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インタビューのあらすじ(テキスト情報)(1)

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公益財団法人実験動物中央研究所 理事長 野村 龍太氏

キング スカイフロント コンセプトビデオ ~インタビュー編(1)~

 

我々は世界でも有数の実験動物を作っていまして、我々の実績が世界的に広まり始めた頃、世界の方々と一緒に仕事ができる羽田空港の目の前で、日本の技術を世界に発信していくことを目指して殿町に来ました。移転の際に川崎市からは、実中研は人脈のすそ野が広く、実中研の移転が殿町とさまざまな人たちとのつながりを生み、たくさんの人たちが殿町に集まってくるだろうと言われました。

 

今までの実験動物にはない、より付加価値の高い実験動物を活用することによって、より動物実験が世の中のためになっていくと思います。世界中の研究者になくてはならないものだと我々は自負しております。

 

我々はノグマウスという免疫が全くない動物を世界で初めて作りました。最初はそれにヒトのがん細胞を移植し、このマウスで抗がん剤などの実験を行っていました。そのうちに、このノグマウスにはもっと汎用性があることが分かってきまして、ヒトの正常な細胞や臓器を生着・再構築させることができました。これを我々はヒト化マウスと呼んでおり、マウスの血液の7~8割がヒトの血液に変わっているもの、肝臓の8~9割がヒトの肝細胞に変わっているものができました。それまでの動物実験というのは、ヒトの安全のために行うものといいながら、実際にはマウスの安全性を見ていたともいえます。それが、ヒト化マウスによって、本当の意味で動物実験において人間の安全性を確認することができるようになりました。これによって、サリドマイドなどの悲劇はもう繰り返さずにすみます。また、これまで研究開発の途中で断念してしまった新薬の研究を復活させるなど、大きな成果に結びついたりもしています。このほか、遺伝子改変に成功した霊長類(マーモセット)なども実中研で開発したものです。

 

今、実験動物は医薬品や医療技術の開発のツールとして使われている場合が多いですが、もはや自分の分身マウスを作ることが可能になっています。究極の個別化医療の一つの形として、自分の分身マウスをつくり、治療方針をそのマウスを使って決めていくという時代も来るのではないかと思います。そうすることで、無駄な副作用をなくし、薬の使用量も減らせます。さらに、がんが転移するかどうかも予見でき、より適切な治療ができるでしょう。私は、実験動物を単なる新薬開発のツールとしてだけではなく、治療の現場で人類の健康に貢献できる形にしていきたいと考えています。

 

医療を取り巻く環境が大きく変わってきて、異業種からの参入が増えてきています。機械メーカー、電機メーカー、食品、化学、繊維など、全く違う分野の方々です。また、日本はベンチャー企業がなかなか育たないと言われていますけれども、非常に興味深い事業をやっているベンチャーもたくさんあります。こういう方々と一緒に組んでやっていきたいです。なぜならば、製薬企業はもう自分たちで動物実験ができるんです。でも、異業種の方々は、まだ動物実験の設備を持っていません。これを我々が提供することによって、新しい製品を一緒に開発、事業化し、小さなデスバレーを超えていくことができます。このような部分に我々の役割があるのではないかと思います。殿町の施設には共同利用施設をかなり作っていまして、ぜひ利用していただきたいと思っています。

 

一人の人間が考えることは限りがあります。我々が全く持っていない視点から我々の仕事を見てくださる方が殿町に来ることで、新たに大きな可能性が生まれてきます。実験動物について、実験動物の研究者だけで考えていたら、本当に限られたものしか生まれないと思いますが、ユーザーの方々がアイデアを出してくださると大きな可能性が広がるのです。

 

殿町、ここは日本の将来を見据えたショーウインドウになると思うんです。ここに来ていただく皆さんとは、世界的な視野に立って日本の将来を考え、協力し合いたいと思います。ここで力を合わせれば、日本人は本当にいいものを持っていますので、絶対世界に負けないものが作り上げられると思っています。本部拠点は川崎・殿町にあるが、我々のマーケットは世界だ、そういう気持ちで一緒に頑張りたいです。

 

今までの日本のライフサイエンスの拠点、サイエンスパークというのは、どうしても日本を意識して作られていたと思います。でも、我々が生きているのは世界です。世界の中の日本という発想で殿町を作り上げ、ここの技術が世界で最先端、最高のものであることによって、世界中の方々がここに来てくださると思います。日本パッシングなんてもう言わせません。日本が中心になって世界と協力していくんです。その舞台が川崎・殿町。そう思っています。