放射線治療室

 放射線治療とは、がん細胞に放射線を照射してがん細胞を死滅させる治療です。放射線治療は患者さんへの肉体的負担が少なく、しかも形態や機能を温存することが可能で、手術を行わなくてもがんを治すことができる理想的な治療法です。
がんの根治的な治療として用いられるだけでなく、再発に対しても有効になる場合もあります。また、根治的な治療だけでなく、がんによる痛みに対しての緩和的な治療も放射線治療の重要な役割です。

放射線治療室設備紹介

 当院の体外照射に用いられる直線加速器(リニアック)は2008年にVARIAN社製Clinac iXに更新しました。この装置にはX線撮影装置(OBI:On-Board Imager)やCT撮影装置(CBCT)が付属しています。これによって照射直前に位置照合画像を取得するIGRT(画像誘導放射線治療)が可能となり、高精度放射線治療が行えるようになりました。通常照射に加えて、IMRT(強度変調放射線治療)やいわゆるピンポイント照射と呼ばれる定位放射線治療も行えるようになりました。IMRTは前立腺がん、脳腫瘍等に、定位放射線治療は、肺がん、転移性脳腫瘍等に施行しています。

 体外照射を行うためにこの専用CTで撮影する必要があります。通常のCTよりも開口径が大きく、患者固定具を使用したまま撮影することができます。

2014年1月より腔内照射は当院では施行しておりません。

前立腺癌へのIMRT(強度変調放射線治療)について

強度変調放射線治療(IMRT:Intensity Modulated Radiation Therapy)とは、正常組織の照射線量を抑え、目的のがんに放射線を集中して照射できる治療方法です。これによって理想的な線量分布になり、正常組織への副作用軽減が可能になります。
前立腺がんへの放射線治療では、前立腺周囲に直腸や膀胱などの危険臓器があるため、通常照射では、直腸出血等の副作用の増加が予想されます。IMRTを行うことによって、直腸、膀胱等への照射線量を抑え、前立腺へ高線量照射が可能となります(下図参照)。

当院では、胸部から足先までの広範囲をカバーする患者さん専用の固定具を作成し、毎回照射直前にIGRT(画像誘導放射線治療)を実施することで位置確認を行い、照射するため、より高精度な放射線治療を行なうことが可能です。

2010年より前立腺がんへのIMRTを開始し、2014年までで約150件の実績があります。この経験から安心安全なIMRTを提供することが可能です。今後も慶應義塾大学病院の協力のもと、様々ながんへのIMRTを提供できるよう努力してまいります。

定位放射線治療について

通常の体外照射よりも高い精度で位置決めを行い、病変の形状に正確に一致させて3次元的に多方向から放射線を集中させる治療法です。一回で大線量を照射する方法(SRS:Stereotactic Radiosurgery)と、数回に分割して照射する方法(SRT:Stereotactic Radiotherapy)があります。当院では脳と肺の疾患で定位放射線治療を行っています。

脳定位放射線治療は直径3cm以内の主に転移性脳腫瘍で適応となります。通常は頭がい骨に金属フレームを直接固定し、これによって誤差1mmという高い精度で治療を行うことができます。歯列が健全な方は専用の樹脂製の歯型を作成することで、金属フレームを使用せず、高い精度で治療も可能です。
また、当院では赤外線動態追跡装置を使用することで、患者さんの位置を6軸方向で監視し、照射中のズレをリアルタイムでモニタリングできるため、さらなる安全な脳定位放射線治療を実施しています。 高い位置精度で、多方向から照射を行うため、一回当たりの治療時間は30分~1時間程度と長くなります。

肺定位放射線治療は3~5cm以内の原発性肺癌か転移性肺腫瘍で、他に転移がないものが適応となります。通常の体外照射よりも狭い範囲を照射するため、副作用が少なく肺機能が低下して手術ができない方にも治療可能です。照射は一回あたり1時間程度で、5日間で終了します。

当院では、頭部から腹部までをカバーする患者さん専用の固定具を作成し、毎回照射直前にIGRT(画像誘導放射線治療)を実施することで肺病変の位置を確認し照射するため、より高精度な放射線治療を行なうことが可能です。

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