テキスト版をご利用の皆様へ  このテキスト版は、同じホームページに掲載されている、PDF版をもとに作成していますが、テキストでは表現できない事項について、主に次のような補足をしています。 ・下線や四角囲み等、何らかの強調が行われている箇所を≪≫二重山カッコで囲みます。 ・表の存在や図の説明等、必要な注釈を[]カクカッコで記載します。 ・ヒョウについては、適宜文章に置き換えているほか、読み上げソフトによる、聴きやすさなどを考慮して、表項目のタテヨコを入れ替えるなどの工夫をしているものがあります。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 第3部 障害福祉施策を取り巻く状況 [55ページ] 1 障害者制度改革の進展 障害福祉施策の動向 (表) 平成18年(2006)年4月 ・障害者自立支援法の施行(就労支援の強化、障害程度区分によるサービス基準の明確化、サービス提供主体の市町村への一元化など) 平成18年(2006)年12月 ・バリアフリー新法の施行(高齢者や身体障害者等の移動の円滑化など) 平成19年(2007)年9月 ・障害者権利条約に署名 平成22年(2010)年12月 ・障害者自立支援法の改正(利用者負担の見直し、発達障害が対象として明確化など) 平成23年(2011)年8月 ・改正障害者基本法の施行(障害者の定義の見直し、差別の禁止) 平成24年(2012)年10月 ・障害者虐待防止法の施行(虐待の分類、虐待を発見した国民の通報義務、市町村虐待防止センター・都道府県権利擁護センターの設置など) 平成25年(2013)年4月 ・障害者総合支援法の施行(難病患者を対象として追加、地域生活支援事業の追加等) ・障害者優先調達推進法の施行(国や地方公共団体による障害者就労施設等からの物品の調達の推進など) 平成26年(2014)年1月 ・障害者権利条約の批准 平成26年(2014)年4月 ・改正精神保健福祉法の施行(保護者制度の見直し、医療保護入院の手続きの見直しなど) 平成27年(2015)年1月 ・難病法の施行(医療費助成の対象疾病の拡大など) 平成28年(2016)年4月 ・障害者差別解消法の施行(障害者に対する差別的取扱いの禁止、合理的配慮の提供義務など) ・改正障害者雇用促進法の施行(雇用分野での障害者差別禁止、合理的配慮の提供義務、法定雇用率の算定基礎に精神障害者を加える(平成30(2018)年4月施行)) 平成28年(2016)年5月 ・成年後見制度利用促進法の施行(成年後見制度の利用促進のための基本計画の策定など) 平成28年(2016)年8月 ・改正発達障害者支援法の施行(ライフステージを通じた切れ目のない支援、家族なども含めた、きめ細やかな支援を推進、発達障害者支援地域協議会の設置など) 平成29年(2017)年2月 ・ユニバーサルデザイン2020・こうどう計画の策定(心のバリアフリー及びユニバーサルデザインの街づくりに向けた取組の推進など) 平成30年(2018)年4月 ・障害者総合支援法及び児童福祉法の一部改正法の施行(「自立生活援助」、「就労定着支援」の創設など) ・地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の改正(地域共生社会の実現に向けた取組の推進など) 平成30年(2018)年6月 ・障害者による文化芸術活動の推進に関する法律の施行(文化芸術活動を通じた個性・能力の発揮、社会参加の促進など) 平成30年(2018)年10月 ・ギャンブル等依存症対策基本法の施行(各段階に応じた防止・回復のための対策、日常生活・社会生活の支援など) 平成30(2018)年12月 ・ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体テキな推進に関する法律(ユニバーサル社会実現推進法)の施行 ヒョウは、次のページに続きます。 [56ページ] 令和元年(2019年)6月 ・障害者雇用促進法の一部改正法の施行(短時間労働以外の労働が困難な状況にある障害者の雇入れ及び継続雇用の支援など) ・視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)の施行(アクセシブルな書籍(点字図書・拡大図書等)や電子書籍等の量的拡充、質の向上など) 令和2年(2020)年6月 ・高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)の一部改正法の施行(移動円滑化に関するソフト面の対策強化、バリアフリー基準・適合対象の拡大など) 令和2年(2020)年12月 ・聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律の施行(公共インフラとしての電話リレーサービスの提供開始など) 令和3年(2021)年5月 ・災害対策基本法の一部改正法の施行(市町村による個別避難計画作成の努力義務化など) 令和3年(2021)年9月 ・医療テキケア児及びその家族に対する支援に関する法律の施行(国や地方自治体及び保育所、学校等の医療テキケア児支援の責務の明確化、都道府県への医療テキケア児支援センターの設置など) 令和4年(2022)年4月 ・障害者総合支援法の一部改正法の施行(感染症や災害への対策リョクの強化、障害福祉サービスの報酬等の見直しなど) 令和4年(2022)年5月 ・障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)の施行(情報取得等に資する機器の活用、意思疎通支援者の確保・養成・資質の向上、国・地方公共団体による相談対応や情報提供への配慮など) 令和4年(2022)年9月 ・国連障害者権利委員会による日本政府への勧告(総括所見)(分離教育の中止、精神科への強制入院を可能にしている法律の廃止要求など) 令和5年(2023)年4月 ・障害者総合支援法の一部改正法の一部施行(地域のニーズを踏まえた障害福祉サービス事業者指定の仕組みの導入など) ・障害者雇用促進法の一部改正法の一部施行(雇用の質の向上のための事業主の責務の明確化、週所定労働時間10時間以上20時間未満で働く、重度の身体・知的障害者、精神障害者の算定特例の延長(令和6年(2024)年4月施行) ・精神保健福祉法の一部改正法の一部施行(家族が虐待等の加害者・である場合の対応、入院患者への告知に関する見直しなど) 令和5年(2023)年10月 ・難病法及び児童福祉法の一部改正法の一部施行(難病患者・小児慢性特定疾病児童等に対する医療費助成の仕組みの整備、難病患者等の地域における支援体制の強化など) 令和6年(2024)年4月 ・障害者差別解消法の一部改正法の施行(事業者による合理的配慮の提供の義務化、障害を理由とする差別解消のための支援措置の強化など) ・児童福祉法の一部改正法の施行(児童発達支援センターが地域における障害児支援の中核的役割を担うことの明確化、児童発達支援の類型(福祉型、医療型)の一元化など) ・精神保健福祉法の一部改正法の施行(医療保護入院者の入院手続きに関する事項、精神科病院における虐待防止に関する事項など) [57ページ] 2 川崎市地域包括ケアシステム推進ビジョンに基づく取組の推進 (1)川崎市地域包括ケアシステム推進ビジョンに基づく取組の推進  ショウシ高齢化とともに、昨今、家族・地域社会の変容などによるニーズの多様化・複雑化が進み、地域における生活課題の多様性が高まっていることから、本市では、高齢者に限らず、すべての地域住民を対象として、関連個別計画の上位概念として、平成26年度(2014)年度に「川崎市地域包括ケアシステム推進ビジョン」(以下、「推進ビジョン」という。)を策定しました。 1 社会環境の変化  社会環境の変化として、本市の平均年齢は大都市の中で最も低くなっていますが 、今後、高齢化率が21%を超え、超高齢社会が到来します。また、急速な高齢化の進行とともに、少子化が同時に進むことが予測されています。  ショウシ高齢化の進行は、同時に、生産年齢人口の減少を伴い、社会・産業構造の変化、様々な支援の担い手の不足などが進んでいくことにつながります。  