平成8年11月
川 崎 市
| はじめに |
| 目次 |
1基本方針策定の背景
1-1 対象エリア
1-2 計画期間
1-3 臨海部を取り巻く社会情勢の変化
1-4 川崎臨海部の現状と課題
2臨海部整備基本計画の概要
2-1
臨海部の将来都市構造
2-2
地区別の土地利用
2-3
水と緑豊かな快適環境の創造
2-4
交通体系の整備
2-5
拠点地区の整備
2-A
臨海都市拠点
A-1
新産業拠点(南渡田周辺地区)
A-2
集客・交流拠点(塩浜周辺地区)
B
国際貿易・物流拠点(東扇島地区)
C
スポーツ・文化・レクリエーション拠点(浮島地区)
3臨海部再編整備に向けた取組みの基本方針
A
新たな地域産業構造の構築による地域経済の活力の増進
B
職・住・遊のバランスのとれた地域形成
C
水際線の親水化・市民開放等によるアメニティ空間の整備
D
地域としての防災性の向上
E
国際的な交流拠点・機能の整備
F
臨海部交通体系の整備
4臨海部再編整備の実現に向けて
1 基本方針策定の背景
川崎臨海部の再編整備の方向については、平成4年3月「臨海部整備基本計画」(以下「基本計画」といいます。)が策定され、現在、この計画に基づき施策の推進を図っているところですが、その後の社会経済情勢の変化に対応するために、「臨海部再編整備調査委員会」において調査・検討などを行ってきたところです。
この「基本方針」は、これらの調査・検討の結果を踏まえ、新たな臨海部再編整備のあり方として「基本計画」を見直すとともに、その実現に向けた川崎市としての取組みの方針を定めたものです。
本書では、第2章で「基本計画」のあらましを、第3章で取組みの「基本方針」を示しています。
1−1 対象エリア
川崎臨海部とは、広義にはJR東海道線以南のほぼ川崎区全域に相当する区域をさし、東海道線から産業道路までの「既成市街地」、産業道路から内奥運河までの「臨海部第一層」、浮島町・千鳥町・水江町・扇町などの「臨海部第二層」、東扇島・扇島・浮島町地先の埋立地(以下「浮島地区」といいます。)からなる「臨海部第三層」の4つの層に区分されます。
「基本計画」及び「基本方針」では、広義の臨海部を視野にいれつつ、 「第一層」から「第三層」までの「狭義の臨海部」を主たる計画対象エリアとしてとらえています。

1−2 計画期間
「基本計画」では、概ね2025年頃を展望しつつ、2010年までを計画期間としています。
また、「基本方針」は、基本計画の実現に向けた取組みの方針であり、概ね2000年までとしています。
1−3 臨海部を取り巻く社会情勢の変化
(1)国際経済環境の変化と産業構造の質的転換
我が国の産業については、「サービス経済化」「重厚長大から軽薄短小へ」「労働集約型から知識集約型へ」などの産業構造に関わる大きな変化が進んでいます。
このようないわば日本の国内での産業構造の変化と並行して、国際的な経済環境も大きく変わっています。
円高の定着や東アジア圏を中心とする産業や市場の急成長などにより、生産拠点の海外移転が進むなど、我が国の「産業の空洞化」が懸念されるところとなっています。そのため我が国は、このような産業の国際化に対応するため、企業ネットワーク型の産業構造に転換するなど、東アジア諸国・地域との国際分業体制を前提とした新しい産業構造へと質的な転換を図ることが求められています。
(2) 大規模な遊休地の発生の顕在化
立地企業のリストラ計画などにより、臨海部全体として、今世紀中にも約 200ha程度の遊休地が見込まれています。
かつては「含み資産」として潜在化していた遊休地が、地価の低下などの要因により顕在化しつつあります。
臨海部の産業空洞化や地域活力低下に伴い建物の更新の遅れや人口の停滞・高齢化などのインナーシティ問題の発生が懸念される中で、既存産業の再活性化と新たな産業の導入による遊休地の有効活用が求められています。
(3) バブル経済の崩壊に伴う社会経済情勢の変化
バブル経済の崩壊により、地価上昇や保留床処分などによる事業費回収が見込みにくく、土地区画整理事業・再開発事業などの事業環境が著しく悪化しています。
また、企業の設備投資意欲についても、本格的な回復の見込みが想定されにくいことから、土地利用転換などにあたっては、暫定的土地利用なども視野に入れつつ、長期の事業を計画的に進める必要があります。
(4) 防災性向上の必要の増大
