第109回 かわさきデザインフォーラム 開催内容

ツイッターへのリンクは別ウィンドウで開きます

twitterでツイートする

2016年11月14日

講演テーマ

「それ、おもしろい!」を次々に商品化!
~ 土下座ストラップなど、ヒット商品連発の仕事術 ~

講師

第109回かわさきデザインフォーラム講師

講師:有限会社ザリガニワークス
代表取締役 武笠太郎氏(左)
代表取締役 坂本嘉種氏(右)

講演内容

コレジャナイロボ、土下座ストラップ、石膏ボーイズなど、数々のユーモアあふれる企画を世に送り出してきたマルチクリエイティブ会社「ザリガニワークス」。その飛び抜けた発想はどうやって生まれ、いかにして商品化したのか。今回のフォーラムではザリガニワークスの代表取締役武笠太郎氏、同じく代表取締役坂本嘉種氏を講師に迎え、その経緯やポイントをお話しいただき、52名の来場者があった。以下、講演内容概要。

自己紹介

(二人は)もともと多摩美術大学のサークルで知り合った。卒業後、(坂本氏は)ゲーム制作会社、(武笠氏は)玩具メーカーに就職、勤務していたが、数年後、2人で起業。玩具の企画を軸に、キャラクターデザインや各種企画の提供等幅広く展開している。

これまでに手掛けた商品紹介(一部)

・コレジャナイロボ
子供時代にありがちな、よくわかっていない父親が子供に頼まれたものと違うニセモノを買ってきてしまうという事件を元にした商品。デザインフェスタ出品当初はほとんど売れなかったが、ネットショップにて販売を開始した2004年頃、多くのブログでネタになり、話題に火が付いた。多くのライセンス商品を生んだザリガニワークスの代表的な作品。

・自爆ボタン
映画やアニメなどに出てくるいわゆる「自爆ボタン」を形にした。ボタンを押しても何も起きないが、机の上に置くだけで緊張感が漂う。法人になる以前(1999年)のデザインフェスタ出店における最初のヒット商品。
http://zariganiworks.co.jp/taroshooten/catalog/index.html外部サイトへリンクします

・土下座ストラップ
ガチャガチャメーカーである「奇譚クラブ」と組んでヒットしたのがこの土下座ストラップ。土下座をしているサラリーマンのストラップで、10万個売れたらヒット商品と言われるカプセルトイの世界で、シリーズ累計300万個以上売れた。ライセンス商品も数多くつくられた。

・弾神オドロッカー
読売テレビとの企画。「踊るヒーローを作りたい」という依頼から生まれた。月1回のダンスショーと動画によるダンスレッスンなどによりダンスと自己表現の喜びを伝えるため日々活動している。
http://www.ytv.co.jp/od-rocker/外部サイトへリンクします

・ごはんかいじゅう パップ
TOKYO MX他、地方局で放映されていた30秒のうたものキャラクター。「おかずかいじゅうと戦っておいしくなる」という基本構造に基づいて、4年間で13シリーズ、70以上のおかずかいじゅうが登場した。世に数多くあるおかずを題材にしているのでネタには困らなかったとのこと。
http://s.mxtv.jp/pap/外部サイトへリンクします

・湖池屋スコーンのキャラクター カリサクくんと濃厚人面犬
湖池屋では主力商品に必ずキャラクターがいるが、スコーンだけがキャラがいないということで、商品リニューアルに合わせて依頼があった。
https://koikeya.co.jp/scorn_special/外部サイトへリンクします

・石膏ボーイズ
ホルベイン画材とKADOKAWAとの共同プロジェクト。TOKYO MX「ウルトラスーパーアニメタイム」枠にてショートアニメとしても放映された。

 