特に、今後、後期高齢者が増加することで、慢性疾患、さらには複数の疾患を抱えながら生活を送る高齢者が増加していき、疾病構造の変化が想定され、「治す医療」から「治し支える医療・介護」への転換が必要となっています。  また、新型コロナウイルス感染症の収束を見据え、アフターコロナに向けた取組を推進していくことも求められています。 2 地域包括ケアシステム推進ビジョンを取り巻く状況  超高齢社会に突入し疾病構造などの社会環境の変化に対応していくため、国においては、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」を定めています。この法律では、高齢者を対象として、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保された体制づくりを目指す地域包括ケアシステムの構築について規定されています。  高齢者施策は、住宅施策等の関連施策との連携を図ることや、認知症の人を支える生活支援等、他の様々な施策と仕組みを共有できる部分が多いと考えられます。また、昨今の家族・地域社会の変容などによるニーズの多様化・複雑化による地域における生活課題の多様性の高まりを踏まえて、本市では、高齢者に限らず、障害のある方や子ども、子育て中の親などを加え、現時点で他者からのケアを必要としない方々を含め、すべての地域住民を対象とした地域包括ケアシステムの構築を目指すこととしました。  また、地域包括ケアシステムの基幹的な取組としては、様々な医療・介護等の専門職による協働から始めました。一方で、まちづくりの側面も重要と考えられることから、保健・医療・福祉分野に限らず、幅広い行政分野が総合的に取り組んでいくことを目指しています。 [58ページ]  こうした中、国においても、平成29(2017)年度、令和2(2020)年度の2回にわたる社会福祉法改正の中で、地域共生社会の実現に向けて、まちづくりや地方創生などの取組との連携が打ち出され、包括的な支援体制づくりに向けて、@ 本人・世帯の属性に関わらず受け止める相談支援としての「断らない相談」、A狭間のニーズに対応できるように、地域資源を活かしながら、就労支援、居住支援などを提供することで社会とのつながりを回復する「参加支援」、B地域社会からの孤立を防ぐとともに、地域におけるタ世代の交流や多様な活躍の機会と役割を生み出す「地域づくりに向けた支援」の3つの支援を一体テキに行う「重層的支援体制整備事業」が創設されました。 (図) 「地域共生社会」の実現に向けて 支え・支えられる関係の循環 〜誰もが役割と生きがいを持つ社会の醸成〜 [すべての人の生活の基盤としての地域において、「居場所づくり」「社会とのつながり」「多様性を尊重しホウセツする地域文化」と、「生きがいづくり」「安心感ある暮らし」「健康づくり、介護予防」「ワークライフバランス」が循環する関係にあります] 地域における・人と資源の循環 〜地域社会の持続的発展の実現〜 [すべての社会・経済活動の基盤としての地域において、「社会経済の担い手輩出」「地域資源の有効活用、雇用創出等による経済価値の創出」と、「就労や社会参加の場や機会の提供」「多様な主体による、暮らしへの支援の参画」が循環する関係にあります] [すべての社会・経済活動の基盤としての地域には、農林、環境、産業、交通などがあります] ◆地域共生社会とは、制度・分野の枠や、「支える側」「支えられる側」という従来の関係を超えて、人と人、人と社会がつながり、一人ひとりが生きがいや役割をもち、助け合いながら暮らしていくことのできる、ホウセツ的なコミュニティ、地域や社会を創るという考え方です。 ※厚生労働省「地域共生社会推進検討会 最終とりまとめ」(令和元年(2019年)12月26日)から [図の説明、終わり]  本市においては、社会福祉法の改正に先駆けて「推進ビジョン」を策定し、平成28年(2016)年4月に区役所内に「地域みまもり支援センター」を設置しました。これは、高齢者に限らず、障害のある方や子ども、子育て中の親などを加え、現時点で他者からのケアを必要としない方々を含め、すべての地域住民を対象として、「個別支援の充実」と「地域リョクの向上」を図るものです。また、行政内部の専門職種のアウトリーチ機能(※行政や支援機関などが積極的に働きかけて情報・支援を届けること)を充実し、連携を強化するとともに、地域包括支援センター、障害者相談支援センター、児童相談所、地域子育て支援センターなどの専門相談支援機関等をはじめとした地域における多様な主体との円滑な連携の推進を目指してきました。  さらに、福祉ニーズの複雑化・複合化に対応するため、関係機関と連絡調整等を行いながら、様々なニーズのある相談にも包括的に対応できるよう全世代・全対象に対応する地域リハビリテーションセンターが各分野別専門相談支援機関をバックアップする体制を整えてきました。 [59ページ] 3 推進ビジョンの概要  推進ビジョンは、「川崎らしい都市型の地域包括ケアシステムの構築による、誰もが住み慣れた地域や自らが望む場で、安心して暮らし続けることができる地域の実現」を基本理念とし、「@意識の醸成と参加・活動の促進」「A住まいと住まいカタ(地域コミュニティ等との関わりカタ)」「B多様な主体の活躍」「C一体テキなケアの提供」「D地域マネジメント」の基本的な5つの視点で取り組むものです。  これらの取組を通じて、住み慣れた地域で自分らしさを発揮し、自立した日常生活を営むことができるように、生活に必要な要素が包括的に確保された体制づくりとして、地域包括ケアシステムの構築を目指しています。 (図) 「推進ビジョン」における取組の視点 〜一生住み続けたい最コウのまち・川崎をめざして〜 ≪基本理念≫  川崎らしい都市型の地域包括ケアシステムの構築による、誰もが住み慣れた地域や自らが望む場で安心して暮らし続けることができる地域の実現 ≪基本的な5つの視点≫ 1 意識の醸成と参加・活動の促進  ケアへの理解の共有とセルフケア意識の醸成 2 住まいと住まいカタ  安心して暮らせる「住まいと住まいカタ」の実現 3 多様な主体の活躍  多様な主体の活躍による、よりよい支援の実現 「川崎市地域包括ケアシステム連絡協議会運営委員会」での議論を踏まえて、民間企業なども含めたより多様な主体の参画が進んでいることから、「3.多様な主体の活躍による、よりよいケアの実現」の「ケア」を「支援」と読み替えて表記しています。 4 一体テキなケアの提供  一体テキなケアの提供による自立した生活と尊厳の保持の実現 5 地域マネジメント  地域包括ケアをマネジメントするための仕組みの構築 出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「≪地域包括ケア研究会≫地域包括ケアシステムと地域マネジメント」(地域包括ケアシステム構築に向けた制度及びサービスのあり方に関する研究事業)、平成27年度厚生労働省老人保健健康増進等事業、2016年をもとに作成 [図の説明、終わり] [60ページ] (2) 本市における地域包括ケアシステム構築に向けたロードマップ  ロードマップとしては、「推進ビジョン」を策定して以降の平成27年度(2015)年度から平成29(2017)年度までを第1段階の「土台づくり」の期間として、平成30年度(2018)年度から令和7年度(2025)年度までを第2段階の「システム構築期」、令和8年度(2026)年度以降を第3段階の「システム進化期」として、地域包括ケアシステムの構築を目指しています。  いわゆる団塊ジュニア世代が65歳以上となる令和22年度(2040)年以降には、ひとりぐらし高齢者世帯、夫婦のみの世帯の増加、認知症の人の増加も見込まれるなど、医療・介護サービスの需要がさらに増加・多様化することが想定されています。  また、家族・地域社会の変容等により、孤立・孤独、ひきこもり、いわゆるハチマルゴウマル問題、ヤングケアラー等、生きづらさ・困りごとの複雑化・多様化が進んでいます。また、新型コロナウイルス感染症の影響等による地域でのつながりの希薄化や、様々な地域活動の休止、各分野における専門職ジンザイの不足等、地域におけるケアや支援の担い手の減少が顕著になってきています。  