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(目や耳の不自由な方への)武本花奈トークショー #4-2 テキスト情報

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2020年3月31日

コンテンツ番号113104

○武本 ご無沙汰しております。いいですか、続けますね。

 

○司会 今、岡部さんの話をちょうど始めたところでして、なので続けて聞いていてください。

 

○武本 健二さんのお葬式にやってきた岡部さんの顔を見てすごく感じるものがあって、健二さんが亡くなった後に岡部さんに連絡をして、岡部さん、お会いしたいんですといって、すぐに会いに行きました。会いに行って、岡部さんは、実は健二さんと全然私にとっては違うところがあって、決定的に。いろいろ違うんだけれども、健二さんはしゃべれるときからお友達でした。亡くなるまで顔も動いていらっしゃったので、どんなことをしゃべるかというのもわかっていたし、口パクでお話をしていたんですけれども、岡部さんはもう少しALSの症状が進んで、私は岡部さんの声を聞いたことがなかったんですね、呼吸器をつけていらっしゃるので。ただ、岡部さんの印象というかイメージは、いつも岡部さんの周りは、どこに行っても列ができている。あの列をかき分けて岡部さんに挨拶をしに行く勇気がなくて、そこまでに私は2年かかった。(笑い声)

 

○司会 ええ、そうなの?

 

○武本 そうそうそう。それで、でも健二さんが亡くなって、岡部さんに一番最初に会いに行ったんです。そしたら、やっぱりお話をしていて、岡部さんの人柄がすごく見えてくるんですね。しゃべるといっても、視線入力でパソコンを動かしたりとか、それから透明文字盤を使ってお話しするんですけれども、岡部さんは冗談も言うし、すごいダンディで格好いいけれども。

 

○司会 けれども……。一緒にお酒も飲みますよ。

 

○武本 何かおもしろいところもあるし、そして、しゃべっているときに印象的な言葉というのをたくさん言ってくれるじゃないですか。そこではとりあえず、そういうふうに話をしているうちに、私は岡部さんに自分の本音が言えたんですよね。

 

○司会 こちら側のね。

 

○武本 健二さん亡くなっちゃったけれども、まだ終わりにしたくないんだと。そしたら、まだもう少しそばにいてくださいと言ってくださったんですね。そこからまたエンジンをかけ直して、岡部さんに紹介していただいたりとか、今まで健二さんを取材しながら会っていた患者さんとかに会いに行くようになりました。

 

○司会 だからそこから、藤元健二さんの写真を撮るというのがワンステージあったとしたら、次のステージでALSの患者さんを撮るというステージに入ったわけですね。

 

○武本 そうです、そうです。最初は撮ろうと、ただ撮ろうと思っていた。

 

○司会 最初はただ撮っていたわけですね。

 

○武本 そうです。

 

○司会 いろんなところの写真を。

 

○武本 うん、いろんな生活の写真。

 

○司会 そう、いろんな生活の写真なんです。いろんな生活の写真。だから、移動中とか、本当におうちにいるときとか、いろんな場面、たくさんの人に囲まれているところとか、生活の中の写真を撮っている。

 

○武本 でも、それぞれ会うと、みんな個性があるんですね。そして、ALSの方はしゃべれなくなっても、きちんと自分の意思をお持ちなので、「花奈さん、それ何?」とか、(写真を)撮っていると好奇心があるから聞いてくる。こういうことなのよとかと教えたりとか、無駄話なんかもしながら。でも、ぽろっぽろっと言ってくださる言葉の中に、私的にはすごいきらっと光るものを感じたし、あと、一般の人たちって、ALSの患者さんが何を考えているかなんて全然知らないから、誤解だらけだろうなと思ったんですね。このいただいた宝石みたいな言葉は、私の心の中にただ閉じ込めておくのはもったいないなと思って、写真展をしよう、言葉を一緒にくっつけようというふうに思いました。

 

○司会 私たちは本当に先入観とか偏見の塊だなと思うときがあって、いまだに、私も何人もの方たちとお会いしますけれども、それでもやっぱりわからないこととか、気づかなかったこととか、思い込んでいることというのがたくさんあるって本当に思うんです。その1つは、さっき言ったように、例えばしゃべる、しゃべらないとか、表情がある、ないというのが大きくて、表情がないと、何か感情がないのではないかって、ぱっと見ると思うんですよね。でも、本当におもしろいことも言うし、あと、考えているアイデアみたいなものは驚かされることもすごく多いし、だからそういうことをちょっとだけ、一歩踏み込むとそういうものが見えてきて、個性が見えてくるんですよね。