コレジャナイロボ

コレジャナイロボ
Ⓒzariganiworks

土下座ストラップ

土下座ストラップ
Ⓒzariganiworks/KITAN CLUB

石膏ボーイズ

石膏ボーイズ
Ⓒザリガニワークス/KADOKAWA/ホルベイン画材/石膏ボーイズ制作委員会

石膏ボーイズ 誕生の経緯

 画材メーカーであるホルベイン画材から新商品企画の依頼があった。ホルベイン画材といえば創業115年以上の老舗企業で、業界ではトップシェアを誇る。依頼内容を聞いたところ、要点としては「斬新でメチャメチャ売れるものを考えてほしい」という内容だと判断した。
 通常、斬新なものは売れないので、これはなかなか難しいお題。うち(ザリガニワークス)としては珍しくとても悩んだ。そんな時、ホルベイン画材のカタログを眺めていたら石膏像がずらっと並ぶページがあり、タレント名鑑みたいだな、と感じた。「この石膏像をアイドルとしてデビューさせて、そのファングッズとして画材を販売する」というアイディアを思いついた。
 美大受験をした人ならわかると思うが、美術予備校では石膏像をとにかく朝から晩まで描きまくる。1日8時間ずっと見てるなどざらな事で、各像の形はもちろん、名前も覚えている。辛い受験期を過ごした者には、悩まされた彼らに対し愛憎入り交じった戦友のような感情があり、この感覚を広く共有できれば画材売り場を飛び出して商品を販売できるとイメージができた。
 通常はクライアントに対して3つぐらいのアイディアを出す。常にどれが選ばれても良いという案しか出さないのだが、このときに関してはこれと同等以上のアイディアがどうしても出ず1案のみで提出した。
 ホルベイン画材の担当の方は大変喜んでくれたが、社内に持ち帰ると言われてから1ヶ月ほど連絡が来なかった。おかしいと思い連絡をしてみると、「役員に説明したが、『よくわからない』と言われてしまった」とのこと。偶然同じ時期にKADOKAWAから「物販から始めて一緒に育てていける何か新規のものを」という依頼を受けたので、石膏ボーイズの話をした。すると気に入ってくれて、すぐにプロジェクトに参加してくれた。今思えばそこでやっと具体的なビジネススキームが構築できたと思う。そしてホルベイン画材の役員の方々も納得してくれて、プロジェクトがスタートした。
 美大受験経験者であれば少なからず反応してくれる、と考えていたのでコツコツとやっていこうと計画していたのだが、いきなりアニメ化の話が持ち上がり、日本でも屈指の制作会社さんに制作して頂けた。前代未聞のアイドルアニメとして朝の情報番組でも取り上げられるなどたちまち話題になった。
 考えてみれば、本物を5万円ぐらいで買えるアイドルというのは史上初ではないか(笑) 急に像が売れ出す、ということはさすがになかったが、「メディチ首像」は比較的安価で一番小さいからか、結構売れたらしい。
 アニメをやっていろいろなグッズを他社にもライセンス展開できた。当初の要望であった「メチャメチャ売れる」というイメージにはまだもう少し、という感があるが、イメージ通りに他業種や新しい販売チャネルにリーチする事が出来、ホルベイン画材にも喜んで頂けたのではないか。

会場からのQ&A (一部抜粋)

Q:(土下座ストラップを製造販売している)株式会社奇譚クラブの商品がすごく好きなので今回のセミナーを知って参加した。奇譚クラブとはどういう間柄なのか。
A:うち(ザリガニワークス)が企画を持ち込んで採用してもらうという関係。商品の売上に応じてロイヤリティをもらっている。奇譚クラブとは共同開発という形を取っている。だから土下座のライセンス商品を作りたい場合は両社に許可を取ることになる。

Q:これまでで失敗作、というようなものはあるか。
A:失敗作、というのは判断が難しいが、「ケンタウロス力士」というソフビ人形はもっともっと売れると思っていた。(坂本氏より補足「この商品は武笠の『ケンタウロスってみんな好きだよね』という発言から始まっている。それだけでは全然ぴんと来ず、「日本人として共感しやすいもうひと味を」と話すと、この力士とケンタウロスを組み合わせる、というアイディアが出てきて、これならいける、と思った」)実際それなりに評判はよかったが、当初考えていたシリーズ展開には至らず、成功の実感はあまりない。こちらはケンタウロス力士が参加したプロジェクト自体についてのメーカーさんの判断もあるので、ハッキリとはしませんが…

Q:ホルベイン画材のような歴史ある保守的な会社に、石膏ボーイズのような飛び抜けたアイディアを通すのは大変なことのような気がするが、どうやってプレゼンしたのか。
A:プレゼンらしいプレゼンはしたことがない。企画書もたいしたことなくて…。いつも坂本と、広告代理店が作るような、市場がどうこうとかマーケティングがどうこうとか、そういう立派な企画書ってどうやってつくるんだろうね、と話している。ちょうど、企画書があるので見てください。これはたまたまA4で4枚だけど、だいたいA4で1枚。企画書と言えるのはこれだけ。クライアント企業の担当者と顔を突き合わせて考えを詰めていくので、書面としてはあまり詰めていかない。この流れを「先方とイチャイチャつくる」と表現している。「これなら御社の要望が叶いますよね」という内容で、その「これ」の純度のみ鋭くしておいて、外側はご都合に合わせて一緒に考えましょうと提案する。そうすると先方が柔軟に受け止めてくれ、プロジェクトの方向性が定め易い。土下座ストラップの企画書もA4で1枚のみ。(下画像)「これが面白いでしょ」ということと、「これによってこんなことが叶いますよね」ということのみを純粋に記載している。

土下座ストラップ企画書

土下座ストラップの企画書
(画像をクリックすると拡大表示されます)

