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第3章 行財政改革の基本的な考え方

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2004年11月11日

 少子高齢化の進む分権型社会において,自治体に寄せられる市民の期待は一層の高まりを見せており,それに積極的に応えていかなければならない自治体の責務は,格段に重いものとなっています。
 一方,既に,述べてきましたとおり,川崎市の財政状況は極めて厳しい状況にあります。今から30年ほど前の高度成長全盛期にその原型が作られた現在の施 策体系・サービス提供体制は,多くの課題を抱えており,部分的な改良を積み重ねただけでは,極めて近い将来において,現行の市民負担で現行のサービス水準 を確保することすら不可能な事態となっています。
 そこで,川崎市は,<1>「民間活力を引き出す」ことと,<2>「受益者負担以外の市民負担の増加を回避する」ことを前提とし て,「市民が求める質の高いサービスを,効率的かつ多様に享受できる環境を作り上げる」ことを基本方針に改めて据えて,これまでの施策体系・サービス提供 体制を例外なく見直すこととしました。
 以下,今回の行財政改革の基本的な考え方を説明します。なお,ここでいう「公共部門」とは,主に川崎市及び川崎市の一部事務組合のほか,出資比率の高い 第3セクター,出資法人,公社等を含めて考えています。また,「民間部門」とは,いわゆる民間企業のほか,市民・家族,NPO,ボランティア団体,町内 会・自治会,まちづくりクラブ等,国・地方公共団体といった公共部門以外のものを幅広く含むものとしています。

1 民間部門と公共部門の役割分担

 今回の行財政改革の基本的な考え方は,次の3点に整理できます。

  1.  市場原理が的確に働く領域においては,「民間でできるものは民間で」という原則に基づいて,サービス提供を民間部門に委ねることとします。市場原理が的確 に働く場合には,価格機構に基づく資源配分がもっとも効率的です。そうしたなかで,公共部門によるサービス提供や関与,規制等が数多く残存していること は,かえって民間部門の効率的な市場活動を歪める危険もあります。「技術・人材・資金等の不足から力をもった民間企業やNPO等が十分に存在せずに,自治 体がやらなければサービスを提供できなかった」時代とは,現在は隔世の感があります。市場原理が的確に働く領域においては,受益者負担による付加価値サー ビスを含めて,公共部門によるサービス提供・規制・関与・補助等を廃止してまいります。
  2.  市場原理が的確に働かない領域においては,民間部門から提供されているサービスの価格と品質が的確であるかどうかを,公共部門が監視・指導(モニタリン グ)し,必要な支援をすることとします。市場原理が的確に働かない場合においても,無条件に公共部門が直接サービスを提供するものではありません。それ は,地方自治法・地方財政法・地方公務員法・地方公営企業法等による法的規制や計画策定・予算見積り・各種調整等のさまざまな事務コスト・時間的制約などを考 慮すれば,公共部門によるサービス提供は,これらの行政費用の負担や時間的制約への対応を余儀なくされる分だけ非効率的・画一的・硬直的になりがちで,質 の高いサービスを多様にかつ効率的に提供するという目的に対して,決して有利な立場にはありません。
     サービス提供が公共部門から民間部門に変わることによって,今まで通りのサービスが提供されるかどうか,不安を感じる市民の方々が少なくないことは容易 に推測されます。実際,これまで公共部門が直接サービスを提供してきた領域においては,完全競争の状態が想定されるものはさほど多くありません。新規参入 コストの高さやさまざまな参入障壁によって事実上の独占・寡占にあったり,また,競争性の低い契約となっていたり,提供サービスに係る情報を市民が確保するこ とが難しいもの等に関しては,公共部門が単純に民間部門にすべてを委ねることで,行政責任を十分に果たすことはできません。民間部門によって提供されてい るサービスの価格と品質が的確であるかどうかを必要に応じて十分に監視・指導することを前提に,民間委託を推進したり,必要な財政支援等を講じることが必 要とされます。
     今後は,切迫した財政状況のなかで,公社等の出資法人を含めた公共部門のあり方を一斉に見直すと同時に,事務事業の必要性や財政コストを的確に検証・把 握し,適切な入札や民間委託・PFI等を実施することが,行政にとって極めて重要な課題です。台頭著しい民間主体と互角にわたりあって,公的主体が的確に サービスのモニタリングを続け,民間委託・PFI・契約管理・企画立案することは,決して容易なことではありません。こうした政策能力を高めていくこと が,川崎市にとって最大の課題であると言えます。
  3.  ただし,市場原理が的確に働かない領域において,なおかつ,次の5つの条件のいずれかに該当する場合には,公共部門が直接サービスを提供することによって,行政責任を果たすこととします。その5つの場合とは,
    <1>法律等で公共部門による実施が義務づけられている場合
    <2>民間部門よりも公共部門が効率的にサービスを提供できる場合
    <3>公共部門がサービスの価格や品質を的確に契約管理できない場合
    <4>サービス提供の一部を公共部門が担うことによって,市場をより競争的にできる場合
    <5>サービス提供の一部を公共部門が担うことによって,提供されるべきサービスの監視・指導に資する場合
    の5つです。
     なお,これら5つの場合のいずれかに該当し,公共部門が直接サービスを提供する場合においても,より効率的にサービスを提供するために,
    ア 適正な職員配置
    イ 能力・実績に基づく人事給与制度の確立
    ウ 市民感覚に合わない特殊勤務手当などの廃止
    エ 非常勤職員等の積極的活用
    が避けて通れない喫緊の課題となっています。
    既に述べましたとおり,川崎市はこれまで公共部門を積極的に活用することによって,サービスを直接提供してまいりました。これらの事務事業は,上記の原則に従って,例外なく見直しを行うことになります。

