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川崎市立井田病院 令和3年度 市民公開講座動画「がんを抱えて、自分らしく生きたい」を支える(目が不自由な方へのテキスト情報)

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2021年8月3日

コンテンツ番号131034

川崎市立井田病院 令和3年度 市民公開講座動画「がんを抱えて、自分らしく生きたい」を支える(目が不自由な方へのテキスト情報)

川崎市立井田病院、腫瘍内科、緩和ケア科の西智弘と申します。

今日は抗がん剤治療の簡単な話と緩和ケアについてお話をしたいと思います。

まず化学療法の基礎ということでお話ししていきます。

 

化学療法イコール抗がん剤ということになりますが、抗がん剤治療ということについて一般的に誤解されているものが多いかなとは思うのですけども抗がん剤治療というのは一般的に術前/術後補助化学療法というのと、緩和的化学療法というものに分かれています。

術前/術後補助化学療法というのは外科の先生に手術をしていただいて、その前後に行われる抗がん剤治療のことを術前/術後補助化学療法といいます。

場合によっては放射線治療が併用されることがあります。

これの目的というのは治癒が目的ですね。

根治させることが目的というのがあるので多少なりとも副作用が強くても治癒のために頑張る。だからスケジュールも例えば3週間に1度の点滴をしましょうとなればできる限り3週間に1度必ずやりましょう。

という感じでスケジュールを守ってやることが大事という話になってきます。

それに対して緩和的化学療法とは何かということになるのですが、これは切除が難しいがんであったり、進行していて発見した時点で例えば大腸がんとかであれば大腸がんから肝臓に転移をしているだとか肺に転移をしているだとかそういうかたちで見つかったがんに対する抗がん剤という話になります。

ただそういうふうに全身に広がってしまったがんに関しては抗がん剤だけで治すということはなかなか難しいというのが現状というところがありますので、目的としては先ほどの治癒というところが目的ではなく延命とかですね、

症状緩和をしていきましょう、というところが治療の目標になります。

そもそも自分の人生において抗がん剤治療が必要なのかどうか、ということを考えていくということがまず必要になってきますし、やる内容においてもなかなかその副作用を我慢していくとなってもその先に治るということがあるわけではないので、どうやってがんと付き合っていくのかということが大事になってくるのです。

そのために薬の量をちょっと減らして調整しましょうとか、スケジュールを先ほどは3週間に1度なら3週間に1度きっちり守りましょうという話だったけれどもきつければ4週間に一度とかというふうにしたほうが生活に合いますよねとか、家族と一緒に旅行に行きたいですとかになれば、ではそこは1週間延ばしましょうかというかたちで柔軟に対応しながらなるべく質の高い生活が送れるようにということを最優先していくのが緩和的化学療法とになります。

 

そもそも抗がん剤というと、すごく副作用が強いというイメージがあるかもしれませんけれども、今はいわゆる抗がん剤に加えて分子標的薬と免疫療法というのが治療のラインナップとして加わっています。

これ以外には乳がんとか前立腺がんとかでホルモン療法もあるんですけども、いわゆる一般的に化学療法といわれているものはこの3つを指しています。

一番昔からある、いわゆる抗がん剤に関しては細胞分裂の仕組みを利用してがんが増殖しないようにというところを利用した仕組みです。

昔からあるお薬なので安定した効果が高いものが多いのですが、やはり消化器症状ですね、吐いてしまうとか下痢をしてしまうとか、そういった副作用が多いのが事実ですし、骨髄抑制といって血液の中を流れている白血球とか血小板というものが低下してしまったり、あとは毛が抜けてしまうとか、おそらく皆さんが抗がん剤と言われた時にイメージするようなものが主な副作用として出てきます。

ただこれも現在においては、昔であれば洗面器をずっと抱えて吐くみたいなこともあったのですけれども、そういったものに関しても良い副作用対策の薬というのが出てきましたので、最近の状況においては吐くみたいなことはほぼなくなっています。

もし皆さんが抗がん剤治療を受けるようになった時、不安だと思っているとか、実際にもう副作用があって辛い思いをしているというのがあれば主治医の先生とよく相談していただいて副作用対策のお薬というのが数多く出ていますので、そういうのを調整しながら取り組んでいただければと思います。