コレジャナイロボの歩み

 素人時代から手作りしており、今も自分たちで作っている。工場に頼むと、この微妙な手作り感を指示するのが難しいので頼んでいない。現在合計で7000体以上を作って出荷している。
 商品誕生時から確信していたのは、コレジャナイロボはお客さんとの会話が盛り上がる商品だということ。デザインフェスタに毎回(年2回)出展していた素人時代(2001年)には年間2体ぐらいしか売れなかったが、商品を見た人は自分の「コレジャナイ」体験を楽しそうにしゃべってくれていた。
 法人化した時(2004年)にライブドアが運営するネットショップ「livedoor depart」に出品することになった。その頃はちょうどブログが普及しだした時期でそれにより話題が拡がり、年2体の販売だったのが月100体の注文が入るようになった。そうすると製造で手いっぱいになってしまい、会社を起業したばかりの大事な時期に、経営者2人がロボばかり作っている、これはやばいんじゃないか、本来目指していたライセンスビジネスに移行できないものか、と考えていた。そこへ株式会社メディコム・トイからソフビ(ソフトビニール)フィギュアでの製品化の話をいただいた。ちなみに、パッケージの左下にパイロットの絵を描いて「本商品にはパイロットはついていません」とあるのは、ロボットもののプラモデルで良く使われている表現で、ぜひやってみたかったこと。
 そんなことをやっていたら、「テーマソングを出しませんか」というお話をいただいた。曲は(坂本氏が)バイクに乗りながらなんとなく口ずさんで作っていたものを使ってもらい、歌は(マジンガーZ等のアニメソングで有名な)水木一郎さんに歌っていただけることになった。
 ある時、「コレジャナイロボにGマークがついていたら面白いんじゃないか」とふと思いついて申請したら、一次審査を通ってしまった。それで真剣に応募することになり、結果として審査員の評価を受けて受賞することができた。ちょうどグッドデザイン賞をもっと広く適用しよう、となり始めた時期で、コレジャナイロボもプロダクトデザイン的視点ではなくグラフィックデザイン的な視点から世界観全体を評価され賞をいただいた。余談だが、この写真は実は目の前には誰もいない。ちょうど舞台があいていたので、そこに立ち、あたかも囲まれて写真を撮られているように撮ってもらった。

グッドデザイン賞受賞時の写真

 グッドデザイン賞を取って、仕事がしやすくなった。やはりグッドデザイン賞の認知度、信頼度は凄まじく、それ以前はコレジャナイロボを知らない人からは「よくわからないサブカルのおもちゃ」という程度のイメージだったが、グッドデザイン賞を取っているとわかると信用や興味が一気に上がり、企業の上層部にも稟議が通りやすくなったと聞いた。
 さらに、ペンタックスから依頼をいただき、「ほしかったカメラはこれじゃなーい」とコレジャナイロボの彩色のカメラを100台限定で販売することになった。終始ペンタックスの担当者の方がノリノリで、こちらが「そこまでやってしまうとやりすぎでは?」と止めるほど。これは1台8万円程度の一眼レフデジカメのモデルだが、10分弱で即完売した。
 翌年、再度販売することになり、さらなるインパクトをと今度はコレジャナイロボの頭をストロボ上部に取り付けた。そうすると構造上ストロボが使えないとわかり、「どうしましょうか」と尋ねたところ、ペンタックス側が「じゃあこの頭を『ストロボキャンセラー』と名付けましょう」とのこと。しかも、この頭も品質管理を通っているとのこと(笑)
 その後、海外でそのコレジャナイカメラのニセモノが出た。コレジャナイカメラ自体が、「ほしかったのはこれじゃなーい」というコピーの通りニセモノという設定であるのに、さらにそれにニセモノが出たということ。弁理士に相談したが、顔が違う点、カメラが違う点、パッケージで子供を喜ばせているのでコンセプトが違う点、と相違点が多く、訴えるのは難しいと言われた。せっかくなので一台購入した。
 その他、アパレルブランドなどからも依頼を受けた。まじめなブランドが自社の幅を見せるのに利用してくれているようだ。コレジャナイロボが「バカとふざけのアイコン」となったのかなとう。経緯を振り返ると、最初に「お客さんとこの話題で話が盛り上がることができる」というところから「ネットに広がって」「企業の方が頑張ってさらに広げてくれた」という流れで、だんだんと自然に成長していった、という印象。他にも、マジンガーZとコラボした際には、作者の永井豪先生から、(コレジャナイロボの説明資料にある)子供が泣いた写真と同じポーズで先生が泣いている姿の写真が送られてきた。こちらもその受け入れてくれる姿に驚き、その写真をパッケージに採用させていただいた。
 香港の会社でライセンスのエージェントをやりたいと申し出があり、ライセンスのエージェント契約で香港での商品展開をしている。中国名は「失望機械人」。ピッタリな名称だと思う。

会場には講師が商品サンプルを多数持参してくださり、来場者は商品に直接触ることができた。また、お二人が作成している販促用のフリーペーパーも配布いただいた。

講演終了後には交流会も実施され、多くの参加者が講師に直接質問をしたり、参加者同士で情報交換をしたりするなど、大いに盛り上がった。

開催日・会場

2016(平成28)年9月2日
川崎市産業振興会館

お問い合わせ先

経済労働局 次世代産業推進室
電話:044-200-0168
ファクス:044-200-3920
メールアドレス:28sangyo1@city.kawasaki.jp
住所:〒210-0007 川崎市川崎区駅前本町11-2 川崎フロンティアビル10階