かわさき市政だより KAWASAKI 特別号 2017 JANUARY 発行:川崎市 郵便番号210-8577 川崎市川崎区宮本町1 電話044-200-2111(代表) 編集:臨海部国際戦略本部臨海部事業推進部 電話044-200-3634、ファクス044-200-3540 特集 殿町国際戦略拠点「キング スカイフロント」 川崎の南端は、世界の最先端。 世界を、未来を変える、殿町国際戦略拠点「キング スカイフロント」 川崎市長 福田紀彦 川崎市は7つの区、それぞれが、まさに海側から丘陵地帯まで、虹の色のように、多彩な魅力を持っています。 市域南端の臨海部、羽田空港の多摩川対岸の川崎区殿町地区において、健康・医療・福祉・環境といった人類の課題解決に貢献し、また今後の成長が期待される分野の研究開発拠点「キング スカイフロント」の形成を進めています。 キング スカイフロントは、世界最高水準の科学技術が集積し、研究開発から新産業を次々と創出することを目指す、オープンイノベーション拠点です。 現在、最先端の企業や研究機関の立地が進むとともに、良好な研究環境を実現するためのにぎわい・交流機能の充実や羽田空港とのアクセス向上を図るなど、順調に拠点形成が進んでいます。 キング スカイフロントから生まれるイノベーションの成果を社会に還元し、産業の活性化を通じて日本経済をけん引するとともに、市民の生活に大きく貢献できる拠点づくりに向けて取り組んでまいります。 市政に関するお問い合わせ、ご意見、ご相談は サンキューコールかわさき 電話044-200-3939、ファクス044-200-3900 午前8時〜午後9時(年中無休) 川崎市のデータ(平成28年12月1日現在) 人口:149万1,012人(前年同月比13,920人増) 世帯数:70万4,628世帯 2、3面------------------------------------------------------------ 企業や研究機関が集結! 世界をリードするオープンイノベーション拠点に 川崎区殿町に位置するキング スカイフロントは、世界最高水準の研究開発から新産業を創出するオープンイノベーション拠点です。 健康・医療・福祉・環境といった課題の解決に貢献するとともに、この分野でのグローバルビジネスを生み出すことで、日本の成長戦略の一翼を担います。 キング(King)…「Kawasaki INnovation Gateway」の頭文字と「殿町」に由来 スカイフロント(SkyFront)…多摩川対岸の羽田空港から世界につながる拠点 オープンイノベーション…異分野が持つ技術やアイデアなどを持ち寄り、組み合わせることにより創出される、革新的な発明や発見 羽田空港まで、わずか600m。世界とつながる拠点 「川崎にこんな土地があったとは…」 企業や研究機関にとってキング スカイフロント進出の大きな理由が「アクセスの良さ」。現在、車で羽田空港まで10分。さらに、2020年に向けて連絡道路(都市計画道路殿町羽田空港線)が整備され、羽田空港跡地地区とキング スカイフロントが一体化。一体的な成長戦略拠点として日本の持続的な発展に寄与します。 「不治の病」ではなくなる!?脊髄損傷の治療法を開発中 慶応義塾大学 医学部×サイバーダイン株式会社 慶応義塾大学の中村雅也教授は、サイバーダイン社(筑波大学の山海嘉之教授が設立)が開発した「ロボットスーツHAL」とiPS細胞(人工多能性幹細胞)を利用した再生医療を組み合わせて、現時点では根本的な治療法がない脊髄損傷に対する新たな治療法の開発を進めています。 歩きたい!その意思が体を動かす (1)脳などから筋肉に指令信号(電気信号の一種)が送られる (2)それをセンサーで読み取ることで、意思に応じた動作ができるようアシスト 実験動物中央研究所×慶応義塾大学 医学部 実験動物中央研究所では非ヒト霊長類を用いて脊髄損傷モデルを作製し、慶応義塾大学の岡野栄之教授とともに、ヒトiPS細胞を用いた新たな再生医療の開発をしています。さらに、実用化に向けた臨床試験を目指しています。 ナノ医療イノベーションセンター(iCONM) 「実用化間近!?「ナノマシン」を用いた副作用の少ないがん治療」 片岡一則センター長を中心に、複数の大学・企業が集まって、ナノマシンの技術を駆使した新たな治療法の研究を行っています。がん細胞にのみ取り込まれる機能を持たせたウイルスサイズのカプセル「ナノマシン」は、健康な細胞を刺激することなく患部にまで抗がん剤を届けることができ、がん細胞だけを“狙い撃ち”することが可能となるため、ダメージを最小化することが可能となります。このナノマシンを使った新しいがんの治療法は、すでに複数の臨床試験で最終段階まで進んでいます。 ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 東京サイエンスセンター 「医療従事者向けトレーニング施設 年間2万人超が来訪」 医療機器を製造販売する同社が設立した、製品の適正使用のための医療従事者向けトレーニング施設です。医療技術の進歩とともに、医療機器も高度化・複雑化しています。患者さんに、より安全で、負担の少ない医療を提供するためには、医師らも常に操作技術の向上に努めなければなりません。