ハートリレー第24回 一緒に食事をして、一緒におしゃべりをして、一緒に遊ぶ
“一緒に”を何よりも大事にしている、ふれあいサロン「夢」

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自宅にいるようにくつろげ、いっぱいおしゃべりできるところが魅力

 参加者3人の年齢は、上から88歳、84歳、83歳。一人暮らしの方もいれば、息子さんと同居している方など境遇はそれぞれ。一日ほとんどしゃべらないで過ごしてしまうこともあるみなさんにとって「夢」での時間は貴重なおしゃべりタイムです。

 この日も戦争中の空襲や疎開の話、戦後の苦労が多かった時代の話など、思い出話がどんどん出てきます。自宅にいるような普通の一軒家のキッチンという空間で、運営スタッフの方たちの身内に接するような対応が、居心地の良いくつろぎの場をつくっているからこそ、自然にたくさんおしゃべりしたくなるようです。

写真 おしゃべりしているみなさんの笑顔が印象的です

おしゃべりしているみなさんの笑顔が印象的です

写真 おしゃべりしているみなさんの笑顔が印象的です

 

空き家だったこの家を地域の拠点として利用して13年に

 運営責任者の小川さんに、ここにサロンを開いた経緯をお聞きすると、「サロンが始まったのは平成15年12月、今月でちょうど13年になります。ご両親が住んでいた空き家だったこの家の管理をどうしようかと考えていた大家さんに、地域の人たちで働きかけて借用することになりました。最初は母体となるNPOの事務所として使っていたので資金的にも安定していましたが、事務所が移転してからは家賃、光熱費などの維持費は、利用料のほか、年末助け合いの助成金で賄ってます」とおっしゃっていました。

 「一番の悩みは、最近人が集まりにくくなったこと。最盛期は18人くらい利用者さんがいて入りきらないくらいだったのが、今は4〜5人しかいないんです。特に男性は少なくて、女性の中にポツンと一人だとつらいんでしょうか」と井関さん。小川さん同様長く運営に関わっていて料理担当の井関さんは、キッチンにある食事用の椅子の数の8人くらいには増やしたいと話していました。

 お二人に「夢」の他とは違う良さはという質問を投げかけてみると「あれをしなさい、これをしなさいという細かい決まり事がなく、かたちにはまらない家庭の延長みたいなところかな。とにかくみなさん一週間分のおしゃべりをしにここに通って来てくれるんです。」と笑顔で答えてくれました。

写真 中心となって運営している小川さん(左)と井関さん

中心となって運営している小川さん(左)と井関さん

取材を終えて

 ふれあいサロン「夢」さんは、溝口の住宅街の中にあって、なにか特別な施設という感じではなく、本当に近所の「茶飲み友達が集まる家」という佇まいであったのが印象的です。

 食事は、ベテラン主婦のスタッフさんが作る家庭料理で、優しい味わいに加え、彩りも豊かで、利用者の方々が毎週楽しみにされているのも納得の内容でした。

 食事やお話をする「場」の提供だけでなく、利用者さんの社会資源利用やご家庭の背景まで 適度に把握し、気さくなおしゃべりの中でそれぞれの抱える課題に触れられる雰囲気も、支援関係として重要と感じました。

 私たちは普段、精神障がいを抱える方々を支援していますが、孤立を防ぐ、人と人の繋がりを作る、という根幹の部分で共通するものを感じました。

 

(喫茶ほっと 喜納)

 

ふれあいサロン「夢」のことをもっと知りたい

  • 活動場所:高津区溝口3-22-17の一軒家
  • 活動日時:毎週月曜 10時〜15時(祝日にあたる場合はお休みです)
  • 活動内容:おしゃべり、昼食、ゲームなど。
  • 参加費:700円(おもに昼食代)
  • 設立:2003年(平成15年)
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取材先

ふれあいサロン「夢」

スタッフ
小川 八千代(おがわ やちよ)さん

取材者

写真 取材者

喫茶ほっと
喜納 辰洋(きな たつひろ)さん

「喫茶ほっと」は、てくのかわさきに精神障がい者の地域作業所として開設された地域活動支援センターです。