第101回 かわさきデザインフォーラム 開催内容

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2014年2月5日

講演テーマ

『地域発 世界へ』 ~身近な販路としての海外マーケット~

講師

第101回かわさきデザインフォーラム講師

株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)
代表取締役社長 太田 伸之 氏

講演内容

今回のデザインフォーラムは、「第25回かわさきデザインフェア」と同時に開催され、計185名と大変盛況であった。
フェアのテーマである『かわさき発、暮らしの情景』に関連して、昨年11月に本格始動した、日本独特の文化を生み出す日本企業の海外展開を資金や経営戦略の面で支援する 「クールジャパン機構」(「株式会社海外需要開拓支援機構」)の社長 太田 伸之氏に講演していただいた。

まずはじめに、クールジャパン機構の社長に選任された経緯について話があった。
もともと小泉首相の頃の「ソフトコンテンツ戦略委員会」という政府の諮問機関があり、そこに参加したことがはじまり。この構想は形を変えつつ政権をまたいで引き継がれ、クールジャパン機構の設立につながっている、という。

太田氏自身は大学卒業後、米国式マーチャンダイジングに興味を持ち渡米。フリーでファッション業界のジャーナリストとして活動、帰国した際は講演したりしていた。そして一時帰国中、三宅一生さん、川久保玲さん、山本耀司さんとたまたまパーティー会場で一緒になってそのまま会食することになり、海外から見た日本のファッション業界の問題点を指摘、将来のファッション業界のためにみんなで何かやろうよ、という話になった。3人一緒にご飯を食べたことはないと聞いて驚いたが、この輪を広げたら何かできる、と。ニューヨークに戻ったあと日本に呼び戻され、ファッションデザイナーの協会「CFD(東京ファッションデザイナー協議会)」の立ち上げと運営を任された、という。

CFDの事務局長、議長を10年勤めたのち、元々やりたかったマーチャンダイジングの仕事をやろう、と松屋に入社。当時は建物も古く店のイメージもあまり良くなかったため、当時の古屋勝彦社長と組んで若手社員を巻き込みながら改革に邁進。めどがついた頃にあらかじめ退社を古屋社長に話していたので、イッセイミヤケの社長職を受諾。しかし古屋社長から慰留され、「なんとか兼務はできないのか」と言われる。三宅一生さんに聞くと「僕は構わないよ」とのことで、世界でも例がない兼務、百貨店幹部とその重要テナントの社長をその後2年半続けることとなったという。

10年間イッセイミヤケ社長を務めたのち松屋に復帰。東日本大震災後に日本を元気づけるために銀座で青空ファッションショーをやりたいと考え、松屋と交流の無かったライバル百貨店、三越銀座店と組んで多くの障害を乗り越えて実現したりした、とのこと。その際に障害の一つだった規制を緩和してもらうために当時経済産業大臣だった枝野さんにお願いしたりしたこともあり、クールジャパン機構発足時に声をかけられたのだろう、とのこと。

次に、クールジャパン機構の活動について話があった。「クールジャパン」という言葉は、連想するものが人によって違う。クールジャパン機構ではジャンルは問わず、日本の優れた技を世界に売りたいので例えば洋食や洋菓子、ワインでもいい、とのこと。例えば太田氏が「世界一かっこいい」と思っているバーグドルフ・グッドマンのギフト売り場の一番目立つところにはメゾンショコラがあるが、その隣に(日本企業である)ヨックモックのコーナーもある。このような美味しいお菓子を作る会社、もしくはもっと小さい規模の会社でも構わないから支援したい、とのこと。

日本は長年海外に出ているが、儲けることができていないのではないか、と思う。イッセイミヤケは輸出でもキッチリ利益を出す仕組みを作っており、もしかしたら日本のファッション業界では唯一輸出で黒字かもしれない、とのこと。

欧米の人に早口で値下げしてくれと言われると、日本人は真面目だからつい値下げしようと頑張ってしまうが、胸を張って断るべき。高くてもその値段である理由、どこが優れている部分なのか説明できれば売れる。例えば中国の富裕層に日本産の1個1500円の高級リンゴが売れているという。しかし、これが1個1000円に値下げしたところで、売れる数は大して変わらない。だから断固1500円で売るべき。そういう風に、自分たちの価値と利益を守れるような会社に投資をしたい、とのこと。

もう一点、海外に出るにあたって日本の企業は単独で進出するのがとてももったいない、という。例えばお茶の会社、お茶菓子の会社、器の会社、鉄瓶の会社とバラバラに海外進出している。一緒に行って、「日本のお茶を楽しむ暮らし」をPRすればもっと効果的に販売できる、とのこと。

なおデザイン業界については、日本のグラフィックデザインは相当レベルが高い、また、ミラノサローネでも日本のプロダクトデザイナー、インテリアデザイナーは注目されているので、「作品」としてではなく「商品」としてビジネスにつなげていくことを望む、とのこと。

機構の活動としては、売る拠点や情報発信する拠点のようなプラットフォームを順に作っていきたい、とのこと。現時点で申請のある案件に満額回答すれば3000億円に達するが、今の予算では機構に600億程度しかないので案件を絞り込んで対応していく、とのこと。

スタッフを募集しているが、良い人材が集まってきてくれているとのこと。通常のファンドと違い、我々自身は儲けなくていい、代わりに投資先が儲けてくれることが重要。タネをまき、「芽が出た」ではダメ。しっかりと根を張らないといけない。だから投資先と一緒に汗をかけるような投資ファンドのプロ、じっくりとやれる人材を雇っている。面接の際に、「うちは官民ファンドだから給料は安いよ」と話すが、「日本のために一肌脱ぎたい」と話してくれる人が多い、とのこと。

海外のマーケット、という話では、8月にビバリーヒルズのロデオドライブに6泊した。ここは先進国で最も高級車の多い場所で、ランボルギーニやフェラーリを多く見た。しかし、その後3泊アジアで回った時の方がたくさん高級車を見かけた。日本からすれば、こんな近くに素晴らしい市場が広がっている。これまでの主要な輸出先だった欧米は地理的に遠く、ファーイーストなどと言われたが、今度は距離がアドバンテージになる。逆に欧米企業にとって、アジアに売り込むには距離がハンディになる、とのこと。

他にも機知にとんださまざまなお話しをしていただき、来場者にとって大変勇気づけられる内容だった。終了後には交流会があり、会場にはデザインコンペの入賞作品も展示され、多くの参加者でにぎわった。

開催日・会場

2014(平成26)年2月5日
川崎市産業振興会館
(第25回かわさきデザインフェアの講演会として開催)

お問い合わせ先

経済労働局 次世代産業推進室
電話:044-200-0168
ファクス:044-200-3920
メールアドレス:28sangyo1@city.kawasaki.jp
住所:〒210-0007 川崎市川崎区駅前本町11-2 川崎フロンティアビル10階