川崎市の動物愛護事業の施策と現状
1 施策の概要
本市では、動物愛護の気風の高揚、動物による危害及び生活環境の汚染の防止を目的として、昭和48年に「川崎市飼い犬等の飼養管理に関する条例(通称:わんわん条例)」を制定し、動物の虐待の防止及び習性を踏まえた適正な取扱いの推進を図ってまいりました。
条例で、犬の健康管理、服従訓練、犬、ねこの不妊・去勢手術、遺棄の禁止、新しい飼い主への譲渡、飼い犬指導員制度を規定して、先駆的に動物愛護行政を推進してまいりました。
平成12年には、「わんわん条例」から新たに「川崎市動物の愛護及び管理に関する条例」に衣替えしまして、『人と動物の共生』を踏まえた動物愛護の更なる発展を目指しています。
これらの基本指針を背景に、総合的な動物愛護管理推進のための施策を進めています。
具体的には、
(1) 動物の愛護と適正な飼養に関する普及啓発の推進に努めています。
ア 「動物ふれあい広場」、「夏休み体験教室」、市内の小学校や保育園等に出張して行う「動物ふれあい教室」等を実施しています。犬、うさぎ、モルモットなどの動物とのふれあい、ビデオ上映などを実施し、動物の愛護、適正な取扱い、遺棄の予防すなわち終生飼い続けることの重要性等の啓発を行っています。
ふれあい教室は、毎年、100回前後開催して、こどもの段階からの動物愛護精神の涵養の効果的な推進を図っています。
イ 動物愛護週間中に例年、「動物愛護フェアかわさき」を実施し、動物とのふれあいなど楽しみながら動物愛護の精神を培ってもらっています。
毎年、子ども連れの家族を中心に3,000人を超える市民が参加されています。
ウ 本市では、野良ねこ問題の解決には、地域で暮らす市民の理解、協力、参加が重要であると考えます。
飼い主の方々がねこの適正な飼い方をすることにより、ねこに関する問題や苦情の減少、野良ねこの減少を図るために、平成17年8月、「川崎市ねこの適正飼養ガイドライン」を作成しました。
その中で、地域市民のための、地域市民によるねこ問題の解決のために、共同して飼育していくためのルールづくりを行う「地域ねこ」活動の推進を提唱しています。地域市民による「地域ねこ」活動は、ねこ問題の解決だけでなく、さらに、市民相互理解のための推進過程が地域づくりや町づくりに貢献できる波及効果が期待されます。
各区役所保健福祉センターでは地域ねこに関する助言などの支援を行っています。
(2)不妊・去勢手術補助制度を設けて、野良ねこの減少を図っています。
本市では、動物愛護事業の一環として、昭和49年度から飼い犬、飼いねこの不妊・去勢手術補助制度を設けて推進してまいりました。
本市で処分したねこは、ほとんどが飼い主から引き取ったものと、明らかに所有者が遺棄したと思われる生後間もない子ねこであることから、野良ねこが減少しない主な原因は、飼い主によるねこの遺棄、放し飼いのねこによる繁殖であり、これらが野良ねこの供給源になっていると考えられます。
これらを踏まえて、適正飼養の一手段として不妊・去勢手術の普及啓発を図る動機付けのために、不妊・去勢手術補助を実施しています。
平成17年度からは、対象をねこに特化して補助しており、平成18年度からは責任を持って飼養管理されているねこ全般を対象にしています。
補助金額は、メス1頭につき3千円、オス1頭につき2千円、1世帯3頭までとなっています。また、指定獣医師として指定する範囲は、神奈川県内及び本市に隣接している東京都の区や市となっています。
(3)犬、ねこ等の新しい飼い主探しに力を注いでいます。
本市では、「動物の再飼養支援システム」として、やむを得ず飼養できなくなり引取られたり、保護収容された動物を動物愛護センターのホームページを活用して新たな飼い主へ譲渡する制度を実施しています。環境省の再飼養支援システムの全国ネットワークには本市は試験段階から参画しています。
また、やむを得ず飼養できなくなる動物の飼い主と新たに動物を飼いたい人との仲を取り持つ「動物の譲渡にかかるコーディネート推進事業」も行っており、動物の生命の存続に尽力しています。
2 動物愛護事業の実施状況及び現状