2 民間活用型公共サービス提供システム

 次の図は,上記の行財政改革の基本的な考え方に基づいて,公共部門によるサービス提供のあり方を見直した場合のイメージをやや誇張して記したものです。左側の図が現在の姿,右側の図が改革後の姿を示しています。

公共部門によるサービス提供のあり方を見直した場合のイメージ

 まずは,現在の姿です。川崎市の特徴である公共部門によって直接サービスを提供されている領域は,左側の領域となっています。これに対して民間部門の活動 領域は,右側の領域で示されています。現在においても,狭い意味での公共サービスに限らず,市民生活を支えているサービスのすべてを広く考えると,その多 くは,民間部門によって提供されており,実際には,民間部門の活動領域を示す右側の領域は,公共部門による直接サービスを示す左側の領域を凌いでいると推 測されます。しかし,ここでは,川崎市の特徴を強調するために,左側の領域を大きく描いています。また,現在においても,公共部門は,直接サービスを提供 するばかりではなく,監視・指導を前提にその事務事業を民間委託したり,また,補助金を交付したりしています。これを示すのが円と楕円が重なり合う中央の 領域で,公共部門と民間部門の接点にあることがわかります。
 これに対して改革後のイメージが右の図になります。市場原理が的確に働かない領域においても,公共部門のあり方を原則として直接提供から監視指導に移行 させるために,左側の領域が大きく減っています。しかし,公共部門がかかわる楕円の領域自体はあまり変わっていません。これは,市場原理が的確に働かない 領域においては,民間部門に対する監視・指導を通じて,むしろ今まで以上に十二分に,的確な価格と品質でサービスが提供されているかどうか,モニタリング し,課せられた行政責任を十二分に果たしていくことを示しています。また,全体として大きくなった円の領域は,民間委託や民営化の増加や,これまで公共部 門が担っていた役割をNPOや民間企業が担うことによって,民間部門の活動領域が大きく広がることを意味しています。
これを個別の政策領域を例に具体的に説明すると,次のとおりとなります。

  1. 子育て支援サービスを考えますと,左側の領域に公立の保育所が,また,円と楕円が重なり合う中央の領域に民間の認可保育所が,右側の領域に家庭による子育 てから,地域による子育て,ベビーシッターに至るまで幅広い子育てが含まれます。今回の改革で,公立保育所を減少させて,これまでの民間保育所に公設民営 型の民間保育所を加え,認可保育所がカバーする領域を拡大させると同時に,民間部門による多様な保育メニューを充実させることによって,民間部門・公共部 門を併せた子育てサービス全体を,さらに充実・拡大させていきます。
  2. 生涯学習の講座開催事業を考えますと,右側の領域には,カルチャーセンターや英会話学校等,民間事業者による開催講座が,また左側の領域には,川崎市が現 在,企画運営している各種生涯学習講座の大半が位置します。これまで川崎市は,日本一といってよいほどこうした直営の生涯学習に力を入れてきましたので, 左側の楕円は非常に大きくなっていた反面,その影響を受けて民間事業者の活動余地が狭くなり,右側の民間部門の領域は他都市に比べて小さいものにとどまっ ていました。これに対して,今後は,川崎市の行う生涯学習講座をNPOやボランティア団体,まちづくりクラブ等に自主的に企画運営してもらうことによっ て,直営の楕円の部分を減少させて,円と楕円が重なり合う中央の領域を拡大します。また,既存の民間事業者とあわせて民間部門の拡充を図り,右側の円全体 を拡大させて,市民サービスをより一層幅広く展開することが可能となります。このように直営部門を民間委託して,中央の領域を拡大すると同時に,民間部門 全体の充実向上を試みる手法は,ごみの収集等の幅広い分野においても考えられます。
  3. こうした公立保育所や生涯学習講座開催,ごみ収集,市営バスなどにおいて,最終的に直営サービス(左側の領域)をどこまで減少させるべきかについては,直 営サービスの基準である「<2>民間部門と同等もしくは,より効率的にサービス供給できるか」が,大きなポイントになると考えられます。公共 部門が要している費用と民間部門のそれとを比較しながら,「給与体系を改めたり,非常勤職員等も活用しながら,民間部門なみの効率の良い経営を実践して直 営体制をある程度,維持していく」か,もしくは「割高となっている直営事業を段階的に廃止し,効率的な民間委託に全面的に移行すべきか」は,市民意見を参 考にしながら総合的に判断することとなります。
  4. これに対して,児童福祉法が規定している児童相談所業務や,保健所業務,戸籍業務等については,法改正がないかぎり,今後も市職員によるサービス提供を維 持することとなります(直営基準<1>)。さらに,工事の設計業務等に関しては,効率化を進めながら,工事の価格や品質をチェックできる程度 の体制を維持していくことは必要であると考えられます(直営基準<5>)。これに対して,現在,民間委託されているもので,直営サービスとさ れるべきものも,なかには考えられます。いわゆる新規施策の企画立案・計画策定業務は,立案内容や計画内容の成果まで契約上管理することは難しく,たとえ 委託契約しても相当程度の策定費用を要することもあり,場合によって市職員が今まで以上に自力で時間をかけて策定したほうが,安くてよいものができあがる 場合も想定できます(直営基準<3>)。なお,十分に契約管理できる調理業務や用務業務については,民間委託が効率的であると考えられます。

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