こうした中、第3段階の「システム進化期」に向けては、令和7年度(2025)年度までのシステム構築に向けた取組を着実に進めていきます。また、アフターコロナを見据えた「新しい生活様式」や、DX(デジタルトランスフォーメーション)等の社会変容を踏まえながら、予防的な視点を重視し、民間企業等も含めた地域の多様な主体による、誰ひとり取り残さない包括的な支援体制づくりを進めることで、更なる取組の加速化を目指します。  今後も、令和22年(2040)年以降も続くことが見込まれる超高齢社会に向けて、社会の持続可能性を高め、誰もが住み慣れた地域や自らが望む場で、安心して暮らし続けることができる地域の実現を目指します。 (図) ≪第1段階(土台づくり)≫(平成29年度(2017)年度まで) ・推進ビジョンの考え方の普及 ・地域みまもり支援センターの設置・事業推進 ・地区カルテの作成等による地域資源のみえる化 ≪第2段階(システム構築期)≫(令和7年度(2025)年度まで) ・将来のあるべき姿についての合意形成を図る。 ・行政をはじめ、事業者や町内会・自治会などの地縁組織、地域・ボランティア団体、住民などの多様な主体が、それぞれの役割に応じた具体的な行動を行い、システム構築につなげる。 ≪第3段階(システム進化期)≫(令和22年度(2040)年度まで) ・今後の社会変容(デジタル化・スマート化等)を意識しながら、取組を進めていく。 ・今後見込まれる医療・介護ニーズの増大・多様化を見据え、予防的な視点を重視し、民間企業等も含めた地域の多様な主体による、誰一人取り残さない包括的な支援体制づくりを進める。 [図の説明、終わり] [61ページ] (3)推進ビジョンの推進体制 1 地域みまもり支援センターによる取組  「推進ビジョン」の策定に伴い、平成28年(2016)年4月に、各区保健福祉センターないに「地域みまもり支援センター」を設置し、「推進ビジョン」の具体的な推進に向けて、専門職種のアウトリーチ機能の充実、地域包括支援センターや障害者相談支援センター、児童家庭支援センターなどの専門相談支援機関等との連携強化を進め、住民に身近な区役所で「個別支援の強化」と「地域リョクの向上」に取り組んでいます。  なお、地域みまもり支援センターについては、保健福祉センターないでの個々ジンへのケアを中心とした専門支援機能との更なる連携の強化を図るため、平成31年(2019)年4月に、保健福祉センター全体を「地域みまもり支援センター(福祉事務所・保健ジョ支所)」と改称しました。 2 取組の推進イメージ  本市においては、住民に身近な区役所と市役所(本庁)が全市的な調整を図り、調和のとれた施策を展開していることから、それぞれの適切な役割分担によって、一体テキに取組を推進します。 その際に、基本的な視点として、@誰もが生きがいを持つ地域社会に向けた意識の醸成を図る「意識づくり」、A住民主体等による地域課題の解決に向けた働きかけを推進する「地域づくり」、B「意識づくり」や「地域づくり」を専門タ職種と共に、地域においてシステム化していくための「仕組みづくり」を3つの視点として、「自助」「互助」「キョウジョ」「コウジョ」の組み合わせによるシステム構築を目指します。 (図) 地域包括ケアシステム推進ビジョンの推進イメージ [@「意識づくり」は「1 意識の醸成と参加・活動の促進」、A「地域づくり」は「2 住まいと住まいカタ」「3 多様な主体の活躍」、B「仕組みづくり」は「4 一体的なケアの提供」「5 地域マネジメント」に、それぞれ関係が深い取組です] [「意識づくり」「地域づくり」「仕組みづくり」の3つが相互に影響しあう関係にあります。「自助」「互助」「キョウジョ」「コウジョ」の組み合わせによるシステム構築を目指し、区役所の機能(地域みまもり支援センターなど)は、おもに「互助」「キョウジョ」に、市役所(本庁)の機能(健康福祉局など)は主に「コウジョ」にあたります] [図の説明、終わり] [62ページ] 3 推進ビジョンと関連個別計画のカンケイ性  地域包括ケアシステム構築に向けて、総合計画のもと、「推進ビジョン」を上位概念として、「かわさきいきいき長寿プラン」「かわさきノーマライゼーションプラン」「川崎市子ども・若者の未来応援プラン」等の関連計画と連携を図りながら取組を推進してきました。  令和5年度(2023)年度における「第5次かわさきノーマライゼーションプラン改定版」の策定にあたっては、本市の障害福祉施策に関する行政計画として、住民の視点から地域福祉を推進していくための地域福祉計画(社会福祉法に基づく福祉に関する上位計画)と連携を図りながら、地域包括ケアシステムの構築につなげていきます。 (図) 推進ビジョンと関連個別計画のカンケイ性 川崎市地域包括ケアシステム推進ビジョン 「川崎らしい都市型の地域包括ケアシステムの構築による、誰もが住み慣れた地域や自らの望む場で、安心して暮らし続けることができる地域の実現」 [推進ビジョンの上位計画]  川崎市総合計画(第3期実施計画(令和4年度(2022)年度から令和7年度(2025)年度))  「成長と成熟の調和による持続可能な最コウのまち 川崎」 [推進ビジョンを上位概念とする関連計画]  第7期川崎市・各区地域福祉計画(令和6年度から令和8年度)  第9期かわさきいきいき長寿プラン(令和6年度から令和8年度)(川崎市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画)  第5次かわさきノーマライゼーションプラン改定版(令和3年度から令和8年度)(川崎市障害者計画・障害福祉計画・障害児福祉計画)  第2期川崎市子ども・若者の未来応援プラン(令和4年度から令和7年度)  かわさき健康づくり・食育プラン(川崎市健康増進計画(令和6年度から令和17年度)、川崎市食育推進計画(令和6年度から令和11年度))  かわさき保健医療プラン(令和6年度から令和11年度)  川崎市成年後見制度利用促進計画  その他関連計画 [以上の計画は川崎市・各区地域福祉計画関連計画でもあります] 川崎市成年後見制度利用促進計画 [以上の計画は川崎市・各区地域福祉計画に含まれ、かわさきいきいき長寿プラン、かわさきノーマライゼーションプランの関連計画です] [これらの計画は、「これからのコミュニティ施策の基本的考え方」と相互に連携し、一体テキに施策を展開します。また、川崎市及び各区社会福祉協議会地域福祉活動計画とも連携します] [図の説明、終わり]  なお、地域包括ケアシステムの構築に向けては、令和元年度(2019年度)に、本市において開催した外部有識者による「超高齢社会の到来に向けた地域包括ケアシステムのあり方検討会議」での検討を行いました。そこでは、市民一人ひとりを支える上での「個別支援の充実」と「地域リョクの向上」を不可分一体で進めていくこと、個人へのアプローチにあたっては、一人ひとりが生活の中で築いている本人に由来する地域資源(本人資源)に着目した対応を図ることが重要であるとともに、家族機能をどのように捉えていくかに留意していく必要があります。  こうした視点を着実に施策推進の中で活かしていくために、@小地域ごとの特性に配慮した施策展開、A分野横断的な施策連携の実現、B民間企業なども含めた多様な主体の連携の手法開発などを取組の視座として、地域包括ケアシステムの構築を推進します。 [63ページ] 4 推進ビジョンの基本的な5つの視点に沿った取組  5つの視点は、@セルフケア(民間サービス等を購入することを含む)を自発的に行うなど、「自分でできることは自分でする」という意識を前提に、生活の基盤となるA「住まい」や「住まいカタ(地域コミュニティ等との関わりカタ)」と、B多様な主体による互助的な支え合いを含めた「生活支援」に加え、疾患を抱えながらでも地域で暮らし続けられるためのC医療や介護等の「専門的なサービス」が一体テキに提供されるようなまちづくりに向けて、D 行政が「包括的な地域マネジメント」を推進する、という一連の流れとして相互に関連しています。  5つの視点に基づく具体的な取組に向けた考え方と、かわさきノーマライゼーションプランに関連する主な取組は以下のとおりです。 (表) 基本的な視点1 意識の醸成と参加・活動の促進 ≪視点に基づく具体的な方策の考え方≫  すべての住民が社会環境の変化に対応する意識を持ち、自発的に努力するとともに、「共生の意識」を育み、「自立した生活」と「尊厳の保持」を実現できる地域を目指す。 ≪関連する主な取組≫  @「かわさきパラムーブメント」の推進  A地域や教育の場で障害の理解促進を図るなど、「心のバリアフリー」の推進  Bスポーツや文化芸術活動等の社会参加の促進  C障害者差別解消法や障害者虐待防止法など、障害のある方の権利を守る取組の推進 基本的な視点2 住まいと住まいカタ ≪視点に基づく具体的な方策の考え方≫  生活の基盤として、本人の尊厳が十分に守られたジュウ環境が整備され、本人の希望にかなった住まいカタが確保された環境を目指す。 ≪関連する主な取組≫  @グループホームの整備や、特別養護老人ホームにおける高齢障害者の受入体制の整備  A居住環境に関する専門相談や住宅改造への支援など、多角的な居住支援  B短期入所による在宅支援や日中活動の場の確保など、多様な地域生活支援 基本的な視点3 多様な主体の活躍 ≪視点に基づく具体的な方策の考え方≫  自立した生活の維持に向けて、インフォーマル・サポートが地域の中で提供されるよう、多様な主体の役割分担による「互助」を支える仕組みづくりを進める。 ≪関連する主な取組≫  @ピアサポートなどによる当事者支援  A当事者団体、地域団体などによる多様な支え合いの推進  B各種研修等による障害福祉サービスを担う人材の確保・育成 基本的な視点4 一体テキなケアの提供 ≪視点に基づく具体的な方策の考え方≫  本人の身体状況に応じた、専門職によるケアをタ職種の連携により、切れ目なく提供できる体制づくりを進める。特に、医療と介護の円滑な連携を推進する。 ≪関連する主な取組≫  @地域リハビリテーションの構築  A地域療育センターを中心とした関係機関との連携による子どもの育ちに応じた切れ目のない支援  B医療テキケアが必要な障害じシャへの支援  C退院可能な精神障害者の地域移行・地域定着に向けた支援 基本的な視点5 地域マネジメント ≪視点に基づく具体的な方策の考え方≫  地域の目標を地域全体で共有しながら、個々の活動が一つの目標に向かってより効果的に機能できるような仕組みづくりを進める。 ≪関連する主な取組≫  @障害者施策審議会における地域課題の検討  A地域自立支援協議会における地域課題の検討  B障害のある方の生活ニーズ調査の実施  こうした個々の取組について関連性を意識しながら着実に推進し、地域包括ケアシステムの構築を目指します。 [64ページ] 5 地域包括ケアシステム構築に向けた圏域の考え方  人口150万人を超える本市においては、これまでの歴史や文化に根差した多様性があり、地域によって生活上の課題も異なることから、地域包括ケアシステムの構築に向けては、小地域ごとの特性に配慮した施策展開が重要です。  また、生活に身近な課題や問題を発見し、住民を中心とした地域福祉活動を展開するには、区、さらに地域の実情に応じた、より小さな圏域を単位とすることが望ましいことから、「第6期川崎市地域福祉計画」においては、「区域」を第1層とし、相談や居場所など、地域の課題に公的に対応し地域づくりを進める圏域を第2層として、市内を44に分けた「地域ケア圏域」とし、さらに小規模な地域の状況把握や課題解決に向けて、町内会・自治会や小学校区等の「小地域」を第3層としました 。  こうした中、第6回地域福祉実態調査においては、「助け合いができる地域の範囲」として、隣近所または町内会・自治会程度と回答した割合が7割を超えるなど、互いに支え合う関係づくりを行う範囲は、主に町名単位や町内会・自治会程度であることがわかりました。  このため、第7期計画においては、心配ごとや悩みごとについて小地域の範囲で気づきが得られるよう、住民同士の顔のみえる関係づくりを支援するとともに、小地域内の情報をもとに、住民の安心を支える多様な支援をおこなっていくために、第6期計画で「地域ケア圏域」と位置づけた小地域よりも広い地域において、行政が中心となり、多様な主体と連携し、地域マネジメントを推進していきます。  今後も、適切な地域マネジメントに向け、地域で安心して暮らし続けられるために必要な要素を整理し、地域資源の確保に向けた取組を推進します。 (表) 第0層 ≪圏域≫ 市域(人口、約154万人) ≪圏域の考え方≫ ・市全体の調和を保ちながら地域福祉の向上を図るための取組を推進する。 第1層 ≪圏域≫ 区域(7区)(人口、約17万人から26万人) ≪圏域の考え方≫ ・効果的なサービス提供を実現するために区社協、地域みまもり支援センターなどの公的機関があり、区役所が中心となって、地域課題を把握し、住民と共有しながら、各地域を支援する地域福祉を推進する。 第2層 ≪圏域≫ チュウ地域 地域ケア圏域(44圏域) 行政が中心となり多様な主体と連携し、地域マネジメントを行う圏域 人口平均約35,000人 中学校区(52校区) ≪圏域の考え方≫ ・身近な地域において、相談や居場所など、地域の課題に公的に対応し、地域づくりを進める。 ・地区社会福祉協議会や地区民生委員児童委員協議会を組織し、活動を推進している。 ・今後 、地域で安心して暮らし続けられるために必要な要素を整理し、地域資源の確保に向けた取組を推進する。 第3層 ≪圏域≫ 小地域 住民同士の顔のみえる関係づくりが行われており、行政がこれを支援する圏域  町内会・自治会(650ソシキ)、小学校区(114校区)など ≪圏域の考え方≫ (例) ・町内会・自治会の班(組)程度の日常的な支え合いを基本としながら、民生委員児童委員などが、地域の状況を把握し、見守りや日常の生活支援などを行う。 ・地域住民の生活課題の解決に向けて、見守りなど具体的に日常的な活動をおこなっていくことが求められる。 ・PTAを中心に、子どもの健やかな成長ができる教育環境づくりを各学校と共に推進していく。など [65ページ]  また、「第6期川崎市地域福祉計画」からは、小地域において、住民同士の地域づくりが進んでいくよう、各区計画に、地域ケア圏域ごとの地域の概況を掲載し、地区カルテを活用した地域マネジメントを推進しています。さらに、「個別支援の充実」と「地域リョクの向上」を不可分一体で進め、包括的な支援体制づくりにつなげます。 各区の地域ケア圏域について (表) [以下、番号、圏域メイ、町名の順。以降同様] 1 中央第一地区 旭町、砂子、駅前本町、榎町、境町、新川通、鈴木町、東田町、富士見1丁目、堀之内町、本町、港町、宮前町、宮本町 2 中央第二地区 池田、小川町、貝塚、京町1・2丁目、下並木、堤根、日進町、南町、元木 3 渡田地区 小田1丁目、渡田、渡田山王町、渡田新町、渡田東町、渡田向町 4 大島地区 大島、大島上町、中島、富士見2丁目 5 大師第一地区 伊勢町、川中島、大師駅前、藤崎 6 大師第二地区 池上新町、観音、台町、四谷上町、四谷下町 7 大師第三地区 浮島町、江川、小島町、塩浜、田町、大師河原、千鳥町、出来野、殿町、東扇島、日ノ出、水江町、夜光 8 大師第四地区 昭和、大師公園、大師町、大師本町、中瀬、東門前 9 田島地区 浅野町、池上町、追分町、扇島、扇町、鋼管通、桜本、田島町、浜町、南渡田町 10 小田地区 京町3丁目、浅田、大川町、小田2〜7丁目、小田栄、白石町、田辺新田 11 南河原地区 大宮町、幸町、中幸町、堀川町、南幸町、都町、柳町 [以上、1から11は川崎区] 12 御幸東地区 遠藤町、小向、小向町、小向東芝町、小向仲野町、小向西町、紺屋町、神明町、戸手、戸手本町 13 河原町地区 河原町 14 御幸西地区 下平間、塚越、東古市場、古市場、古川町、新塚越 15 日吉第一地区 北加瀬、矢上、新川崎、鹿島田 16 日吉第二地区 南加瀬 17 日吉第三地区 小倉、新小倉、東小倉 [以上、11から17は幸区] [ヒョウは、次のページに続きます] [61ページ] 18 大戸地区 上新城、下小田中、下新城、新城、新城中町、宮内、上小田中 19 小杉地区 市ノ坪、小杉、小杉御殿町、小杉陣屋町、小杉町、等々力、今井上町、今井仲町、今井西町、今井南町 20 