(1)動物の愛護と適正飼養の普及啓発について
動物の愛護と適正飼養について市民の理解と関心を深め、動物愛護精神の高揚を図るため、平成4年度からは、社団法人川崎市獣医師会との共催で動物愛護週間中に区役所広場・市民館で「動物愛護フェアかわさき」を開催しています。参加者数は毎年3,000人を超えています。
実行委員会方式により、協賛・協力団体等も参画し、オープニングセレモニー、動物愛護賞表彰、長寿犬・長寿猫表彰式、動物映画上映、動物ふれあい広場、ポニー乗馬、飼い犬しつけ教室、盲導犬デモンストレーション、警察犬模擬訓練、動物健康・飼い方相談、盲導犬チャリティー、動物と写真を撮ろうコーナー、動物愛護パネル展、わが家のペット写真展等を開催しています。
(2)ふれあい事業について
動物愛護センターでは、動物を愛護する気風を招来し、生命尊重・友愛及び平和の情操の涵養をより深く推進するために、「動物ふれあい教室」「夏休み体験教室」「動物ふれあい広場」等を行っています。
ア 動物ふれあい教室
動物愛護センターでは、動物とのふれあいを通して、生命を実感し、動物愛護の心を育むことを目的として、小学校生活科のカリキュラム、老人ホーム等での動物介在活動として、子犬、モルモット、うさぎ等とのふれあい、動物ビデオの上映、動物との接し方、動物による危害防止等を説明する「動物ふれあい教室」を開催しています。
| 17年度 | 18年度 | 19年度 | |||||||
| 施設数 | 回数 | 人員 | 施設数 | 回数 | 人員 | 施設数 | 回数 | 人員 | |
| 保育園 | 11 | 11 | 853 | 10 | 10 | 727 | 9 | 9 | 710 |
| 小学校 | 31 | 79 | 2,649 | 28 | 89 | 2,907 | 28 | 96 | 2,960 |
| 老人ホーム | 6 | 6 | 177 | 1 | 2 | 45 | 1 | 2 | 34 |
| 自主育児グループ | 8 | 8 | 267 | 9 | 9 | 369 | 9 | 10 | 343 |
| 総数 | 45 | 103 | 3,939 | 48 | 110 | 4,048 | 47 | 117 | 4,047 |
イ 夏休み体験教室
動物愛護センターにおいて小学生等の児童に犬、うさぎ、モルモツト等にふれあう機会をつくり、動物への関心と命の尊さを感じさせることにより、動物愛護意識の高揚を図っています。
| 17年度 | 18年度 | 19年度 | ||||
| 回数 | 参加人員 | 回数 | 参加人員 | 回数 | 参加人員 | |
| ふれあい教室 | 1 | 34 | 1 | 21 | 1 | 25 |
| 1日飼育体験教室 | 1 | 10 | 2 | 24 | 2 | 25 |
ウ ふれあい広場
動物愛護センター及び動物愛護フェアかわさきの「ふれあい広場」において、子犬、うさぎ、モルモット等にふれあうことで動物愛護の啓発を行っています。
| 17年度 | 18年度 | 19年度 | ||||
| 回数 | 参加人員 | 回数 | 参加人員 | 回数 | 参加人員 | |
| 動物愛護センター | 147 | 682 | 112 | 616 | 87 | 513 |
| 動物愛護フェア | 3 | 120 | 3 | 120 | 3 | 120 |
エ 犬のしつけ教室
正しい犬の飼い方を学び、犬と楽しく暮らすための基本的なしつけと健康管理についての「犬のしつけ教室」を開催しています。
| 回数 | 参加人員 | |
| 17年度 | 1 | 30 |
| 18年度 | 5 | 101 |
| 19年度 | 4 | 65 |
オ 犬の引渡し講習会
犬の引渡しを希望する人に対し、犬を飼うための法律、しつけ方等について講習会を行っています。
| 17年度 | 18年度 | 19年度 | ||||
| 回数 | 参加人員 | 回数 | 参加人員 | 回数 | 参加人員 | |
| 引渡し前講習会 | 35 | 74 | 45 | 117 | 33 | 88 |
| 引渡し時講習会 | 35 | 73 | 53 | 94 | 30 | 84 |