 

○武本 そうです。

 

○司会 多分花奈さんは生活を撮っているから、一歩踏み込むんじゃなくて、二歩も三歩も中に入ったところで会話をしているんだなと。あの言葉たちを見ていると思うんですよ。

 

○武本 自分では必要以上に近づいたという感じでもないし、でも距離をとろうとは思っていないんですけれども、お互いに心地のいい距離よりはちょっと私が近づいたかな。やっぱり興味がないと撮れないし、知りたいと思う。

 

○司会 カメラマンだから、写真家だから。

 

○武本 知りたいと思うから近寄るので。ちょっと近かったかな。

 

○司会 被写体を知るということですよね。

 

○武本 そうですね。自然とそうなっていきますね。

 

○司会 だから、それで、写真だけではなく、写真に言葉を添えようというふうに、いろんな言葉たちに出合って、思ったということですよね。

 

○武本 はい。

 

○司会 本当にいろんな言葉があるんですけれども、幾つか、それこそ振り返ってみるといろいろあると思うんですが、今、藤元健二さんなんかは、それこそ本もつくっていますからいろんな言葉があったと思うんです。その中から、じゃあ、この言葉をこの写真に合わせようみたいなチョイスというのも難しかったのではないかなと思うんですよね。どの方もそうですけれども。

 

○武本 いや、何かね、それが、あっこれやろうと思ったときになんですけれども、作品をつくるのは私はアナログなので、書き出したものを全部プリントアウトして、地べたに並べてこうやるんですけれども、パズルみたいに。でも、ものの数分で、ぴたっぴたっぴたってそろっていったので、別にあまり苦ではなかったですね。逆に言うと、患者さんの訴えたいことを私がキャッチしたのかもしれないけれども。

 

○司会 だから、言葉だけをまずだあっとプリントアウトして、写真を幾つかそろえて、どれが合うかなというのは、ああ、これこれ、これはこんな感じというふうに合わせていったということですか。

 

○武本 そうです、そうです。なので、作品によってはですけれども、写真と文章が全く同じ人ではないものもある。

 

○司会 でも、この写真があらわしているなという。

 

○武本 私たちが思っている、偏見かもしれないけれども、うちはこうなのよ、いや、うちはこうなのみたいなのが、例えば普通に私たちが生活をしている中にもあるじゃないですか。でもそれだけじゃなくて、患者さん全員の総意に近いものというのが作品の中に流れるといいなと思っていて、例えば後ろに呼吸器をつけた写真があったと思うんですけれども、あの上にある言葉は藤元さんの言葉。下のおなかの呼吸器の写真は、今のALS協会の会長をしているシマモリさんのおなかなんです。いつもごめんなさいと、おなかだけ貸してくださいと言っているんですけれども。もう自分だけでいいから、この病気を終わりにしてくれというメッセージ。

 

○司会 そのためには何でもするという言葉ですね。

 

○武本 それは、藤元さんの言葉を超えて、シマモリさんの祈りでもあるような気がします。

 

○司会 その言葉たちというのは、日常会話の中から出てきたものもあれば、きっと花奈さんがいろんな質問をしたりして、インタビューをしていますよね。

 

○武本 はい。していますね。

 

○司会 その中から出てくる言葉というのもたくさんあるわけですよね。

 

○武本 はい。あとは、患者さんによっては、症状が進んでいって単語しか話せない人たちもいますので、そういう場合には、あるいは藤元さんみたいに上手におしゃべりできる人ばかりではないので、その場合には単語を拾ってきて、あとは、この人はこういうことが言いたいんだなというのがわかるまでそばにいてコミュニケーションをとるとか、介助者の方々と触れ合ったりとかいろんなことをしながら、自分で飛び飛びの単語で文章をつくっていることもあります。

 

○司会 その中で印象に残っている言葉とか、印象に残ったエピソードとか、きょうは、今、4点前に掲げてくれていますけれども。

 

○武本 最初に話しましょうか。きょう実は、来たいと一番最初に言ってくださった患者さんです。埼玉の患者さん、永井さんといいます。永井さんは、きょうはちょっと体調が悪くて来れなかったんですけれども。

 

○司会 今、生中継しているわけですね。

 

○武本 そうそうそう。介助者の皆さんがiPadでああやって、本人が見ている。

 