あとはその次に出てくる分子標的薬というのは、先ほどの抗がん剤と違って細胞内にあるシグナル伝達という仕組みがあるのですけど、それも細胞が増殖するための仕組みで少し難しい話になってしまうのですけどもその仕組みを利用して増殖しないようにするという仕組みです。

これは全てのがんに対して効くというわけではないのですけれども、がんによっては非常に劇的な効果があって抗がん剤を凌ぐというものもありますし、また抗がん剤と併用して効果がUPするものというのもあります。

分子標的薬に関しては先ほどの抗がん剤と違って吐くとか、そういった副作用というよりは特徴的には皮膚の障害とか、にきびみたいなのが出たりだとか手足に副作用が出たりだとかが多かったり肝臓とか肺に障害が出ることが多いです。

先ほどの抗がん剤と比べると比較的高価になることが多いです。

その次に出てくる免疫療法というのは正式名称でいうと免疫チェックポイント阻害薬といわれているお薬が中心となっていますが、これは先ほどの抗がん剤、分子標的薬と違って免疫細胞が癌を攻撃する力を活性化するというのが仕組みになってます。

これもがんによっては劇的な効果があります。出始めの頃は抗がん剤とか分子標的薬の後に使うお薬であまり効果も期待できないのではないかという話もあったのですが、最近の研究では抗がん剤、分子標的薬を凌ぐほどの力を持っていることが分かってきていて、どの治療よりも先に使われることが増えてきています。

また抗がん剤と併用することで効果がUPするというような研究の結果も最近出てきていますので、まだ世に出始めてから期間が短い薬なのでこれからまた研究が進んでいくにつれて免疫チェックポイント阻害薬が主流になってくるのではないかと思います。

ただやはりこのお薬は非常に高いお薬ですので、このお薬を使うことになった時には必ず限度額申請の手続きなどが必要になってくると思います。

あと副作用に関してですが、副作用に関して免疫チェックポイント阻害薬は抗がん剤と比べると自覚する副作用としては楽なことが多いというのが特徴です。全く治療していないかのように普段生活が送れるというパターンも少なくありません。ただ自己免疫系の副作用ですね、免疫細胞が癌を攻撃するという話をしましたけれどもそれが正常な細胞を攻撃してしまうというパターンというのもありまして、そういうのが起こると例えば肺を攻撃すれば肺炎になってしまいますし、膵臓を攻撃すれば糖尿病になってしまいますし、筋肉を攻撃すれば筋炎とかですね、筋肉の力が落ちてしまって脱力してしまうとかそういったさまざまな副作用が多彩に出るというのが特徴です。

血液検査とかでは見つけにくい副作用もありますので、よくよくその症状を観察していただいて主治医の先生とこういった症状があるんだけどこれはどうなんだということを相談していくということが副作用の早期発見に繋がるというところになりますので是非よろしくお願いします。

 

引き続き早期からの緩和ケアという話をしていきたいのですけれども、抗がん剤をやっていくうえで緩和ケアを一緒にやっていくっていうことが非常に重要ということが最近の研究から分かってきています。

 

これは論文のデータなので見にくいかもしれませんけれども、2010年に世界的な権威のある雑誌に載った研究でがんと診断されてすぐに緩和ケアの専門家が入っていくということによってQOL、クオリティーオブライフ、生活の質という言い方をしますけども、それが高まるということが分かってきてさらにうつ病が改善したり、またもう一つは緩和ケアを受けることで生命予後、寿命が延びるのではないかということまでいわれているというのがありまして、ここに抑うつとかですね、生命予後に関しては他の研究で否定されている面とかもあって、まだまだ評価としては安定しないところはありますが、少なくとも生活の質が上がるんだよということは確からしいということが分かってきていて、今はきちんと緩和ケアというのは並行してやっていくのが標準的であるとされています。

 

