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川崎市立井田病院 令和3年度 市民公開講座動画「つら~い足の痛み-おもに外反母趾について-」(目が不自由な方へのテキスト情報)

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2021年10月22日

コンテンツ番号133401

川崎市立井田病院 令和3年度 市民公開講座動画「つら~い足の痛み-おもに外反母趾について-」(目が不自由な方へのテキスト情報)

 こんにちは。私は川崎市立井田病院整形外科の水谷憲生といいます。

今日は「つらい足の痛み~主に外反母趾について~」お話ししたいと思います。

 

 足の骨は前の部分に趾の骨が14本、真ん中の部分が中足骨が5本、後ろの骨は7つの部分が集まっています。

 合計で26の骨からできており、関節は33個もあります。両足だと52の骨になり、全身の骨の数の約4分の1にあたります。このたくさんの骨を使って人は歩いて体重を支えないといけません。人は一生のうちに約2億歩、地球の3周分を歩くと言われています。それを可能にしているのが足にあるアーチ構造です。骨と靭帯と腱で構成されており足に3つあります。特に重要なのが内側縦アーチと横アーチです。加齢等とともにアーチ構造が崩れるとさまざまな痛みを生じることとなります。外反母趾、扁平足、足底筋膜炎、いわゆるモートン病です。

 外反母趾の変形は足の母趾の先が人差し指の方にくの字に曲がる変形です。付け根の内側の突き出たところが靴にあたって炎症を起こして痛みます。ひどくなると靴を履いていなくても痛むことがあります。この部分を私たちはバニオン(滑液包炎)と呼んでいます。また変形が進むと、くの字に曲がるだけでなく、捻りも加わった複雑な変形をしてきます。そのため治療は難しくなります。

 外反母趾の三大要因としては、素質・素因・性別・靴と呼ばれています。まず素質・素因ですが、これは医学的に厳密な意味で遺伝性ではありません。ある家のお母さんもおばあさんも娘さんも外反母趾ということは少なくありませんがこれは背が高いとか、鼻が低いとか言った身体的特徴が受け継がれるのと同じです。次に性別についてです。女性と男性の比率は9:1で圧倒的に女性が多いです。生涯靴を履かない地域の人たちを調べてみても女性の外反母趾患者は男性の3倍以上に達します。一番の理由は関節の柔軟性、柔らかさと考えられます。3つ目が靴です。踵が高い靴、先が尖った靴を履くと母趾にストレスが集中して外反母趾を起こしやすくなると考えられています。

 外反母趾に対する保存療法としては靴の指導、生活指導、運動療法、装具療法があげられます。靴の指導についてですが、母趾内側突出部分のバニオンを圧迫しないようにしてください。先が広く趾の運動を妨げない靴がいいと言われています。ヒールは低めのほうがいいです。靴と足があたる部分は柔らかい素材を使用してください。中足骨パッドやアーチサポートを併用することで足裏にかかる圧力を分散させることが大切です。また、こまめに靴を脱ぐことや用途に合わせて履き分けることも大切になってきます。

 靴選びの流れとチェックポイントですが、足がむくんで大きくなるので、夕方に足の長さ・幅・高さ・周径を測定してもらい靴を選んでください。靴の長さは履いてみて、つま先を曲げずに先端まで入れたときに踵の後に小指が入る長さが良いと言われています。趾が入る部分(toe box)が高く、中で趾が自由に動かせる靴がいいです。母趾内側凸部分が靴の内側の最も広い位置に一致するのがいいです。できれば調節できる紐靴でヒールは2~3センチ、先端は内側に寄っているものがいいと言われています。必ず両側を履いて5分以上歩いてみてください。

 いろいろ迷ったあげく、足にあった靴が見つかったとします。それでも母趾の付け根が当たって痛むことがあります。その場合靴屋さんでは左の写真のようなきゅうかんばさみという器具で押し広げてもらったり、右の写真はシューストレッチャーと言いますが、靴の中に木型を入れて靴の中から革を広げて調節することがあります。また、革の軟化剤などのスプレーを使ったりすることもあります。このように足が痛くならないように靴を足に合わせていくのですが、ハイヒールを履くということは靴に足を合わせる部分が多くなってしまいます。ヒールが5センチ以上あれば足が前に滑りやすくなります。さらにヒールが高いことで足先にかかる体重の割合が増えて80から90パーセントの体重がかかるようになります。その力は右の写真のように靴の先端が細いと三角形の靴先に趾を押し込む力となり、母趾が内側から外側に押されてしまいます。この状態が長く続けば足の痛みがでてきます。

 それでもハイヒールを履きたいという方は多いかと思います。大切なのは靴の選び方、靴の履き方になります。靴の選び方としては、足が前に滑らないこと、立った時にも指先にゆとりがあって指先が動くことになります。踵から土踏まずのデザイン、内側の材質の滑りやすさ、足首のストラップにも注意してください。靴の履き方としては、通勤時、勤務中、アフターファイブで靴を履き替える工夫が必要です。朝から晩までハイヒールでは足に良いとはとても言えません。健康で機能的なファッションを忘れないようにしてください。

