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いつから年金を受け取るか、選択肢が広がります(2021年5月号) 

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2021年5月1日

コンテンツ番号128154

このページは広報誌「かわさき労働情報」のインターネット版です。

いつから年金を受け取るか、選択肢が広がります

社会保険労務士 齊藤久美子

 来年4月以降、年金制度改正法の施行が数多く予定されています。この法改正は、より多くの人がより長く多様な形で働く社会へと変化する中で、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図ることを目的としています。具体的には「厚生年金保険等の適用拡大」「在職中の年金受給の見直し」「受給開始時期の選択肢の拡大」等が行われます。

 当記事では中でも多くの方に関係する「受給開始時期の選択肢の拡大」について改正内容を解説していきたいと思います。現行制度では老齢年金は原則65才から受給開始となり、本人の希望があれば60才から70才までの間に受給することも選択できますが、令和4年4月よりこの上限が75才まで拡大されます。また令和5年4月より70才以降に年金を請求する場合の5年前時点での繰下げ制度が新設されます。

 今年4月からは改正高年齢雇用安定法が施行され、事業主は70才までの就業機会の確保が努力義務となりました。今後より多くの方が70才まで働く時代が到来します。働く期間が長期化する中で年金の受け取り方の選択肢も広がっていきますので、この機会にぜひ概要をチェックしてみてください。

1.原則:年金は65才から受給開始

 老齢年金の受給開始年齢は原則65才です。公的年金の加入期間が10年以上ある方は65才から老齢基礎年金を受給でき、そのうち厚生年金に1か月以上加入していれば併せて老齢厚生年金も受給できます。 
 現在は特例措置により、生年月日によって65才より前に「特別支給の老齢厚生年金」を受給できる方が存在しますが、男性は昭和36年4月2日以降生まれの方(令和8年度以降に65才になる方)、女性は昭和41年4月2日以降生まれの方(令和13年度以降に65才になる方)は、原則の65才から受給開始となります(表1-(1))。
 65才前に老齢厚生年金を受給できる方は、年金加入期間が10年以上、そのうち厚生年金加入期間が1年以上ある一定の生年月日の方です(表1 -(2))。65才からは原則受給の年金に切り替わります。

表1)原則的な受給開始年齢

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2.受給開始時期の選択肢の拡大〔令和4年4月施行予定〕

 現行制度では原則65才から年金は受給できますが、65才より前に受け取る「繰上げ受給」や65才より後に受け取る「繰下げ受給」も選択できます。「繰下げ受給」の上限が75才まで拡大されるのが今回の大きな改正点です。また、「繰上げ受給」に伴う減額率が見直されます。

表2)受給開始年齢と受給率

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≪早く受け取ると減額となる「繰上げ受給」≫
【改正前】
「繰上げ受給」は原則65才から受け取る年金を60才から65才前までの間に請求できる制度で、65才から1か月早めるごとに0.5%ずつ減額となります。60才0か月が最大の減額率となり、0.5%×12か月×5年で30%減額となります(表2-改正前)。65才で受け取る年金が150万円の場合、60才で請求すると105万円になります。

【改正後】
平均余命の伸びを考慮し減額率が見直され、0.5%から0.4%に引き下げられます。60才0か月が最大の減額率となり、0.4%×12か月×5年で24%減額となりますが、改正前の計算よりも受け取る年金が多くなります(表2-改正後)。65才で受け取る年金が150万円の場合、60才で請求すると114万円になります。対象者は令和4年4月1日以降に60才になる方(昭和37年4月2日以降生まれの方)です。

≪遅く受け取ると増額となる「繰下げ受給」≫
【改正前】
「繰下げ受給」は原則65才から受け取る年金を66才から70才までの間に請求できる制度で、65才から1か月遅らせるごとに、0.7%ずつ増額となります。70才0か月が最大の増額率となり、0.7%×12か月×5年で42%増額となります(表2-改正前)。65才で受け取る年金が150万円の場合、70才で請求すると213万円となります。また70才を過ぎてから繰下げ請求した場合は70才で繰下げ請求があったものとし、70才の増額率で年金が支給されます。

【改正後】
増額率は変わりませんが、受給開始年齢が75才まで延長されるので、75才0か月が最大の増
額率となり、0.7%×12か月×10年で、84%増額となります(表2-改正後)。65才で受け取る年金が150万円の場合、75才で請求すると276万円になります。また75才を過ぎてから繰下げ請求した場合は75才で繰下げ請求があったものとし、75才の増額率で年金が支給されます。対象者は令和4年4月1日以降に70才になる方(昭和27年4月2日以降生まれの方)です。施行日に65才を過ぎていても、まだ請求をしていない繰下げ待機中の方は対象となります。

3.70才以降に請求する場合の5年前時点での繰下げ制度〔令和5年4月施行予定〕

 現行制度では70才以降に、65才に遡って原則請求すると時効で受け取れない年金が発生するケースがあります。改正後は70 才から80 才前までの間に請求し、請求時点での繰下げ受給を選択しない場合には、5 年前に繰下げ請求があったものとして年金を受給できるようになり、時効消滅期間がなくなります。

【改正前】
70才以降に請求行う場合、(1)65才に遡って原則受給か、(2)70才から繰下げ受給か、選択することになります。例えば72才で請求する場合、(1)を選択した場合は増額のない原則の年金額を65才から受給することになりますが、時効により過去5年分しか受け取れないため、67才から72才までの増額されない年金を一括受給し、その後も増額されない年金を受け取ることになります(表3-改正前)。(2)を選択すると70才の増額率で70才から72才までの年金を一括受給し、その後も増額された年金を受給できます。このため、実際は(1)を選択するケー
スは少ないと思われます。

【改正後】
70才以降に請求行う場合、(1)請求時より5年前時点での繰下げ受給か、(2)請求時点での繰下げ受給か、選択できるようになります。例えば72才で請求する場合、(2)を選択した場合は5年前の67才時点で繰下げ請求があったものされるため、67才の増額率で67才から72才までの年金を一括受給し、その後も増額された年金を受給できます。(表3-改正後)。(2)を選択すると72才の増額率で受け取り開始となります。対象者は令和5年4月1日以降に71才になる方(昭和27年4月2日以降生まれの方)です。

表3)70才以降に請求する場合の5年前辞典での繰下げ制度(新設)

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 ここまで年金の受給開始時期の選択肢について改正内容を解説してきました。今回詳細は取り上げませんでしたが、「繰上げ受給」「繰下げ受給」には減額・増額の他にもメリット、デメリットがあり、本人の年金加入状況や家族の状況等によって、適する方、適さない方もいらっしゃいます。また遺族年金など他の年金を受け取る権利が発生すると、それ以降の「繰下げ受給」が選択できないケースもあります。年金は一度請求すると受給開始時期の変更はできません。希望する受け取り方が自身の状況に適しているのか、受給開始前に年金事務所や社会保険労務士等の専門家に相談されることをお勧めします。

 年金制度は非常に複雑で分かりづらいものですが、老齢年金は生きている限り受け取れるとういう点で高齢期の生活の基盤をなすものです。制度をうまく活用し、自身の状況に最適な受け取り方を選択していただきたいと思います。最後に改正後の受給開始時期の選択肢をまとめておきます。

まとめ:改正後の受給開始時期の選択肢

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