昔は最初に抗がん治療というのがあって、それが終わってからあなたは緩和ケアに行ってください。みたいな感じでそこはぱつっと切れていたところがあったのですけれども、最近ではこういうかたちで抗がん治療が最初にあって徐々に徐々に緩和ケアの比率が増えていくというのが主流といわれてきています。しかし、私としては、それよりもむしろ緩和ケアというのが一番最初にありきで、もし進行再発がんで先ほどいったみたいに治らないがんですよということを診断された時に、ではあなたはこれからどういった時間を過ごしていきたいのでしょうか、どういう人生を歩んでいきたいのでしょうか、どういったことに価値観を置いているのでしょうかということを一緒にドクターとか看護師の方と一緒に考えていって、その中であなたにとってあなたの人生をうまくやっていくためには抗がん剤とか必要ですね、抗がん剤よりもこっちのお薬の方が大事ですよねというかたちで治療の決め方、真ん中のバーだと抗がん剤というものはありきなんだと、最初からあなたの人生にありきなんです、ということから始まってしまっているのでそうではないですよね、治療するために人生があるのではなくてあなたの人生をより豊かにするために治療というのがあるんですよ。という考えが主流になってきていると思います。

 

そういうのを支えていくために井田病院ではどういった仕組みをとっているかというところなのですけども、エンベデッド緩和ケアモデルっていうかたちをちょっと英語が入って書きましたけれども、これは腫瘍内科、いわゆる抗がん剤専門家の科と緩和ケアの科というのが完全に一体化したモデルというかたちでやっていて、どのタイミングでも緩和ケアも受けられるし、抗がん剤治療も受けられますという仕組みでやっています。

この仕組みの中には腫瘍内科の外来も入っていますし、早期からの緩和ケア外来、早期からの緩和ケア外来というのは仮に他院で抗がん剤治療受けていたとしても例えば川崎で緩和ケア受けたい、という方に関しては当院で受け入れもしますという体制でやっていますし、緩和ケア外来24時間救急体制でやっています。

あとは緊急の受け入れをするためのAcute Palliative Care Unitというものも整備していますし比較的なかなか家で過ごすのは難しいのだけれども、病院の中で少しずつ長く療養したいという方に関しては緩和ケア病棟を使うこともできます。

あとは当院の特徴としては在宅部門を自ら抱えていて、もし病院の中で療養しているのだけどもちょっとお家に帰りたい、だけどお家へ帰ってもすごく心配だという方に関しては主治医が変わらないまま緩和ケアのドクターがそのまま在宅の方に行きますということができる在宅部門というのを持っています。

当院から緩和ケア病棟に入院していたけれども、どうしてもお家に帰りたい場合、お家に帰ってすぐ私たちが往診に行きますという体制を整えてやっているというところでございます。

あとはがんサポートチームというのも院内の中で動いていてこれは緩和ケア科とか腫瘍内科にかかっているわけではないのですけれど、他の呼吸器内科だとか乳腺外科とかそのような科でかかっているのだけども体に痛みがあったとかサポート受けたいっていう方に関してはがんサポートチームというかたちで緩和ケア専門家が症状の緩和とかに行きますというチームも一緒に動いています。

あともう一つ最後の話になってきますけども、これは病院の中の話ではなくて外の話なのですが、緩和ケアという言葉を使わずに外で緩和ケアをしていく仕掛けとして暮らしの保健室というのを私の方でやっています。

 

暮らしの保健室というのは、病院に行くほどではないちょっとした悩みとか大きな病気を抱えてどうやって生きていけばいいのかなど、なかなか病院ではそういったことを相談しにくいというのがありますのでそういったことを街中で気軽に相談できる場として街中のカフェとか、そんなところを借りながら運営をしております。

 

がんという病気を抱えてどういうふうに生きていくかを当院と皆さんとの間で考えていければと思っています。

先ほどから言ったように化学療法というのは非常に進化しています。

昔のように抗がん剤っていうと副作用に苦しめられるという時代ではなく、より安全かつ効果的な治療ができるようになってきました。

昔であればほんとに数か月という余命しかなかったのが、今はもう年単位で寿命が延ばせるようになってきています。そうなっていくなかでさらに生活の問題とか家族とどう付き合っていくのか、仕事とどう付き合っていくのか。ということと一緒に考えていかなければいけなくなってきた。

そういったところのサポートも含めていろんな皆様が持っている悩みとかそういったことも支えていくことで緩和ケアが一緒に入っていくことが重要になってきているのですという話をさせてもらいました。

緩和ケアが行うことは「がんを抱えてどう生きていくか」を支えることなので先ほど言ったように治療に合わせて人生を生きるのではないという話であなたの生き方に合わせて抗がん治療だったり、緩和ケア病棟だったり、在宅だったりあとは地域資源とかそういったことを使い分けていくということが重要なのです

という話をさせていただきました。

 

ありがとうございました。

 

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