丸子地区 上丸子山王町、上丸子天神町、上丸子八幡町、新丸子東、新丸子町、丸子通 21 玉川地区 上平間、上丸子、北谷町、下沼部、田尻町、中丸子 22 住吉地区 大倉町、井田、井田三舞町、井田杉山町、井田中ノ町、木月伊勢町、木月大町、木月祗園町、木月住吉町、木月、苅宿、西加瀬 [以上、18から22は中原区] 23 高津第一地区 宇奈根、久地、溝口 24 高津第二地区 梶ケ谷、上作延、坂戸、下作延、久本、向ケ丘 25 高津第三地区 下野毛、北見方、諏訪、瀬田、二子 26 橘地区 明津、蟹ケ谷、子母口・子母口富士見台、新作、千年、千年新町、久末、末長、北野川、東野川 [以上、23から26は高津区] 27 宮前第一地区 梶ケ谷、野川本町、西野川、野川台、南野川 28 宮前第二地区 けやき平、神木、土橋 29 有馬・鷺沼地区 有馬、鷺沼 30 東有馬地区 東有馬 31 宮前第三地区 小台、宮崎、馬絹 32 宮前中央地区 宮崎1〜6丁目、宮前平 33 向丘地区 犬蔵、五所塚、潮見台、神木本町、白幡台、菅生、菅生ケ丘、平、南平台、初山、水沢 [以上、27から33は宮前区] 34 登戸地区 和泉、登戸、登戸新町 35 菅地区 菅、菅稲田堤、菅北浦、菅城下、菅仙谷、菅野戸呂、菅馬場 36 中野島地区 中野島、布田 37 稲田地区 宿河原、堰、長尾 38 生田地区 生田、東生田、東三田、枡形、栗谷、寺尾台、長沢、西生田、三田、南生田 [以上、34から38は多摩区] 39 麻生東第一地区 高石、多摩美 40 麻生東第二地区 金程、千代ケ丘、細山、向原 41 麻生東第三地区 東百合丘、百合丘 42 柿生第一地区 王禅寺、虹ケ丘、白山、王禅寺西、王禅寺東 43 柿生第二地区 岡上、上麻生、下麻生、早野 44 柿生第三地区 片平、栗木、栗木台、栗平、黒川、五力田、白鳥、古沢、万福寺、南黒川、はるひ野 [以上、39から44はアサオ区] (ちょうちょうコード順) ※各種統計データの捕捉などの観点から、一部、エリアを調整している場合があります。 [67ページ] 3 災害福祉の充実に向けた取組の推進 (1)近年の大規模災害と国の動向  平成23(2011)年の東日本大震災においては、被災地全体の死者スウのうち高齢者の死者スウは約6割を占めたほか、障害者の死亡率は被災住民全体の死亡率の約2倍に上りました。また、消防職員・消防団員の死者・行方不明者は281名、民生委員の死者・行方不明者は56名にのぼるなど、多数の支援者も犠牲となりました。  こうした東日本大震災の教訓を踏まえ、平成25年(2013)年の災害対策基本法の改正においては、市町村による避難行動要支援者(自ら避難することが困難で、迅速な避難の確保を図るため特に支援を要する高齢者等)名簿の作成を義務化し、同名簿に掲載された避難行動要支援者の避難の実効性を確保するため、当該避難行動要支援者ごとに避難支援等をあらかじめ定める個別避難計画の作成を進めることが適切であるとの考えが示されました。  また、令和元年(2019年)東日本台風や令和2年(2020)年7月豪雨など近年の災害では、高齢者をはじめとする避難行動要支援者が被害にあっており、個別避難計画の作成も十分とはいえない状況であったことから、令和3年(2021)年5月の災害対策基本法の改正において、避難行動要支援者に対する個別避難計画の作成を市町村の努力義務とするなどの規定等が創設されました。 (2) 本市における災害福祉の取組 1 災害福祉調整本部の設置と体制強化  市内の入所系施設を中心とした高齢者、障害者に係る社会福祉施設や災害時要援護者等の情報を集約し、地域の関係機関や他都市、国との連携を深め、この分野における的確な判断と迅速な対応が行えるよう、災害時には市の災害対策本部と同じ設置基準により、健康福祉部内に災害福祉調整本部を設置します。  また、大規模なフウスイ害等の発生が予測される場合においては、災害対策本部の設置に関わらず、情報収集を行うとともに関係機関への情報発信などを行います。  災害福祉調整本部からは、二次避難ジョ連絡要員を各区本部の保健衛生・福祉班へ派遣し、区本部と避難ジョ及び二次避難ジョとの連絡調整並びに災害時要援護者等の搬送調整などを行います。 [68ページ] (図) 市災害福祉調整本部の位置付け [川崎市災害対策本部は市長を本部長として、健康福祉部、その他の部、市内各区本部で構成されています] [健康福祉部内には、保健医療調整本部と災害福祉調整本部を設置し、相互に連携します。その他に南部・中部・北部の3地域リハビリテーションセンターが、市直営の二次避難ジョとして開設予定です] [災害時には、災害福祉調整本部から二次避難ジョ連絡要員を各区へ派遣します] ※区本部・避難ジョと二次避難ジョとの連絡調整や搬送調整等の役割を想定 [図の説明、終わり] 2 二次避難ジョ及び関係機関に係る情報収集・伝達体制の強化  二次避難ジョとは、一般的な避難ジョにおいて生活に支障をきたすカタがいる場合に、協定や要綱に基づき、福祉施設等を災害時要配慮者の避難場所として使用する施設等です。二次避難ジョについては、施設管理者等と人員体制、連絡体制等を踏まえて、二次避難ジョの開設及び運営について協議、調整することとしており、災害発生時には、締結した協定等に基づき施設の安全確保や職員の配置等の確認をおこなった後、必要に応じて二次避難ジョを開設することとしています。令和5年(2023)年3月末時点で、約230施設と協定等を締結しています。  また災害時における円滑な情報受伝達を図るため、入所施設を中心とした高齢者、障害者に係る社会福祉施設と災害福祉調整本部、区役所、関係団体などを繋ぐ、川崎市災害時高齢者・障害者施設等情報 共有システム(通称「E Welfiss」)を令和4年(2022)年7月に導入し、平時から、情報共有システムを中心に、電話、MCA無線、電子メール、防災アプリ等の複数の手段を組合せた情報伝達及び情報収集体制を整備し、発災時において災害福祉調整本部が機能できるよう取組を進めています。 (図) E Welfiss全体図 [川崎市災害時高齢者・障害者施設情報共有システム(通称「E Welfiss」)を使用して、川崎市健康福祉局、社会福祉施設、関係団体などが相互に情報受伝達を行います] 川崎市健康福祉局 一斉連絡、支援要請に応じた支援、施設備蓄状況の把握、国・県への報告、システム管理など 社会福祉施設 被害状況の報告、支援要請の有無、備蓄状況の報告、関係各ショとの連絡、二次避難ジョ参集状況など 関係団体 関係各ショとの連絡、調整、被害状況の報告など [図の説明、終わり] [69ページ] 3 個別避難計画の取組状況について  令和3(2021)年5月、災害対策基本法の改正により、5年ゴを目途として、災害時における個別避難計画の作成が自治体に対し努力義務化されたことなどを踏まえ、本市では災害が発生、または災害が発生する恐れがある場合に、避難行動に支援が必要な災害時要援護者に対し、災害時の具体的な避難方法や安否確認の円滑化などを目的として、災害時個別避難計画の作成をおこなっています。  作成対象者について、市内在住の障害福祉サービス利用者で、障害支援区分4以上、及び移動支援、同行援護、行動援護を利用する方として、 原則として障害支援区分6のかたを最優先にして、約2,000人を対象に、令和4年(2022)年1月から作成を開始し、令和5年(2023)年3月末時点で約300件が作成済となっています。  また、医療テキケア児・者に関しては、本市医療テキケア児・者等支援拠点により令和5年(2023)年2月から計画作成を開始しています。 4 川崎パラムーブメントの推進  東京ニーゼロニーゼロオリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機として、本市では多様性(ダイバーシティ)と社会的ホウセツ(ソーシャル・インクルージョン)の象徴としてパラリンピックに重点を置く「川崎パラムーブメント推進ビジョン」を平成28年度(2016)年度に策定し、平成30年度(2018)年度からの第2期推進ビジョンでは、こうした大会の持つ価値を最大限に活用することを前提に、「誰もが自分らしく暮らし、自己実現を目指せる地域づくり」を目指し、「人々の意識や社会環境のバリアを取り除き、誰もが社会参加できる環境を創出すること」を理念として掲げ、令和4(2022)年度には、共生社会の実現に特化した形で見直しを行い、未来へ遺していくものとしてのレガシーの形成に向けて全庁的な取組を推進しています。  