阪神・淡路大震災の発生は、防災に対する市民の関心を著しく高めており、危険物施設の集中立地する臨海部については、地域としての防災性の向上に向けた取組みが急務となっています。
(5) 広域交通網の整備の進捗
高速湾岸線の開通、東京湾横断道路・川崎縦貫道路(1期)事業の進捗、羽田空港の沖合展開、川崎港のコンテナバースの供用開始など、川崎臨海部を支える交通基盤施設の整備が進んでおり、立地ポテンシャルは飛躍的に向上するものと考えられます。
一方、鉄道系についても、東海道貨物支線の旅客線化計画に関する関係自治体、産業界での取組みが進められており、新規旅客鉄道の整備は、物流を中心とした臨海部交通体系の質的な転換をもたらすとともに、拠点地区の基盤を支えるものとして強く期待されています。
1−4 川崎臨海部の現状と課題
川崎臨海部は、生産・エネルギー供給・物流の三つの機能に特化した典型的な臨海工業地帯であり、我が国全体の産業活動において重要な位置を占めるとともに、首都圏の都市活動・市民生活を支えてきた地域でもあります。
三つの立地機能のうち、物流機能については、川崎港の港湾機能の高度化、広域幹線道路網の整備などに伴い、機能の高度化と集積の強化が進んでいます。
またエネルギー供給機能についても今後ともその重要性が低下することはなく、立地機能の大きな変動はないものと見込まれます。
そうした中で、最も大きな変動に見舞われているのは鉄鋼・石油化学を中心とする生産機能であり、生産の合理化や地方・海外展開などにより製造品出荷額・従業員数とも、大幅な低下を続けています。
(1) 生産機能の空洞化の防止と再活性化
臨海部の主要業種である鉄鋼・石油化学などを取り巻く環境には大変厳しいものがありますが、我が国産業において臨海部企業が担ってきた素材供給等の役割の重要性は今後とも大きくは変わらないものと考えられることから、首都圏をはじめとする国内市場を背景としつつ、研究開発などの機能の付加・高付加価値化などによりこれらの産業の一層の高度化を図るとともに、生産活動の効率化を図り、国際競争力を回復していくことが求められています。
臨海部の製造業の全体像としては、既存の素材供給産業などの集積を基盤としつつ、重電・輸送用機器などの加工組立型産業、食料品・住宅関連などの生活関連産業分野などの強化、さらには新規成長分野と目される環境・福祉関連産業の導入などにより業種構成の多様化を進めるなど、地域としての新たな産業構造の構築を進める必要があると考えられます。
(2) 充実する物流機能・エネルギー供給機能
臨海部を構成する主要機能のうち、港湾物流を中心とする物流機能については、高度な港湾機能に対応するコンテナバースなどの整備、広域幹線道路網の整備などを受けて、東扇島を中心として今後とも機能の充実・強化と一層の集積が進むものと考えられます。
また、エネルギー供給機能についても、首都圏を中心とする旺盛な需要に支えられ、堅調に推移するものと考えられます。
(3) 都市的諸機能の導入
川崎臨海部は、川崎駅周辺などの業務集積地からの距離が遠く、従来、生産活動・物流活動などに特化した地域でしたが、産業活動の高度化を図り、地域産業構造の再構築を図る観点からも、業務機能などの都市的諸機能の導入を図る必要があります。
具体的には、東海道貨物支線の旅客線化計画を踏まえ、同線沿線に今後発生する遊休地を中心として、本社・支社などの業務管理機能、営業所・展示施設などの商取引機能、教育研修施設などの集積を図ることが必要であると考えられます。
また居住機能については、都市的諸機能の導入を図る中で居住環境の整備状況を勘案し、発生遊休地などにおいて良好な都市型住宅の供給を図ることが求められています。
(4) 環境産業への展開支援と環境機能の強化
地球環境への取組みの中で、生産活動にも環境への負荷を軽減した生産体系、生産システムの展開など、環境への配慮が求められています。
具体的には環境への負荷を軽減した製品の開発、生産プロセスの改善、リサイクル資源の活用などであり、こうした分野での技術・ノウハウなどの蓄積により世界をリードする産業地帯に転換していくことが可能になるものといえます。
また、廃棄物処理・下水処理などの環境機能についても、臨海部は依然として重要な役割を有しており、今後、臨海部の再編整備を進める中で、これらの機能の強化を図る場としても活用する必要があります。
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