川崎エコテク通信 2009-A-1
シリーズ 平成21年度 環境技術産学公民連携公募型共同研究事業
地中熱利用空調システムの研究

キーワード:
持続可能な再生可能エネルギ−『地中熱』   
「地中熱」の共同研究を行っています
 石油やガスなど、エネルギーの枯渇が懸念され、企業でも、行政でも、学校でもさまざまな方面から「省エネ」や「新エネルギー導入」1への取り組みがさかんに行われるようになりました。家庭の日常生活のなかでもいろいろな“エコ”が意識されるようになりました。川崎市も、平成20年、「環境」と「経済」の調和と好循環を推進し、持続可能な社会を地球規模で実現するための取組みとして「カーボン・チャレンジ川崎エコ戦略(CCかわさき)」2を策定し、全市をあげて取り組んでいます。
 こうした状況の中、「再生可能エネルギー」3 への注目が世界的に高まり、持続可能な地球環境をささえる可能性に大きな期待が寄せられています。「自然エネルギー」4とも呼ばれていて、具体的には「水力」、「風力」、「太陽光」など地球上のいたるところにある資源を利用して手に入れることのできるエネルギーのことです。川崎市でもこの「再生可能エネルギー」のひとつである「地中熱」5 の研究を、JFE鋼管株式会社、JFEスチール株式会社との共同で2008年にスタートしています。

この研究は環境技術情報センターの「平成20年度環境技術産学公民連携公募型共同研究事業」6として採択されたもので、川崎市南河原こども文化センター7において、「地中熱利用による空調システム(=エアコンシステム)」8の試験運転を行い、普通のエアコンと比べてどれくらい環境のために役立つのかを検証しています。

 「地中熱」というのは、比較的浅い10メートルから100メートルくらいまでの地中の温度をいい、地中の温度は1年を通じてほぼ年平均気温と同じくらいの約セ氏15度で一定しているという特徴があります。つまり、夏は冷たく冬は暖かいのです。そして「空調システム」とは、いわゆる「エアコン」のしくみのことですが、冷房する場合にも暖房にもエアコンには「熱源」というものが必要です。通常は空気を「熱源」として利用しているのですが、夏は冷たく冬は暖かい「地中熱」を空気の代わりに利用することで、エアコンの効率が高くなり、大きな省エネになって経済的にも節約できるというわけです。 
南河原こども文化センター全景
南河原こども文化センター全景
〒212-0021川崎市幸区都町74-2
  
