川崎エコテク通信 2009-A-4
シリーズ 平成21年度 環境技術産学公民連携公募型共同研究事業
地中熱利用空調システムの研究

キーワード:
再生可能エネルギー「太陽」   
 再生可能エネルギーは、自然の性質や固有の特徴を私たちの暮らしの中に活かせるよう、人々が知恵と工夫、知識や調査研究を持ち寄り、暮らしのエネルギー資源として享受できるようになったエネルギーの新しいかたちです。前号では、目に見えないエネルギーとエコテクノロジーを容易に理解できるような工夫「見える化」の井戸をご紹介しました。今号では、地中熱と共に再生可能エネルギーとして注目されている太陽のエネルギーについてレポートしたいと思います。 
期待が高まる「再生可能エネルギー」
 前号では、「エネルギー」にはどのようなものがあり、それらが現在どのように分類されているのかを概観し、いま私たちが使用しているエネルギーの約8割が、将来の枯渇が心配されている石油などの化石エネルギーであることを学びました。今世界は、石油に代わる代替エネルギーの導入を急いでいます。これらのエネルギーは「新エネルギー」とも呼ばれています。「新エネルギー」には、太陽や風力などを利用した「自然エネルギー」と、廃棄物や温度差を利用した「リサイクルエネルギー」などがあって、エネルギー資源が自然現象に由来して再生可能だということからこれらは「再生可能エネルギー」と呼ばれ、持続可能な社会を支える石油代替エネルギーとして年々期待が高まってきました1 
太陽のちから、「太陽光発電」と「太陽熱利用」 
 

「太陽光発電」と「太陽熱利用」の特徴比較

太陽光発電

太陽熱利用

しくみ

太陽の光エネルギーを直接、直流電気に変換する「太陽光電池」を使い、インバータで、家庭などで使用している交流の電気に変換する。

家の屋根などに「太陽熱温水器」を設置。

身近な

利用例

家電製品

家庭のお風呂や給湯

コスト

現在、日本では設置費用は1kw当たり60〜70万円

手軽に暮らしに利用でき、電気代が節約できる。

メリット

・エネルギー源がクリーンで無尽蔵。

・発電時に大気汚染物質や騒音を発生しない。

・設置やメンテナンスが簡単           

etc.

・使用するのに特別な操作が不要。

課題

・広い設置場所が必要。

・コスト高。
・発電効率が低い。      etc.

