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「働き方改革」関連法のポイントについて(2021年11月号)

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2021年11月2日

コンテンツ番号133547

このページは広報紙「かわさき労働情報」のインターネット版です。

「働き方改革」関連法のポイントについて

大野社会保険労務士事務所 社会保険労務士 大野 平

 皆さま、すでに「働き方改革」関連法が順次・各種施行されていますが、積極的な活動や対応はされていますか?

 そして、その成果は、確実に現れていますか?まず、主な施行案件の概要は、以下に大別されます。

  1. 労働時間管理の強化、残業時間の上限規制・割増率向上
  2. 待遇格差の是正(同一労働・同一賃金)
  3. 年次有給休暇の取得率向上

 いずれも、具体的な「数値」「目標」「時期」等が明示されていますが、今回はその点には深入りしません。

 最初に「基本編」として、「働き方改革」関連法のポイントを説明します。

 次に、「実践編」として、川崎市内のA社が取り組まれ、成果を出されたポイントについて紹介します。

基本編

(1)「働き方改革」とは?

 「一億総活躍社会の実現」に向けて、事業主と労働者、そしてお客さまや取引先といった第三者までを巻き込んで、一致団結・協力して、各社・各個人の状況・実情に応じて、「多種・多様で柔軟な働き方を取捨選択できるようにする」ための施策を指します。

 「職場の環境改善」を例に挙げれば、「誰もが、魅力ある職場環境を作る」ことにより、

  1. 人手の過不足を解消し
  2. さらに事業の業績を向上させ
  3. 労働者、お客さまや取引先への利益等の還元や社会貢献活動を行い、

この「三方よし」のサイクルを、大きく素早く回転させて、「一億人=日本中」の人々が、幸せに活躍することを目標としています。

 つまり、国(厚生労働省、中小企業庁等)の趣旨・意図は、とても大きく広いレベルを目標としています。

以下にイメージを図示します。

三方よしのイメージ図

(2)「働き方改革」における課題とは?

先程、「国の趣旨・意図は、とても大きく広いレベルを目標としています。」と述べましたが、それは「少子高齢化に対して非常に大きな危機感」を抱いているからです。労働人口の減少により、人手不足が表面化すると、経済の衰退~国力の衰退につながります。つまり、これから急速な人口増加は見込めないため(もちろん、そのための施策もされていますが)、労働環境を改善することにより、女性・高齢者・障害者・外国籍の方等が、もっと労働社会に参画して、「三方よし」のサイクルを構築してもらおうとしています。

そのためには、冒頭に申し上げた3点の施行案件に対して課題を抽出して、バランスよく真摯に取り組んでいく(PDCAを回す)必要があります。

いかに、イメージを図示します。

3点の施行案件対するイメージ図

(3)「働き方改革」における理想像とは?

私も、社会保険労務士として独立・開業する前は、「労働者の1人」として、

  1. 絶えず、煙草の紫煙がなびく、汚く臭く狭い事務所で
  2. 上司・同僚・部下の顔色を気にしながら
  3. 夕方、5時からやっと「本気の仕事」が始まり、2、3日の徹夜は当たり前
  4. 年次有給休暇は取得できず(父親が危篤の知らせを受けても、また、亡くなった当日・翌日も田舎に戻れず、仕事をせざるを得ない状況で・・・)
  5. 女性は結婚・妊娠退職が当たり前
  6. 産休・育休・介護給って何?

といった「職場環境」で仕事をしていましたが、今では通用しません。

 前頁記述の、3点の課題((1)短縮(2)解消(3)向上)により、

  1. 仕事と日常生活を維持(ワークライフバランス)し、
  2. 仕事内容に適正な評価がなされ、
  3. 健康的に柔軟に仕事に取り組めること

が、理想像といえます。

 

(4)「働き方改革」における具体策とは?

ここで、理想像のみを論じて終わってはいけません。具体的には、

  1. 労働時間を短くして、
  2. 納得できる評価を行い、
  3. 有給休暇を取得しやすい職場環境を構築すること

がポイントとなります。

「働き方改革」にどう対応すればよいのか?

ここまで、国等の方針や課題、理想、具体策を論じましたが、

  • 「では、実際にはどうすればよいの?」
  • 「ウチは専任者がいないので、課題抽出とかPDCAなんてできない。」
  • 「お金をかけずに安くできないのか?」

といった声が当然あがってきます。

 そこで私は、社会保険労務士、働き方改革推進支援センター(県に設置)、労働基準監督署といった専門家・行政のアドバイスを受けることを、推奨します。(有償のものも、無償のものもあります。)

専門家・行政は「働き方改革」の法的要件を熟知していますし、(1)課題を抽出(2)分析(例えば、同業他社と比較して、その数値はどんな立ち位置なのか?)(3)対策することが効率良くできます。

 また、「実践編」でも後述しますが、「働きやすい職場にする」には(4)ルールブックの作成・見直し(就業規則や賃金細則等)が必須となります。

以上、「基本編」では、「働き方改革」関連法のポイントを説明しました。「実践編」として、私が対応したA社の実例を紹介します。

実践編:(川崎市内「A社」、飲食業、社員9名)