東京サイエンスセンターでは、病院の手術室や検査室が再現された環境で、本物の臓器に近い模擬臓器を使ったプログラムなど、実践的なトレーニングを提供しています。 腹腔鏡手術の訓練が約6割。「日本のドクターからきめ細かい治療技術を学びたい」とアジア圏から日帰りで訪れる医師もいる ペプチドリーム株式会社 「世界初の創薬開発システム」 現在世の中で使用されている薬は、低分子医薬品と抗体医薬品が主流です。低分子医薬品は組織や標的への特異性を高めるのが困難であり、抗体医薬品は製造コストが高いなど欠点があります。特殊ペプチドは、これらの欠点を回避しつつ、特異性や製造面での両者の利点を併せ持つ第3の医薬品として期待されています。同社が開発した独自の創薬基盤プラットフォームシステムであるPDPS(Peptide Discovery Platform System)を使用することで、短期間で効率よく医薬品候補となる特殊ペプチドを見つけることが可能となりました。現在、国内の製薬企業6社、海外の製薬企業10社と共同研究開発の提携関係を結び、新たな医薬品の開発を目指しています。 サイエンスをもっと身近に。 キング スカイフロントでは毎年「夏の科学イベント」を開催しています。立地企業や研究機関がそれぞれの特徴を生かしたブースを設置し、小学生を中心に子どもから大人まで科学に親しむことができます。 自分の住むまちに、こんな最先端の場所があったなんて まるでSFや夢物語のようなことが、今にも実現されようとしていて胸が高鳴りました 未来の科学者をここから。 未来を担う中学生や高校生たちに科学の魅力を知ってもらう取り組みとして、最先端の研究を行う若手研究者と語り合う「サイエンスカフェ」や外国人研究者との交流会などを開催しています。 川崎臨海部の30年後を見据え、目指すべき将来像や、その実現に向けた取り組みの方向性を示す「(仮称)臨海部ビジョン」を平成29年度末までに策定します。策定にあたり、市民の皆さんから臨海部の将来に期待することを募集しています。詳しくは、市ホームページで。 「川崎 臨海部ビジョン」で検索 4面------------------------------------------------------------ 若き研究者たちがキング スカイフロントで出会い、創り、イノベーションを起こす! 公益財団法人川崎市産業振興財団 ナノ医療イノベーションセンター(iCONM) 一木ラボ 上野真吾さん 「ひとつ屋根の下、異分野融合で未来を切り開く」 研究所から眺める多摩川の景色に元気をもらいながら、医療や診断に役立つ分子や装置の開発をしています。様々な分野の専門家が共同して働くiCONMから、今までにない新しいものを送り出したいと思っています。 クリエートメディック株式会社 研究開発センター 商品開発部 早勢美香さん 「女性目線で医療製品を開発しています!」 女性の先輩が開発した自己導尿カテーテルは、排尿機能を失った女性の患者さんから「持ち歩いても恥ずかしくない」と好評です。私も患者さんから喜ばれるすてきなデザインの製品を開発したいと思っています。 ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 東京サイエンスセンター ラボオペレーショングループ 江連正裕さん 「医師が集まる訓練施設研究者との交流を」 J&Jが販売する医療機器を医師の皆さんが安全に使えるよう、トレーニング施設を運営しています。国内外から医師が集まるので周囲の研究施設と交流し、臨床と研究をつなぐことができれば面白いですね。 公益財団法人実験動物中央研究所 免疫研究室 伊藤亮治さん 「川崎生まれのヒト化マウスで世界の医療に貢献」 がん・アレルギー・自己免疫病など、ヒトの病気を再現できる「ヒト化マウス」を開発しています。このヒト化マウスが医学研究のゴールドスタンダードとして世界中の人々の健康と福祉に貢献する日を夢見て日々研究に取り組んでいます。 川崎市環境総合研究所 環境リスク調査課 千室麻由子さん 「ゆったりと流れる多摩川を眺めながら…」 大気や水、土などに含まれる化学物質の影響を調べる仕事をしているので、水辺を身近に感じられるこの環境がとても気に入っています。将来も子どもたちが安心して暮らせるように、環境をしっかりと守っていきたいです。 川崎市健康安全研究所 ウイルス・衛生動物検査担当 松島勇紀さん 「大好きな研究で市民の役に立てる喜び」 病原体(ウイルス)をリアルタイムで監視して流行予測や注意喚起を行っています。「おかげで感染症の蔓延を防ぐことができた」などと言われた時に、市民の命や健康に直結しているんだな、と実感します。 慶応義塾大学医学部 医療政策・管理学教室 平原憲道さん 「川崎から始まる医療ビッグデータの活用」 膨大な医療データの本格的な活用が始まっています。科学的解析だけでなく、患者中心の視点から医療情報を再編成し、スマホでの健康管理などで「自然と健康になる仕組みづくり」を企業や医療機関と連携して研究しています。川崎を先進モデル地区にしたいですね。 「かわさき市政だより」特別号は、新聞折り込みで配布の他、市公共施設、市内の一部の駅・金融機関・スーパーなどで配布しています かわさき市政だより 特別号 おわり