高温にする必要がない場合に限られ、生活の中で補充的な利用しかできないという限界。

共通の

課題

・エネルギー(発電量・日射量)に左右される。一定しない。

 『クリーン発電がよく分かる本』(2005 東京書籍)を参考に作成
 再生可能エネルギーの中でもとりわけ導入が急がれているもののひとつに「太陽光発電」と「太陽熱利用」があります2。「太陽光発電」と「太陽熱利用」はいずれも太陽をエネルギー源とするもので、一見同じようですが、太陽の一次的なエネルギー源をどのような二次エネルギーにするかというしくみと利用の形が異なります3
 「太陽光発電」とは、太陽の光エネルギーを直接電気に変えることをいいます。太陽などの光があたると電気が発生する太陽電池を使い、発生した電気をインバータによって家庭などで使用できる交流の電気に変換します。発電した電気が余れば電力会社に電気を売ることもできます4
 一方、「太陽熱利用」とは、太陽の熱エネルギーを、給湯や冷暖房に使うことをいいます。家の屋根などに設置した太陽熱温水器で温水を作り、お風呂や給湯に使います。強制循環器を使用するシステムでは、温水を循環させて床暖房などに利用することができます。また、学校や福祉施設など、大規模な太陽熱利用システムも導入されていて、吸収式冷凍機などを使えば、冷房することも可能です5。このように、「太陽光発電」と「太陽熱利用」は、太陽の光から電気を利用するか、熱を利用するかという違いがあり、表のようにそれぞれしくみや特徴が異なります。クリーンで無尽蔵のエネルギー「太陽光発電」と「太陽熱利用」、両者とも実用化段階に達しつつあるものの、経済性の面でも課題を残し、政府や地方自治体もさまざまな補助金制度の導入によって実用化の促進に努めています。
エネルギーの「地産地消」と「市民共同おひさま発電所」、「メガソーラー発電計画」
 エコの話題のなかで最近よく耳にする言葉に「地産地消」があります。「地産地消」とは、「地域生産、地域消費」の略語。「地産地消」は地域で生産された農林水産物等をその地域で消費することを意味する概念で1980年代初頭に農林水産省が生活改善運動を進めるなかで用いた言葉とされています。当時、栄養不足の改善に向けた不足栄養素等の地域生産奨励運動とともに、余剰米の削減に向けた減反政策促進の一環などとして推し進められたことに端を発するようですが、近年、食品に対する安全・安心志向の高まりや食料輸送等による環境負荷の軽減(フードマイレージの低減)などの面で注目されるようになり、当初の意味合いとは異なって伝統的な農作物や食文化の復権といった意味合いで用いられるようになってきました6。この「地産地消」という言葉は、次第にエネルギー分野でも使われるようになり、近年エネルギ 
 「市民共同おひさま発電所」
川崎市中原区木月祇園町2-2
川崎市国際交流センター
ーの地産地消をめざした活発化な取り組みが各地で見られるようになりました。日本でも各地で、市民や行政のの協力による自然エネルギーの発電施設がつくられ、自分たちで使うエネルギーを自分たちでつくろうという、エネルギーの地産地消への意識も高まっています。
 こうしたなか、2008年8月、川崎市国際交流センターに「市民共同おひさま発電所」が設置されました。市の女性を受けずに、地球温暖化問題に取り組む市民が中心となって立ち上げた「市民共同発電所プロジェクト」が、市民、事業者から集めた寄付金とグリーン電力基金からの助成金などにより、市民自らの手で設置した太陽光はつでんの施設です7
  
 また、東京電力と川崎市は浮島と扇島に合計2万kwの太陽光発電所を計画し、再生可能エネルギーの拡大に向けた取り組みを進めています。日本でも最大級のこのメガソーラーによる太陽光発電量は、一般家庭約5900件分の年間電力使用量に相当し、大きな省エネに期待が寄せられています。
 川崎市では、このような太陽光のほかにも、風力発電などの再生可能エネルギーや、工場排熱などの未利用エネルギーの拡大に向けた取り組みを市民・事業者・行政の連携のもとに進めています。次号では、「風」や「水」のちからを利用した再生可能エネルギーについて学んでみましょう。
 左:扇島太陽光発電所(仮称) 右:浮島太陽光発電所 

1 山本良一 監修 2005 『クリーン電力がよくわかる本』 東京書籍
2 新エネルギー財団HPより「What's 新エネ?」  http://www.nef.or.jp/what/whats01.html
3 エネルギーの原料になるものが一次エネルギーで、一次エネルギーが形をかえて私たちが使いやすいようになったものが二次エネルギー。『エネルギーの本』(住明正監修)p.4より
4 同上  http://www.nef.or.jp/festa/museum/what/whats01.html
5 新エネルギー財団HPより「What's 新エネ?」  http://www.nef.or.jp/what/whats01.html
6 EICネット  http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=3747
7 川崎市国際交流センター 「市民共同おひさま発電所について」  http://www.kian.or.jp/kic/topics/solar-pow-gen-jp.shtml
 設備概要:太陽光発電合計出力 6.25KW/川崎市国際交流センター陸屋根設置分4.32KW ブロムナード上部設置分1.93KW
 ウェブアクセス日:2010年1月6日

〔参考文献〕
 住明正 監修 山地憲治 著 2004 『考えよう地球環境6 エネルギーの本』 ポプラ社
 田中優 著 2008 『地球温暖化と自然エネルギー わたしたちの未来、みんなの地球』 岩崎書店
 山本良一 監修 2005 『「クリーン電力」がよくわかる本』 東京書籍
 槌屋治紀 著 2003 『調べてみよう エネルギーのいま・未来』 (岩波ジュニア新書444) 岩波書店
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