A社からは、「働き方改革」で、すぐに取り組むべきポイントの分析と、「雇用調整助成金、緊急雇用安定助成金」の申請について相談をいただきました。(今般、「助成金」については割愛いたします。)

(1)課題を抽出

事業主へは、「基本編」の概要を説明し、従業員から、前述のポイント((1)労働時間:短縮(2)待遇格差:解消(3)有給休暇:取得向上)にしぼった(現状何が問題なのか?)ヒアリングを行いました。

【事業主】

  • 社員のうち、半数はパート・アルバイト社員だが定着率が悪い。
  • 店長、副店長(正規従業員)の残業が多い。(定時退社してもらい、ボーナスで評価したい。)
  • 忙しくなれば増員するので、年次有給休暇を取得して欲しい。

【正規従業員(店長・副店長)】

  • 年次有給休暇は、「いざという時=不測の事態用に」残しておきたい。
  • 馴染みのお客さまが見えるので、なるべく休みたくない。
  • 残業は減らしたいが、自分以外の他の人には任せられない。

【パート・アルバイト社員】

  • ローテーションが当日変更できるとよい。
  • 何か励みがあればもっと働きやすい。
  • 仕事の内容が当人任せなので、もっと教育の機会が欲しい。

(2)分析

上記をもとに、各個人の(1)労働時間(2)待遇(3)有給休暇の状況を精査しましたが、大きな問題はなく、業界では平均値でした。

なお、パート・アルバイト社員の離職は、、教育の機会不足が一つの要因でした。(とは言え、離職率も平均値でした。)

また、仕事が個人の経験値に依存していることが、一番の課題でした。(チーム化して、「企業自身・社員全員をブランド化」していく必要があります。)

→馴染みのお客さま、取引先にも「そのような取組や配慮」をしていく企業だと、ごく自然に理解・協力をいただくのがポイントです。

パート・アルバイト社員へは、事業主や店長・副店長が定期的に時間を確保して教育・指導する必要があります。(パート・アルバイト社員間でも、お互いに勉強しあえる時間を確保する必要があります。)

→定着して、将来は「有能な社員へ」育っていく!

(3)対策

前項(2)分析結果の報告と併せて以下の通り提案し、すべてを採用していただきました。

A社イメージ図

A社の対策

1:労働時間

・週1回の「定時退社日」を設定

・残業累積時間を、毎日労働者自身がリアルに可視化(話はそれますが、毎日ヘルスメーターにのると、体重を気にしますよね?)

2:待遇

・会社員へ、賞与を支給(算定方法「会社業績・個人成績等」を明確化

・月1回の全社員教育日を設定(「教育手当」を支給)

3:有給休暇

・計画付与日に、「誕生日」を追加(誕生日以外にも計画的な休暇取得率が向上)

・新たに、「特別休暇」を設定

⇒記念日:結婚記念、配偶者・子の誕生、配偶者の出産

⇒不測日:慶弔、天災・事故、ワクチン、ボランティア

(有給休暇の「残日数を意識せず」に、「不測日」には気兼ねなく休める体制を整備)

4:ルールブックの新規作成(就業規則)

・上記1から3を定義付けし全従業員に周知

5:その他

・店内に1から3の一部抜粋文を掲示(お客様、取引先にも、可視化)

⇒社員からは、「お客さまの誕生日には、サプライズサービスをしたい。」との新規営業提案あり。

(4)成果「A社:事業主からのコメント」

未だ、本取組より1年間も経過しておりませんが、(1)人手の過不足解消(2)さらに事業の業績を向上(3)利益等の還元や社会貢献活動を意識し、充分な成果を挙げられつつあります。今後コロナが落ち着いて、お客さまが増えれば「三方よし」のサイクルをどんどん回して行けます。また、社員が自分自身で自主的・主体的に行動するようになりました。

終わりに

皆さま、いかがでしたでしょうか?終わりに2点、補足の説明をいたします。

(1)就業規則について

10名以上の事業所には、作成・届出義務があります。よって、A社のように、10名未満の小規模事業所では作成していない例がほとんどですが、私は人数規模に拘わらず、(1)作成してルールブックとして労働者へ周知すること、(2)毎年中身はメンテナンスすること、を必ず推奨しています。

結果として、就業規則がないとルールブックとしての拠り所が存在しないため、(1)事業主(2)労働者(3)お客さま・取引先が「三方よし」のサイクルを逐次、理解・確認しながら「働き方改革」に取り組めないからです。

(2)助成金について

前述した「雇用調整助成金」は、会社を「守る」(労働者の雇用を維持する)ための助成金です。

「働き方改革」にも利用できる助成金があります。これは、「攻める」ための助成金です。

例えば、(1)専門家へのコンサルティング費用(2)就業規則等の作成・変更費用(3)労働者へ対する業務研修費用等が助成されます。ぜひ、調べて活用してください。

以上、ご一読をいただきまして、ありがとうございました。

まずはトライしてみてください。必ず、成果が出ますよ!

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