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インタビューのあらすじ(テキスト情報)(4)

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ナノキャリア株式会社 代表取締役社長 薬学博士 中冨 一郎氏

キング スカイフロント コンセプトビデオ ~インタビュー編(4)~

 

生命に関わると言えばがん。本当にがんを救えれば一番。今最大の課題ですからね。

 

抗がん剤が効いた時の喜びというのは、今でも憶えています。

 

(ナノキャリア社の説明ナレーション)

ナノキャリア社は、既成の工学テクノロジーを組み合わせてつくる全く新しい医療デバイス「ナノカプセル」を製造するベンチャー企業。ナノカプセルは使用困難であった抗がん剤でも副作用を軽減して患部に確実に届けることができる。

 

体内に薬を伝達することをデリバリーシステムといいます。

 

ナノカプセルはミセルという非常に変わった高分子からできているのです。高分子というのは工学系じゃないですか。薬と工学をどうやって融合して考えていくか、というのが一つのテーマでした。

 

そもそも医薬品が開発できない時代になってきましたから、この「キャリア」が脚光を浴びてくると思うんです。今では新規化合物が新薬に結び付く確率は1万2千分の1くらい。薬物を発明しても確率としては薬にはならない時代です。

 

そういう時代だからこそ我々の価値が上がると思っています。製薬会社が途中で開発をやめた医薬品を拾っていくというチャンスもあるし、臨床まで開発が進んだけれどやめたりすることもありますので。専門的になりますが、薬の効果が非常に強くても副作用が非常に強かったりすると、治療域が非常に狭くなります。その治療域を上げることが、このミセルはできるんですよ。そういう意味で、これが創薬の一部になっていくだろうと、私は思っています。この技術は思ったより非常に広がりがあるんですね。

 

また分野的には、化粧品にも使えるし、外用剤にも使えます。ですから、非常に応用範囲のある技術だと思います。

 

薬にするためには、まず執念が必要なんですよ。それと、ハングリー精神ですね。それから3つ目は経営センスですね。これが必要なんで、そういったものを各自が持ったらすごいと思うんですけど、持ち合えばまた逆に良いものが出てくるんではないかと思います。

 

僕はビジネス大好きなんですけど、すぐ目の前に転がっているものなんですよね、ビジネスの種は。

 

一番悪いことは何もしないことですよね。失敗でもいいからやったほうがいいわけです。それがベンチャー魂ですね。

 

僕たちは今、生命科学的な事業をやっていますが、事業に関連する材料はいっぱいあります。実は、「イノベーション、イノベーション」って言っているけれども、研究だけのイノベーションには限界があると思うんですよ。やっぱりビジネスのイノベーションもやらないとダメなんですよね。

 

よく知能融合といって、要するに知識や知財を使って、お互いに寄り合って融合していくことが必須な時代です。意外と医薬品だけに限ると融合ができにくいんですよ。電気製品はもうありとあらゆる特許を交換し合わないと、製品ができないようになっているんです、今は。ですからこれはもう本当に融合していかないと、すぐ負けてしまう。今後、医薬品でも融合できるようになるのではないかと思っています。どんどん厳しくなりますよね、薬をつくっていくのも。新しいものがそんなに生まれてなくなってくると、融合していかなければいけないわけですよ。

 

私は、アメリカのユタ州ソルトレイクに住んでいたことがあるのですが、ソルトレイクもハブ空港なんですよね。乗り換え空港になっている。羽田空港がハブ空港になれば、羽田まで来たから降りて殿町に寄ろう、ということはあるわけですね。

 

ハブ空港があるからイノベーションが起きているのか、イノベーションが起きているからハブ空港ができたのか、どちらが先かわかりませんけども、割とそういった感覚でイノベーションが起きる。コンピューターやバイオ分野でも、このような場所で中小企業や大学による研究から生まれた種をもとにして、大企業になった会社がいくつかありますよね。

 

情報社会なので、どこにいても情報を取り寄せられるわけだけれど、意外と話し合いで浮かぶアイデアがあったりするわけね。で、画面を見ていると浮かばないケースもあるし、また画面を見て浮かぶこともある。いろんなコミュニケーション、ネットワーキングの方法を持っているほうが、良いものづくりになるんじゃないかと思います。競争社会だから、あまり周囲の人を意識しないでいると、今後イノベーションはできないと思います。やはり良いものを早く出すということで、先駆的にならないといけないと思います。

 

川崎はこのようなことが可能になる場所だと考えます。こんな機会はあまりないと思います。大学、研究機関、企業。それも大きな企業から少しハングリー精神のある企業やそれからベンチャー企業までが、うまく融合すればすごく良くなると思いますね。