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人手不足解消と生産性向上のための短時間正社員制度 社会保険労務士 丸茂 雅一(2019年8月号)

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2019年8月1日

このページは広報誌「かわさき労働情報」のインターネット版です。

人手不足解消と生産性向上のための短時間正社員制度

社会保険労務士 丸茂 雅一

 

 働き方改革関連の改正法が、2019 年4月以降、順次、施行されていきます。有給休暇の取得義務化や長期間労働の是正を目的とした罰則付き時間外労働の上限規制など、中小企業の労務管理において、大きなインパクトを与える内容が目白押しです。

 その環境の中で、多くの中小企業の事業主さまから聞こえてくるのは、「働き方改革関連の改正法への対応準備も大変だが、その前に、そもそも人が採れないために業務が回らない」という声です。

 「コストをかけて人材募集を行っても、応募数が少ない、いい人材に出会うことができない。」という中小企業においては、働き方改革関連の改正法への対応と並行して、または、それより先に、人材確保や従業員の労働生産性向上が、「足元の課題として取り組むべきもの」というのが本音ではないでしょうか。

 中小企業では、いかに良い人材、即戦力になる人材を採用できるか、また、いかに既存の従業員の皆さんに、離職しないで会社で活き活きと働いてもらうことができるかが、生き残りや労働生産性向上による利益の確保のカギを握るといってよいと思います。

 そのためには、まず会社を内外からみても魅力的な職場にする必要があります。そしてその魅力を社内外に積極的に発信することで、注目してもらう環境を作り上げるのです。

 日本の雇用形態は、正社員(フルタイム)と非正規労働者の2つが主なものです。現在日本の正社員以外の労働者、いわゆる非正規労働者は、企業に雇用される労働者全体の約40%です。
 また、非正規労働者については、さまざまな理由から非正規労働者となっていることが想起されます。

以下の表は、非正規労働者となった理由を集計した調査結果です。

現職の雇用形態についた主な理由別非正規の職員・従業員数(2019年1月~3月)

 「自分の都合のよい時間に働きたいから」いう方が男女とも多いわけですが、特に女性の方で、「家事・育児・介護などと両立しやすいから」と回答した方が多いのも見逃せません。
 逆に言うと、現在のフルタイムの正社員の雇用形態では、「自分の都合に合った働き方」「家事・育児・介護との両立」が難しいということだと思います。介護や育児などによって、正社員であった方が退職し、時間的に柔軟に働ける非正規労働者としで職場復帰している、といった背景もあるでしょう。

 また、当然離職後に時間が経ってしまい、知識・経験のギャップから職場復帰をあきらめてしまうケースもあるでしょう。
 企業側からしてみるとこのような離職は、せっかく従業員が習得した知識・経験・技術の損失に繋がります。

 そこで、いかに家事・育児・介護などを理由とした離職を防ぐか、また、一旦離職した方の職場復帰を非正規労働者でない雇用形態で用意できるか、また、自分の都合に合わせた働き方を、非正規労働者以外で用意できるか、その施策を考え、制度実施できる企業が、人材採用・労働生産性向上の上で優位に立てると考えます。