大会終了後も大会によって高まった機運を活用し、本市が抱える様々な社会問題を解決するためにより一層共生社会の実現に向け、多様な主体による取組が、それぞれ自律的・持続的な活動へと発展し、レガシーが形成されるよう取組を推進していきます。 [70ページ] 5 エスディージーズ(持続可能な開発目標)の推進  本市では、全庁が一丸となってエスディージーズのゴール達成に向けた取組を進めており、令和元年(2019年)7月には国から「エスディージーズ未来都市」に選定され、3,000者を超える事業者・団体が参加する「川崎エスディージーズパートナー登録・認証制度」や、取組を支援するための仕組みとしての「川崎市エスディージーズプラットフォーム」を中心に、市民・事業者と連携した様々な取組を推進しています。  令和4年(2022)年3月に策定した「川崎市総合計画第3期実施計画」では、すべての事務事業をエスディージーズのゴールと関連付け、総合計画と一体テキなエスディージーズ推進を図っており、令和5年(2023)8月には、庁内のエスディージーズ取組の一層強化に向け、「Kawasaki City エスディージーズ Guidance、川崎市庁内・エスディージーズ取組の進めカタ」を策定し、市としての取組の更なる強化を進めています。  本市のエスディージーズ推進に向けた取組状況を踏まえ、本計画に位置付けられた施策を推進するにあたっては、以下のエスディージーズのゴールの達成に寄与することを念頭に置きながら、取組を進めます。 (図) [エスディージーズの計17のゴールのうち、以下のゴールの達成に寄与します] 3 すべての人に健康と福祉を 4 質の高い教育をみんなに 8 働きがいも経済成長も 10 ひとや国の不平等をなくそう 11 住みつづけられるまちづくりを 17 パートナーシップで目標を達成しよう [図の説明、終わり] ※エスディージーズは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、17のゴール、169のターゲット等から構成され、平成27年(2015)年9月の国連サミットで、全会一致で採択された世界共通の目標。取組期間は2016から2030年の15年間。 第4部 地域リハビリテーションの推進 [73ページ] 1 地域リハビリテーションの位置付けと考え方  地域リハビリテーションの考え方は、平成12年(2000)年に策定した「川崎市における総合的な地域リハビリテーションシステム構想について」など、これまでの障害関連計画においても位置付けられてきましたが、今後はその対象を拡大し、全世代・全対象型の包括的な支援体制の基盤として、推進する必要があります。  また、今後の更なる高齢化の進展を見据え、急速に増加する医療・介護ニーズに対応できるよう、地域包括ケアシステムの構築を支えていくことが求められています。本市では、こうした取組を全ての地域住民を対象として進めることとしており、高齢者、障害じシャ等が、可能な限り、住み慣れた場所や自らの望む場所で、安心して暮らし続けることのできる地域を目指しています。  本計画においては、このような「川崎市地域包括ケアシステム推進ビジョン」に掲げる考え方に基づき、障害福祉施策を推進することとしていますが、こうした考え方を実現する技術基盤として「地域リハビリテーション」を位置付け、次の2つの方向性により進めていきます。  1つ目は、対象者を年齢や疾病、障害の種別等で限定しない、全世代・全対象型の地域リハビリテーション体制を構築することです。  近年、福祉ニーズが複雑化・複合化していることが指摘されていますが、福祉制度や相談機関は、専門性を確保するために分野別の支援体制となっています。より困難な課題を抱える制度の狭間にある方や複合的なニーズを有するカタが、適切な支援を受けながら地域で生活していくことができるよう、専門的な相談支援を包括的に提供できる支援体制を整備していきます。  2つ目は、現在そして将来の生活全体と環境を見渡したリハビリテーションを、地域の中で提供していくことです。  「リハビリテーション」という用語は、単に体を起こしたり、歩いたりできるようにする身体的な機能回復訓練として捉えられがちですが、本市が目指すリハビリテーションは、これにとどまらず、食事、入浴、掃除や料理などの日常生活活動、さらには地域活動や就労を含めた社会参加やそれによる生活の質の向上まで、生活全体を回復させるためのあらゆる活動をリハビリテーションの対象とします。こうしたリハビリテーションを、病院や施設ではなく、生活の場である地域の中で提供するため、専門職はもちろんのこと、ホームヘルパーや相談支援員、家族、ボランティアなど、ケアを必要とするカタの生活に関わるあらゆるカタが担い手となってリハビリテーションを展開することにより、住み慣れた場所や自らの望む場所で、質の高い生活を送り続けることができるようにしていきます。 [74ページ] 地域リハビリテーションのイメージ ・身体を動かせるようにするだけでなく、食事ができるようにする、洗濯をできるようにする、はたらけるようにするといった、生活全体を支える取組を推進します。 ・病院や施設ではなく生活の場である地域の中で、専門職だけではなく、生活に関わるあらゆるカタが担い手となってリハビリテーションを展開することにより、住み慣れた場所や自らの望む場所で、質の高い生活を送り続けることができるようにしていきます。 (図) [医師・看護師、介護福祉士、ホームヘルパー、ケアマネジャー・相談支援専門員、家族・ボランティア、リハビリ専門職など、生活に関わる様々な人が支援の担い手となり、病院・施設ではなく、生活の場でのリハビリ、身体機能の向上だけではなく、生活全体の質を向上させるリハビリを行います] ≪機能回復訓練≫ 座る・立つ・歩く等ができるように訓練する ≪日常生活支援≫ 食事・排せつ・着替え・入浴等ができるように、本人への働きかけと環境調整をする ≪生活活動支援≫ 掃除・洗濯・料理・外出等ができるように、働きかけと環境調整をする ≪社会参加支援≫ 地域の中で生きがいと役割をもって生活できるような居場所と出番づくりを支援する [図の説明、終わり] (1)地域リハビリテーション支援体制の基本理念 (表) 地域性 個々の状態に応じたリハビリテーションをできるだけ身近で提供する。 総合性 リハビリテーションを必要とするすべての人々のために、利用可能なすべてのリハビリテーション技術、地域資源の活用を促す。 専門性 専門性の高いリハビリテーション技術をチームアプローチにより提供する。 連続性 状態や環境の変化に応じた適切なサービスを提供する。 (2)地域リハビリテーションの推進に向けた取組 ・総合リハビリテーション推進センターにおいて、行政と民間の協働体制をとっていることのメリットを最大にできるよう協働と連携を進めます。 ・専門職に限らず、地域の中で生活に関わる支援機関がリハビリテーションの担い手として、知識や技術を高められるよう研修事業等を通じて取り組みます。 ・総合リハビリテーション推進センターにおいて、障害者更生相談所と精神保健福祉センターを統合したことのメリットを活かし、医療との連携も図りながら、支援ニーズの複雑化・多様化に対応します。 ・国立障害者リハビリテーションセンターや国立精神・神経医療研究センターを含む市内外の研究機関等との連携を推進し、その成果を情報発信や活動に活かします。 [75ページ] 2 地域リハビリテーションの推進体制  本市では、これまで、「川崎市における総合的な地域リハビリテーションシステム構想について(平成12年(2000)年)」や「川崎市リハビリテーション福祉・医療センター再編整備基本計画(平成20年(2008)年)」、「川崎市地域リハビリテーションセンター整備基本計画(平成24年(2012)年)」等に基づき、地域リハビリテーションの支援拠点を段階的に整備してきました。