土壌分析と診断
1.土壌診断の必要性
| 農業の生産基盤である農地は土壌の地力―土壌の性質に由来する農地の生産力―を維持・増進することが重要です。 そのためには土壌分析による化学性の現状把握と診断に基づく施肥設計が有効です。 農業技術支援センターでは、pH、EC(電気伝導度)、窒素(NO3-N)・リン酸(P2O5)・カリウム(K2O)、カルシウム(CaO)・マグネシウム(MgO)の7項目について分析と診断を行い「個人データと処方箋」を農業者に対して交付しています。 |
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| 吸光法によるリン酸の分析 |
2.土壌分析結果の見方
| pH: (水素イオン指数) |
土壌の酸性・アルカリ性を示します。0〜14の数字で表わされ、数字が7より小さくなるほど酸性を示し、大きいとアルカリ性を表わします。土壌が酸性に傾くと、作物の生育が不良になりやすく、カルシウム・マグネシウムの欠乏などの害が出ます。 アルカリ性土壌では鉄・マンガン・ホウ素などの微量要素の吸収が悪くなります。酸性が強い場合には石灰資材を施用します。 |
| EC: (電気伝導度) |
物質がどの位電気を通しやすいかを表す数値で、土壌中の塩類濃度の指標です。ECが高ければ高いほど土の中に残っている塩類―なかでも窒素(ちっそ) ―が多いということがいえます。低ければ土壌中の肥料分が少なく、生育不良を引き起こします。適値は0.3mS/cm(ミリジーメンス毎センチメートル)以下で、果樹の場合は0.2以下が望ましいとされています。 なお、鉢物の土壌溶液の場合は作物にもよりますが、一般的に1.0mS/cm以下であれば障害が出にくいといわれています。また、花きの鉢物の場合はECと窒素濃度が相関しない場合もあります。これは、リン酸やカリの比率が高い肥料を使うことが多く、これらがEC値を高めているからです。
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| NO3−N: (硝酸態窒素) |
窒素は多量必須元素のうち、リン酸、カリウムともに三要素の一つとして植物の成長に欠かせません。 植物はアンモニア態窒素も吸収できますが、畑作物では硝酸態の方が吸収・作用されやすいです。
有機(タンパク)態、シアナミド態、尿素態窒素は土壌中の細菌によってアンモニア態窒素を経て硝酸態窒素として植物に吸収されます。
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| P2O5: (可吸態リン酸) |
植物の生長・開花結実をよくし、品質向上に影響を与えます。適値は20〜50mg/100gで、欠乏すると生育不良で葉色が濃くなります。過剰障害は出にくいですが、亜鉛や鉄、マグネシウム欠乏を誘発する場合もあります。 関東ローム層のような火山灰土は含まれている鉄やアルミニウムが土壌中のリン酸イオンと結合して、不水溶性=可吸態ではない、リン酸化合物になってしまいます。これをリン酸の吸収(固定)といい、この固定量をりん酸吸収係数といいr/100gの数値部分で表します。 |
| K2O: (水溶性カリウム) |
光合成や炭水化物の蓄積に関与します。過剰な場合は、カリの割合の低い配合肥料やカリ抜きの配合肥料を使用し、適正範囲に近づけていく努力が必要です。わら等に多量に含まれるので注意が必要です。苦土とカリのバランスが逆転している場合、苦土が十分あるにもかかわらず苦土欠乏が出ることが多いので注意してください。 |
| CaO: (石灰=交換性カルシウム) |
石灰が多すぎるとpHが高くなります。また苦土やカリの吸収を阻害し、苦土やカリの欠乏症の原因となることがあります。少ないと生長組織の発育不全、細根の減少を生じます。 |
| MgO: (苦土=交換性マグネシウム) |
葉緑素の主成分で光合成に関与するため、苦土が少ないと葉が黄色くなるなどの欠乏症が現れます。カリが多いと吸収されにくいのでバランスを考えて施用します。石灰が多すぎるとpHが高くなります。また苦土やカリの吸収を阻害し、苦土やカリの欠乏症の原因となることがあります。少ないと生長組織の発育不全、細根の減少を生じます。 |
| 苦土カリ比 : |
苦土カリ比とは、交換性苦土(マグネシウム)と交換性カリウムの割合を表す数字です。 この数字は概ね1〜2以上が望ましいとされており、このときに両方の養分吸収が最高となります。土壌の場合、1.1〜3.2を適正範囲としています。
この数字が低くなる、すなわち、カリが苦土より多くなると、植物体への苦土の吸収が阻害され、苦土欠乏の症状が現れてきます。 |
| CEC: (塩基交換容量) |
その土壌が持つ肥料の保持力。粘土質、腐植の多い土ほど高い値となります。20以上を目標とし、それを下回る場合は堆肥を施用するなどして高めて下さい。 |
| ※ | 石灰・苦土・カリは量だけでなく、成分間のバランスが大切です。大多数の作物にとっては、石灰>苦土>カリのバランスがよいとされています。 | |
| ※ | 土壌分析は自分の畑の状況を知る、有効な手段です。土壌診断は定期的に行い、その結果に基づき土壌改善を行って下さい。 |