定成長のなかで高齢者をはじめとするすべての市民が,健やかに生活を送ることができる「優しさ」を基調として都市が運営されなければならないこと,そして,その主役があくまでも市民であることを「活力とうるおいのある市民都市」は,意味します。
 「活力とうるおいのある市民都市・川崎~萌える大地と躍るこころ」。これが私の目指す川崎再生の方向です。私は,市民の皆さんと一緒にその達成に全力投球する所存であります。

 すべての情報を公開し,市民の皆さんとともに語りあい,これからの進路を見いだすというのが,私の信じる政治哲学であります。このプランにおいては,厳然とした事実を,率直に明らかにすることが何よりも重要であると考え,これまでの行政文書や行革大綱・計画ならば,議論・紛争になるのを避けて敢えて具体的に言及しなかった事実や指針まで,なるべく思い切ってわかりやすく示してみました。
 また,このプランのなかには,行政機関が自らの判断に基づいて率先して行うべき熟度の高い「実施計画」的な項目と,これをもとに改めて市民の皆さんから直接,ご意見をいただいたり,議会や各種委員会に審議いただかなければ決定することのできない「問題提起」や「今後の指針」にとどまる項目とがあります。今回のプランのなかには市民生活に直結する重要な課題も多く,これら課題につきましては,市民や議員の皆さんと十分に議論を重ねて,もっとも望ましい形で実行してまいりたいと考えています。
 平成17年3月を目途に日本の市町村の多くは,市町村合併というまさに出直し的改革に直面しております。そして,市町村合併という選択肢を持たない川崎市においては,市町村合併に優るとも劣らない,市町村合併よりもはるかに厳しい抜本的な行財政改革が,ここにいよいよ本格的にスタートすることとなりました。
 このプランに基づいて,一人でも多くの市民の皆さんと,率直に議論を重ねて,川崎の将来に向けた改革の道を探りたいと,念じております。市民の皆さんのご協力を得て行財政改革をやりとげることなくして,「市民生活を守り,向上させていく」という,私に課せられた責務を果たすことはできません。本改革プランの推進に向けて,市民や議員の皆さんの忌憚のないご意見とご協力を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

川崎市長

阿部孝夫

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