こうした経過を踏まえながら、今後は、次の3つを柱とした体制により、地域リハビリテーションを推進していきます。  (1) 地域リハビリテーションセンターによる専門的な支援の提供  (2) 総合リハビリテーション推進センターによるサービスの質の向上  (3) 重層的な支援体制による効率的で包括的な相談支援の提供 (1)地域リハビリテーションセンターによる専門的な支援の提供  北部(平成20年(2008)年開設)、中部(平成28年(2016)年開設)、南部(令和3年(2021)年4月開設)の3か所の地域リハビリテーションセンターでは、ケアマネジャーや障害者相談支援専門員等が実施する相談支援において必要となる専門的な評価・判定や、サービスを利用する際に必要となる専門的な調整・助言を提供します。また、区役所や諸機関の活動が適切に行われるよう支援します。  こうした取組を通して、本人や家族の意向や生活状況を的確に把握した上で、ニーズに即した支援を効果的に提供できるようにすることで、地域における生活の質の向上を目指します。 タ職種・タ機関連携による地域リハビリテーション (図) [地域リハビリテーションセンターでは、医師・保健師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理職・社会福祉職などが、区役所高齢・障害課や地域包括支援センター、基幹相談支援センターが行う相談支援において必要となる専門的な評価・判定を行うとともに、ケアマネジャーや障害者相談支援専門員等に対する調整・助言などを行います] [ケアマネジャーや障害者相談支援専門員等は、本人・家族・住環境・地域資源に対するリハビリの視点も踏まえた支援・サービスの提供を行います。これはできないことの代替ではなく、できるようにするための働きかけと調整を行うものです] [また、総合リハビリテーション推進センターでは、調査研究・連携調整・人材育成などを行い、地域リハビリテーション体制全体をバックアップします] [図の説明、終わり] [76ページ] (2)総合リハビリテーション推進センターによるサービスの質の向上  令和3年(2021)年4月に開設した総合リハビリテーション推進センターは、障害者更生相談所と精神保健福祉センターの機能を中核としつつ、高齢者や障害児も含めたサービスの質の向上やネットワーク化を推進する機関として位置付け、保健医療福祉に関する地域資源の全市的な連携拠点としていきます。  その具体的な役割として、地域リハビリテーションセンターの統括を行うとともに、民間の施設・事業者も含めた全市的なサービスの質の向上を図るため、保健医療福祉サービスに関する調査研究・連携調整・人材育成を推進します。なお、人材育成については、併設する総合研修センターと共同で取組を展開します。 総合リハビリテーション推進センターの役割 (図) ≪高齢者支援の課題≫ ・医療・介護連携体制の整備 ・リハビリ機能の強化 ・看取り支援 ・認知症対策など ≪障害者支援の課題≫ ・難病や高次脳機能障害の支援 ・発達障害者支援 ・ひきこもり支援・自殺対策 ・依存症対策など ≪障害児支援の課題≫ ・学校や保育所等との連携 ・障害児の放課後対策 ・医療テキケア児支援など [現行の障害者に対する支援に加え、高齢者や障害児も含めたサービスの質の向上やネットワーク化を推進するため、総合リハビリテーション推進センターでは、調査研究・連携調整・人材育成の役割をにないます] ≪調査研究機能≫ ・関連施策や先進事例の情報を収集するとともに、本市における支援のあり方を検討(外部研究機関との共同研究体制を検討) ≪連携調整機能≫ ・調査研究の成果を踏まえ、市内の施設・事業所間の連携強化に向けた助言・支援を実施(法人や事業所をまたいだ連携体制の構築) ≪人材育成機能≫ ・相談支援従事者等(ケアマネジャー等)に対して、専門的な研修を実施(併設の総合研修センターと共同で実施) [図の説明、終わり] [77ページ] (3) 重層的な支援体制による効率的で包括的な相談支援の提供  ショウシ高齢化が進展する中で、家族形態の変容とともに、支援が必要なカタを地域で支え、課題を解決していくという地域リョクが低下傾向にあります。  こうした中、障害のある方の親など支え手となる家族の高齢化や、障害のあるカタ自身のカレイに伴う障害の重度化・チョウフク化、医療技術の進歩等による医療テキケア児の増加など、支援ニーズはますます増加・多様化しています。  このような状況においても、誰もが可能な限り、住み慣れた場所や自らの望む場所で、安心して暮らし続けることのできる地域をつくっていくためには、これまでの分野別、年齢別の支援にとどまらず、対象者を限定しない、全世代・全対象型の地域リハビリテーションを展開し、個々のニーズに対して迅速かつきめ細かな支援を提供しつつ、高度で専門的なニーズや多様なニーズにも対応できるようにしていくことが必要となります。  このため本市では、相談支援体制を3次体制に再編した上で、1次相談ではニーズのある全てのカタを対象として、2次相談ではさらに専門的な支援が必要なカタを対象として1次相談機関をバックアップする体制とします。その上で、3次相談では、2次相談だけでは対応が難しい医療、リハビリテーション、心理、支援環境、福祉用具、ジュウ環境等に関する高度な調整が必要なカタを対象として、医師を含むタ職種チームによる専門的な評価・判定・調整によって、2次相談機関をバックアップしていきます。  このような重層的な相談支援体制を整備することによって、専門職を効率的に配置し、個別性や機動性を確保しつつ、高度な相談にも包括的に応じることができるよう総合性や専門性を確保していくことを目指します。  また、ニーズ変化や事務量の増加等によって、1次、2次相談の対応体制に変化が生じていることや、地域リハビリテーションセンター(及び地域療育センター)だけでは対応することが難しくなっている状況もあることから、実情を踏まえて新たに創設した相談支援機関の拡充や業務の見直しを図るとともに、3次相談機能の更なる充実に向けた取組を検討していきます。 [78ページ] 相談支援体制の階層別機能 (図) ・個別性・機動性が求められる相談は、1次相談で対応 ・権利擁護や虐待等の支援が必要な相談は、2次相談でバックアップ ・専門的な評価・判定が必要な相談は、3次相談でバックアップ →専門職を効率的に配置し、高度な相談にも包括的に応じることができる体制を整備 ≪1次相談≫(ケアマネジャー、相談支援専門員等) ・対象者は、支援ニーズのある全てのカタ ・支援内容は、日常生活に関する相談全般(サービスの利用調整等) ≪2次相談≫(保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャー等) ・対象者は、専門的な支援が必要なカタ ・支援内容は、専門的な相談支援(権利擁護や虐待対応等) ≪3次相談≫(医師・保健師、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、心理職・社会福祉職) ・対象者は、高度な調整が必要なカタ ・支援内容は、専門的な評価・判定・調整(医療、リハビリ、心理、福祉用具、ジュウ環境等) [個別性・機動性は1次相談に、総合性・専門性は3次相談に、より大きな役割があります] [図の説明、終わり]  なお、上記の「相談支援体制の階層別機能」に、本市の相談支援機関を具体的に当てはめると、下記の図のとおりとなります。 川崎市が目指す重層的な相談支援体制 (図) [1次相談では、サービスの利用調整を行います。高齢者支援は居宅介護支援事業所、障害者支援は指定特定相談支援事業所、障害児支援・子ども家庭支援は、児童発達支援や放課後等デイサービス、保育所・幼稚園、学校などがにないます] [2次相談では、専門的な相談支援(権利擁護・虐待対応)を行います。高齢者支援は地域包括支援センター、障害者支援は障害者相談支援センターが担うとともに、地域みまもり支援センター(福祉事務所・保健所支所)で、高齢者支援は高齢者支援係、障害者支援、障害児支援は障害者支援係及び精神保健係、障害児支援・子ども家庭支援は地域支援課が、相談窓口機能をにないます] [3次相談では、専門的な評価・調整を行います。