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シンポジウム1「最新技術で排泄ケア向上の成功例を探る」(前編)

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2019年6月6日

登壇者

コーディネータ 人材育成のジェイ・アイ・プロジェクト代表 伊藤順一氏

パネリスト パラマウントベッド株式会社技術開発本部商品技術プロジェクトチームリーダー 堀谷正男氏

トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社 草西栄氏

社会福祉法人照陽会特別養護老人ホームみんなと暮らす町施設長 広嶋稔之氏

シンポジウム

コーディネータ 伊藤氏

人材育成のジェイ・アイ・プロジェクト代表 伊藤 順一氏

 この時間では1時間を使いまして、排泄ケアの課題を最新技術で解決しようという取組を通じて企業と福祉施設との連携のコツを進めてまいりたいと思います。
 コーディネータの私は、「人材育成のジェイ・アイ・プロジェクト」という人材育成に関わる仕事をしております。以前は高齢者介護の現場でしばらく経験をしています。私のロボットとの出会いは、教育研修という形で現場の業務改善にいろいろと取り組んできたところにあります。教育研修と言いますと。現場の職員さんに知識や技術をつけてどんどん頑張ってほしいと展開しているのですが、今日もお話が出ている通り、人材の確保が非常に厳しい状態の中で、人間は十分頑張っていると、しかしもっともっとやらなければならないことがある中で、ロボットに着目をしまして2012年から取り組んでいます。
 それから、人の氣に焦点を当てた介護理念、「氣の介護」として、知識や技術の問題を研修や教育でやっていくのですが、知識や技術が身について上級の資格を持っていいてもなかなかうまくいかない現場がある一方で、それほど経験を積んでいなくてもなぜかうまくいっているという現場があるという中で、両者の違いはなんだろうかというところで、これは「氣」の問題があるのではないかと考え、「氣の介護」と名づけて取り組んでいます。

 弊社の人材育成の理念は、人を大切にとしています。今日はロボット機器の話ですが、人に対して、ロボット機器をどのようにうまい使い方ができるのかという立場から、参加させていただいております。排泄の問題は介護の仕事を見る上で、とても重要な部分です。とても身近で切実な問題で、他人に介入してもらいたくない、とてもデリケートで尊厳に関わる問題です。この良し悪しが現場のサービスの質に直結するものですので、今日はどんな取り組みの成果が出たのか興味を持って進めてまいりたいと思います。

 

パラマウントベッド株式会社 堀谷氏

パラマウントベッド株式会社 堀谷正男氏

 パラマウントベッドの堀谷と申します。最初にお時間をいただきまして、弊社グループの御紹介と今回実証実験で使用しました製品について少し御説明させていただきたいと思います。弊社のグループ理念として、「先進の技術と優しさで、快適なヘルスケア環境を創造します。」ステートメントとして「as human,for human(人として、人のために)」に取り組んでいる会社でございます。グループの体制図としましては、現在ホールディングス制を置いた持株会社で、パラマウンドベッドがメーカー、パラマウントベッドアジアパシフィックがアジア地域統括会社、パラテクノがメンテナンス、パラマウントケアサービスが福祉用具レンタル卸を行なっております。海外につきましては工場を持ちますのがインドネシア、中国、ベトナム、販社としましては、タイ、インド、メキシコ、ブラジルと展開させていただいております。このグループにおいて、2020プランとして2020年に向けた新たなビジネスモデルの創造に取り組んでいるところでございます。

 具体的には周産期における製品の製造・販売、病室のリフォーム、介護ロボットの研究開発、クリティカルケア領域の商材のご提供、リハビリ領域の研究開発、一般コンシューマー向けの製造販売に取り組んでいるところでございまして、今回は川崎市様のお力をお借りしまして、介護ロボットの実証実験をさせていただきました。

 その実証実験で使用しましたのが、「眠りスキャン」という製品になります。マットレスの下に設置するだけで、測定者の生活リズムが把握できるシート型センサーになっております。御利用者様の下にあるマットレスのさらに下に敷くシート型センサーですので、非侵襲で全く違和感なく設置できるものになっています。

 このセンサーを使って何がわかるかと言いますと、大きく二つございまして、一つ目が生活リズムの把握でございます。睡眠日誌(グラフ)が作成できるのですが、横軸が左から昼の12時から右が朝ということで1日の時間軸を縦軸で約2週間分並べています。中身としましては青くなっているところが、ご利用されている方が睡眠している状態、黄色くなっているところがベッド上にはいても覚醒している状態、何も色がついていないところがベッドにいない離床している状態を示します。見える化をすることで御利用者様の生活リズムの把握が可能になると考えています。また、日中活動量がどうも低いな、ぼーっとしているなという時に、夜の睡眠状態を確認するという何か課題があるのではという仮説立案に使っていただいたり、何か改善の対策を打った時に、実際に睡眠が多く取れているのだろうかと確認するツールとして使っていただくことを想定しています。