地中熱空調システム
 南河原こども文化センター前の
「地中熱空調システム」の設備
 このような「地中熱利用技術」は欧米では有効な省エネ技術として認知され、冷暖房や融雪などに広く普及しています。日本ではまだまだ聞きなれない「地中熱」ですが、この「地中熱」の空調システムはヒートアイランド現象抑制9 、省エネ10 による二酸化炭素排出量の削減効果11 、地球温暖化の抑制12 などの大きな効果が見込まれていて、経済産業省資源エネルギー庁13・環境省14 が中心に普及に努めています。環境省では「環境技術実証事業」ETV:Environmental Technology Verification15 に今年度から新たに「ヒートアイランド対策技術分野地中熱・下水等を利用した空調システム」を実証事業として加えました。
 南河原こども文化センターに設置した空調システムはこの「環境技術実証事業」における実証対象技術に選定され、「地中熱利用による空調システム」の実証研究としては日本で初めての試みとなります。川崎市とJFE鋼管株式会社、JFEスチール株式会社の共同研究は開始から1年、暖房期間を経てその効果が見えてきました。これから最も効果が期待できる冷房期間のデータ収集が始まる2年目を迎え、南河原こども文化センターの正面入口には、稼働中の「地中熱利用による空調システム」によって、どれくらい省エネになって冷房コスト節約になっているのか、そしてどれくらい二酸化炭素の排出量が削減されているのかがリアルタイムでわかる「ろじぃちゃん&のみぃちゃんの地中熱見える化モニター」が設置されました。みなさんもぜひ、モニターを見に来てみてください。すでに大きな効果が出ていることが一目瞭然です。
タッチパネルディスプレイ1  こうした「地中熱」をはじめ、地球環境の保全に役立つ環境技術が川崎にはたくさんあります。川崎には公害の克服に向けた努力の中で培ってきた、環境に関する豊かな知恵や知識や経験が蓄積されるとともに、それらを地域だけでなく地球全体に貢献していこうという風土もまた醸成されてきました。そんな環境知の宝庫に私たちは暮らしていながら、私たちの宝物がどんなものか知らないでいるのはほんとうにもったいないことですが、日常生活で使ったり買ったりできる商品と違い、環境技術というのはなかなか目に見えにくく、その環境技術が地球と私たちにとってどんな意味があるのか理解するのはなかなか大変です。
 「再生可能エネルギー」の「地中熱」といっても、そもそも「エネルギー」って何でしょう?「エネルギー問題」は、何がどんなふうに問題で、どんなことがほんとうに「省エネ」になるのでしょう?「新エネルギー」16や「次世代エネルギー」17など、わたしたちの日常生活にはエネルギー問題を取り巻く様々な新しい言葉が次々に登場します。
 ですが、このような関連するキーワードや、環境技術が生み出され活用されるようになってきた背景、国内外の情勢など、さまざまなつながりをひとつずつ知っていくことで、私たちの日々の暮らしと環境技術のつながりも見えてきます。
 次回のコラムでは「エネルギー」18というキーワードを媒介に、将来の持続可能な地球環境と、私たちの今とココの身近なつながりの中に環境技術がもたらす意味を考えてみたいと思います。
 南河原こども文化センターに1F正面入口に設置されたタッチパネル。稼動中の「地中熱」の状況が把握でき、「地中熱エアコン」の温度やエネルギーの推移を示すグラフが表示され、音声による説明も聞くことができる。 
タッチパネルディスプレイ2
  タッチパネル「ろじぃちゃん&のみぃちゃんの地中熱見える化モニター」。「CCかわさき」のキャラ、「ろじぃちゃん」&「のみぃちゃん」によって省エネが一目瞭然。

1 経済産業省資源エネルギー庁HPより「新エネルギーとは?」http://www.enecho.meti.go.jp/energy/newenergy/new/p1.html
2 川崎市環境局地球環境推進室HP http://www.city.kawasaki.jp/30/30tisui/top/tisui-top.html
3 EICネット「再生可能エネルギー」http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword==%BA%C6%C0%B8%B2%C4%C7%BD%A5%A8%A5%CD%A5%EB%A5%AE%A1%BC
4 神奈川県立川崎図書館「やさしい科学しんぶん」「自然エネルギーってなに」2009年7月発行 No.56号
5 地中熱利用促進協会HP, http://www.geohpaj.org/index.htm
6 「平成20年度環境技術産学公民連携公募型共同研究事業」資料

7 財団法人かわさき市民活動センター「南河原こども文化センター」HP, http://park15.wakwak.com/~kskc2100kobun/
   
8 「平成20年度環境技術産学公民連携公募型共同研究事業」資料    
9 EICネット「ヒートアイランド現象」http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword=%A5%D2%A1%BC%A5%C8%A5%A2%A5%A4%A5%E9%A5%F3%A5%C9%B8%BD%BE%DD
10 財団法人省エネルギーセンターHP, http://www.eccj.or.jp/
11 JCCCA全国地球温暖化防止活動推進センター「ストップおんだん館」HP, http://jccca.org/ondankan/

12 JCCCA全国地球温暖化防止活動推進センター「ストップおんだん館」HP, http://jccca.org/ondankan/
13 経済産業省資源エネルギー庁HP, http://www.enecho.meti.go.jp/

14 環境省HP, http://www.env.go.jp/

15 環境省HPより「環境技術実証事業 Environmental Technology Verification」HP. http://www.env.go.jp/policy/etv/
16 経済産業省資源エネルギー庁HPより「新エネルギーとは?」 http://www.enecho.meti.go.jp/energy/newenergy/new/p1.html
17 経済産業省資源エネルギー庁HPより「新エネルギー、次世代エネルギーパーク http://www.enecho.meti.go.jp/energy/newenergy/newene09.htm
18 経済産業省資源エネルギー庁HP,http://www.enecho.meti.go.jp/
(ウェッブアクセス日:2009年7月23日)
     
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