 運動療法について説明します。運動療法の目的は、一日中狭い靴のなかで動かせなくてじっとしている趾を動かしてあげることです。難しく言うと、母趾のつけねの関節の拘縮の予防と除去、母趾外転筋(母趾を内側に向ける筋)の筋力強化をしていくということです。

 運動療法として次の3つが有名です。1つめは母趾外転運動です。じゃんけん運動とも言います。下の写真のように自分の足の力だけで母趾を広げられるようになるのが理想です。しかし、意外に難しく目で見ながら開けと念じながらやってもなかなかできない人がほとんどです。できないなら自分の手の指で動かすのが大切になります。上の図のように自分の指で1・2・3とリズミカルに曲げて3で5秒間止めてください。運動を始める前に熱いおしぼりで温めておくか温浴しておくと効果的です。2つめはタオル掴み運動です。趾の屈伸運動と開閉運動をすることで足内筋全体の筋力強化を図ります。スライドのように足の指で床に置いたタオルをたぐり寄せてください。慣れないうちは椅子に座ってやるほうが安定します。慣れたら立って体重をかけてやってください。3つめはHohmann体操です。普通の紐でもよいのですが、できれば幅の広いゴムバンドを用意してください。趾を輪の中に入れたとき間が2~3センチになる程度の大きさになるのが適当です。まず、床に足を投げ出して座ります。両足の内側に合わせて用意したゴムバンドを母趾に掛けます。踵を合わせたまま支点にして足先を外側に回します。ゴムバンドは伸びて母趾を内側に引っ張った状態を10秒キープしてください。その動きを1回として15~20回行ってください。これらの3つの運動を生活スタイルに合わせて毎日のフットケアとしてやっていただけると効果的です。

 装具療法についてお話します。最近は痛みをやわらげるいろいろなフットケア用品が市販されています。たこや魚の目のためにスポンジやシリコンラバーでできたドーナツ状のクッション等材料を工夫したものがいろいろあり、それを痛いところにくっつけたりして使ったりすることがあります。グッズ以外にもアーチ構造を補助する足底板や母趾の外側への曲がりを矯正する装具があります。これには夜間歩かない時に使う装具、靴を履いて歩くときに使用する装具の2種類があります。左側の装具は足底板、足底挿板というものです。内側アーチサポートや中足骨パットがついているものが多く、足のアーチ構造を補助して足裏にかかる体重を均等に分散して足の痛みを軽減するものです。右側は趾間装具です。装具を付けた状態で靴を履いて歩くこともありますが靴のゆとりに十分気をつけてください。写真は母趾外転装具です。母趾を内側に引っ張った状態にしておく装具で主に夜間に使用します。引っ張り方が強いと痛みで夜間目が覚めることがあるので注意してください。装具にもいろいろありますので試してみてください。

 ここからは手術についてお話します。手術の適応は今までお話してきた保存療法が無効で痛みで生活動作に支障が出ている症例や外反母趾変形が強く、第二、第三の趾が脱臼して素足で歩くと足底が痛い症例になります。スライドは母趾の変形がそれほどひどくない症例の手術の1つです。以前マスコミ等でも紹介することがありますが、局所麻酔を皮膚と骨周りにして骨を切って横にずらして金属の棒をつっかえ棒代わりにして固定する手術です。実際にやられた人に聞くと全然平気だったという人から怖くて痛くて大変だったという人までいろいろです。心配な人は入院して全身麻酔で手術もできます。欠点は母趾の先から金属が出ている状態が4週から5週あること、骨が癒合するまで時間がかかることです。術後は右上の写真のような靴を履いて踵で歩くようになります。変形がひどく母趾のつけねが硬い足は入院して全身麻酔下での手術がいいかと思われます。皮膚の切開が長くなり、内転筋の切離、矯正骨切り術、骨切りの部分の固定と行う処置が多くなるからです。矯正する骨の切り方や固定材料、金属プレートやねじの種類はいろいろあります。年々固定材料は進歩しており成績は以前より向上しています。これまでの外反母趾に対する治療方針をまとめると次のようになります。外反母趾かなと思ったら病院を受診してレントゲンを撮りましょう。痛みの程度、変形の程度に合わせて治療していきます。変形の程度が軽度であれば運動療法・装具療法を続けていきます。中程度以上になりますと運動療法・装具療法をやっても痛みが続けば手術を視野に入れていきます。痛みの程度にもよりますが本人の仕事や趣味や希望を考慮して治療法・手術のタイミングを決めていくようになります。

 最後のスライドです。つら~い足の痛みにならないように毎日のフットケアをしていきましょう。関節の拘縮予防と除去、母趾外転筋の筋力強化をしていってください。ハイヒールを履く場合は時と場所に合わせて履くようにしてください。宣伝にはなりますが、私は川崎市立井田病院にて月曜・木曜の午前外来を行っています。月曜・木曜の午後は装具外来があります。足のことでお困りの方はお越しください。最後までご清聴ありがとうございました。

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