A-6 地中熱利用空調システム

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2014年3月28日

川崎エコテク通信 2009-A-6

シリーズ A-6

キーワード:地中熱利用空調システム

 今号では、省エネやCO2削減、ヒートアイランド抑制など、地中熱利用の空調システムの共同研究を通じて見えてきたさまざまな効果をご紹介しましょう。

地中熱利用空調システムとその効果

 研究開始から約2年、冷暖房の期間のそれぞれのデータ収集を行い、その大きな効果が見えてきました。シリーズA-1でもレポートしたように、「地中熱」というのは文字通り地中の熱・温度のことで再生可能エネルギーのひとつです。空調システムとはいわゆるエアコンで、「地中熱利用空調システム」とは。地中の温度が一年中ほぼ一定である性質を活かして冷暖房を行うしくみのことです。つまり、夏には気温より低く、冬には気温より高くなる地中と大気の温度差を効率良く活かすことで省エネとそれによる二酸化炭素排出量の削減ができるしくみです。

グラフ1

グラフ1

グラフ2

グラフ2

 上のグラフ1と2が示すように、冷房では室内温度27℃設定時35~40%程度の省エネを、暖房では室内温度20℃程度の省エネを記録(いずれも2009年度実績)しました1。通常のエアコン(冷房の場合)は下図左2のように、空気を熱源とした「空気熱源ヒートポンプ」によって冷媒と空気が熱交換(ファン送風)し、冷房排熱は大気に放熱されます。これがヒートアイランド現象を引き起こす原因のひとつと言われています。一方、地中熱を使用した空調システムで、「地中熱源ヒートポンプ」によって冷媒と循環水が熱交換されます。循環水の熱は地中熱交換器で地中へ放熱されるため、ヒートアイランド現象を抑制することができるのです。
 このように地中熱利用空調システムは省エネ3による二酸化炭素排出量の削減効果4、ヒートアイランド現象抑制など5、地球温暖化の抑制6に大きな効果が期待され、環境省ではグラフ1  グラフ2 「環境技術実証事業」ETV:Environmental Technology Verification7に昨年度新たに「ヒートアイランド対策技術分野地中熱・下水等を利用したヒートポンプ空調システム」を実証事業として加えました。南河原こども文化センターに設置した空調システムはこのETVにおける実証対象技術に選定され、「地中熱利用による空調システム」の実証研究としては日本で初めての試みとなっています。
空気熱源空調システム(通常のエアコン)

空気熱源空調システム
(通常のエアコン)

南河原こども文化センターの地中熱源空調システム

南河原こども文化センターの
地中熱源空調システム

環境保全・循環型社会に対応した工法

 地中熱利用空調システムは下図のような装置からなっています。まず、(1)回転貫入鋼管杭の設置、(2)循環水パイプを挿入、(3)水を循環させて冬は採熱、夏は放熱、(4)その熱をヒートポンプに接続して冷暖房に利用、というしくみです。水を充填し、循環水パイプ(Uチューブ)を入れた回転貫入鋼管杭が、前ページでおはなしした「地中熱交換器」としての役割を果たします。この回転貫入鋼管杭というのは、リユース、リサイクルが可能で、施行時の騒音や振動も低く、また地下水を汲み上げないため地下水汚染・地盤沈下・地下水枯渇などの問題も発生しません。このように工法の面でも環境保全、循環型社会に対応した工法と言えます。

地中熱利用空調システム

平成22年3月15日環境技術産学公民連携公募型共同研究事業セミナー報告スライドより
(JFE(株)、JFEスチール(株)作成)

地中熱の“見える化”いろいろ

  また、この共同研究ではさまざまな調査によって検証された地中熱利用空調システムによる地球温暖化抑制効果社会に還元するとともに、教育の場への活用にも力を注いでいます。南河原こども文化センターの正面入口に設置された「地中熱利用空調システム稼動状モニタ」はどれくらい省エネになって冷暖房コスト節約になっているのか、そしてどれくらい二酸化炭素の排出量が削減されているのかがリアルタイムでわかります。
 また、このモニタには子ども向けに作成した地球環境学習スライドも表示され、地球環境について学べるようになっています。このほか通りがかりの人々にも、共同研究の内容が分かるように「実験装置解説パネル」を掲げたり、地中熱を体験できる井戸を設置8するなど、さまざまなアプローチによる「見える化」を行っています。

環境技術産学公民連携公募型共同研究事業セミナー報告

環境技術産学公民連携公募型共同研究事業セミナー報告スライドより
(JFE(株)、JFEスチール(株)作成)

再生可能エネルギーの複合的な活用に向けて

 見える化のためのモニタでは、太陽光パネルによる発電量も示されるようになっていますが、これは共同研究の中で南河原こども文化センターの玄関ひさし部分に設置された4枚の薄膜型太陽電池によるものです。4枚の太陽光パネルによって、年間の循環ポンプ電力をまたなう試みをしています。このように、一次エネルギーでもある太陽光やそのほかの再生可能エネルギーとともに複合的に利用することでさらに省エネを促進するなど、今後ますます地中熱の活用が期待されます。 

  1. 環境技術産学公民連携公募型共同研究事業セミナー報告スライドより(JFE(株)、JFEスチール(株)作成)
  2. 同上
  3. 財団法人省エネルギーセンターHP http://www.eccj.or.jp/
  4. JCCCA全国地球温暖化防止活動推進センター「ストップおんだん館」HP http://www.jccca.org/ondankan/
  5. EICネット 「ヒートアイランド現象」 http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecowordl=%A5%D2%A1%BC%A5%C8%A5%A2%A5%A4%A5%E9%A5%F3%A5%C9%B8%BD%BE%DD
  6. JCCCA全国地球温暖化防止活動推進センター「ストップおんだん館」HP http://www.jccca.org/ondankan/
  7. 環境省HPより「環境技術実証事業Environmental Technology Verifivation」 http://www.env.go.jp/policy/etv/
  8. エコテク通信シリーズA-3再生可能エネルギー「見える化」参照

ウェブアクセス日:2010年3月18日

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