 その一つの施策が、「短時間正社員制度」です。

1.短時間正社員制度とは

  1. 労働時間の考え方
    ・週の労働時間数(40時間など)はそのままで勤務日を少なくする。
    例えば、月曜日から木曜日を勤務日とし、その4日間で40時間を振り分ける。
    ・週の労働時間や勤務日を少なくする。
    例えば、一日の所定労働時間(8時間など)はそのままで、週4日勤務とする。
    または、週5勤務だが、一日の勤務時間を短くする。
  2. 給与面の考え方
    ・給与は、基本給などは勤務時間が少ない分は、正社員(フルタイム)の給与と比較して比例的に控除する。
    ・勤務時間に関係のない根拠で支給している手当は、減額しないで支給する。
    ・賞与は、貢献度に合わせて支給するとし、正社員(フルタイム)と短時間正社員とで支給要件は原則変えない。
  3. 昇進・昇格の考え方
    ・昇進・昇格は、企業によってさまざまな考え方があると思いますが、原則、正社員(フルタイム)と差をつけない。
    例えば、短時間正社員の管理職がいてもいい。
    ・人事考課制度について、正社員(フルタイム)と短時間正社員は、原則、同じ基準で評価できるようにする。
  4. 人事制度・業務管理上の留意点 
    ・正社員(フルタイム)から短時間正社員への切り替えやその逆の切り替えができるルールとする。 
    ・短時間正社員に契約時間以上の勤務をさせる場合があるかどうか決める。 
  5. その他 
    ・短時間正社員制度は、制度化すること自体が重要です。育児・介護休業などの時短勤務とは、その制度趣旨が違いますし、明確に制度化することで使用する際に気兼ねがいらないようにしたいものです。

以上の内容を整備することを基本に、社内で十分検討して導入することが必要です。

2.短時間正社員制度導入のメリット、注意点

短時間正社員制度は、非正規労働者でない正社員であるということにより、正社員でも、より魅力的な働き方を柔軟な時間で行えるということが人材の確保につながるという最大のメリットがあります。一方では注意点もあります。以下に、メリットと注意点を整理しました。

  1. メリット 
    ・今まで、非正規労働者としてでしか実現できなかった柔軟な働き方を正社員の枠組みの中で行えるため、待遇を一定の範囲で維持しながら働ける仕組みとなり、離職を防げる。 
    ・一旦、離職した業務経験者で、フルタイムでは働けない方を、短時間正社員として迎えられる道筋が確保でき、採用者の増加が見込める。 
    ・短時間正社員制度を持つ企業として、イメージアップにつながる。 
  2. 注意点 
    ・正社員(フルタイム)と短時間正社員間での業務の調整や情報の伝達をする必要があるため、管理業務
    ・正社員(フルタイム)と短時間正社員との切り替え時の制度運営コストが発生する。
    ・非正規労働者より、一人当たりの人件費コストが増加する。

 時間正社員制度は、管理コスト・人件費コスト以上のメリットが出せるように設計する必要があります。
 また、どの人事制度も同様ですが、従業員の意見を取り入れ、常に見直し、改善していく姿勢で運営する必要があります。

3.短時間正社員制度で生産性向上

 最後に、短時間正社員制度の導入は、企業の生産性向上につながるのではないか、ということを考えてみたいと思います。 
 企業に正社員(フルタイム)と短時間正社員が存在すると、一定の業務の中で、短時間正社員が早く帰宅する日や、勤務していない日が発生します。
 その日に、正社員(フルタイム)が時間外勤務をして、その穴を埋めるという発想では、そもそも人件費は増加しますし、正社員(フルタイム)と短時間正社員間での軋轢の元になりかねません。そこで、当然、正社員(フルタイム)に業務のしわ寄せがおよばないようにいかに効率よく業務を進めるのがよいのか、短時間で業務を行うにはどうしたらよいのか、部門内、企業全体で、チームとして工夫する意識を持たなければなりません。

 また、短時間正社員も、自分の働ける範囲で最大の貢献ができるよう意識を持つ必要があります。
 これを実現するには、定期的に業務を見直す仕組みを企業内にビルトインしておく必要があるとともに、経営トップが短時間正社員制度導入を会社の人材確保や労働生産性向上につなげるといった強力な意思を社内外へ意思表示することが必要です。

 まさにこれが業務改善や労働生産性向上につながるきっかけになるのではないでしょか。
 短時間正社員制度を上手に導入して、人材の確保、労働生産性の向上につなげましょう。

相談窓口のフリーダイヤル

川崎市では、川崎市と神奈川県社会保険労務士会が提携して、中小企業のために「働き方改革」相談窓口を設けて、川崎市内の中小企業の労務についての問題解決のご支援をしております。短時間正社員制度に限らず、相談を受け付けております。ぜひご活用ください。

相談窓口のフリーダイヤル 0120-116-632

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