 もう一つの使い方は、安全対策になります。眠りスキャンはWi-Fiを通して通信ができますので、介護施設におかれましては、ユニットごとのステーションのパソコンやモバイル端末を通して複数の御利用者様が今どういう状態かがわかる機能がございます。特に夜間は少ないスタッフでたくさんの方を見守っていらっしゃると思いますが、これを使いまして、その際の負担を少しでも軽減したいということで、眠っていらっしゃるかというかを確認できます。本来起きるべき時間ではない時に、覚醒や離床を検知しますと、何かあったのかなというお声がけのきっかけになったり、身体状況によっては、転倒転落のリスクがある場合に駆けつけるという安全対策の機能を持ったものにもなります。

 最後に導入事例として、眠りスキャンを全室に導入されまして、夜間帯の安全対策を強化されている有料老人ホームを御紹介します。導入目的が三つありまして、一つ目が、生活パターンを把握し入居者の生活に最適なケアの提供に活かす。二つ目が、覚醒・離床のお知らせを利用し、転倒、転落事故の対策として活用。三つ目が、睡眠の記録を他の介護記録とあわせて家族に報告することで、お預けいただいておりますご家族がきちんと眠れています、きちんとケアを受けていますよとご報告をすることで、施設全体のサービスの向上につなげていらっしゃるということです。

 今回このセンサーを使いまして、排泄ケアにどういった活用ができるかということを実証実験させていただきましたのでご紹介させていただきました。ありがとうございます。

 

伊藤氏

 堀谷さんありがとうございます。では、もう一つの機器のトリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社の草西さんよろしくお願いします。

 

トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社 草西氏

トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社 草西 栄氏

 トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社の草西と申します。我々、10名くらいの小さな会社で、排泄を予測する機器DFreeを作っています。今日は実機を持ってきました。これがDFreeです。このセンサー部分を下腹部の、膀胱上側に当てて、膀胱の大きさの変化を捉え、そのデータをクラウド上にあげます。その後サーバでその方があとどれくらいでトイレに行った方が良いか、またはそろそろオムツを変えた方がいいかというお知らせをします。
 DFreeの名前の由来は、DFreeのDは英語で「Diaper」、日本語で「オムツ」を指し、排泄に関する失禁だったり便漏れだったりの悩みから自由になった、その人らしい生活を実現したいという気持ちが込められています。

 今回川崎市様のご紹介で、川崎市内3施設で実証実験をさせていただきましたし、かわさき基準にも認証いただきました。フランスなどの介護施設でも実証実験をする中で、排泄に関する課題は日本を飛び越えて海外からも非常に多く、「DFreeのような製品が欲しかった」というお声を多数いただいています。

 皆さんからの声をご紹介する前に、DFreeで何ができるかと言いますと、膀胱にどれほどの尿が溜まっているかというグラフが見えます。事前にアクションが取れます。それで失禁がなくなった方もいますし、回数が減った方、夜中に徘徊をされている御利用者様がいて、その方のおしっこの状態を見ると、尿が溜まっています。その方を「トイレにお連れしましょうか」と本人に聞いても「行きたくない」と答えるのですが、実際は溜まっていることが非常に多い。そういう方に限って夜間、ウロウロしていたりする。DFreeを使いその方を最適なタイミングでトイレに連れて行くと徘徊自体がなくなる。とか、失禁がなくなる。そのことから、日中の表情が明るくなるとか、発語量が増えるとか、他にはトイレに誘導してでないことが多かった方がそういった経験が少なくなる事例もありました。

 頻尿の方のトイレ回数が22回が4回と回数が大きく減りました。これらより、介護施設の職員さんに非常に喜んでいたただいて、気持ちが楽になったり、技術が向上したという言葉をいただきました。今私たちが言っている「DFreeでできること」というのは、そのほとんどが介護施設の皆様からいただいたもので、実証実験の場をいただくことで、DFreeという製品のコンセプトがようやく出来上がってきました。

 排泄ケアは大変だという話はよく聞くのですが、なぜ大変かと言いますと、いつ起きるかわからないからなんです。突発的に起きるということは、皆さんストレスを感じることだと思います。「乗ろうと思った電車が遅延で、乗りたい電車に乗れない」とか、「こういう順序で仕事をしようと思っていたら突然上司に新しい仕事を振られる」とか。DFreeによって、お腹の中の状態を見える化することによって、今まで突発的に起こっていた排泄を「管理」することができるようになります。突然に、もしくは決まった時間でやらなければいけない「作業」を、介護者自身が管理することで、相手のことを思いやる「サービス」として提供できる世界が、DFreeによって実現できると私たちは信じています。これを皮切りに、全ての人があらゆる選択肢から、人生を計画してよりいきいきとその人らしい生活を楽しめる世界を作りたいと思っております。LIVE YOUR LIFE.ありがとうございます。

 

伊藤氏

 草西さんありがとうございます。では、今回の取り組み機器の自己紹介をお二人から紹介いただきましたが、今回の実証の舞台となりました社会福祉法人照陽会特別養護老人ホームみんなと暮らす町施設長の広嶋さんです。よろしくお願いします。

 

