脳神経外科

はじめに

 脳神経外科は1970年に独立した臨床科となり、神奈川県下で最も長い歴史を持っています。川崎市南部だけでなく、横浜市北部・東京都南部からも多くの患者さんが集まる拠点病院として、長く地域医療に貢献してまいりました。対象疾患は脳血管障害・脳腫瘍・頭部外傷・中枢神経系奇形など、多岐にわたり、年間250名余の入院があり、年間180~270件の手術を行っていますが、2007年から救急救命センターを開設してからは、手術の約2/3が緊急手術となっています。2017年4月からは、川崎市立井田病院の脳神経外科スタッフ2名も川崎病院へ加え、7名の強力な脳神経外科スタッフ(6名が脳神経外科専門医)で、診断・治療に対応します。

脳神経外科の特色

1) 脳神経外科スタッフ7名(専門医6名)が、直接、診療にあたります。
2) 夜間休日もオンコール対応にて、脳神経外科救急医療を提供します。
3) 開頭手術、神経内視鏡下手術、定位脳手術、血管内手術など、多種の手術法を選択して行います。
4) 手術においては、Neuronavigater、術中蛍光脳血管撮影、脳波モニタリングなどを併用して、手術の精度と安全性の向上に努めています。
5) 脳腫瘍の治療には、放射線治療科とも連携して、高度な放射線治療法である強度変調放射線照射( Intensity modified radiation therapy: IMRT)が可能です。
6) 質の高い治療ゴールを目指します。

治療対象となる疾患

脳腫瘍 当科は脳腫瘍患者の症例が多く、特に悪性脳腫瘍患者の割合が高いことが特徴です。
悪性神経膠腫、脳原発悪性リンパ腫などの原発性脳腫瘍のほか、転移性脳腫瘍患者も多く、いずれも手術治療・放射線治療・化学療法を組み合わせた集学的治療を行っています。これらの手術に際しては、Neuronavigaterを駆使して正確な局在診断を行い、5-ALA等も併用して摘出率の向上に努めています。放射線治療については、全脳照射、一般の定位放射線 治療だけでなく、高度な放射線治療法である強度変調放射線照射( Intensity modified radiation therapy: IMRT)が可能な治療器機を有しています。化学療法は、欧米・日本双方の脳腫瘍学会や医学論文にて得られた最新・最善と考えられる最先端の治療を行っております。また、良性腫瘍としては髄膜腫、下垂体腺腫などが多く、頭蓋底腫瘍や下垂体腺腫などについては神経内視鏡を使用した経頭蓋底、経鼻的摘出術などの低侵襲手術も行っています。
     
脳血管疾患 脳動脈瘤、脳動静脈奇形、もやもや病、頸動脈狭窄症などの血管障害の患者様の診療を行っています。脳動脈瘤の根治術には、開頭によって動脈瘤の頸部を直視下にクリップによって血流破断する開頭脳動脈瘤頸部クリッピング術と、開頭術を行わず、血管内手術によって動脈瘤の内腔を特殊なコイルで閉塞させるコイル塞栓術とがあります。動脈瘤の形状や発生部位によって、この2つの治療法を選択して行います。クリッピング手術中には、必ず、 ICG蛍光撮影や神経内視鏡などを併用して確認し、手術の安全性の向上に努めています。
 脳動静脈奇形は生まれつきの疾患で、毛細血管を欠く動脈成分と静脈成分からなる稀な血管奇形で、しばしば出血や、てんかん発作などで発症します。この疾患は、血管内手術による塞栓術、開頭摘出術、放射線治療などを選択して行う治療難易度の高い疾患です。
 もやもや病は、先天的に内頚動脈週末部から狭窄が進んでいき、特に、内頚動脈系の主幹動脈の狭窄が起こるととともに、その側副血行路としてもやもやした雲のように見える細かい血管群が発達してくる疾患で、難病に指定されています。虚血症状や梗塞で発症したり、出血で発症したりする場合があります。虚血で発症する症例にして対しては、外頚動脈の分枝を、脳内の血管に吻合する血管吻合術を行ったりしています。
 その他、頸動脈狭窄にたいして、血管内手術にて内腔を広げるステント留置術なども行っています。
*急性期脳血管障害(脳卒中)につきましては、高度脳神経センター医師として、協力して臨床にあたります。
 
頭部外傷 重症頭部外傷患者に対して、急性期に適切に手術適応を決定し、緊急開頭手術を行い、必要に応じて減圧開頭術や、バルビツレート療法、低体温治療等も追加して治療しております。また、軽微な頭部外傷後の慢性期疾患として知られている慢性硬膜下血腫の手術は、年間25~40例ほどを行っています。
     
その他 水頭症に対しては、 発生機序によって、シャント術、第3脳室底開窓術などを選択しています。機能的手術としては、薬物治療が有効でない三叉神経痛や顔面けいれんに対する微小血管減圧術は、連携施設と協力して行うことがあります。尚、てんかん手術や不随意運動に対する深部電極刺激などの機能的手術、低髄液圧症の手術は、現在は行っておりません。

脳神経外科受診のご案内

 脳神経外科では、当科で治療対象とする疾患と診断された、もしくはその疑いがある患者様の診療をいたします。ご受診頂くには医師の紹介状が必要です。かかりつけ医、もしくは、現在おかかりの医療機期間の担当医に、紹介状の作成をご依頼の上、ご来院ください。尚、初診外来の予約も行っております。

  • 医療関係者の方へ
    対象とする疾患に記載の病気と診断された、もしくはその疑いがある方をご紹介ください。
    受診に際し、医療機関からの事前予約もお受けします。
  • 脳神経外科外来担当医表
       