(3)引取り数について
ねこの引取り数については、昭和59年度の5,878頭をピークに、平成12年度以降は1,200頭を上回ることなく推移しています。
犬の引取り数についても、昭和48年度の4,033頭をピークに、平成3年度は793頭と徐々に減少し、平成12年度から平成19年度までは、いずれも200頭を下回っています。
平成19年度の全国のねこの引取り総数は206,412頭でした。これを人口比で比較しますと、本市は1,101頭で全国平均(2,064頭)の約2分の1(53.3%)の引取り数となっています。
また、平成19年度における全国の犬の引取り数は129,937頭でした。これを人口比で比較しますと、本市は187頭で全国平均(1,299頭)の約7分の1(14.4%)の引取り数となっています。

(4)殺処分数について
ねこの殺処分数については、昭和60年度の5,835頭をピークに、平成11年度は1,878頭と徐々に減少し、平成19年度は1,301頭とさらに減少傾向を示しています。
犬の殺処分数についても、昭和57年度の2,910頭をピークに、平成4年度は678頭と徐々に減少し、平成19年度は86頭とさらに減少傾向を示しています。
平成19年度の全国のねこの殺処分数は200,760頭でした。これを人口比で比較しますと、本市は1,301頭で全国平均(2,007頭)の約65%の殺処分数となっています。
平成19年度の全国の犬の殺処分数は98,556頭でした。これを人口比で比較しますと、本市は86頭で全国平均(985頭)の8.7%の殺処分数となっています。

(5)犬の捕獲・返還数について
犬の捕獲数については、昭和48年度の2,343頭をピークに、昭和60年度は1,114頭と徐々に減少し、平成19年度は196頭とさらに減少傾向を示しています。
また、捕獲された犬が飼い主に戻った返還率については、昭和48年度は9.8%であったものが昭和60年度は17.7%と徐々に増加し、平成19年度は76.0%とさらに増加傾向を示しています。
返還率については、下のグラフのとおり全国平均を大幅に上回っています。

(6)引渡し数について
平成19年度の全国のねこの返還・譲渡数は6,179頭(引取り数の3.0%)でした。本市は49頭(引取り数の約4.5%)の引渡し数となっています。
平成19年度の全国の犬の返還・譲渡数は29,942頭(引取り数の23.0%)でした。本市は66頭(引取り数の35.3%)の引渡し数となっています。
本市では、「動物の再飼養支援システム」として、やむを得ず飼養できなくなり引取られ、又は保護収容された動物を動物愛護センターのホームページを活用し、新たな飼い主への譲渡制度を運用しており、動物の生命の存続に努めています。
また、やむを得ず飼養できなくなる動物の飼い主に自らの責任で新たな飼い主を探す手段として、動物愛護センターのホームページを利用できる「動物の譲渡にかかるコーディネート推進事業」も運用しており、動物の生命の存続に努めています。

3 今後の展開
本市では、動物愛護精神の高揚、人と動物の共生を目指して、動物愛護管理推進のための施策を進めてまいりました。
具体的には、動物愛護啓発活動としての「動物ふれあい教室」、「動物ふれあい広場」、「夏休み体験教室」、「動物愛護フェアかわさき」、適正飼養の一手段の動機付けとしての「不妊・去勢手術補助制度」、生命を存続させるための「動物の再飼養支援システム」、「動物のコーディネート推進事業」などを先駆的に推進しています。
しかしながら、動物愛護に関する苦情が複雑化、多様化している現状を踏まえて、今後さらに、動物愛護管理に係る総合的な施策の検討を重ねて、効率的かつ効果的な事業の展開を図るよう努めてまいります。
≪お問合せ先≫
川崎市健康福祉局健康安全室生活衛生担当
郵便番号:210-8577
住所:川崎市川崎区宮本町1
電話:(044)200-2448/FAX:(044)200-3927
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