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万福寺遺跡群縄文時代草創期出土品

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2018年7月20日

万福寺遺跡群縄文時代草創期出土品(隆起線文土器)

万福寺遺跡群縄文時代草創期出土品(隆起線文土器)

万福寺遺跡群縄文時代草創期出土品(石器)

万福寺遺跡群縄文時代草創期出土品(石器)

年代

縄文時代草創期

法量

一括

所有者

川崎市

所在地

中原区等々力1-2(市民ミュージアム)

指定

市重要歴史記念物 平成20年4月22日

内訳

No.1遺跡

土器類

  • 隆起線文土器片647点
  • 多縄文土器片33点
  • 焼成粘土塊24点

石器類

  • 有舌尖頭器13点
  • 木葉形尖頭器1点
  • 柳葉形尖頭器2点
  • 石錐2点
  • スクレイバー16点
  • 調整剥片(二次加工痕のある剥片)33点
  • 打製石斧7点
  • 礫器3点
  • 磨石1点
  • 被熱痕がある分割礫4点
  • 石核3点
  • 剥片・砕片多数

No.2遺跡

土器類

  • 隆起線文土器片194点
  • 焼成粘土塊9点

石器類

  • 有舌尖頭器6点
  • 木葉形尖頭器1点
  • 柳葉形尖頭器1点
  • 石錐2点
  • スクレイバー3点
  • 調整剥片(二次加工痕のある剥片)10点
  • 打製石斧4点
  • 礫器2点
  • 棒状礫3点
  • 剥片・砕片多数

解説

 万福寺遺跡群は、鶴見川の支流である麻生川の上流域にあたり、樹枝状に発達した小支谷と痩せ尾根が複雑に入り組んだ多摩丘陵(多摩1面)の丘陵上に立地している。No.1遺跡~No.4遺跡の4遺跡からなり、そのうち、No.1遺跡(麻生区万福寺字一号568番地1他)とNo.2遺跡(川崎市麻生区万福寺字一号396番地1他)の2遺跡から縄文時代草創期に属する遺跡が発見された。No.1遺跡では標高76~77m、No.2遺跡では標高80~81mの痩せ尾根の緩斜面上に縄文時代草創期の遺物集中が認められ、麻生川との比高差はNo.1遺跡で15m前後、No.2遺跡で18m前後を計る。

 No.1遺跡は平成13年12月14日から平成14年6月6日まで、No.2遺跡は平成14年4月15日から平成14年11月7日まで万福寺遺跡群発掘調査団(団長:北原實徳)によって発掘調査が行なわれ、縄文時代、古代、近・現代にわたる遺構・遺物が発見された。

 No.1遺跡の縄文時代草創期の遺物は、北東―南西方向に伸びる痩せ尾根の南西部緩斜面上に、北西―南東方向約16m、幅約2~5mの細長い帯状を呈するように分布しており、なかでも特に南北約5m・東西約3.5mの範囲に集中していた。出土層位は立川ローム層漸移層下位からハードローム層上位で、特にソフトローム層とハードローム層の境を中心として厚さ30~40cmの垂直範囲に集中していた。遺物集中以外には、竪穴住居等の遺構は発見されなかった。

 No.2遺跡の縄文時代草創期の遺物は、北西―南東方向に伸びる痩せ尾根の北東側緩斜面上に、径約8mの範囲内に集中して分布していた。出土層位は立川ローム層ソフトローム層を中心にハードローム層上位まで認められた。No.1遺跡と同様に、遺物集中以外に遺構は発見されなかった。
 No.1遺跡の縄文時代草創期遺物集中からは、32個体分の隆起線文土器片647点と2個体以上の多縄文系土器片33点が、No.2遺跡からは15個体分の隆起線文土器片194点が出土している。No.1遺跡とNo.2遺跡の隆起線文土器群は、粘土紐を貼り付けて施文されており、横位と縦位の隆起線の組み合わせによる幾何学文や短隆起線の多用によって特徴づけられる。器形は平坦な口縁と底が尖る砲弾形を呈する薄手の深鉢形土器が主体であるが、丸底で球胴状の胴部をもつ深鉢形土器もあり、僅かにバラエテイーもみられる。サイズは口径18~20cm前後と10cm前後の概ね2サイズに分けられ、サイズの作り分けが看取される。なお、発掘調査者はこれらの隆起線文土器群の特徴を包括して「万福寺式土器」の型式設定を提唱している。また、多縄文系土器群は緩やかな尖底を呈し、胴部が丸く膨れる深鉢形で、比較的粗い単節縄文が施されている。多摩丘陵では多縄文系土器群の出土事例は極めて少なく、本土器群は出土点数こそ少ないものの、貴重な出土事例である。

 次に、No.1遺跡・No.2遺跡の縄文時代草創期遺物集中からは、117点の石器類と多数の剥片・砕片類からなる石器群が出土している。石器群は、大別して狩猟具と加工具から構成されている。狩猟具は有舌尖頭器が主体で、木葉形と柳葉形の槍先形尖頭器がこれに伴う。加工具には石錐・スクレイパー・打製石斧・磨石・礫器・棒状礫等がある。これらの石器群には、多摩川水系産と推定されるチャート・黒色ページ岩・ページ岩等が多用されており、石器組成は縄文時代草創期前半の隆起線文土器群に伴う石器群の典型的なあり方を示している。特に、本石器群の有舌尖頭器は大半が小型・身部短形で、石鏃への機能的な変化に関係する形態としても注目される。

 以上のように、万福寺遺跡群縄文時代草創期出土品は、下末吉面に立地する横浜市都筑区花見山遺跡(横浜市指定有形文化財(考古資料))とも時期的に並行する隆起線文土器群新段階の典型的な資料として注目され、多摩丘陵上では隆起線文土器群に多量の石器群が共伴する質量ともに最も充実した資料であり、縄文時代草創期前半期の狩猟生活やそこで使用された土器群・石器群の製作技術・機能等を解明するための貴重な一括資料として、その学術的価値は高い。

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