川崎エコテク通信 2010-B-3
シリーズ 平成22年度 環境技術産学公民連携公募型共同研究事業
炭素繊維による閉鎖性水域の水質浄化工法の研究

キーワード:
炭素繊維による水質浄化工法  
■ 水質浄化工法のしくみ
 等々力緑地釣池で実験している水質浄化工法のしくみを説明します。水面上に張ったロープから炭素繊維水質浄化材〔アクリル繊維を特殊な熱処理工程を経て作られたもので、7μm(0.007mm、髪の毛の1/10程度の太さ)の微細なフィラメント(細かい糸状のもの)が12,000本集まり房(束)となっている〕を水中に吊り下げると、細かな繊維部分が水中で拡がり、この繊維部分に汚濁物質や微生物が付着します。この付着した微生物が、生物膜を形成し、汚濁物質と接触することで分解作用が起こります。この分解過程で微生物が水の汚濁原因となる有機物を、二酸化炭素、水、窒素に分解することで水が浄化されるものです。    
 写真−1 等々力緑地釣池におけるロープフローティングユニット全景(2010年撮影)
■ 平成22年度の炭素繊維による水質浄化実験
 実験は図−1に示すように、炭素繊維の効果が有効に得られるような設置状況(ロープフローティングユニット)で行われています。写真−1に実際の設置状況を示しました。
 昨年度の実験では炭素繊維の吸着効果により、透視度、濁度等に、一定の改善効果が得られることが分かりました。しかし、アオコが炭素繊維に大量固着することにより、微生物の付着や微生物膜の形成は成されず、汚濁物質の分解には至りませんでした。この結果、総合的な水質の浄化効果は得られませんでした。
 今年度(平成22年)は、炭素繊維水質浄化材を効率よく設置するように開発された炭素繊維水質浄化装置(ロープフローティングユニット)を、より効果的に機能させるために、昨年度設置した装置に水の循環と曝気をさせるための装置を追加した「炭素繊維+循環・曝気装置」で実験を実施しています。これは、強制的に水を循環させ、酸素供給を行うことにより、微生物の付着と汚濁物質分解の活性化を目指した複合的水質浄化工法となっています。また、実験区域を隔離シートにより囲い、周辺水の影響をできるだけ受けないようにしました。
 今年度の検証では、浄化効果確認のために、透視度、濁度、COD(化学的酸素要求量)及び全窒素、全リン濃度等の測定と共に、炭素繊維への微生物等の付着状況を確認していきます。
図1 等々力緑地釣池における炭素繊維による水質浄化工法の設置状況概略図

主な参考文献
1 小暮幸雄編、2009『炭素繊維水利用技術設計指針−環境水編−』NPO法人炭素繊維水利用工法研究会
2 小島昭、2009「世界の川は、炭素できれいになる−水を浄化する炭素繊維の藻の開発」『化学』vol.64,No.1
3 NPO法人 ジャパン・ウォーター・ガード、炭素繊維による閉鎖系水域の水質浄化工法の研究事業 報告書、川崎市
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