○司会 見ている、大丈夫ですかね。

 

○武本 正確に言うと見張られているかもしれない(笑)

永井さんのこの文章は私がつくったんですけれども、全部じゃないけれどもつくったんです。永井さんはすごいオープンな人で、何でも話していいよという人なので言うんですけれども、ALSになって離婚されました。要は、病気がすごく大変なことなので、御家族でみんなで受けとめないといけないことなので、それがうまくいかなかった場合には、そういう方が実はたくさんいらっしゃいます。

 

○司会 どちらもどちらのことを思うがゆえに、その決断というのは、そりゃ重いものですよね。

 

○武本 苦しいですものね。

 

○司会 苦しいですよね、どちらもね。本人はもちろんですけれども、家族もつらいし、その決断をする家族もつらい。

 

○武本 永井さんが一番最初に私にメールをくれたときに、「永井でーす、バツ1独身でーす」とメールをくれた。(笑い声)

どうやって答えようと思ったんですけれども。

 

○司会 でもうそじゃないですものね。

 

○武本 そう。でも、それで、ではどうしたかというと、永井さんは、御自身が働いていたところの仕事の部下をしていた方に連絡をしました。そして、こういうことになっちゃって今困っているんだけどって言って。そしてその彼女が、いろいろ奔走するんですけれども、いろんなことをどうしようか、どうしようかと。。。

 

○司会 1人になっちゃったし。

 

○武本 はい。そしてすごいラッキーなことに、永井さんのおうちの近くに福祉の学科がある大学を見つけます。そこにヘルパーの募集をかけます。

 

○司会 すごい!

 

○武本 そしたら、1人集まり、2人集まり、3人集まり、4人集まり、今20人ぐらい。

 

○司会 20人ぐらい!

 

○武本 その20人の学生が彼の命を支えているんです。

 

○司会 交代で。

 

○武本 はい。そして、永井さんはおうちを開放しているんですけれども、学生ちゃんたちが大学が終わったら自転車で永井さんちにやってきます。着がえてシャワーをあびて、宿題をやって。

 

○司会 学生ちゃんたちが。

 

○武本 はい、宿題をやって、仮眠して、交代で皆ではいっていくんです。ヘルパーとして。

 

○司会 へぇ。そういうやり方があるんですね。

 

○武本 そして、永井さんがそういう姿を見ていて、彼女たちのことを永井さんはどう思っているんだろうと思って質問した答えがここに書いてある。

 

○司会 「ヘルパーは 俺の恩人です。 あのときも 今も 生きることを あきらめなくて 良かったと思っています。」

 

○武本 永井さんは、一番最初に会ったときは右手が動いたので、机の上に字を書いて筆談してくださっていました。今はだんだん症状というか、体調が悪い日が増えてきて手が動かしづらい状況なので、口文字とか、さっきも見た透明文字盤などでやっているんですけれども、私と話すときには、外の人と話すときもなんだけれども、「永井さんは、一人称、自分のことを私と言いますか、僕と言いますか」と聞いたら、「俺」って言うとヘルパーさんたちが言うので、「俺」にしました。

 

○司会 「俺の恩人です」やっぱり本人を知っている人にとっては全然雰囲気が変わりますものね。ふだんの言葉ということですよね。

 

○武本 だから、すごくヘルパーは恩人ですというのは永井さんが言ったそのままですけれども、本当に命の恩人だと永井さんは思っているんだなというのを残したくて書きました。

 

○司会 あのときも今も。

 

○武本 あのときです。

 

○司会 ということですよね。

 

○武本 そうです。いろんなつらいことがほかにもある方いると思うんですけれども、永井さんがそれでも生きていてよかったということを言ってくださることで、ずっとつらいことだけではないというのもちょっとわかってほしいなと思うんですね。

 

○司会 すごく楽しそうな瞬間。

 

○武本 いつもこんな感じです。

 

○司会 このときは何があったんですか。

 

○武本 何かを見せているんですね。携帯で。

 

○司会 何かを見ていて、でも、永井さん以上に皆さんが喜んでいるという。こういう状況だと楽しいですよね。

 

○武本 患者さん自身がサービス精神が旺盛なんですよね。だから、一緒に楽しもうみたいな感じですね、永井さんのところは。

 

○司会 という状況で、この言葉ということですね。永井さん、ありがとうございます。

 

武本花奈トークショー #4-3に続く)

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