南部・中部・北部の地域リハビリテーションセンターが高齢者や障害児などを含めた包括的な相談機能を担うとともに、高齢者支援は地域リハビリテーション支援拠点、障害児支援は地域療育センター、子ども発達・相談センター、障害児支援・子ども家庭支援は児童相談所がにないます] [また、総合リハビリテーション推進センター、総合研修センターでは、調査研究・連絡調整・人材育成を行い、相談支援体制全体をバックアップします] [図の説明、終わり] [79ページ] 3 地域リハビリテーションに関する各施策の方向性 (1)高齢者施策  本市の地域リハビリテーションは、要介護状態又は要支援状態となった高齢者にも対応するものとしていきますが、対象となるカタが非常に多いことから、市が設置する3か所の地域リハビリテーションセンターだけで、全ての高齢者のニーズに対応することは困難です。このため、高齢者を対象とした地域リハビリテーションについては、市内8か所の病院や老人保健施設等に地域リハビリテーション支援拠点を設置しており、さらなる体制強化を図っていきます。 高齢者施策における仕組み (図) 本人・家族から相談を受けたケアマネジャーや地域包括支援センターは、必要に応じて地域リハビリテーションセンター又は地域リハビリテーション支援拠点に相談します。相談を受けた地域リハビリテーションセンター又は地域リハビリテーション支援拠点は、本人のジュウ環境や地域資源を評価した上で、リハビリや介護サービス、福祉用具、住宅改修等に関する調整・助言を行います。その結果、リハビリの視点を踏まえたサービスが提供されることを目指します。 なお、市内3カ所に市が設置している地域リハビリテーションセンターでは、主に次のケースを担当します。 ・障害者制度との一体テキな調整が必要なケース ・権利擁護や虐待対応が必要な困難ケース ・施設や事業所との間でトラブルが生じているケース 病院・老人保健施設に設置している地域リハビリテーション支援拠点では主に、次のケースを担当します。 ・リハビリや福祉用具、住宅改修等に関する専門的な助言が必要なケース ・課題が複合化していないケース [ケアマネジャーや地域包括支援センターが、本人・家族、ジュウ環境、地域資源に関する相談を受け付け、市内3か所にある地域リハビリテーションセンター及び地域リハビリテーション支援拠点と調整を行います] [地域リハビリテーションセンター及び地域リハビリテーション支援拠点が、ホームヘルプ、デイサービス、生活訓練、社会参加支援、福祉用具、住宅改修などのサービス提供に関する調整・助言をおこなった上で、リハビリの視点を踏まえたサービス提供が行われます] [図の説明、終わり] [80ページ] (2)障害者施策  本市では、障害のあるカタの増加に伴い、障害福祉サービス利用者が年々増加しており、障害福祉サービスを利用する際に必要となる「サービス等利用計画」を作成する計画相談支援のニーズも増加しています。また、障害福祉サービス利用以外の課題を持つカタや、複合的な課題を持つカタの相談支援ニーズも増加しています。  このため、障害福祉サービス利用者については、希望する全てのカタに計画相談支援を提供できる体制を目指し、指定特定相談支援事業所(計画相談支援を提供する事業所)の拡充に取り組むとともに、現状、セルフプランにより障害福祉サービスを利用しているカタへの支援方法や指定特定相談支援事業所に対する後方支援等のあり方について、検討を進めていきます。  また、各区地域みまもり支援センターや地域相談支援センター(身近な地域で障害のある方やその家族等からの相談に応じ、継続的な相談支援や情報提供等を行う相談機関)、基幹相談支援センター(指定特定相談支援事業所や地域相談支援センター等に対する後方支援、広域的な調整等を行う相談機関)において、障害福祉サービス利用の有無に関わらない総合的な相談支援や、権利擁護・虐待対応等の専門的な相談支援を行う体制を整備します。  さらに、地域リハビリテーションセンターにおいて専門的な評価・判定・調整が必要な相談に対応するとともに、各相談機関をバックアップすることにより、必要とする全てのカタに相談支援を提供できる体制を整備していきます。 障害者施策における今後の相談支援体制 (図) [障害福祉サービスの利用支援については、指定特定相談支援事業所において計画相談支援や基本相談支援を行うとともに、通所施設、入所施設、グループホームにおいて、本人希望時における、代替的なサービス等利用計画作成支援を行います。また、地域相談支援センターにおいて、継続的な相談支援や情報提供等を行うとともに、区地域みまもり支援センターや地区健康福祉ステーションにおいて、支給決定を伴う相談支援や専門的な相談支援等を行います] [基幹相談支援センターにおいて、地域の相談支援機関等に対する後方支援や広域的な調整等を行うとともに、地域リハビリテーションセンターにおいて、専門的な評価・判定・調整を行い、相談支援体制全体をバックアップします] [図の説明、終わり] [81ページ] (3)障害児施策  本市では、発達に心配のある子どもに関する相談や、保育所・幼稚園・学校等における対応件数が急増しており、専門的な支援を提供する地域療育センターにおいて、新規相談の待機期間の長期化や、関係機関に対する助言・支援機能が低下するなどの課題が生じています。  このため、発達に心配のある子どもの相談支援ニーズに対応する「子ども発達・相談センター」を整備するとともに、地域療育センターについては、障害者手帳の取得が見込まれるなど、より専門的な支援が必要な子どもに対象を特化することとし、支援体制を整備します。  この体制により、障害・発達特性に応じた相談支援を適時適切なかたちで提供しながら、保育所・幼稚園・学校等に対する助言・支援を一体テキに提供できるようにすることで、障害児(疑いを含む)を支援する関係機関が一体となって、未就学児から就学児まで一貫した支援を展開していくことを目指します。 障害児施策における仕組み (図) [発達に心配のある子どもに対応するため、子ども発達・相談センターにおいて、専門相談支援と児童発達支援を一体テキに実施します。専門相談支援では、発達相談、子育て相談等、子どもの評価を行います。児童発達支援では、療育・発達相談、発達・子育て支援事業、ガクレイ児支援事業等を行います] [地域療育センターにおいては、医師やリハ職等による専門的な相談・評価・判定を行うとともに、児童指導員や保育士などによる療育・発達支援など、障害者手帳の取得が見込まれる子どもに対応します] [そのような体制を整備することで、保育所、幼稚園、学校等に対して効果的に助言・支援を行う体制の構築を目指します] [図の説明、終わり] [82ページ] (4)包括的な相談支援  近年、福祉ニーズの複雑化・複合化に対応するため、分野を超えて総合的に相談に応じ、関係機関と連絡調整等を行う体制を整備することが求められています。  本市では、平成30年度(2018)年度に包括的相談支援に関する実態調査を実施したところ、全体の7割が分野ごとの相談で、課題が複合化しており包括的な相談支援が必要なケースでも、2割は現行体制で調整可能なものであることが明らかになりました。このため、当面の間は、現行の分野別支援体制を維持するとともに、全世代・全対象に対応する地域リハビリテーションセンターが相談支援機関をバックアップすることにより、様々なニーズのある相談にも包括的に対応できるようにしていきます。  また、課題が複合化して調整が難しいケースは、専門分野ごとの特性に配慮した全体的な調整が必要であることから、総合リハビリテーション推進センターにおいて、組織ごとの相互理解を進めるとともに、専門分野間連携を円滑に行える相談支援従事者の育成を推進していきます。 川崎市における包括的相談支援の取組 (図) [区役所や民間相談機関における、高齢者、障害者、児童家庭、生活困窮者等の分野別支援体制を維持しながら、これらの相談支援機関を地域リハビリテーションセンターがバックアップすることで、包括的な相談支援を推進していきます] [また、包括的な相談支援従事者の養成にあたっては、総合リハビリテーション推進センターや総合研修センターにおいて、人材育成を推進していきます] [図の説明、終わり]