社会福祉法人照陽会特別養護老人ホームみんなと暮らす町施設長 広嶋
みんなと暮らす町広嶋施設長

 みんなと暮らす町施設長の広嶋です。私はエンドユーザーサイドで実際の検証実証した施設の人間としてパネラー参加させていただきました。はじめに、社会福祉法人照陽会を簡単に紹介いたします。昭和59年に設立、この時の特養は四人部屋カーテンで仕切られ、10時になると一斉排泄というものでした。この法人は高橋照比古という理事長が発足し、今現在228名の従業員が在籍し、事業は要介護3〜5の方が入居し、看取り介護も実施しており、終の棲家と言われる特別養護老人ホームを柱の事業としています。そこに併設事業として2泊3日から1、2週間くらいまでのお泊まりするショートステイ、その日限りの通いのデイサービス、施設外に出て地域でケアプランを組む居宅介護支援センター、市からの委託業務で保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーの3職種が地域で暮らす老人の介護相談をする地域包括支援センターがあります。それ以外にも社会福祉法人は地域貢献事業を義務付ける社会福祉法人改革があり、私たちも例外なく神奈川県社会福祉協議会に賛同してかながわライフサポート事業という生活困窮者に手を差し伸べる事業も同時にしております。

 拠点は、昭和59年に開設した多摩区の特別養護老人ホーム太陽の園、平成12年に介護保険がスタートした時に高津区で特養陽だまりの園を運営し、これは川崎市が建てた建物を委託運営する指定管理という立場で行なっています。この頃までは多床室というカーテンに仕切られた四人部屋が中心。今、私がおりますのは平成20年に開設した特別養護老人ホームみんなと暮らす町。平成16年くらいから個室化を進める国の政策として、全室個室でユニット型施設になってきました、この頃から120床という大規模な施設が設立するようになってまいりました。

 なかなか皆さんわからない部分が多いと思いますので簡単に紹介いたしますと、生活相談員という職員がいます。これは家族との連絡調整があり、1フロア40名、1ユニットあたり十人で暮らしているので4ユニットございます。そこに1名ずつ配置しています。ケアマネジャーがケアプランを組み説明・同意・交付を介護保険の事業を行なっているのですが、生活相談員はケアマネジャーの資格を持っていますのでここは兼務で行なっています。

 介護職員はどれほどいるの?という話ですが、常勤61名、非常勤17名でうち介護福祉士は42名。これはショートステイを含んだ140床に対する規模になりますので人員配置基準でいうと、おそらく2.3対1くらい、ちなみに国は3対1と言われています。看護師が常勤9名、非常勤1名、管理栄養士が3名で栄養マネジメントを組み各階に配置しています。他にも特徴的なこととして、自営で調理もしていまして、調理師を常勤で雇い入れて、さまざまな食形態の食事に対応しています。医師が非常勤嘱託医として内科医師と精神科医師が1名ずつ、認知症の方が6割から7割くらいいらっしゃいますので、精神科医師の回診が必須となってきております。

 次にみんなと暮らす町でどんな取り組みをしているか紹介します。理念は、自由気まま勝手な暮らし、遊びの追求。その中で、10名を1単位として5~6名の固定した職員を配置し個別ケアを実施しています。24時間シートというものを作成していますので、昔は6時になると全員起床だったのですが、今は8時ぐらいに起きてくる方とか、朝ごはん食べない方とか、11時くらいにゆっくり起きられる方とか、介護保険ができて措置から契約へと国も舵取りを変えて以来、だいぶ個の尊厳を尊重するようになりまして、個別ケアが中心に実施されています。

 我々の課題は、職員が不足しているということです。現場は逼迫して、ベッドから車椅子、車椅子からトイレ、トイレから車椅子、車椅子から椅子、椅子から車椅子という、トランスのオンパレードです。腰痛が常態化していて、私の施設で推奨しているのは、ノーリフティングポリシーで、抱えない、持ち上げない、押さない、引かない、ひねらないなどいろいろな形があるのですが、ここにいろいろな機器を導入しております。もう一つ狙いとしては介護技術のスタンダード化もあるのですが、熟練したケアワーカーは職人気質で技術を持ってやっているのですが、どうしてもこれだけ施設が増えて、専門学校の卒業生が減っていて、介護福祉士の受験者数が一気に6万人減って、そういったところで担い手がどんどん減っていく中で、他の産業からもこちらに転職される方もいますし、今までのように生粋の介護士を雇えるわけではないので、そういった方々と熟練のケアワーカーが同じ仕事をやっていくのかということで、ある程度機器を導入することで介護技術のスタンダード化を図れるのではないかという狙いもございます。

 他にも、介護の分業ということで独自の取り組みですが、ケアワーカーはかなりの雑務を含めていろいろなことを抱えていますので、フロアレディを雇い入れて、ベッドメイクやちょっとした雑用を分業して、間接介護を担っていただく。他にも、外国人の活用ということでベトナム人も活用していますので、そういったことがみんなと暮らす町の取り組みになっています。エンドユーザーという立場から今日何か皆様のためになることをお伝えできればと思いますのでよろしくお願いします。

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