    午前 初診 植田 三島 今西 小野塚 片山
    再診 植田 竹中 今西 小野塚 片山
    特殊外来 片山        
    午後 再診   竹中 今西

脳神経外科医師紹介

氏名 役職 専門 資格
片山 真
(カタヤマ マコト)
部長
高度脳神経治療センター兼務
脳神経外科全般
脳腫瘍
日本脳神経外科学会指導医
三島 牧
(ミシマ マキ)
医長
高度脳神経治療センター兼務
脳神経外科全般 日本脳神経外科学会専門医
大石 裕美子
(オオイシ ユミコ)
脳神経外科専攻医
高度脳神経治療センター兼務
  日本脳神経外科学会員
竹中 信夫
(タケナカ ノブオ)
副院長 脳神経外科全般 日本脳神経外科学会指導医
今西 智之
(イマニシ トモユキ)
高度脳神経治療センター長
脳神経外科兼務
脳神経外科全般 日本脳神経外科学会指導医
日本神経内視鏡学会技術認定医
日本脳神経外科学会代議員
日本脳神経外科学会訓練施設長
小野塚 聡
(オノヅカ サトシ)
高度脳神経治療センター副センター長、
脳神経外科兼務
脳血管内治療 日本脳神経外科学会指導医
日本脳血管内治療学会専門医
植田 良
(ウエダ リョウ)
高度脳神経治療センター担当部長
脳神経外科兼務
脳神経外科全般
脳血管内治療
日本脳神経外科学会指導医
日本脳血管内治療学会専門医
日本神経内視鏡学会技術認定医
がん治療認定医

最近の手術症例数

脳腫瘍 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
開頭脳腫瘍摘出手術 32 31 39 28 29
経鼻的下垂体腫瘍摘出術 2 1 3 5 5
定位放射線治療(注1) 40 35 53 47 52
脳血管障害          
脳動脈瘤手術
(注2)
40(8) 19(5) 19(7) 18(6) 21(13)
 破裂脳動脈瘤 16(1) 9(3) 11(3) 8(3) 11(6)
 未破裂脳動脈瘤 24(7) 10(2) 8(4) 10(3) 10(7)
脳(硬膜)動静脈奇形手術 8(5) 2(1) 2(1) 0 3(1)
高血圧性脳出血 11 7 7 10 6
閉塞性血管障害、その他 6(3) 4(4) 5(4) 2(1) 1(1)
頭部外傷・水頭症          
急性硬膜外・硬膜下血腫 16 13 6 11 5
慢性硬膜下血腫 35 40 21 42 21
水頭症手術 54 31 36 20 22
手術総数(その他を含む) 269 209 194 188 176

(注1)定位放射線治療は、手術総数には入れない。 (注2)()内は、そのうちの血管内手術症例数

脳神経外科からのお知らせ

一般社団法人National Clinical Database (NCD)の手術・治療情報データベース事業への参加について

2014年12月 川崎市立川崎病院 脳神経外科

 当科は、一般社団法人National Clinical Database(NCD)が実施するデータベース事業に参加しています。
 この事業は、日本全国の手術・治療情報を登録し、集計・分析することで医療の質の向上に役立て、患者さんに最善の医療を提供することを目指すプロジェクトです。
 この法人における事業を通じて、患者さんにより適切な医療を提供するための医師の適正配置が検討できるだけでなく、当科が患者さんに最善の医療を提供するための参考となる情報を得ることができます。何卒趣旨をご理解の上、ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

  1. NCDに登録する情報の内容

     2015年1月1日以降、当科で行われた手術と治療に関する情報、手術や治療の効果やリスクを検証するための情報(年齢や身長、体重など)を登録します。NCDに患者さんのお名前を登録することはなく、氏名とは関係のないIDを用いて登録します。IDと患者さんを結びつける対応表は当科で厳重に管理し、NCDには提供しません。

  2. 登録する情報の管理・結果の公表  

     登録する情報は、それ自体で患者さん個⼈を容易に特定することはできないものですが、患者さんに関わる重要な情報ですので厳重に管理いたします。
     当科及びNCDでは登録する情報の管理にあたって、情報の取り扱いや安全管理に関する法令や取り決め(「個人情報保護法」、「疫学研究の倫理指針」、「臨床研究の倫理指針」、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等)を遵守しています。
     データの公表にあたっては、NCDが承認した情報のみが集計データとして公表されます。登録するデータがどなたのものであるか特定されることはありません。

  3. 登録の拒否や登録情報の確認

    データを登録されたくない場合は、登録を拒否して頂くことができます。当科のスタッフにお伝えください。
     また、登録されたご自身のデータの閲覧や削除を希望される場合も、当科のスタッフにお知らせください。なお、登録を拒否されたり、閲覧・修正を希望されたりすることで、日常の診療等において患者さんが不利益を被ることは一切ございません。

  4. NCD担当者の訪問による登録データ確認への協力  

     当科からNCDへ登録した情報が正しいかどうかを確認するため、NCDの担当者が患者さんのカルテや診療記録を閲覧することがあります
     当科がこの調査に協力する際は、NCDの担当者と守秘義務に関する取り決めを結び、患者さんとIDの対応表や氏名など患者さんを特定する情報を院外へ持ち出したり、口外したりすることは禁じます。
     本事業への参加に関してご質問がある場合は、当科のスタッフにお伝えください。また、より詳細な情報は下記に掲載されていますので、そちらもご覧ください。

    一般社団法人National Clinical Database(NCD)ホームページ
    URL: http://www.ncd.or.jp/

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