テキスト版を御利用の皆様へ  このテキスト版は、同じホームページに掲載されているPDF版をもとに作成していますが、テキストでは表現できない事項について、主に次のような補足をしています。 ・下線や四角囲み等、何らかの強調が行われているか所を<>で囲みます。 ・表の存在や図の説明等、必要な注釈を[]で記載します。 ・表については適宜文章に置き換えているほか、読み上げソフトによる聴きやすさなどを考慮して、表項目の縦横を入れ替えるなどの工夫をしているものがあります。 ------------------------------ 第5部 障害福祉施策の推進(障害者計画) [79ページ] 1 基本理念 本市では、「誰もが住み慣れた地域や自らが望む場で安心して暮らし続けることができる地域の実現」を基本理念とする、『川崎市地域包括ケアシステム推進ビジョン』を上位概念とし、具体的な施策に推進ビジョンの考え方を反映していますが、推進ビジョンに基づく具体的な取組を継続的に推進することで、令和7(2025)年度以降も見据えながら、地域包括ケアシステムを構築していく必要があります。 従って、推進ビジョンを踏まえた取組を継続するなど、本市施策の継続性を確保する観点から、第4次かわさきノーマライゼーションプランの基本理念「障害のある人もない人も、お互いを尊重しながら共に支え合う、自立と共生の地域社会の実現」を、本計画においても引き続き継承し、地域包括ケアシステムの構築に向けた取組を推進します。 (図) <川崎市地域包括ケアシステム推進ビジョンの基本理念> 『誰もが住み慣れた地域や自らが望む場で安心して暮らし続けることができる地域の実現』 <第5次かわさきノーマライゼーションプランの基本理念> 『障害のある人もない人も、お互いを尊重しながら共に支え合う、自立と共生の地域社会の実現』 [図の説明終わり] [80ページ] 2 社会情勢の主な変化と課題 (1) 障害のある方の増加・多様化 ●障害者手帳交付者数は、平成18(2006)年4月の37,480人から令和2(2020)年4月の62,508人と約1.7倍に増加しており、障害のある方への支援ニーズは年々高まっています。 ●平成23(2011)年の障害者基本法の改正により、障害者の定義が見直されるとともに、平成25(2013)年施行の障害者総合支援法では難病患者等が障害福祉サービスの対象に加わるなど、障害の範囲が拡大しており、障害者手帳の交付を受けていない方も含め、支援を必要とする方が増加しています。また、団体ヒアリングの意見(41~44ページを参照)や川崎市地域自立支援協議会からの意見(45~47ページを参照)など、支援ニーズも多様化しています。 →精神障害のある方のうち、精神障害者保健福祉手帳を所持している方はごく一部と考えられます。令和2年版障害者白書(内閣府)によると、全国の精神障害者は419.3万人で、その割合は人口1,000人当たり約33人となっています。これに基づくと本市では約50,000人と推定されます。(令和2(2020)年4月1日時点の精神障害者保健福祉手帳の所持者数は13,952人です) →発達障害や高次脳機能障害、難病患者など、障害者手帳の交付は受けていないが一定の支援を要する方も相当数いるものと考えられます。 ●増加・多様化するニーズに対応するため、相談支援体制や地域生活支援体制の充実を図る必要があるとともに、高齢者を含む全世代・全対象型の支援体制(地域リハビリテーション)を構築する必要があります。 身体障害児・者数 (グラフ) 平成18年4月 27,667人 平成22年4月 32,153人 平成29年4月 36,761人 平成30年4月 37,084人 平成31年4月 37,329人 令和2年4月 37,579人 ※各年4月1日現在、健康福祉局障害福祉課調べ 知的障害児・者数 (グラフ) 平成18年4月 5,483人 平成22年4月 6,803人 平成29年4月 9,499人 平成30年4月 10,081人 平成31年4月 10,529人 令和2年4月 10,977人 ※各年4月1日現在、健康福祉局障害福祉課調べ 精神障害児・者数 (グラフ) 平成18年4月 4,330人 平成22年4月 6,081人 平成29年4月 11,135人 平成30年4月 11,899人 平成31年4月 12,907人 令和2年4月 13,952人 ※各年4月1日現在、健康福祉局精神保健福祉センター調べ →<障害者手帳交付者数は、身体障害、知的障害、精神障害ともに増加傾向にあります> [81ページ] (2) 高齢障害者の増加と障害の重度化・重複化 ●本市の高齢者人口は年々増加を続け、令和元(2019)年10月1日時点で約31万人となり、市の人口の約5人に1人が高齢者となっています。 ●障害のある方自身が高齢となる場合や、加齢に伴い要介護状態となって障害者手帳を取得する場合など、高齢障害者が増加しています。 ●加齢に伴い障害が重度化・重複化する傾向があることから、医療的ケアなどを含めた対応が求められており、保健・医療分野等との連携を強化する必要があります。 ●高齢障害者や重度・重複障害等にも対応する多様な住まい方を実現するため、多様なニーズに対応できる住まいの場を確保する必要があります。 身体障害者の年齢 (グラフ) 全体 37,579人 18歳未満 2.4% 18歳以上65歳未満 29.5% 65歳以上 68.1% ※令和2(2020)年4月1日現在、健康福祉局障害福祉課調べ <身体障害者の約3分の2が65歳以上の高齢者となっています> 65歳以上の知的障害者数 (グラフ) 平成22年4月 186人 平成29年4月 359人 平成30年4月 401人 平成31年4月 418人 令和2年4月 448人 ※各年4月1日現在、健康福祉局障害福祉課調べ 65歳以上の精神障害者数 (グラフ) 平成22年4月 900人 平成29年4月 1,724人 平成30年4月 1,818人 平成31年4月 1,915人 令和2年4月 2,003人 ※各年4月1日現在、健康福祉局精神保健福祉センター調べ <知的障害者や精神障害者についても、65歳以上の高齢者の数が増加傾向にあります> [82ページ] (3) 障害児支援ニーズの増加・多様化 ●医療技術の進歩や障害に対する理解の深まりに伴い、障害児として診断・判定される子どもが大幅に増えており、障害児に対する支援ニーズは増加・多様化しています。 ●平成30(2018)年の児童福祉法の改正などを踏まえ、障害児の支援ニーズに対してきめ細やかな対応が求められていることから、障害の特性や子どもの育ちの状態に応じた切れ目のない包括的な支援体制を構築する必要があります。 ●出生直後からNICU(新生児集中治療室)に入院し、退院後も経管栄養やたんの吸引などの医療的ケアを必要とする「医療的ケア児」が増加しており、医療的ケア児が在宅生活を継続していくための支援の充実が求められています。 (4) 障害のある方を支える家族の高齢化 ●高齢化の進展に伴い、最も身近な支援者である家族の高齢化も進んでおり、これまで家族が支えていた領域への支援が必要となります。 ●支援ニーズの増加に対応するため、障害福祉サービスを担う人材を確保するとともに、ボランティアや障害当事者を含めた多様な支え合いを行うなど、支援の担い手を確保する必要があります。 ●親族の扶養や援助により生活している方が、親族の高齢化に伴い経済的に困窮することを防ぐとともに、障害のある方が障害のない方と同じく地域の中で共にいきいきと生活できるようにするため、経済的な自立に向けた雇用・就労支援を行う必要があります。 主な介助者・支援者(3つまでの複数回答)[在宅系] (グラフ) 全体 3,936人 母 37.0% 父 27.3% 配偶者 22.6% 子 10.6% その他の親族 7.3% 資料:川崎市障害のある方の生活ニーズ調査(令和元(2019)年度) <主な介助者・支援者は「母」「父」「配偶者」が多くなっています> [83ページ] 主な介助者・支援者「父」の年齢 (グラフ) 全体 1,158人 39歳以下 8.6% 40~64歳 51.5% 65~74歳 19.4% 75~79歳 7.7% 80~84歳 4.7% 85歳以上 4.3% 無回答 3.7% 主な介助者・支援者「母」の年齢 (グラフ) 全体 1,588人 39歳以下 9.3% 40~64歳 50.9% 65~74歳 18.2% 75~79歳 8.1% 80~84歳 6.1% 85歳以上 4.2% 無回答 3.3% 主な介助者・支援者「配偶者」の年齢 (グラフ) 全体 892人 39歳以下 6.1% 40~64歳 51.2% 65~74歳 21.1% 75~79歳 10.3% 80~84歳 6.1% 85歳以上 3.1% 無回答 2.1% 主な介助者・支援者「子」の年齢 (グラフ) 全体 424人 19歳以下 14.9% 20~29歳 16.3% 30~39歳 12.3% 40~49歳 21.0% 50~59歳 21.5% 60歳以上 11.6% 無回答 2.6% 資料:川崎市障害のある方の生活ニーズ調査(令和元(2019)年度) <主な介助者・支援者が「父」「母」「配偶者」の場合、その3分の1以上が65歳以上の高齢者となっています> [84ページ] (5) 共生社会の実現に向けた取組 ●地域のあらゆる住民が、「支え手」「受け手」に分かれるのではなく、地域、暮らし、生きがいをともに創り、高め合うことができる地域共生社会の実現が求められています。 ●障害者支援施設である県立「津久井やまゆり園」における大変痛ましい事件を契機として平成28(2016)年度に策定された「ともに生きる社会かながわ憲章」について、県と連携しながら理念の普及に取り組むことで、一人ひとりが障害のある方への理解を深め、障害への差別や偏見をなくし、誰もが安全・安心に暮らせる地域共生社会を実現する必要があります。 ●地域共生社会の実現に向けては、障害者虐待防止法や障害者差別解消法、成年後見制度など、障害のある方の権利擁護に関する取組を推進するとともに、全市民的な意識の醸成(心のバリアフリー)が必要です。また、スポーツや文化芸術活動など、障害の有無に関わらず社会参加ができるようにするとともに、ソフト・ハード両面にわたるバリアフリー化などを推進する必要があります。 心のバリアフリーとは 平成29(2017)年に国が策定した「ユニバーサルデザイン2020行動計画」を踏まえ、本市においては、誰にもそれぞれ心身の特性や考え方があるという前提に立ち、すべての人々が相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、生かし合うという意識が醸成され、かつ一人ひとりの具体的な行動が継続されている状態としての「心のバリアフリー」を目指しています。その具体的な内容は以下のとおりです。 ・すべての人が、自他の個性を尊重し、相互にコミュニケーションをとることができる。 ・すべての人が、自らの心のバリアを取り除く実践的な行動をとっている。 ・社会的マイノリティの当事者が、自分たちも社会を構成するかけがえのない存在であることを確信し、社会生活上のバリアを取り除くうえで必要なことを他者に伝えられている。 (※)ユニバーサルデザイン2020行動計画とは、心のバリアフリー及びユニバーサルデザインの街づくりに向けた取組の推進などについて規定するもの (6) 大規模災害や新型感染症などの緊急時対応 ●東日本大震災や令和元年東日本台風などの発生を踏まえ、地震や風水害などの大規模災害が発生した際にも円滑な支援が行えるよう、災害時における支援体制を整備・強化する必要があります。 ●新型コロナウイルスについては、今後の感染状況などを踏まえ、障害福祉サービスを担う事業所などと連携しながら対応を進める必要があるとともに、今般の新型コロナウイルスの感染拡大における対応経過などを踏まえ、今後、新たな新型感染症が発生した際などの緊急時対応のあり方についても整理・検討する必要があります。 [85ページ] 第5次かわさきノーマライゼーションプラン施策体系図 (図) 川崎市地域包括ケアシステム推進ビジョンの基本理念 『誰もが住み慣れた地域や自らが望む場で安心して暮らし続けることができる地域の実現』 第5次かわさきノーマライゼーションプランの基本理念 『障害のある人もない人も、お互いを尊重しながら共に支え合う、自立と共生の地域社会の実現』 <社会情勢の主な変化> ・障害者の増加 ・障害の多様化 ・障害児支援ニーズの増加・多様化 <課題> ●多様なニーズに対応する相談支援や地域生活支援の充実 ●障害の特性やライフステージに応じた切れ目のない包括的な支援体制の構築 <社会情勢の主な変化> ・障害児支援ニーズの増加・多様化[再掲] ・高齢障害者の増加 ・障害の重度化・重複化 <課題> ●多様なニーズに対応できる住まいの場の確保 ●医療的ケア児・者への支援の充実など、保健・医療分野等との連携強化 <社会情勢の主な変化> ・家族の高齢化 ・支援ニーズの増加 <課題> ●障害福祉サービスを担う人材の確保等 ●ボランティアや障害当事者を含めた多様な主体による支えあい ●経済的な自立に向けた雇用・就労支援 [以上、計7つの社会情勢の主な変化に関連する課題として、「高齢者や障害児・者等に対する包括的な支援体制(地域リハビリテーション)の構築」があります] <社会情勢の主な変化> ・共生社会実現に関する法制度 ・大規模災害 ・新型感染症 <課題> ●障害のある方の権利擁護に関する取組の推進 ●市民意識の醸成(心のバリアフリー) ●スポーツや文化芸術等の社会参加の促進 ●ソフト・ハード両面でのバリアフリー化 ●大規模災害や新型感染症への対応 <施策体系> [丸付き数字のものは施策課題を表します] 基本方針Ⅰ 育ち、学び、働き、暮らす ~多様なニーズに対応するための包括的な支援体制(地域リハビリテーション)の構築~ 施策1 相談支援体制の充実 ①相談支援体制 ②専門的な相談支援体制 施策2 地域生活支援の充実 ①生活支援サービス ②日中通所サービス ③情報コミュニケーション支援 ④移動及び外出の支援 ⑤福祉用具等による支援 ⑥精神障害者の地域移行に向けた支援 施策3 子どもの育ちに応じた切れ目のない支援体制の充実 ①相談支援体制 ②療育支援体制 ③関係機関との連携 ④教育環境・教育活動 ⑤進路支援 ⑥放課後等の支援 ⑦家庭や地域活動への支援 施策4 多様な住まい方と場の確保 ①グループホーム ②入所施設 ③高齢障害者への対応 ④民間住宅における居住支援 ⑤公営住宅における居住支援 ⑥居住環境の向上支援 施策5 保健・医療分野等との連携強化 ①専門的な医療等の提供 ②医療給付・助成 ③医療と地域の連携 ④医療的ケアを必要とする方への支援 施策6 人材の確保・育成と多様な主体による支え合い ①人材の確保・育成の推進 ②福祉サービスに対する第三者の視点 ③多様な主体による支え合い 施策7 雇用・就労・経済的自立の促進 ①就労意欲の喚起 ②就労移行・定着に向けた支援 ③企業への雇用支援 ④福祉的就労の支援 ⑤経済的支援 基本方針Ⅱ 地域とかかわる ~地域の中でいきいきと暮らしていける「心のバリアフリー都市川崎」の実現~ 施策8 権利を守る取組の推進 ①障害を理由とする差別解消の推進 ②障害者虐待防止に向けた取組の推進 ③成年後見制度等の推進 ④消費者トラブルの防止 施策9 心のバリアフリー ①かわさきパラムーブメントの推進 ②障害の理解促進と普及啓発 ③学校における交流・福祉教育 施策10 社会参加の促進 ①障害者スポーツの推進 ②文化芸術活動の推進 ③生涯学習の推進 基本方針Ⅲ やさしいまちづくり ~誰もが安心・安全で生活しやすいまちづくりの推進~ 施策11 バリアフリー化の推進 ①福祉のまちづくりの推進 ②公共交通機関のバリアフリー化 ③道路のバリアフリー化 ④公共施設のバリアフリー化 ⑤まちの情報提供の充実 ⑥情報バリアフリーの推進 施策12 災害・緊急時対策の強化 ①災害時や緊急時における支援体制の充実 ②情報伝達手段の確保 [図の説明終わり] [87ページ] 3 施策体系 (表) [基本方針の名称、施策の名称のほか、数字で始まるものは施策課題を、それ以外のものは事業名と掲載ページを表します] ●基本方針Ⅰ 育ち、学び、働き、暮らす 施策1 相談支援体制の充実 1 相談支援体制 総合的な相談窓口機能の充実 94 障害福祉サービスの利用支援 95 地域リハビリテーション推進体制の整備と充実 96 地域自立支援協議会による取組の充実 98 2 専門的な相談支援体制 発達相談支援センターによる支援 100 発達障害への支援 101 高次脳機能障害への支援 102 ひきこもりへの支援 103 依存症に対する支援 104 メンタルヘルス対策の推進 105 難病患者への支援 106 施策2 地域生活支援の充実 1 生活支援サービス 居宅支援サービスの提供 109 地域生活支援拠点等機能の整備・検証 110 短期入所による在宅支援 111 2 日中通所サービス 介護・訓練等サービスの提供 112 特別支援学校等卒後対策の推進 113 地域活動支援センター(A型)による支援 114 地域活動支援センター(B・C・D型)による支援 114 通所事業所での送迎や食事・入浴サービスの充実 115 通所事業所における支援体制の充実 115 3 情報コミュニケーション支援 コミュニケーション支援の充実 116 4 移動及び外出の支援 移動・外出の支援 117 5 福祉用具等による支援 ウェルフェアイノベーションの推進 118 かわさき基準(KIS)認証を中心とした新たな製品・サービスの活用 119 福祉用具の利用支援 120 6 精神障害者の地域移行に向けた支援 精神障害者の退院促進 121 心神喪失者等医療観察法対象者への支援 123 施策3 子どもの育ちに応じた切れ目のない支援体制の充実 1 相談支援体制 地域療育センターの充実 125 障害児相談支援の充実 126 総合的な相談窓口機能の充実(再掲) 126 発達相談支援センターによる支援(再掲) 126 [88ページ] (表続き) 2 療育支援体制 療育支援の提供 127 障害児入所施設による支援 128 短期入所による在宅支援(再掲) 128 3 関係機関との連携 障害児支援ネットワークの連携強化 129 乳幼児健康診査事業及び検査事業の充実 130 障害の発見から療育支援までの連携強化 131 保育所や幼稚園との連携強化 132 4 教育環境・教育活動 就学相談の充実 133 特別な教育的ニーズのある児童生徒への支援 134 特別支援学校及び特別支援学級等における支援 135 教員の専門性の向上 136 特別支援学校高等部の充実 137 高等学校での特別支援教育の充実 138 5 進路支援 職業教育・進路相談等の充実 139 6 放課後等の支援 地域における放課後等の支援 140 障害のある児童への放課後等の支援 141 7 家庭や地域活動への支援 障害児の家族や保護者に対する支援 142 地域の子育てグループなどへの専門的支援 143 子育てに関する自主的地域活動への支援 143 施策4 多様な住まい方と場の確保 1 グループホーム グループホームの基盤整備 145 2 入所施設 施設入所支援の提供 146 入所施設からの地域移行の促進 147 3 高齢障害者への対応 特別養護老人ホームにおける高齢障害者の受け入れの促進 149 4 民間住宅における居住支援 民間住宅への入居機会の確保 150 5 公営住宅における居住支援 公営住宅における住宅環境の整備 151 6 居住環境の向上支援 居住環境に関する専門相談 152 住宅改造への支援 152 施策5 保健・医療分野等との連携強化 1 専門的な医療等の提供 精神科医療等の提供 154 障害児医療の提供 155 障害児・者への歯科診療等の提供 156 地域リハビリテーション推進体制の整備と充実(再掲) 156 2 医療給付・助成 自立支援医療(育成医療・更生医療・精神通院)等の実施 157 指定難病医療費助成の実施 157 重度障害者医療費助成の実施 158 [89ページ] (表続き) 3 医療と地域の連携 病院と地域連携の仕組みづくり 159 川崎市在宅療養推進協議会の開催 160 在宅医療の啓発 160 4 医療的ケアを必要とする方への支援 医療的ケア児への支援の充実 161 訪問看護の提供 162 障害児通所支援等の充実 163 生活介護における医療的ケアの提供 164 医療機関等における短期入所の提供 165 医療型障害児入所施設・療養介護施設における介護・医療等の提供 166 施策6 人材の確保・育成と多様な主体による支え合い 1 人材の確保・育成の推進 相談支援従事者の養成 169 重症心身障害児・者等への医療ケア従事者の養成 169 総合研修センターによる取組 170 情報提供、コミュニケーション支援者の養成 170 各種研修による人材の養成 171 加算制度による人材確保・定着 172 2 福祉サービスに対する第三者の視点 福祉サービス第三者評価の推進 173 苦情解決体制の確保 174 3 多様な主体による支え合い ピアサポートの充実(精神障害) 175 当事者による相談の提供(身体・知的障害) 176 障害者社会参加推進センター事業の展開 176 当事者団体等の育成と協力関係の構築 177 多様なボランティア団体等への支援 177 施策7 雇用・就労・経済的自立の促進 1 就労意欲の喚起 就労体験・職場実習の提供 182 一般就労を見据えた働く場の提供 183 2 就労移行・定着に向けた支援 福祉施設から一般就労への移行促進 184 就労支援ネットワークの連携強化 185 職場定着支援の提供 186 3 企業への雇用支援 障害者雇用の拡大に向けた普及啓発 187 4 福祉的就労の支援 福祉的就労における工賃の向上 188 5 経済的支援 障害年金の支給支援 189 各種手当による経済的支援 189 税金・公共料金等の減免や福祉サービス等の負担軽減 190 [90ページ] (表続き) ●基本方針Ⅱ 地域とかかわる 施策8 権利を守る取組の推進 1 障害を理由とする差別解消の推進 障害を理由とする差別解消の推進 192 2 障害者虐待防止に向けた取組の推進 虐待防止体制の充実 193 3 成年後見制度等の推進 成年後見制度、日常生活自立支援の推進 194 4 消費者トラブルの防止 消費者トラブルの防止 195 施策9 心のバリアフリー 1 かわさきパラムーブメントの推進 かわさきパラムーブメントの推進 197 2 障害の理解促進と普及啓発 障害への市民理解の促進 198 精神障害への理解促進 198 障害者スポーツ体験の推進 199 障害者雇用の促進(再掲) 199 障害者スポーツや文化芸術活動への参加促進(再掲) 199 3 学校における交流・福祉教育 交流及び共同学習の推進 200 学校における福祉教育の充実 201 施策10 社会参加の促進 1 障害者スポーツの推進 スポーツ活動の推進 203 スポーツ施設の利用促進 204 スポーツ指導者の養成 205 2 文化芸術活動の推進 文化芸術活動への参加促進 206 障害者作品展の開催 207 身近な場での文化活動の推進 207 3 生涯学習の推進 生涯学習の場の充実 208 [91ページ] (表続き) ●基本方針Ⅲ やさしいまちづくり 施策11 バリアフリー化の推進 1 福祉のまちづくりの推進 福祉のまちづくりの推進 210 2 公共交通機関のバリアフリー化 鉄道駅におけるホームドア等の整備促進 211 ノンステップバス導入の促進 212 3 道路のバリアフリー化 歩道のバリアフリー化 213 歩行空間の安全確保 214 4 公共施設のバリアフリー化 公共施設のバリアフリー化 215 5 まちの情報提供の充実 まちの情報提供の充実 216 6 情報バリアフリーの推進 情報提供の充実 217 カラーユニバーサルデザインへの取組 218 ウェブアクセシビリティの向上 218 施策12 災害・緊急時対策の強化 1 災害時や緊急時における支援体制の充実 災害時における福祉支援体制の構築 220 一次避難所等の機能強化 221 DPAT(災害派遣精神医療チーム)の整備 222 新型感染症への対応 223 2 情報伝達手段の確保 防災情報の提供 224 災害情報の提供 225 非常時における通報手段の確保 225 [92ページ] 基本方針Ⅰ 育ち、学び、働き、暮らす ~多様なニーズに対応するための包括的な支援体制(地域リハビリテーション)の構築~ 施策1 相談支援体制の充実 <現状と課題> ●障害者手帳の交付を受けていない方も含め、支援を必要とする方が増加しており、その支援ニーズも多様化しています。 ●医療、介護ニーズの増加により、病院や施設によるサービス提供だけで対応していくことがますます難しくなることが想定されます。 ●高齢者や障害のある方が、住み慣れた地域や本人が望む場で安心して自立した生活を送るためには、身近な地域において多様なニーズに対応した相談支援を効果的かつ効率的に受けられる体制が必要となっています。 <対応の方向性> ●対象者を年齢や疾病、障害の種別等で限定しない、全世代・全対象型の包括的な支援体制として、地域リハビリテーション体制を構築します。 ●障害のある方や障害福祉サービス利用者の増加に対応するため、相談支援体制の再構築に取り組むなど、支援が必要な全ての方に対し効果的に相談支援を行える体制を確保します。 ●発達障害や高次脳機能障害のある方、難病患者、ひきこもり状態の方など、専門的な支援を必要とする方に対し、障害特性やライフステージに応じたきめ細やかな相談支援を行える体制を構築します。 ●相談支援の実施にあたっては、自ら意思を決定することに困難を抱える方に対する意思決定支援に配慮するよう取組を進めます。 気軽に相談するために必要なこと(複数回答) (グラフ) 全体 4,205人 どこで、どんな相談ができるか分かりやすくすること 47.6% 身近なところで相談できること 34.3% 専門的な相談ができること 32.9% プライバシーが守られる相談場所があること 30.2% 定期的に相談できる仕組みがあること 26.0% 資料:川崎市障害のある方の生活ニーズ調査(令和元(2019)年度) [93ページ] 1 相談支援体制  本市では、障害のある方が、住み慣れた地域や本人が望む場で安心して自立した生活を送れるよう、身近な地域で必要な相談支援を受けられる体制を整備してきました。平成25(2013)年度には従来の「障害者生活支援センター」を「障害者相談支援センター」へ再編し、相談員の増員や施設からの独立設置、障害種別を問わないワンストップの相談対応、市独自の研修体系の構築など、質・量ともに充実を図ってきました。  一方で、平成27(2015)年度から障害福祉サービスの支給決定を受ける際に「サービス等利用計画」の作成(計画相談支援)が必要になりましたが、その担い手である指定特定相談支援事業所が不足しているため、障害者相談支援センターや各区地域みまもり支援センター・地区健康福祉ステーションにおける計画相談支援への対応の比重が年々大きくなっています。  また、障害のある方やその家族が困ったときに、どこに相談したら良いかわからないという声や、障害者相談支援センターに相談しても対応までに時間がかかる場合があるなど、より一層の相談窓口の周知や、相談に即応できる体制の整備が必要です。  そこで、平成29(2017)年度に相談支援体制の検証を実施し、平成30(2018)年度以降、検証結果を踏まえて相談支援体制の充実・強化に向けた取組を実施してきました。 本市における相談支援体制の充実・強化に向けた取組の経過 (表) 平成29(2017)年度 ・障害者相談支援体制の検証 平成30(2018)年度 <障害福祉サービス利用者への相談支援> ・計画相談支援の拡充に向けた取組モデル実施(幸区) ・「計画相談支援の手引き」作成・改定(市自立支援協議会) ・モニタリング実施標準期間の変更、チェック方式のモニタリング報告書の導入 <総合的・専門的な相談窓口機能> ・地域相談支援センターの地区担当制モデル実施(川崎区・中原区) <相談支援体制の強化> ・「川崎市における相談支援従事者人材育成カリキュラム」作成・改訂(市自立支援協議会) ・厚生労働省と相談支援体制について意見交換 令和元(2019)年度 <障害福祉サービス利用者への相談支援> ・計画相談支援体制強化補助金の創設 ・障害福祉サービス利用者への相談支援のあり方の検討 ・「計画相談支援の手引き」作成・改定(市自立支援協議会) ・モニタリング実施標準期間の変更、チェック方式のモニタリング報告書の導入 <総合的・専門的な相談窓口機能> ・地域相談支援センターの地区担当制モデル実施(全区) ・区役所高齢・障害課の体制強化(精神保健係の新設) ・各相談機関の役割分担・連携方法の検討 <相談支援体制の強化> ・「川崎市における相談支援従事者人材育成カリキュラム」作成・改訂(市自立支援協議会) 令和2(2020)年度 <障害福祉サービス利用者への相談支援> ・計画相談支援体制強化補助金の創設 ・障害福祉サービス利用者への相談支援のあり方の検討 ・「計画相談支援の手引き」作成・改定(市自立支援協議会) ・モニタリング実施標準期間の変更、チェック方式のモニタリング報告書の導入 ・代替的なサービス等利用計画作成支援に関するマニュアル作成 <総合的・専門的な相談窓口機能> ・地域相談支援センターの地区担当制モデル実施(全区) ・区役所高齢・障害課の体制強化(精神保健係の新設) ・各相談機関の役割分担・連携方法の検討 ・「障害者相談支援センター業務マニュアル」改定 <相談支援体制の強化> ・「川崎市における相談支援従事者人材育成カリキュラム」作成・改訂(市自立支援協議会) ・地域における人材育成の取組モデル実施(市自立支援協議会)  本市では、多くの障害のある方が生活しており、そのニーズも多種多様であることから、より多くのニーズに効率的に対応しながら、高度・専門的なニーズにも的確に対応することができる支援体制を構築していく必要があります。  そのため、障害福祉サービスの利用支援のあり方を見直すとともに、各相談機関の役割を整理することにより、高度な相談にも包括的に応じることができる体制を整備するとともに、総合リハビリテーション推進センターによる取組を組み込み、全世代にわたって質の高いケアを提供できる体制を確立していきます。 [94ページ] ≪総合的な相談窓口機能の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●各区地域みまもり支援センター・地区健康福祉ステーションや障害者相談支援センターにおいて、総合的な相談窓口として障害や年齢、障害福祉サービス利用の有無に関わらない相談支援や制度・サービスの利用案内等を行っています。 <障害者相談支援センターの設置状況> ※令和3(2021)年2月1日時点 (表) 基幹型 各区1か所(市内計7か所) 地域型 各区3か所(市内計21か所) ②ニーズ・課題 ●障害福祉サービスを利用するために必要なサービス等利用計画の作成(計画相談支援)を担う指定特定相談支援事業所が不足していることから、各区地域みまもり支援センター・地区健康福祉ステーションや障害者相談支援センターが計画相談支援への対応に追われており、新規相談や障害福祉サービス利用以外のニーズへの対応が不十分になっています。 ●障害者相談支援センターは担当地区が決まっておらず、障害のある方や関係機関から見るとどこに相談すればよいのかわかりづらいため、相談窓口の明確化とともに、地域とのネットワークづくりを進めていく必要があります。 ●障害のある方の権利を擁護するため、虐待対応や成年後見制度の利用支援等の専門的な相談支援も必要です。 ●障害のある方が、日常生活や社会生活に関して自らの意思が反映された生活を送ることができるよう、相談支援の実施にあたっては意思決定支援に配慮することが求められています。 ③今後の取組 ●障害福祉サービスの利用支援のあり方を見直し、各区地域みまもり支援センター・地区健康福祉ステーションや障害者相談支援センターが、障害福祉サービス利用以外のニーズも含め適時・適切に対応できる体制を整備します。 ●令和3(2021)年10月から地域相談支援センターの地区担当制を導入し、相談窓口を明確化するとともに、自ら援助を求めることができない方へのアウトリーチや、地域とのネットワークづくり等を進めます。また、区ごとの人口や障害者数等も考慮し、川崎区及び中原区の地域相談支援センターを1か所ずつ増設するとともに、体制の強化を図ります。 ●基幹相談支援センターについては、地域相談支援センターと重複する業務を整理した上で、令和3(2021)年10月から市内3か所体制に再編し、広域的な調整や地域の相談支援体制の整備等を行います。 ●各区地域みまもり支援センター・地区健康福祉ステーションを中心に、障害者相談支援センターや地域リハビリテーションセンターと連携しつつ、虐待対応や成年後見制度の利用支援等の専門的な相談支援も行います。 ●相談支援従事者等が利用者の意思決定支援に配慮できるよう、必要な研修等を実施していきます。  [95ページ] ≪障害福祉サービスの利用支援≫ ①現状(これまでの取組) ●指定特定相談支援事業所(※)等において、障害福祉サービスを利用するために必要な計画相談支援を実施するとともに、基幹相談支援センターによる指定特定相談支援事業所に対する後方支援を実施しています。 ※令和3(2021)年2月1日時点で市内68か所 ●平成30(2018)年10月から、計画相談支援の標準的なモニタリング期間を従来の6か月から3か月へ変更し、支援の頻度を増やしました。 ●指定特定相談支援事業所の体制強化を図るため、令和元(2019)年度から、常勤・専従の相談支援専門員を新規配置するための補助を行っています。 ●川崎市地域自立支援協議会相談支援部会において、「計画相談支援の手引き」を作成し、指定特定相談支援事業所に配布しました。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方の増加に伴い、障害福祉サービス利用者は今後もしばらく増加し続けることが予想されますが、障害福祉サービスを利用するために必要な計画相談支援を担う指定特定相談支援事業所が不足しています。 ●その原因としては、計画相談支援の報酬が低く採算が取れないこと、相談支援専門員の資格要件が厳しくなり手が少ないこと、計画相談支援に係る手続き等が煩雑なこと等が挙げられます。そこで、障害福祉サービスの利用支援のあり方を見直していく必要があります。 ●指定特定相談支援事業所や障害福祉サービス事業所等には、利用者の意思決定支援に配慮することが求められています。 ③今後の取組 ●希望する全ての方に計画相談支援を提供できる体制を目指し、指定特定相談支援事業所が職員体制の強化や事業の安定化を図れるよう運営支援を実施するなど、指定特定相談支援事業所の拡充に取り組みます。 ●計画相談支援が必要な方に行き届くよう取組を推進するとともに、計画相談支援の供給量が十分確保できるまでの間の対策として、代替的に施設等によるサービス等利用計画作成支援(本人希望時)の仕組みの導入に取り組みます。 ●相談支援従事者等が利用者の意思決定支援に配慮できるよう、必要な研修等を実施していきます。 [96ページ] ≪地域リハビリテーション推進体制の整備と充実≫ ①現状(これまでの取組) ●各区地域みまもり支援センター・地区健康福祉ステーション、障害者相談支援センター等、身近な窓口において一次相談を行っています。 ●一次相談で対応が困難な事例等については、障害者更生相談所、南部地域支援室、中部リハビリテーションセンター、北部リハビリテーションセンター、精神保健福祉センター、れいんぼう川崎を中心として、評価・判定等を行い、専門的な支援を実施しています。 ●できる限り身近な地域で、医師、保健師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理職、社会福祉職等の専門職による訪問・巡回での支援を提供できるよう、市域を南中北の3圏域に分けて、地域リハビリテーションセンターを整備しています。 ●市内3か所の地域リハビリテーションセンターを統括するとともに、全市的な調査研究・連携調整・人材育成等の機能を担う施設として、障害者更生相談所と精神保健福祉センターを統合し、新たに総合リハビリテーション推進センターを設置(※)するための準備を進めています。 ※令和3(2021)年度予定 <地域リハビリテーションセンターの設置状況> (表) [以下、整備年度 施設名 所在地の順] 平成20(2008)年度 北部リハビリテーションセンター 麻生区百合丘2-8-2 平成28(2016)年度 中部リハビリテーションセンター 中原区井田3-16-1 令和3(2021)年度(予定) 南部リハビリテーションセンター 川崎区日進町5-1 ②ニーズ・課題 ●年齢や障害等の状況が変わっても、安心して継続的なサポートを受けられるよう、全世代・全対象型の地域リハビリテーションが求められています。 ●全ての市民ができるだけ身近な地域で必要な専門的支援を受けることができるよう、南部リハビリテーションセンターを円滑に開設し、効果的な運用を行う必要があります。 ●市内3か所の地域リハビリテーションセンターの整備完了を踏まえ、各地域において提供されるサービスの質の平準化と向上を図るため、総合リハビリテーション推進センターを中心とした関係機関相互の連携を更に強化する必要があります。 ●南部リハビリテーションセンターの開設に伴い、れいんぼう川崎在宅支援室のあり方について、整理する必要があります。 ③今後の取組 ●高齢者、障害児・者それぞれを対象として、身近な相談・支援機関、地域の専門的な相談・支援機関、高度な相談・支援機関を整理し、支援が必要な方の状況に応じて制度横断的な漏れのない重層的な相談支援体制を整備します。 ●南部リハビリテーションセンターについて、早期に安定稼働に至るよう、地域において支援を必要とする方をはじめ、関係機関等との信頼関係の構築に努めます。 ●総合リハビリテーション推進センターにおいて、全市的な課題に対する調査研究・連携調整・人材育成等を行い、市内で提供するサービスの質の平準化及び向上を図ります。 ●れいんぼう川崎在宅支援室と、3つの地域リハビリテーションセンター在宅支援室の連携について整理します。 [97ページ] 地域リハビリテーション推進体制 (図) [全市的に対応する機能として、総合リハビリテーション推進センター、総合研修センターを設置し、サービス提供施設や事業者に対し、情報提供、助言・支援、専門的な研修などを行います] [地域生活を支援する機能として、市内3カ所の地域リハビリテーションセンターにおいて、サービス提供施設や事業者に対する支援方法の調整や専門的な技術支援を行うとともに、ケアを必要とする市民に対し、専門的な相談・評価・判定、サービス内容の調整、福祉用具や住環境の整備などを行います] [これらの機関が相互に連携し、保健医療福祉に関する課題の整理・検討を行います] [図の説明終わり] [98ページ] ≪地域自立支援協議会による取組の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●関係機関等が相互の連携を図ることにより、地域における障害のある方等への支援体制に関する課題について情報を共有し、関係機関等の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた体制の整備について協議を行うことを目的として、各区と市に地域自立支援協議会を設置しています。 ●区地域自立支援協議会は、各区地域みまもり支援センターと障害者相談支援センターが連携して運営し、個別の支援から抽出された地域課題の共有や、その解決に向けた協議などを行っています。 ●市地域自立支援協議会は、全市的に検討すべき課題について、専門部会を設置するなど検討を行い、課題解決に向けた社会資源の開発・改善やノーマライゼーションプランの策定に向けた意見提出等を行っています。 【具体的な取組例】 ・「川崎市地域自立支援協議会運営の手引き」の改定、「課題整理の手引き」の作成により、協議会の運営について共通事項を定めました。 ・精神科病院からの地域移行・地域定着を進めるため、地域の関係機関による意見交換、地域移行の支援事例の共有、社会資源の普及啓発等を行いました。 ・「かわさきノーマライゼーションプラン」作成・改定時に、地域自立支援協議会からの意見を取りまとめ、市に提出しました。 ・指定特定相談支援事業所の業務支援のため、「計画相談支援の手引き」を作成しました。 ・本市における相談支援従事者の人材育成のあり方を明らかにするため、「川崎市における相談支援従事者人材育成カリキュラム」を作成しました。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方の増加や支援ニーズの多様化が進んでいることや、地域自立支援協議会における課題の解決が進みにくい状況があることなどを踏まえ、課題解決や障害のある方等への支援体制の整備に向けた取組について、引き続き推進する必要があります。 ●障害者相談支援センター事業や計画相談支援などの相談支援体制について検証・評価を行い、随時必要な見直しを図っていく必要があります。 ③今後の取組 ●個別の相談支援を通して明らかになった地域の課題について、地域の関係機関と連携してその解決に取り組むとともに、施策に反映が必要なものについては、ノーマライゼーションプランの策定に向けた意見の提出などを行います。 ●市地域自立支援協議会において、定期的に相談支援体制の検証・評価を実施します。 [99ページ] 川崎市地域自立支援協議会のイメージ (図) <区協議会> 構成 相談支援従事者、区役所、障害者相談支援センター、地域リハビリテーションセンター、当事者・家族、関係機関等 役割 地域課題の共有、区レベルで対応する地域課題への取組等 <市協議会> 構成 相談支援従事者、区役所、障害者相談支援センター、総合リハビリテーション推進センター、地域リハビリテーションセンター、当事者・家族、関係機関、学識経験者、健康福祉局等 役割 市レベルで対応する地域課題への取組、相談支援体制の検証・評価等 [このような取組を通じ、社会資源の開発・改善に取り組むとともに、ノーマライゼーションプランの策定に向けた意見の提出などを行います] [図の説明終わり] [100ページ] 2 専門的な相談支援体制 ≪発達相談支援センターによる支援≫ ①現状(これまでの取組) ●発達相談支援センターは、発達障害児・者に対する支援を行う地域の拠点として、本人及び家族等からの相談に応じて適切な指導及び助言を行うとともに、関係機関との連携を強化し、総合的な支援体制の整備を促進しています。 <施設の概要> (表) 施設名 発達相談支援センター 運営法人 社会福祉法人青い鳥 所在地 川崎区砂子1-7-5タカシゲビル3階 ※令和3(2021)年度に川崎市複合福祉センター「ふくふく」(川崎区日進町5-1)に移転予定 【具体的な機能】 (1)本人や家族等との相談・アセスメント・適切な関係機関の紹介 (2)専門相談(医療相談・生活相談・就労相談等) (3)関係機関の支援とネットワークの構築 (4)研修事業及び普及啓発活動 (5)地域の活動に関する情報収集と地域資源の開発・育成 ②ニーズ・課題 ●発達障害に関する理解が浸透するに伴い、発達相談支援センターにおける相談件数も増加傾向にあります。 ●引き続き、適切な対応に努めていくとともに、教育と福祉の連携においては、総合教育センターとの役割分担など、ライフステージに応じた切れ目のない相談支援体制を効率的かつ効果的に構築していく必要があります。 ③今後の取組 ●発達相談支援センターにおいて、教育分野をはじめとした関係機関との連携を図りながら、発達障害児・者に対する相談支援、発達支援、就労相談等、社会への適応力を高めるため、児童期から成人期までの一貫性のある相談支援を行います。 ●地域支援マネジャーを中心とした地域支援機能をより一層推進することによって、総合的な支援の充実に取り組みます。 [101ページ] ≪発達障害への支援≫ ①現状(これまでの取組) ●発達障害のある方への専門的な支援については、発達相談支援センターをはじめ、発達障害地域活動支援センター「ゆりの木」、市内4か所の地域療育センター、障害者更生相談所において実施しています。 ●支援者のスキルアップを図るため、関係機関職員向けの研修を実施するとともに、共感的なサポートを行うため、発達障害のある方の保護者による「ペアレントメンター」の育成に向けた研修を行っています。また、地域のネットワーク構築と発達相談に係る課題を協議することを目的として、発達障害者支援地域連絡調整会議を開催しています。 <研修の実績> (表) [以下、研修名 平成30(2018)年度の修了者数 令和元(2019)年度の修了者数の順] 発達相談支援コーディネーター養成研修 109名 123名 かかりつけ医発達障害者対応力向上研修 25名 80名 ペアレントメンター研修 22名 16名 ②ニーズ・課題 ●ライフステージに応じた切れ目のない支援を円滑に行うため、発達障害の特性や支援内容、当事者や家族ニーズなどの情報が的確に引き継がれる仕組みについて、関係機関が共通認識をもち、実務に反映していく必要があります。 ●多様な障害特性やニーズを持つ発達障害児・者に対する支援については、多職種連携支援の重要性がますます高くなっています。 ③今後の取組 ●18歳までの発達に配慮を要する子どもの療育支援や診断を行うとともに、保育所、幼稚園、小・中学校支援級等の発達を含む配慮を要する子どもが集う場に対する機関支援を行う地域療育センターや子ども発達・相談センター、学齢期以降の発達障害児・者に対する発達相談や就労相談を行う発達相談支援センター、成人期以降の日中活動の場などを提供する発達障害者地域活動支援センター「ゆりの木」、児童相談所といった各関係機関が相互に連携し、ケースの引継ぎや支援方法の共有・検証を行うととともに、支援にあたる人材の育成や専門職によるきめ細かな支援等に取り組みます。 [102ページ] ≪高次脳機能障害への支援≫ ①現状(これまでの取組) ●高次脳機能障害のある方の在宅生活を支援するため、各区地域みまもり支援センターにおいて個別相談に対応するとともに、れいんぼう川崎及び地域リハビリテーションセンターにおいて、専門的な相談対応や機能訓練、在宅リハビリテーション、訪問支援等を行っています。 ●高次脳機能障害地域活動支援センターにおいて、通所や相談による日常的な課題に対する専門的な支援を行っています。 ●高次脳機能障害支援者研修等により、高次脳機能障害のある方への支援を担う人材の育成に取り組んでいます。 ②ニーズ・課題 ●高次脳機能障害のある方が地域で安心して生活するためには、引き続き、障害の特性やニーズに応じた支援を効果的に受けられる体制を安定的に確保することが求められています。 ③今後の取組 ●高次脳機能障害のある方の在宅生活を支援するため、医療機関とも連携した支援ネットワークづくりや、支援を担う人材育成など、各区地域みまもり支援センター、地域リハビリテーションセンター、高次脳機能障害地域活動支援センター、れいんぼう川崎等の関係機関が相互に連携し、引き続き、必要な取組を行います。 [103ページ] ≪ひきこもりへの支援≫ ①現状(これまでの取組) ●各区地域みまもり支援センターや精神保健福祉センター内「思春期・ひきこもり相談」において、相談対応を行うとともに、地域活動支援センター、北部リハビリテーションセンター、南部地域支援室、中部リハビリテーションセンターなどと連携しながら、必要な支援を行っています。 ●令和元(2019)年度に実施した「川崎市における広義のひきこもり支援ニーズ調査」の結果を踏まえ、今後のひきこもり支援のあり方について検討を進めています。 ②ニーズ・課題 ●ひきこもりへの支援にあたっては、個々のひきこもりの状況に応じて、時間をかけて丁寧に支援していくことが求められており、児童、教育、労働など、様々な分野の関係機関との連携も必要になります。 ●今後のひきこもり支援を行うにあたっては、相談窓口及びアセスメント機能の構築と普及啓発、早期支援体制及びカウンセリング・居場所機能の充実などの課題があるため、更なる検討を進める必要があります。 ③今後の取組 ●ひきこもりの段階やニーズに応じた適切な支援が行えるよう、川崎市複合福祉センター「ふくふく」(川崎区日進町5-1)において新たに開設する「ひきこもり地域支援センター」と、児童、教育、労働などの様々な関係機関が相互に連携のうえ、相談・アセスメント機能やカウンセリング・居場所機能の充実などを含め、ひきこもりの方に対する支援体制の充実を図ります。 [104ページ] ≪依存症に対する支援≫ ①現状(これまでの取組) ●アルコール、薬物、ギャンブル等の依存症については、精神衛生相談センター(現在のこころの相談所)の開設当初(昭和42(1967)年)より、精神保健に関する相談、支援並びに精神障害に関する外来診療を実施し、とりわけアルコール依存症を中心に、本人への相談や自助グループ等への参加支援、家族相談などに取り組んできました。 ●各区地域みまもり支援センターにおいても、各依存症に関する相談や自助グループへの支援を実施しています。 ●地域活動支援センター(B、C、D型)として運営してきた依存症回復施設について、運営方法の変更を行い、令和元(2019)年度より「依存症地域活動支援センター」として運営しています。 ②ニーズ・課題 ●ギャンブル等依存症対策基本法が平成30(2018)年に施行されるなど、依存症に関する法整備が進んでいることなどを踏まえ、依存症対策の更なる推進が必要となっています。 ●推定される治療対象者数に比べて受診患者数が少なく、適切な医療に結びついていない現状があるため、対策を検討するにあたっては、支援ニーズの実態を把握するための調査を行う必要があります。 ●依存症についての情報も不足しているため、「否認の病気」と言われる依存症治療に関する正しい知識を啓発し、偏見を是正していくことが重要です。 ③今後の取組 ●依存症に対する誤解及び偏見を解消するための研修や、依存症に関する市民向けの普及啓発、相談拠点による回復支援、自助グループ等の当事者団体を活用した回復支援の取組など、様々な関係機関が密接に連携し、依存症本人及びその家族に対する支援を推進します。 ●依存症者の回復支援を行う「依存症地域活動支援センター」の充実に向けた検討を行います。 [105ページ] ≪メンタルヘルス対策の推進≫ ①現状(これまでの取組) ●各区地域みまもり支援センターにおいて、精神疾患のある方などに対し、精神保健福祉相談を行っています。 ●精神保健福祉センターをはじめとする専門相談機関において、こころの健康や精神保健福祉に関する専門的な相談や支援を行っています。 ●第2次川崎市自殺対策総合推進計画に基づき、関係機関と連携しながら、必要な支援やデータ分析、自殺予防の普及啓発などに取り組んでいます。 ②ニーズ・課題 ●こころの健康は、乳幼児期から高齢期までの生涯にわたって健やかな生活を送る上で欠かせないものですが、様々な要因によりこころの健康が保てず、精神疾患を患うなど、社会適応が難しくなることがあるため、こころの健康を保つための相談体制を引き続き確保する必要があります。 ●精神保健福祉センターが総合リハビリテーション推進センターへ移行されることや、ひきこもり支援における専門相談支援機関の設置など、専門相談機関の再編整備を踏まえ、新たな体制後においても、こころの健康や精神保健福祉に関する相談体制を安定的に確保する必要があります。 ●令和2(2020)年度末に策定する第3次川崎市自殺対策総合推進計画に基づき、関係機関と連携しながら、引き続き、自殺対策を推進する必要があります。 ③今後の取組 ●専門相談機関が相互に連携しながら、こころの電話相談や一般精神保健相談などを継続的に実施することで、こころの健康や精神保健福祉に関する相談体制を安定的に確保し、メンタルヘルス対策を推進します。 ●地域・学校・職場等において精神疾患や精神障害に関する正しい知識や理解の促進を図るとともに、こころの健康を保つことの重要性や相談体制などについて周知します。 ●第3次川崎市自殺対策総合推進計画に基づく取組を、関係機関と連携しながら推進します。   [106ページ] ≪難病患者への支援≫ ①現状(これまでの取組) ●難病に関する知識の普及や療養に関する情報提供を目的とした、市民向け・関係専門職向けの講演会を開催しました。 ●難病患者への相談や生活支援を行うため、かながわ難病相談・支援センターを神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市の4県市が共同で運営しています。 ②ニーズ・課題 ●多様な難病の特性に配慮した専門的な支援を提供できるよう、引き続き、必要な支援体制を確保するとともに、支援を担う人材の確保・育成を行う必要があります。 ③今後の取組 ●引き続き、かながわ難病相談・支援センターによる専門的な相談支援や患者団体によるピア相談などにより、難病患者の多様な相談ニーズに対応します。 ●かながわ難病相談・支援センターや総合リハビリテーション推進センターにおいて、相談支援従事者をはじめとする介護・福祉関係者に対して、難病に関する専門的な研修等を実施します。 <難病対策の取組について>  難病対策は、難病の治療研究を進め、疾患の克服を目指すとともに、難病患者の社会参加を支援し、難病にかかっても地域で尊厳をもって生きられる共生社会の実現を目指すことを基本理念として、進められています。  具体的には、①効果的な治療方法の開発と医療の質の向上、②公平・安定的な医療費助成の仕組みの構築、③国民の理解の促進と社会参加のための施策の充実、を基本的事項として、平成27(2015)年に施行された難病法(難病の患者に対する医療等に関する法律)に基づき、難病の医療に関する調査及び研究、医療費助成、療養環境整備事業が実施されています。  あわせて、難病患者に対する福祉サービスの充実を図るため、平成25(2013)年に制定された障害者総合支援法において、障害者の範囲に難病が追加されました。これにより現在は、症状の変動などによって身体障害者手帳を取得できない難病患者であっても、一定の障害がある場合は、障害福祉サービスを利用できるようになっています。  こうした流れを踏まえ、難病患者に対する生活支援の中には、障害者施策と一体的に実施しているものがあり、居宅介護(ホームヘルプ)、短期入所、日常生活用具給付等の障害福祉サービスの他、福祉キャブ運行事業(117ページ参照)や就労支援等についても、難病患者も対象として実施しています。なお、障害者施策以外にも、医療依存度の高い高齢者や難病患者を対象とした、あんしん見守り一時入院等事業(165ページ参照)等も利用することができます。 [107ページ] 施策2 地域生活支援の充実 <現状と課題> ●障害者手帳の交付を受けていない方も含め、支援を必要とする方が増加しており、その支援ニーズも多様化しています。 ●障害のある方が、住み慣れた地域や本人が望む場で安心して自立した生活を送るためには、身近な地域において多様なニーズに対応した支援サービスを効果的かつ効率的に受けられる体制が必要となっています。 <対応の方向性> ●障害のある方が住み慣れた地域で生活を継続していくため、支援ニーズに応じた様々な生活支援サービスや日中通所サービスを安定的に提供する体制を確保するとともに、障害のある方の地域生活を支援する多様な機能を集約した地域生活支援拠点の整備を進めます。 ●短期入所の充実、日中活動の場の確保など、障害のある方の在宅生活を支援する基盤の充実に向けた整備を推進します。 ●障害特性やライフステージに応じた多様なニーズに対応するため、情報コミュニケーションの支援、移動及び外出の支援、福祉用具等による支援など、多角的な支援を実施します。 今後希望する生活(2つまでの複数回答) (グラフ) 全体 4,205人 自宅で親や親族などと生活したい 64.1% 一人で地域で生活したい 26.3% 結婚して夫婦で生活したい 16.0% グループホームで生活したい 11.3% 市内の入所施設で生活したい 8.6% 老人ホームなどの高齢者の施設に入って生活したい 4.1% 市外でも入所施設で生活したい 2.3% 病院に入院したい・入院を継続したい 2.0% 資料:川崎市障害のある方の生活ニーズ調査(令和元(2019)年度) [108ページ] 親や親族が病気などで一緒に生活できなくなった場合に希望する生活(2つまでの複数回答) (グラフ) 全体 2,695人 一人で地域で生活したい 46.3% 市内の入所施設で生活したい 24.2% グループホームで生活したい 23.0% 結婚して夫婦で生活したい 17.4% 市外でも入所施設で生活したい 8.6% 老人ホームなどの高齢者の施設に入って生活したい 8.5% 病院に入院したい・入院を継続したい 3.1% 資料:川崎市障害のある方の生活ニーズ調査(令和元(2019)年度) [109ページ] 1 生活支援サービス ≪居宅支援サービスの提供≫ ①現状(これまでの取組) ●国の制度改正の動向を踏まえながら、障害者総合支援法に基づく訪問系サービスや日中活動系サービス、地域の実情に応じて本市が実施する地域生活支援事業など、障害のある方の在宅生活を支える様々なサービスを提供しています。 ●ストーマ装具の付属品など、日常生活用具の支援を拡充するとともに、実務者研修修了者や介護職員初任者研修修了者など、移動支援の従事者要件を拡充しました。 ●日中一時支援について、一定の要件を備えた生活介護事業所において、営業時間後に日中一時支援事業を提供できる制度を開始しました。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方の支援ニーズが増加・多様化している中、障害のある方の在宅生活を支えるための様々なサービスを安定的に提供する体制を、引き続き確保する必要があります。 ③今後の取組 ●障害のある方の在宅生活を支えるため、障害者総合支援法に基づく訪問系サービスや日中活動系サービス、地域の実情に応じて本市が実施する地域生活支援事業等の様々なサービスを安定的に提供する体制を引き続き確保するとともに、障害のある方の支援ニーズの多様化などを踏まえ、サービスの充実に努めます。 [110ページ] ≪地域生活支援拠点等機能の整備・検証≫ ①現状(これまでの取組) ●国においては、障害の重度化や高齢化、「親亡き後」を見据え、居住支援のための機能(①相談、②緊急時の受け入れ・対応、③体験の機会・場、④専門的人材の確保・養成、⑤地域の体制づくり)を、地域の実情に応じた創意工夫により整備し、障害のある方の生活を地域全体で支えるサービス提供体制の構築を目指しており、その整備手法としては、これらの機能を集約して整備する「多機能拠点整備型」や、地域において機能を分担して担う「面的整備型」等が考えられるとしています。 ●本市では、「多機能拠点整備型」及び「面的整備型」を併用し、上記①~⑤の機能の整備を行っています。 ●「多機能拠点整備型」については、生活介護、短期入所、相談支援、地域生活支援事業である日中一時支援、地域の体制づくりなどの機能を合わせ持つ「地域生活支援拠点」の施設を、これまでに3か所整備しました。 ●上記の「地域生活支援拠点」のほか、①「相談」について、各区1か所の基幹相談支援センター及び各区3か所の地域相談支援センターにおける相談対応、②「緊急時の受け入れ・対応」について、短期入所施設のベッドを緊急枠として活用する緊急時対応、③「体験の機会・場」について、入所施設や精神科病院等からの地域移行を希望する方に対し、グループホームや宿泊型自立訓練施設における住居の一時的な体験利用の機会の提供など、様々な機能等を「面的整備型」として体制整備しています。 <地域生活支援拠点の設置状況> ※令和3(2021)年2月1日時点 (表) [以下、整備年度 施設名 所在地の順] 平成27(2015)年度 まじわーる宮前 宮前区馬絹6-10-33 平成28(2016)年度 かわさき障害者福祉施設たじま 川崎区田島町20-10 令和2(2020)年度 なかはら障害者福祉施設ひらま 中原区上平間1564-12 ②ニーズ・課題 ●障害のある方の増加、障害の重度化や家族の高齢化等に伴い、居住支援のための機能に加え、生活介護や短期入所等の利用ニーズの増加が見込まれているため、それらの機能を集約した施設の整備が求められています。 ●地域生活支援拠点の方向性及び役割について検討し、必要な機能等を更に充実していく必要があります。 ③今後の取組 ●地域生活支援拠点において、生活介護、短期入所、相談支援、日中一時支援、市独自の取組である障害者生活支援・地域交流事業を実施するなど、引き続き、障害のある方が共に地域で生活できるようにするための様々な支援を実施します。 ●令和5(2023)年度を目途に、地域生活支援拠点(多機能拠点整備型)の施設を高津区と麻生区に整備するとともに、未整備地域を中心に新たな整備について検討を進めます。 ●地域生活支援拠点の機能充実のため、毎年、(仮称)地域生活支援拠点連絡会を開催するなど、運用状況の検証等を行い、今後の方向性等について検討します。  [111ページ] ≪短期入所による在宅支援≫ ①現状(これまでの取組) ●保護者や家族の入院や通院、兄弟姉妹の学校行事、冠婚葬祭や地域活動への参加、介助する人のレスパイトなど、在宅生活をする上での様々な場面で、一時的に障害者施設等を利用することが必要な障害のある方に対して、見守りや介護など、短期入所による在宅支援を行っています。 ●短期入所事業所等を計画的に整備するため、平成28(2016)年3月に、「第2期障害者通所事業所整備計画」(※)を策定し、短期入所事業所の整備を進めています。 ※計画期間は平成28(2016)年度~令和5(2023)年度 ●介護者の急な疾病等により、障害のある方が緊急に短期入所を利用する必要が生じた場合の受け入れ先として、3施設8床の緊急枠を確保していましたが、川崎市複合福祉センター「ふくふく」(川崎区日進町5-1)における短期入所事業所のうち5床を新たな緊急枠とするため、準備を進めています(※)。※令和3(2021)年度に運用開始予定 <短期入所事業所の整備状況> ※令和元(2019)年度以降 (表) [以下、整備年度 施設の概要 地区 規模の順] 令和元(2019)年度 特別養護老人ホームに併設する事業所 中原区 12床 令和2(2020)年度 拠点型施設における事業所 中原区 12床 令和2(2020)年度 川崎市複合福祉センター「ふくふく」における事業所(令和3(2021)年3月開設) 川崎区 20床 <短期入所(福祉型)事業所の設置状況> ※令和3(2021)年2月1日時点 (表) [以下、区 入所施設併設型の施設数と定員 通所施設併設型(単独型含む)の施設数と定員の順] 川崎区 0か所 0人 2か所 14人 幸区 0か所 0人 0か所 0人 中原区 3か所 30人 2か所 24人 高津区 0か所 0人 0か所 0人 宮前区 2か所 20人 1か所 4人 多摩区 0か所 0人 3か所 8人 麻生区 2か所 8人 3か所 9人 合計 7か所 58人 11か所 59人 ②ニーズ・課題 ●核家族化や高齢化が進むことで、家族の介護負担が大きくなっており、障害のある方が在宅生活を続けるための本人・家族支援としての短期入所の充実が求められています。 ●「第2期障害者通所事業所整備計画」では、今後も短期入所の利用ニーズが増加していくものと見込んでおり、家族の送迎による負担等も踏まえ、区を単位として短期入所事業所の整備を進めることとしています。 ③今後の取組 ●「第2期障害者通所事業所整備計画」に基づく短期入所事業所の拡充に取り組むとともに、次期整備計画の策定に向けた検討を進めます。 ●令和5(2023)年度を目途に、拠点型施設における短期入所事業所を高津区と麻生区に整備します。 [112ページ] 2 日中通所サービス ≪介護・訓練等サービスの提供≫ ①現状(これまでの取組) ●在宅で暮らしている障害のある方に対して、福祉的な活動の場の提供、地域生活における日常生活力の向上に向けた訓練、一般就労に向けた訓練などの各種サービスを、障害の状況やニーズに応じて提供しています。 <事業所数> ※令和3(2021)年2月1日時点 (表) 生活介護 76か所 自立訓練 13か所 就労移行支援 34か所 就労継続支援 68か所 ②ニーズ・課題 ●障害のある方が安心して生活できるよう、障害の状況やニーズに応じたきめ細やかな支援を提供するための環境づくりを推進していく必要があります。 ③今後の取組 ●引き続き、障害の状況やニーズに応じて、日常生活上の介護や支援、社会生活を営む上での訓練、一般就労に向けた訓練などの各種サービスを提供し、その充実に努めます。 [113ページ] ≪特別支援学校等卒後対策の推進≫ ①現状(これまでの取組) ●特別支援学校等の卒業後の進路先は、障害特性に応じて、一般就労や進学、一般就労に向けた支援を行う就労支援系事業所等の障害福祉サービスの利用などがありますが、重度障害のある方を中心に、日常生活を支える生活介護事業所へ進む割合が高くなっています。 ●生活介護事業所等を計画的に整備するため、平成28(2016)年3月に、「第2期障害者通所事業所整備計画」(※)を策定しました。 ※計画期間は平成28(2016)年度~令和5(2023)年度 ●既存建築物の改修等により小規模な生活介護事業所の整備を行う事業者に対する補助制度として、川崎市小規模生活介護事業所整備事業補助金を平成29(2017)年度に創設しました。 ●障害のある方の地域生活を支える多様な機能を併せ持つ地域生活支援拠点施設の整備を推進し、生活介護を含めた支援体制の充実を図っています。 ●福祉部門と教育部門が連携して「特別支援学校等進路指導担当者会議」を開催しており、特別支援学校等卒業生が地域の中で適切な支援が受けられるよう、関係機関との連携を図っています。 ●一般企業等への就労を希望する特別支援学校高等部3年生及び保護者向けに、就労セミナーを開催しています。 ②ニーズ・課題 ●特別支援学校の卒業生が増加しているとともに、行動障害や重度障害のある方が利用できる生活介護事業所が不足しているなどの状況を踏まえ、今後も計画的に生活介護事業所等の整備を進めていく必要があります。 ●生活介護事業所等の整備にあたっては、就労支援系事業所と比べて、障害特性に応じたきめ細やかな支援やバリアフリーへの配慮が必要なことなど、ソフト・ハード両面での事業者負担が大きいため、引き続き、支援を行う必要があります。 ●特別支援学校等卒業生の増加傾向を踏まえ、今後も卒業生の進路先を円滑に確保できるよう、関係機関との連携を強化していく必要があります。 ③今後の取組 ●川崎市小規模生活介護事業所整備事業補助金を活用するなど、「第2期障害者通所事業所整備計画」に基づく生活介護事業所等の整備に取り組むとともに、次期整備計画の策定に向け、行動障害や重度障害のある方に対応した生活介護事業所等の整備を促進するための手法などについて検討します。 ●地域生活支援拠点施設について、未整備地域を中心に新たな整備に向けた検討を進めます。 ●特別支援学校等卒業生の進路先を円滑に確保するため、引き続き、特別支援学校等進路指導担当者会議や一般就労を希望する生徒及び保護者を対象とした就労セミナーを開催するなど、関係機関との連携強化を図ります。 [114ページ] ≪地域活動支援センター(A型)による支援≫ ①現状(これまでの取組) ●地域活動支援センター(A型)は各区に1か所ずつ設置しており、精神障害者の居場所づくりや相談支援、通所者や家族に対する夜間電話相談、社会参加の促進などの取組を行っています。 ●地域生活支援における更なる機能の充実を図るための検討を進めています。 ②ニーズ・課題 ●精神障害者の在宅生活を支える多様な支援を担う機関として、今後の機能のあり方を検討するとともに、ニーズに応じた相談や支援を引き続き行っていく必要があります。 ③今後の取組 ●引き続き、主に精神障害者を対象として、日中の居場所づくりや憩いの場の提供などの地域活動支援センターとしての機能と、地域で生活する上での困りごとを相談できる相談支援の機能を一体的に提供します。 ●地域生活拠点としての機能の充実に向け、本施設の今後のあり方や支援の手法などについて、更なる検討を進めます。 ≪地域活動支援センター(B・C・D型)による支援≫ ①現状(これまでの取組) ●障害のある方の日中活動や社会参加の場の提供を目的としている地域活動支援センターについて、それぞれの利用実績に応じて、各種加算等も含めた補助を行い、安定的な運営及びサービス提供に対する支援を行っています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方の日中活動や社会参加の場を確保するため、引き続き、安定的な運営を確保するための支援を行う必要があります。 ●比較的小規模な事業者が運営主体であるため、運営に必要なマニュアル等が整備されていない例も散見されることから、今後、実地指導や説明会等を通じた改善指導を継続していく必要があります。 ③今後の取組 ●地域活動支援センターへの運営支援を継続することで、障害のある方が創作活動や生産活動を行う機会を提供するとともに、障害のある方と地域社会との交流促進を支援します。 ●特別支援学校等卒業生の進路や精神科病院からの地域移行等のニーズを踏まえ、地域活動支援センターの運営安定化とサービス向上を図ります。 [115ページ] ≪通所事業所での送迎や食事・入浴サービスの充実≫ ①現状(これまでの取組) ●介護・訓練サービスなどを提供する通所事業所において、送迎サービスや食事・入浴サービスなどを行う事業所に対し、提供実績に応じた各種加算を行うなど、サービス提供体制を支援しています。 ②ニーズ・課題 ●通所事業所での送迎サービスや食事・入浴サービスの実施状況は、事業所の体制等により異なるため、各種加算について更に周知し、サービス提供体制の充実を図る必要があります。 ③今後の取組 ●送迎サービスや食事・入浴サービスを提供する事業所に対する様々な加算制度を引き続き運用するとともに、サービス提供事業所への更なる周知を図りながら、サービス提供体制の充実に努めます。 ≪通所事業所における支援体制の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●介護・訓練サービスなどを提供する通所事業所に対する様々な加算制度を運用することで、看護師や栄養士などの専門職員の配置を含めた職員体制の充実を図り、重度障害のある方への支援など、支援体制の充実・強化に取り組んでいます。 ②ニーズ・課題 ●重度障害のある方の受け入れ体制の整備を含め、ニーズに応じた介護・訓練サービスを安定的に提供できる体制を確保するため、引き続き、様々な加算制度による支援を行う必要があります。 ●障害福祉サービスに携わる人員が不足しているなど、サービス提供事業所の人員確保に課題があります。 ③今後の取組 ●重度障害のある方を含めた安定的な支援体制を確保するため、引き続き、様々な加算制度を運用し、サービス提供事業所における人員配置の充実を図ります。 [116ページ] 3 情報コミュニケーション支援 ≪コミュニケーション支援の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●聴覚障害者や盲ろう者、視覚障害者が円滑にコミュニケーションを図れるよう、聴覚障害者情報文化センターや神奈川県聴覚障害者福祉センターにおいて、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者通訳・介助員を派遣するなどの支援を行うとともに、視覚障害者情報文化センターにおいて、点訳や音訳等の各種支援を実施しています。また、聴覚障害者情報文化センターや視覚障害者情報文化センターにおいて、それぞれの障害を持つ方やその支援者の方からの相談を受け付け、関係機関と連携しながら適切な支援につなげています。 ●意思疎通が困難な障害児・者が入院した際の医療従事者との意思疎通支援として、入院時コミュニケーション支援事業を平成28(2016)年度から実施しています。 ②ニーズ・課題 ●聴覚障害者の高齢化による医療・介護ニーズの高まりに伴い、手話通訳者・要約筆記者の派遣件数が増加しており、その対応が求められています。 ●新型コロナウィルスやその他感染症への対応、また、災害などの緊急時に手話通訳者・要約筆記者が移動できない場合への対応として、遠隔手話通訳・要約筆記の必要性が高まっています。 ③今後の取組 ●聴覚・言語機能、音声機能、視覚その他の障害のため、意思疎通を図ることに支障がある方に対し、引き続き、手話通訳者、要約筆記者等の派遣や、点訳、音訳等の支援を行うなど、多様なコミュニケーション支援を行うとともに、関係機関と連携しながら、当事者や支援者からの相談対応を行います。 ●各区役所(支所)の窓口で実施している遠隔機器コミュニケーション事業の本格実施や遠隔手話通訳・要約筆記の実施方法に関する検討など、必要な取組を推進します。 [117ページ] 4 移動及び外出の支援 ≪移動・外出の支援≫ ①現状(これまでの取組) ●障害のある方の移動及び外出を支援するため、ふれあいフリーパス、重度障害者福祉タクシー利用券交付事業、福祉キャブ運行事業などを実施するとともに、ユニバーサルデザインタクシーの普及促進や乗場の整備を行っています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方が地域で生活するためには、障害の特性や状況に応じた移動・外出支援を引き続き行うとともに、利用者の利便性向上などを図るため、ふれあいフリーパスに関してICT技術の活用などを検討する必要があります。 ③今後の取組 ●障害のある方の地域生活を支援するため、障害の特性や利便性に配慮した外出時の移動手段(バス、タクシー、キャブ)を確保するとともに、それらの移動手段を円滑に利用するための支援について、必要な取組を推進します。 ●障害のある方の移動手段のあり方や、移動・外出支援におけるICT技術の活用などについて、引続き検討します。 [118ページ] 5 福祉用具等による支援 ≪ウェルフェアイノベーションの推進≫ ①現状(これまでの取組) ●第2期川崎市ウェルフェアイノベーション推進計画に基づき、産業と福祉の融合で新たな活力と社会的価値を創造するウェルフェアイノベーションを推進しています。 <実績> ※令和元(2019)年度の実績 (表) 創出プロジェクト 15件 活用プロジェクト 10件 新たな社会モデルの創造・発信 1件 [創出プロジェクトとは、将来的な福祉課題解決に対応する製品・サービスの創出に向けたプロジェクト、活用プロジェクトとは、販売製品・サービスの活用により、新たな価値を蓄積していくプロジェクト、新たな社会モデルの創造・発信とは、新たなライフスタイル・ワークスタイルなどを創造し発信するプロジェクトを意味します] ②ニーズ・課題 ●福祉製品・サービスの開発事業者にとって、介護・福祉施設の支援人材からの評価に加え、利用者本人である高齢者等が福祉製品を実際に利用している状況を把握し、製品・サービスの開発・改良につなげていく必要があります。 ●製品やサービスの「活用」、「創造・発信」に一定の成果はあるものの、福祉製品やサービスの担い手である、中小・ベンチャー企業に対して、製品開発の技術的助言などを伴走支援することができていないため、強化していく必要があります。 ③今後の取組 ●本市がこれまで強化してきた産業と福祉のハブ機能を活かし、新たな製品・サービスの創出や、かわさき基準認証製品を中心とした活用、さらには活用により生まれる新たな価値を蓄積し、川崎発の社会モデルの創造・発信に向けた取組について、引き続き推進します。 ●Kawasaki Welfare Technology Lab(カワサキ ウェルフェア テクノロジー ラボ)について、庁内関係部局や施設管理者等と協議調整を行いながら、令和3(2021)年度の開設に向けて取組を推進します。 [119ページ] ≪かわさき基準(KIS)認証を中心とした新たな製品・サービスの活用≫ ①現状(これまでの取組) ●かわさき基準(KIS)(※1)認証製品を中心とした新たな製品・サービスについて、障害のある方や障害福祉事業者が活用する取組を推進しています。 (※1)かわさき基準(Kawasaki Innovation Standard(KIS))は、人の自立を支援し、将来に向けた福祉課題の解決に資する革新的な製品を「かわさき基準認証福祉製品」及び「かわさき基準プレミアム認証福祉製品」として認証し、これらの認証製品の活用促進により、人の生活全般を豊かにする社会モデルの構築と、新産業を創出することを目的とする、川崎市独自の福祉製品のあり方を示した基準です。 ●かわさき基準認証製品の認証にあたっては、介護福祉現場でのモニター評価を踏まえるとともに、かわさき基準の8つの理念(※2)に合致するかを審査しています(※3)。 (※2)「自立支援」を中心とする「人格・尊厳の尊重」「利用者の意見の反映」「自己決定」「ニーズの総合的把握」「活動能力の活性化」「利用しやすさ」「安全・安心」「ノーマライゼーション」の8つの理念をいいます。 (※3)令和元(2019)年度実績:応募49製品、認証23製品 ●かわさき基準認証製品の活用による新たなモデルの構築に向けた取組や、カワサキハロウィンにおいて障害のある方が次世代モビリティ(移動手段)を活用したパレード参加を行うなどの情報発信を行っています。 ②ニーズ・課題 ●超高齢社会の到来や、障害のある方の社会参加機会の拡大、国による介護ロボットの活用促進に向けた対応等の社会環境の変化により、福祉課題は多様化していますが、介護福祉現場でかわさき基準認証製品を活用することにより、スタッフの負担軽減など、福祉課題の解決に寄与しています。今後も、介護福祉現場におけるモニター評価等により認証製品の質の向上を図りながら、社会情勢等の変化を踏まえ、福祉課題の解決に向け、かわさき基準認証製品を中心とした新たな製品やサービスの活用を推進していく必要があります。 ③今後の取組 ●引き続き、かわさき基準による認証を実施し、生活支援機器や施設向け介護支援機器などの新たな認証製品を介護福祉現場で活用することで、福祉課題の解決を図るとともに、その活用事例を蓄積し、活用に伴う新たな発見等による「価値の創出」につながるよう、取組を推進します。 [120ページ] ≪福祉用具の利用支援≫ ①現状(これまでの取組) ●障害のある方の身体機能を補完又は代替するための補装具について、購入や修理に要する費用を助成するとともに、重度障害のある方などが円滑に日常生活を送れるようにするための用具を給付・貸与しています。 ●ストーマ装具の付属品や視覚障害者用拡大読書器など、日常生活用具の支援を拡充しました。 ●福祉用具に関する相談等に従事する職員への情報提供や研修を行うなど、職員の資質向上を図ることで、福祉用具の普及と適切な利用支援に努めています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方の在宅生活を支援するため、引き続き、福祉用具に関する様々な支援を行う必要があります。 ●日常生活用具の支給対象品目について、多様化する利用者のニーズに対応できるよう、引き続き検討する必要があります。 ③今後の取組 ●補装具の購入・修理費用に対する助成を継続するとともに、日常生活用具の対象品目の取り扱いについて検討を進めます。 ●福祉用具の給付や貸与、福祉用具に関する関係職員のスキルアップに向けた取組など、引き続き、障害のある方が地域で生活するために必要な福祉用具に関する利用支援を行います。 [121ページ] 6 精神障害者の地域移行に向けた支援 ≪精神障害者の退院促進≫ ①現状(これまでの取組) ●精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けた取組を推進しています。 ●地域自立支援協議会の部会として、「精神障害者地域移行・地域定着支援部会」を開催し、精神障害者の退院促進に向けた取組について、市内外の精神科病院や地域の障害者相談支援センターなどの支援機関等と協議しています。また、同部会のワーキンググループにおいて、ピアサポーターの協働・活動体制について検討を進めています。 ●精神障害者地域移行・地域定着支援体制整備事業を実施し、精神障害者の退院促進及び地域定着のための取組を推進しています。 ●精神障害者地域移行・地域定着支援従事者研修を実施し、精神障害者の地域移行に向けた支援を行うための人材の確保に努めています。 ●井田地域生活支援センター及び精神保健福祉センターにおいて、市外病院に入院している方の地域移行に向けた支援を実施しています。 ②ニーズ・課題 ●精神障害者が退院後に地域で生活するためには、精神障害者を受け入れる住宅を確保する必要があるため、不動産事業者等への啓発などが必要になっています。 ●精神障害者が必要な支援を効果的に受けられるようにするため、相談支援事業者の精神障害に対する苦手意識を軽減するための取組が必要となっています。 ●認知症高齢者が精神科病院で長期入院するケースがあるため、その対応策を検討する必要があります。 ③今後の取組 ●地域自立支援協議会の精神障害者地域移行・地域定着支援部会において、市内外の精神科病院や地域の障害者相談支援センターなどの支援機関等と協議を行いながら、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築や、退院可能な精神障害者を地域移行・地域定着するための支援など、必要な取組を引き続き推進します。 ●北部地区、中部地区をモデル圏域として、重層的な地域支援連携体制の構築に向けた取組を推進します。 ●精神障害者に対する相談支援事業者の活動を技術的に支援する仕組みを検討します。 [122ページ] (図) 精神障害者の退院促進に関する各機関の連携・支援体制 [退院可能な精神障害者に対して、総合リハビリテーション推進センターと中部地域生活支援センター、市内障害者相談支援センターが連携して個別支援を実施します。支援のプロセスは大きく区別すると4段階あり、退院前の支援導入期(プレ支援)、退院準備期、地域移行期、そして退院後の地域定着期を経て、一人ひとりの経過を見守る支援を提供します] [地域活動支援センター、ピアサポーター、グループホーム、区役所、医療機関、障害福祉サービス事業所、地域支援室・在宅支援室、障害者相談支援センターなどが、退院後の地域生活圏域で支援ネットワークを構築し、安心して暮らせる地域づくりを進めます] [市内全域では、保健・医療・福祉の関係者による協議の場として、「地域自立支援協議会精神障害者地域移行・地域定着支援部会」を開催し、ピアサポーター・精神科病院・障害者相談支援センター・グループホーム・区地域みまもり支援センター・総合リハビリテーション推進センター・地域支援室・在宅支援室・障害者支援施設・中部地域生活支援センター等が連携することで、地域支援体制をバックアップするとともに、市内の更なる体制整備に向けて検討を進めます] [図の説明終わり] [123ページ] ≪心神喪失者等医療観察法対象者への支援≫ ①現状(これまでの取組) ●心神喪失者等医療観察法の対象者に対し、地域移行に向けた様々な支援を実施しています。 ●保護観察所、指定通院医療機関と定例の会議を実施するなど、関係機関との連携を強化するための取組を推進しています。 ②ニーズ・課題 ●心神喪失者等医療観察法の対象者への対応は、人権への配慮や地域社会との関係等を考慮しつつ、障害特性に応じた丁寧な支援が必要です。 ③今後の取組 ●心神喪失者等医療観察法の対象者に対して適切な支援を行うため、保護観察所などの関係機関との連携を強化しながら、退院後における生活環境の調整、指定通院機関の確保、各種制度の普及啓発など、必要な取組を引き続き推進します。 (図) 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)の仕組み [心神喪失等で重大な他害行為を行った者に対して、継続的かつ適切な医療並びにその確保のために必要な観察及び指導を行うことによって、病状の改善及び同様の行為の再発防止を図り、その社会復帰を促進するよう、対象者の処遇を決定する手続きなどを定めるものです] [検察官による申立てにより、地方裁判所による決定などを経て、指定入院医療機関や指定通院医療機関などで必要な医療を提供しています] [図の説明終わり] [124ページ] 施策3 子どもの育ちに応じた切れ目のない支援体制の充実 <現状と課題> ●障害のある子どもに対する支援は、持てる能力や可能性を伸ばしていけるような支援をしていくという意味では障害のない子どもに対する支援と同じであり、できる限り家庭内や身近な地域で様々な子どもとふれあいながら育てられるよう、家庭への支援と一体的に行うとともに、関係機関が連携しながら取り組む必要があります。 ●医療技術の進歩や障害に対する理解の深まりに伴い、障害児として診断・判定される子どもが大幅に増えており、障害児に対する支援ニーズは増加・多様化しています。 ●平成30(2018)年の児童福祉法の改正などを踏まえ、障害児の支援ニーズに対してきめ細やかな対応が求められていることから、障害の特性や子どもの育ちの状態に応じた切れ目のない包括的な支援体制を構築する必要があります。 <対応の方向性> ●障害の特性や育ちの段階(ライフステージ)に応じた適切な支援を切れ目なく提供できるよう、障害福祉のみならず、保健、医療、保育、教育、就労支援などの関係機関が連携をとりながら、包括的な支援体制を構築します。 ●障害児に対する相談支援体制の再構築に取り組むなど、増加・多様化する障害児支援ニーズに対応するための取組を推進します。 ●小・中学校、高校、特別支援学校などの学びの場において、障害の状態や教育的ニーズに応じたきめ細やかな相談や指導を行うなど、必要な支援を行います。 学校などの学びの場に望むこと(複数回答) (グラフ) 全体 549人 能力や障害の状態に応じた指導をしてほしい 61.4% 障害特性の理解と支援 45.9% 療育指導(理学療法、言語や難聴指導など)が受けられるようにしてほしい 33.5% まわりの子どもたちの理解を深めるような交流の機会を増やしてほしい 29.5% 教員・職員を増やしてほしい 27.9% 相談体制を充実してほしい 21.3% 施設、設備、教材を充実してほしい 17.3% 通常の学校での支援促進 15.7% 障害を理由としたいじめや不登校等の対応 12.4% 医療的ケア(導尿、経管栄養、痰の吸引など)が受けられるようにしてほしい 6.2% 通常の学級への受け入れを進めてほしい 5.8% 児童支援コーディネーターの増員 5.8% 通級指導教室を増やしてほしい 2.7% 特に望むことはない 2.4% 資料:川崎市障害のある方の生活ニーズ調査(令和元(2019)年度) [125ページ] 1 相談支援体制 ≪地域療育センターの充実≫ ①現状(これまでの取組) ●地域療育センターは、児童福祉法において、「児童発達支援センター」の機能を有する施設として位置付けられ、障害のある子どもや発達に心配のある子どもの地域生活の充実に向けて、相談支援を基軸として各種サービスの利用支援を行うとともに、家庭や保育所、幼稚園、学校等の関係機関に対する療育支援機能を果たしながら、子どもと家庭に対する総合的なマネジメント機能を有する専門機関です。 <地域療育センターの設置状況> ※令和3(2021)年2月1日時点 (表) [以下、施設名 所在地 担当区の順] 南部地域療育センター 川崎区中島3-3-1 川崎・幸 中央療育センター 中原区井田3-16-1 中原・高津 川崎西部地域療育センター 宮前区平2-6-1 宮前・多摩 北部地域療育センター 麻生区片平5-26-1 麻生・多摩 ②ニーズ・課題 ●医療技術の進歩や障害に対する理解の深まりに伴い、障害児として診断・判定される子どもが大幅に増加しています。 ●こうしたことから、障害児支援の専門機関である地域療育センターに非常に多くの相談が寄せられており、評価・判定部門における待機期間の長期化や、保育所や学校等に対する地域支援機能の低下など、センターとしての機能が十分に発揮できていない状況です。 ③今後の取組 ●新規相談が増加している軽度・要観察の知的・発達障害のある児童に対しては、子ども発達・相談センターを整備することで、生活状況の把握や心理評価、行動観察等を実施し、地域療育センターと業務を整理するとともに連携を図りながら、日常的に児童と接している保育所や幼稚園、学校等の関係機関に対する支援の充実に取り組みます。 ●適切な環境において、専門性を踏まえた濃密な関わりや支援が必要となる中重度の児童に対しては、地域療育センターを中心に適切な療育を行います。 [126ページ] ≪障害児相談支援の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●障害のある児童が通所サービスや障害者総合支援法による居宅介護等のサービス等を利用する場合、指定障害児相談支援事業者や指定特定相談支援事業者(※)が、支給決定の根拠となるサービス等利用計画(障害児支援利用計画)を作成することが必要となります。 ※令和3(2021)年2月1日時点における障害児相談支援事業所は51か所 ●また、障害児支援の専門機関である地域療育センターにおいても、障害児支援利用計画の作成を行っています。 ②ニーズ・課題 ●障害児福祉サービスの利用希望者が増加している一方で、障害児支援に対応した指定特定相談支援事業者が少なく、障害児支援利用計画が作成されないケース利用者が生じています。また、地域療育センターにおける計画作成数も増加しており、業務に負荷がかかっています。 ●各区地域みまもり支援センターがセルフプランの作成支援を行っていますが、児童の障害状況の把握や事業所との調整など、きめ細かく対応することが難しくなっています。 ●幼児期から学齢期、学齢期から成人期など、ライフステージが変化した場合でも、継続的・安定的に相談支援を提供していく必要があります。 ③今後の取組 ●身近な地域で必要な時に安心して相談支援が受けられるよう、特に調整が難しい訪問系サービスの利用者に適切な支給決定が行えるように努めながら、障害児相談支援の効率化と支援の充実に向けた取組を推進します。 ●障害児相談支援の供給量が十分確保できるまでの間の対策として、セルフプランに基づくサービス利用援助を行えるよう、必要な取組を推進します。 ●ライフステージの移行期において、支援機関間の連携を確保し、切れ目のない相談支援が可能となるよう、支援体制の検討・構築に取り組みます。 総合的な相談窓口機能の充実(再掲)(94ページ参照) 発達相談支援センターによる支援(再掲)(100ページ参照) [127ページ] 2 療育支援体制 ≪療育支援の提供≫ ①現状(これまでの取組) ●0歳から18歳までの、障害がある、又は障害が疑われる子どもや家族への総合的・継続的な相談・療育を行う専門的な支援機関として、地域療育センターを市内4か所設置しています。 ●児童発達支援事業、医療型児童発達支援事業、放課後等デイサービス事業、保育所等訪問支援事業、障害者総合支援法に基づく日中一時支援(障害児・者一時預かり)など、身近な地域で発達段階に応じた療育支援に取り組んでいます。 ●平成27(2015)年に定められた国の「障害児への支援の基本的事項や職員の専門性の確保等を定めたガイドライン」を踏まえ、「川崎市版放課後等デイサービスガイドライン」を平成30(2018)年に策定しました。 <事業所数> ※令和3(2021)年2月1日時点 (表) 児童発達支援事業 104か所 医療型児童発達支援事業(地域療育センターのみ) 4か所 放課後等デイサービス事業 155か所 保育所等訪問支援事業 10か所 日中一時支援(障害児・者一時預かり)事業 26か所 ②ニーズ・課題 ●子どもの発達の状態や支援ニーズに応じた多様な療育支援を行うため、引き続き、児童発達支援事業、医療型児童発達支援事業、放課後等デイサービス事業、保育所等訪問支援事業、日中一時支援(障害児・者一時預かり)などのサービスを安定的に提供する体制を確保する必要があります。 ●障害児通所支援事業所は増加傾向にあるため、支援の質の標準化と向上を図る観点から、事業所への効果的な助言・指導方法を検討する必要があります。 ③今後の取組 ●引き続き、総合的なマネジメント機能を有する専門機関である地域療育センターとも連携しながら、児童発達支援事業、医療型児童発達支援事業、放課後等デイサービス事業、保育所等訪問支援事業、日中一時支援(障害児・者一時預かり)を実施するなど、子どもの発達の状態や支援ニーズに応じた多様な療育支援を行います。 ●「川崎市版放課後等デイサービスガイドライン」を活用するなど、各種サービスを提供する事業所の運営について適切に助言・指導することで、支援の質の標準化と向上に努めます。 [128ページ] ≪障害児入所施設による支援≫ ①現状(これまでの取組) ●障害児入所施設としては、「福祉型障害児入所施設」(中央療育センター・定員50人)と「医療型障害児入所施設」(ソレイユ川崎・定員100人)があり、重度・重複障害のある障害児や被虐待児など、障害の状況や保護者等の諸事情により家庭での生活が難しい障害のある子どもに対し、様々なニーズに対応した専門的機能の強化を図りながら、入所による日常生活上の支援を提供しています。 ②ニーズ・課題 ●障害の状況や保護者等の諸事情により家庭での生活が難しい障害のある子どもの生活の場を確保するため、引き続き、障害児入所施設による支援を行う必要があります。 ③今後の取組 ●引き続き、中央療育センター及びソレイユ川崎において、日常生活上の支援を提供するとともに、中央療育センターでは、18歳以降の生活の場の選択に向けた地域移行支援の取組を推進します。 ≪短期入所による在宅支援(再掲)(111ページ参照)≫ [129ページ] 3 関係機関との連携 ≪障害児支援ネットワークの連携強化≫ ①現状(これまでの取組) ●地域において障害児の「育ち」を支援していくため、各区地域みまもり支援センター、児童相談所、地域療育センターなど、福祉、保健、医療、保育、教育、さらには就労などの関係機関が連携し、地域自立支援協議会をはじめ、発達障害者支援地域連絡調整会議や医療的ケア児連絡調整会議を通じて障害児の支援体制の強化とネットワークの構築を図っています。 ②ニーズ・課題 ●入学や進学、卒業など、ライフステージの変化に伴い、支援を中心的に行う者が変わることにより、支援の一貫性が途切れてしまう等の課題があるため、育ちの段階に応じた切れ目のない支援を提供できるようにする必要があります。 ③今後の取組 ●児童が成長していくにつれて、育ちの場も関わる人も変わっていくことになりますが、乳幼児期、学齢期、青年期から成年に至るまで、一貫した支援が行われるよう、ライフステージに応じた切れ目のない支援体制を構築するとともに、関係機関の緊密な連携をより一層強化します。 [130ページ] ≪乳幼児健康診査事業及び検査事業の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●平成28(2016)年度に母子保健事業の再構築を行い、3か月健診を各医療機関で個別実施するなど、個々の健診内容の見直し・充実を行いました。 ●平成29(2017)年度に先天性代謝異常等検査の見直しを行い、対象疾病を19種から20種へ変更しました。 ●母子保健情報管理システムの稼働により未受診者の早期把握が可能となったことから、各種健康診査事業の受診率向上のため、積極的な受診勧奨を行っています。 ●医療機関や地域療育センター等との連携を深め、支援の必要な家庭の早期発見及び相談支援の充実に向けた取組を推進しています。 ②ニーズ・課題 ●乳幼児の発達状態を確かめるなど、支援が必要な家庭を早期に発見するため、引き続き、各種健康診査事業を実施し、その充実に努めるとともに、健診受診率の向上のため、母子保健情報管理システムを活用しながら、未受診者に対して電話・文書・訪問等により積極的なフォローを行う必要があります。 ●健診において把握した支援の必要な家庭を早期の療育支援・治療につなげるため、職員が子どもの発達や発育についての十分な知識を得るとともに、医療機関や地域療育センター等との連携を深める必要があります。 ③今後の取組 ●妊娠期の健康や乳幼児の成長発達の状態を確かめ、子育ての悩みなどの相談を受ける機会を確保するため、各種健康診査事業を引き続き実施し、受診率の向上を図るとともに、支援の必要な家庭への相談支援体制の充実に努めます。 ●疾病や障害を早期に発見し治療や療育につなげることで障害の重症化等を防ぐことができる先天性代謝異常等検査や視聴覚検診等について充実を図ります。 ●子どもの発達や発育について担当職員への研修等を通じた情報提供を行うとともに、医療機関や地域療育センター等との連携を深めることで、各種健診において把握した支援の必要な家庭を早期の療育・治療につなげるよう努めます。 [131ページ] ≪障害の発見から療育支援までの連携強化≫ ①現状(これまでの取組) ●各種健康診査や医療診断等によって発見された障害の疑いのある子どもに対し、地域療育センターにおいてできるだけ早期から家族に対する相談、医学的検査・診断等の支援を行うことにより、保護者等が安心して主体的な育児ができるよう、関係機関の連携を促進しています。 ②ニーズ・課題 ●各区地域みまもり支援センターで行っている乳幼児健診などを通じて地域療育センターに紹介した子どもが、円滑に専門的相談、検査、療育を受けられるよう、各区地域みまもり支援センターと地域療育センターが協力し、子どもに関する情報の共有や保護者への支援を行うことが必要です。 ③今後の取組 ●各種健康診査事業等との円滑な情報の連携を図りながら、精神発達面や育児面で気になる児童を、支援ニーズに応じて、児童や保護者に寄り添いながら着実に地域療育センターなどの専門機関につなぐことで、早期療育及び早期治療に取り組みます。 [132ページ] ≪保育所や幼稚園との連携強化≫ ①現状(これまでの取組) ●地域の子どもたちと共に育つ観点から、保育相談員や幼児教育相談員を配置し、身近な場所で専門的な相談と支援を必要とする児童に対して多様な療育を提供できるよう、支援体制の整備を進めています。 ●保育所や幼稚園の職員を対象にした「発達相談支援コーディネーター養成研修」を実施しており、児童の発達とその支援に関する知識の習得や、関係機関との調整を適切に行う人材の養成に努めています。 <巡回相談・発達相談の実績> ※令和元(2019)年度の実績 (表) 巡回相談 202回 発達相談 190回 <発達相談支援コーディネーター養成研修の実績> (表) 平成28(2016)年度 124名修了 平成29(2017)年度 133名修了 平成30(2018)年度 109名修了 令和元(2019)年度 123名修了 ②ニーズ・課題 ●令和2(2020)年2月に行った調査結果では、発達相談支援コーディネーターを配置している幼稚園は全体の50.9%、保育所は60.5%であったため、各園に1名ずつ配置できるよう、引き続き、発達相談支援コーディネーター養成研修の周知と充実が必要です。 ③今後の取組 ●保育所や幼稚園における統合保育・教育の一層の充実を図り、障害のある児童と家庭への支援を進めるため、地域療育センターを中心として、関係する教育機関や医療機関等との連携の強化に努めます。 ●保育所や幼稚園の職員を対象として発達相談支援コーディネーター養成研修を実施し、その配置を進めることで、発達障害のある児童とその家族への支援の充実を図るとともに、園内や地域での支援体制の構築に努めます。 ●保育所等訪問支援等を実施し、保育所等における障害児の受け入れを支援します。 [133ページ] 4 教育環境・教育活動 ≪就学相談の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●総合教育センター内の特別支援教育センター相談室を窓口として、地域療育センターと綿密に連携しながら、特別な教育的支援が必要な次年時就学幼児について、就学説明会や保護者との相談を実施しています。 ●就学説明会の資料等をインターネット上で配布するなど、工夫改善の取組を進めるとともに、子どもの教育的ニーズを把握するため、就学相談の方法を整備しました。 ●教育用サポートノートについて、学習指導要領の改訂に併せて必要な見直しを行うとともに、保護者と小学校との連携に活用しています。 ②ニーズ・課題 ●就学相談件数が増加しており、就学先に関する円滑な合意形成に向けての体制を整備する必要があります。 ●かわさきサポートノートの作成と活用については、関係機関との連携調整が必要となっています。 ●教育用サポートノートについて、より使いやすい書式や使い方の周知が必要となっています。 ③今後の取組 ●引き続き、総合教育センター内の特別支援教育センター相談室を窓口として、特別な教育的支援が必要な次年時就学幼児の就学相談を行います。相談の中では、子どもの教育的ニーズを把握するとともに保護者の意見を傾聴し、専門家の意見や学校・地域の状況を踏まえて、本人・保護者の意見を最大限尊重しながら、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則として、学びの場を決定します。 ●円滑な合意形成に向けて、地域療育センターや幼稚園・保育所と連携し、子どもの行動観察を様々な場面で行い、子どもの教育的ニーズを更に的確に把握するよう努めます。併せて、保護者との相談において、福祉や医療等と連携し、より丁寧な情報収集と情報提供に努めます。 ●福祉や医療等に関わる幼児の就学相談について、他機関との連携を円滑に進めるためのサポートノート(かわさきサポートノート、教育用サポートノート)の活用を一層推進します。 [134ページ] ≪特別な教育的ニーズのある児童生徒への支援≫ ①現状(これまでの取組) ●小学校においては、平成24(2012)年度より、障害の有無に関わらず、教育的ニーズのある全ての児童を対象とした支援活動を推進するため、特別支援教育コーディネーターの機能を拡充し、「児童支援コーディネーター」と名称を改め、専任化を図っており、平成29(2017)年度には全校で専任化しました。課題の改善率の上昇、いじめの認知件数の上昇、支援の未実施率の低下、個別の指導計画の作成数や支援会議回数の増加等、様々な効果が確認されています。 ●中学校においては、平成28(2016)年度より、教育的ニーズのある生徒への支援を更に充実させるため、特別支援教育コーディネーターが課業時間内に業務に専念できる時間を確保し、コーディネーター業務を補完するための週15時間の後追い非常勤講師を配置しています。コーディネーターが生徒指導担当者と協働し、個別の支援の充実を図ることで、不登校など、全ての教育的ニーズのある生徒を対象とした校内支援体制の構築をめざしています。 ●教育委員会事務局と健康福祉局が連携し、障害のある子どもやその保護者が地域で切れ目なく支援が受けられるよう、学校と放課後等デイサービス及び保育所等訪問支援事業所との相互理解の促進について検討を行い、令和2(2020)年3月に「障害児通所支援事業所と学校との連携の基本的な考え方」をまとめました。 ②ニーズ・課題 ●小・中学校における教育的ニーズのある児童生徒数は増加傾向にあり、全ての校種において、特別支援教育の重要性がますます高まっています。 ●教育的ニーズも多様化し、従来の発達に関わる教育的ニーズに加え、社会的環境の急速な変化から、いじめ、不登校、家庭の貧困、外国につながりのある児童生徒の増加など、家庭との連携が必要なケースが増加しており、コーディネーター業務も大きく変化しています。 ●児童生徒の発達の課題に加えて、社会情勢の急激な変化、家庭や家族のあり方、コミュニケーション手段の変化、価値観の多様化など、複数の変数が関与していることが想定されるため、単純にその背景を特定することはできませんが、増加し、課題が重複化していく児童生徒の教育的ニーズに対して、どのような体制整備が求められるのか十分な検討が必要です。 ●障害児通所支援事業所に関するコーディネーターの認知度は、放課後等デイサービスへの理解は小学校77%、特別支援学校99%であったのに対し、保育所等訪問支援事業への理解は小学校18%、特別支援学校34%と著しく低い状況(※)でした。 ※令和元(2019)年度に実施した調査における数値です。 ③今後の取組 ●増加・多様化する教育的ニーズを踏まえ、児童生徒の状態に応じた適切な支援を提供するため、引き続き、児童支援コーディネーターや特別支援教育コーディネーター等を中心とした取組を推進します。 ●中学校校内支援体制構築推進会議を実施するなど、中学校での校内支援体制の構築に向けた取組を継続し、効果検証を行います。 ●教育と福祉の連携について、学校と障害児通所支援事業所との連携の好事例の収集や、児童支援コーディネーター及び特別支援教育コーディネーターへの福祉制度の情報提供などの取組を推進します。  [135ページ] ≪特別支援学校及び特別支援学級等における支援≫ ①現状(これまでの取組) ●特別支援学校は、平成19(2007)年4月施行の学校教育法等の一部改正により、地域の小・中・高等学校等に対する特別支援教育のセンター的機能を持った学校としても位置付けられたことから、その専門性を生かし、公開研修会の開催、専門性の高い教員によるアドバイス、教材の貸出など、地域の特別支援教育に関する支援ネットワークを構築しています。 ●特別支援学校の専門性を地域支援に活用するため、特別支援学校センター的機能担当者を配置し、療育手帳A判定、身体障害者手帳(肢体不自由)1種1級判定の児童生徒が在籍する特別支援学級や難聴特別支援学級の担任等に対し、専門的かつ具体的な助言を行うための計画巡回訪問支援を実施しています。 ●市立特別支援学校に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を配置し、自立活動に対する教員への具体的な助言を行うとともに、必要に応じて、特別支援学校センター的機能担当者による市立小・中学校特別支援学級への巡回訪問にも同行しています。 ●市立小・中学校特別支援学級の担任に対する専門的な助言を行うため、県立特別支援学校や障害者更生相談所の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による要請訪問の活用も実施しています。 ●市立聾学校の聴覚支援センターとしての役割を活用し、乳幼児及び保護者を対象として、早期の発見、気付きのために乳幼児相談を実施しています。 ②ニーズ・課題 ●市立小・中学校の特別支援学級を担当する教員の中には、経験年数が浅い教員や単年度で異動してしまう教員が配置されている現状もあり、専門性の担保や支援の継続について課題があります。 ●このような教員体制の中、児童生徒の障害の状態は重度化、重複化、多様化しており、個々の教育的ニーズに対応した適切な支援をすることが大きな課題となっています。また、在籍児童生徒数は増加傾向で、一人の教員が担当する児童生徒数も増えている状況であり、学級運営についても課題となっています。 ●聴覚障害のある幼児児童生徒やその保護者に対して、早期から情報の提供や相談の実施等に取り組み、柔軟できめ細やかな対応ができる一貫した支援体制の構築が求められています。 ③今後の取組 ●特別支援学校センター的機能担当者による計画巡回訪問支援の充実を図るなど、特別支援学級において個々の教育的ニーズに対応した適切な支援を提供するための取組を引き続き推進します。 ●障害の状態や教育的ニーズに応じた子どもの学習機会を確保するため、市立及び県立特別支援学校センター的機能、地域療育センター、子ども発達・相談センター等の関係機関が相互に連携し、学校全体の指導体制の工夫やきめ細やかな対応に向けた取組を引き続き推進します。 ●市立聾学校の聴覚支援センターとしての役割を活用し、乳幼児段階での相談等の支援を実施するなど、関係機関と連携しながら適切な就学へとつなげ、切れ目のない支援体制の構築を図ります。 ●障害のある子どもの自立と社会参加に向けて、連続性のある多様な学びの場を用意していくとともに、インクルーシブ教育システムの構築を推進します。また、一人ひとりの教育的ニーズに適切に対応できる教育環境の整備が重要であるため、今後も特別支援学校の設置義務者である県との連携を図りながらより一層の充実に努めます。 ●今後も、学校現場におけるニーズを踏まえ、庁内関係部局と連携を図りながら、必要となる支援人材の確保など、よりよい教育環境の整備に向けた取組を推進します。  [136ページ] ≪教員の専門性の向上≫ ①現状(これまでの取組) ●特別支援教育に関わる教員の専門的な知識と指導力の向上に向け、特別支援学級等新担任者研修、特別支援学級等新担任者2年目研修、通級指導教室新担当者等研修、特別支援学校採用枠教員研修などを体系的に実施しており、特別支援学校や通級指導教室が実施する研修とも連携しています。 ●特別支援教育コーディネーター養成研修等を学校種別にあわせて見直すとともに、「コーディネーター必携」「特別支援学級担任のためのハンドブック」を改訂しました。 ●特別支援学校及び通級指導教室のセンター的機能担当教員が計画巡回し、教員の対応力の向上に向けた支援を行っています。 ②ニーズ・課題 ●特別な教育的支援が必要な児童生徒は増加傾向にあることから、児童生徒の状況に応じた適切な支援を行うため、教員の対応力を更に向上する必要があります。 ●庁内関係部局との研修の相互乗り入れの促進について、引続き検討する必要があります。 ③今後の取組 ●特別支援教育に関わる教員の専門的な知識と指導力の向上を図るため、各種研修等を引き続き実施するとともに、その内容や方法の見直しに向けた検討を進めます。 ●学校の校内研修を支援するため、研修資料を校務用イントラネット(サインズ)で配信するなど、工夫改善に向けた取組を推進します。 ●特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室等において、ICTを有効活用した学習について研究を進めます。 [137ページ] ≪特別支援学校高等部の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●平成26(2014)年度の田島支援学校再編整備に伴い、特別支援学校高等部の受入枠を拡充しました。 ●特別支援学校高等部(知的障害教育部門)の受入枠拡充のため、平成29(2017)年度から、市立聾学校内にある市立中央支援学校分教室の入学者数を拡充しました。 ●適切な就学に向けて、県立特別支援学校との通学地域の確認を行うなど、神奈川県教育委員会との連携を図っています。 ②ニーズ・課題 ●特別支援学校高等部(知的障害教育部門)に進学を希望する生徒数は増加傾向となっています。また、小・中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒も増加していることから、今後も特別支援学校高等部(知的障害教育部門)に進学を希望する生徒数は増加する見込みです。 ●例年、各特別支援学校及び分教室について、卒業者数と志願者数を把握し、募集人数を設定していますが、現状では十分な受入枠があるとはいえません。 ●特別支援学校高等部については、本市独自の取組でこれまでも対応してきましたが、今後の特別支援学校高等部(知的障害教育部門)への進学希望生徒数の増加に対応するため、県と連携を図りながら、受入枠の拡充と施設整備を進めることが必要となっています。 ③今後の取組 ●特別支援学校高等部(知的障害教育部門)への進学希望者の増加に対応するため、神奈川県教育委員会と連携・協議を行い、教育内容に適した希望者を受け入れるための中学校での適切な進路指導のあり方や、教室環境の整備などについて検討します。 [138ページ] ≪高等学校での特別支援教育の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●高等学校においても、小・中学校と同様に発達障害をはじめとする多様な教育的ニーズのある生徒が在籍していることから、平成29(2017)年度より、学校生活上の介助や支援等、対象生徒に対して直接支援を行う特別支援教育サポーターを配置しています。 ●平成27(2015)年度及び平成28(2016)年度に、市立高等学校における特別支援教育を推進するための検討委員会を開催し、高等学校における特別支援教育の体制整備や必要な支援人材などについて検討しました。検討会議の報告を受けて、高等学校における支援体制が更に充実するに伴い、高等学校支援員に求められる役割が新たに追加され、平成29(2017)年度より、高等学校支援員の巡回による個別の指導計画の作成支援等を実施するとともに、高等学校の特別支援教育コーディネーターに対し、個別の指導計画に基づく一人ひとりの教育的ニーズに応じた進路情報の提供や進路先への引継ぎの必要性などを発信しています。 ②ニーズ・課題 ●中学校と高等学校との連携については、市立高等学校の特別支援教育コーディネーターと中学校との連携は一定程度進んでいますが、県立特別支援学校と市立中学校との支援の引継ぎについて課題があります。 ●定時制には様々な教育的ニーズがある生徒が多く在籍しているため、一人ひとりに応じた学び直しの機会やキャリアサポートなど、支援体制のあり方を検討していくことが必要です。 ③今後の取組 ●引き続き、高等学校において特別支援教育サポーターを配置し、多様な教育的ニーズのある生徒に対する適切な支援を行います。 ●市立高等学校の特別支援教育コーディネーターと中学校との連携を推進するとともに、県立特別支援学校と市立中学校との連携の方策等について検討します。 ●定時制においては、各学校の実情に応じた校内支援体制のあり方を幅広い視点から検討します。 [139ページ] 5 進路支援 ≪職業教育・進路相談等の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●中学校における職業体験、特別支援学校中学部における職場見学、田島支援学校内に設置されたベーカリーにおける職場体験を実施するなど、卒業後の社会生活を見据え、系統的な「キャリア在り方生き方教育」を行っています。 ●田島支援学校高等部において生徒の教育的ニーズに応じて5コース制を実施するなど、生徒の状況に応じた進路支援のあり方について検討しています。 ●特別支援学校の保護者に対し、高等部卒業後の進路について情報提供を行うとともに、進路学習会を実施しています。 ●企業就労した卒業生に対して、就労支援員が職場訪問し、定着のための支援を行っています。 ②ニーズ・課題 ●特別支援学校高等部卒業後の進路先の決定にあたり、各学校での年間進路指導計画に基づくきめ細やかな進路指導や、保護者向けの学習会等を含め、進路指導の充実と適切な情報提供のあり方について検討する必要があります。 ●各学校における、小学部段階から高等部における系統的なキャリア教育等の視点を持った職業教育や進路相談のあり方について、検討する必要があります。 ●特別支援学校高等部卒業後に自立した生活や社会参加ができるよう、就労支援機関やスクールソーシャルワーカーなど、福祉分野と教育分野の連携を強化するとともに、切れ目のない支援のあり方などを検討する必要があります。 ③今後の取組 ●特別支援学校では、働く意欲や職業に関する知識や技能、態度などを育てる指導を重視しており、教育課程の編成においては、幼稚部や小学部からの系統的な「キャリア在り方生き方教育」の充実に取り組むとともに、発達が進むにつれて作業学習や産業現場等での実習などの実践的な経験を広げ、将来の職業生活に必要な知識、技能、態度を育てていく授業を行うなどの卒業後の社会生活を踏まえた取組を引き続き推進します。また、福祉・労働分野などの関係機関と連携し、個別の移行支援計画の普及に取り組みます。 ●卒業後に就労や生活面において外部相談機関と連携が図れるよう、在学時の進路指導の充実を図ります。 ●大学や短大等への入学を希望する方への情報提供を行うとともに、大学・短大等に対しては、障害特性に配慮した環境整備や支援方法、合理的配慮の提供などについて、就労支援機関やスクールソーシャルワーカーとともに、必要に応じて相談・助言等を行います。 [140ページ] 6 放課後等の支援 ≪地域における放課後等の支援≫ ①現状(これまでの取組) ●児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進するとともに情操を豊かにし、もって児童の健全な育成を図るため、こども文化センター等を設置しており、令和2(2020)年8月に小杉こども文化センターを新たに開館しました。 ●児童が通い慣れている小学校施設を活用してわくわくプラザ事業を実施することで、児童の放課後等の居場所づくりを支援するとともに、地域の人々と関わりながら健全な遊びを楽しみ、児童も大人も共に育ち合う場を提供することで、子どもの生きる力や創造性豊かな心、共感する心を育むよう支援しています。 ●わくわくプラザ終了後、保護者の就労等により午後6時までに児童のお迎えが困難な場合に、わくわくプラザ室において、児童の居場所及び安全を確保する子育て支援・わくわくプラザ事業を午後7時まで実施しています。 ●令和元(2019)年度より、わくわくプラザ事業の長期休業期間等における平日朝の開室時間を30分早めて午前8時からに変更するとともに、平成31(2019)年4月に小杉小学校わくわくプラザを開設しました。 <各施設の設置状況> ※令和3(2021)年2月1日時点 (表) こども文化センター等 59館 わくわくプラザ 114か所 ②ニーズ・課題 ●市内59か所のこども文化センター等において、引き続き、青少年の健全育成事業を実施するとともに、多世代が相互に交流することにより、子どもたちが互いに支え合うことを学びながら育ち、地域の一員として主体的に活動していく力を培うための環境づくりを推進していく必要があります。 ●利用者が増加しているわくわくプラザにおいて、引き続き、放課後や長期休業期間における児童の安全・安心な居場所づくりの充実に取り組む必要があります。 ③今後の取組 ●こども文化センター等において、引き続き、青少年の健全育成事業を実施するとともに、子どもたちが地域の一員として主体的に活動していく力を培うための環境づくりを進めるため、乳幼児を持つ親子、小学生、中高生や高齢者まで、多世代が相互に交流できるよう必要な取組を推進します。 ●わくわくプラザにおいて、学校や家庭、地域と連携しながら、子育て家庭のニーズを踏まえた事業の充実を図るとともに、職員の質の向上や、児童が学び、育つためのよりよい環境づくりを進めます。 [141ページ] ≪障害のある児童への放課後等の支援≫ ①現状(これまでの取組) ●放課後や夏休みなどの長期休暇中において、障害のある児童の生活能力向上のための訓練等を継続的に提供することにより、学校教育と相まって障害のある児童の自立を促進するとともに、放課後等の居場所づくりを推進するため、放課後等デイサービス事業を実施しています。 ●障害のある方がニーズに応じて柔軟に利用できる場を確保するとともに、家族が一時的に休息できるようにするため、日中一時支援事業(障害児・者一時預かり)を実施しています。 <事業所数> ※令和3(2021)年2月1日時点 (表) 放課後等デイサービス事業 155か所 日中一時支援(障害児・者一時預かり) 26か所 ②ニーズ・課題 ●放課後や夏休みなどの長期休暇中においても、発達段階に応じた支援を提供できるよう、その環境づくりを推進していく必要があります。 ③今後の取組 ●引き続き、放課後等デイサービス事業や日中一時支援事業を実施し、学校教育と相まって障害児の自立を促進するとともに、放課後等の居場所づくりを推進します。 [142ページ] 7 家庭や地域活動への支援 ≪障害児の家族や保護者に対する支援≫ ①現状(これまでの取組) ●障害のある方が地域で安心して生活するためには、地域において家族を含めた支援を行うことが必要です。 ●特に子どもの場合は、家族との関係性の中で育つ重要な時期であることから、保護者への相談・支援、心理的なケアやカウンセリング、養育支援、保護者同士の交流、兄弟姉妹への支援、レスパイト等の支援を充実するための取組を進めています。 ②ニーズ・課題 ●障害児本人への支援とあわせて、保護者に寄り添った支援が大変重要であることから、関係機関が連携し、育児不安等の解消や早期発達支援等を目的として、療育的視点を持つ親子活動の場の提供や子育て広場等を積極的に開催していく必要があります。 ●ファミリーサポート事業については、現在の利用状況や利用者ニーズ、類似する他制度の状況などを踏まえて、見直しを検討する必要があります。 ③今後の取組 ●障害児の保護者に対しては、特性に合ったかかわり方など、様々な不安や疑問を子育ての中で抱えていることから、保護者同士が交流できる場を確保することや、ペアレントメンターや効果的な子育てプログラムを身に付けるペアレントトレーニング等、保護者への有効な支援策について検討を進め、障害児本人とその保護者が地域で安心して暮らせるよう取り組みます。 [143ページ] ≪地域の子育てグループなどへの専門的支援≫ ①現状(これまでの取組) ●成長や発達段階に応じた専門的な相談や支援を必要とする子どもや保護者が、地域の子育てグループに安心して気軽に参加できるよう、各区地域みまもり支援センターが地域療育センターと連携しながら支援するとともに、それらを主催する団体との連携を図っています。 ②ニーズ・課題 ●専門的な相談や支援を必要とする子どもや保護者に対して、効果的な支援を行うため、引き続き、地域療育センターなどと連携しながら、地域の子育てグループの支援に取り組む必要があります。 ③今後の取組 ●成長や発達段階に応じた専門的な相談や支援を必要とする子どもや保護者が地域の子育てグループに安心して気軽に参加できるよう、引き続き、これらの子どもや保護者が参加する地域の子育てグループなどの活動状況を把握するとともに、地域療育センターなどとも連携しながら、グループの支援や主催団体との連携強化に向けた取組を進めます。 ≪子育てに関する自主的地域活動への支援≫ ①現状(これまでの取組) ●少子化や核家族化の進行、地域社会の変化など、子どもや子育てをめぐる環境が大きく変化する中で、家庭や地域における子育て機能の低下や、子育て中の親の孤独感や不安感の増大等に対応するため、地域において子育て親子の交流等を促進し、子育ての不安感等の緩和や、子どもの健やかな育ちを支援することを目的として、地域子育て支援センター事業を実施しています。 ●こども文化センター等では、乳幼児グループの支援・育成や、乳幼児親子の集いの場の提供などを行っており、令和2(2020)年8月に小杉こども文化センターを新たに開館しました。 <各施設の設置状況> ※令和3(2021)年2月1日時点 (表) 地域子育て支援センター 53か所 こども文化センター等 59館 ②ニーズ・課題 ●子育て情報の提供、相談支援等の実施にあたっては、子育て世代が育児に対してどのような不安を感じているのか、どのような支援を求めているかなどの現状を把握しながら、子育てニーズの多様化に対応し、子育ての不安解消に向けた取組を推進する必要があります。 ③今後の取組 ●引き続き、地域子育て支援センターやこども文化センター等において、子育て情報の提供や相談支援、子育て親子の交流など、子育ての不安解消に向けた取組を推進します。  [144ページ] 施策4 多様な住まい方と場の確保 <現状と課題> ●介護の負担軽減や地域生活への移行などの観点から、障害のある方が暮らしやすい住まいの確保や、入居しやすい環境づくりなどが必要となっています。 ●高齢化の進展に伴い、障害のある方自身が高齢となる場合や、加齢により要介護状態となって障害者手帳を取得する場合など、高齢障害者が増加しています。 ●高齢障害者や重度・重複障害等にも対応する多様な住まい方を実現するため、多様なニーズに対応できる住まいの場を安定的に確保することが求められています。 ●入所施設で生活する方の中には、自宅やグループホームなど、地域での生活を希望する方がいるため、地域生活への移行を進めるための支援が必要となっています。 <対応の方向性> ●障害のある方が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、多様なニーズに対応した住まい方を実現するための場を安定的に確保するため、グループホームなどの基盤整備や、特別養護老人ホームにおける高齢障害者の受入体制の整備などの取組を進めるとともに、障害のある方に対する多角的な居住支援を推進します。 ●入所施設からの地域移行を進めるため、入所施設向けの支援と併せて、障害のある方を受け入れる地域の受入体制の充実を図ります。 今後希望する生活【施設入所者】(2つまでの複数回答) (グラフ) 施設入所者 80人 一人で地域で生活したい 2.5% 自宅で親や親族などと生活したい 30.0% 結婚して夫婦で生活したい 2.5% グループホームで生活したい 16.3% 市内の入所施設で生活したい 61.3% 市外でも入所施設で生活したい 17.5% 老人ホームなどの高齢者の施設に入って生活したい 5.0% 病院に入院したい・入院を継続したい 1.3% 資料:川崎市障害のある方の生活ニーズ調査(令和元(2019)年度) [145ページ] 1 グループホーム ≪グループホームの基盤整備≫ ①現状(これまでの取組) ●地域での自立した住まいの場の1つとして、グループホームの設置を積極的に推進しています。 ●川崎市障害者グループホーム新築・改修事業補助金において、肢体不自由の方のためのグループホームの整備に対する補助を拡充(補助金交付額の増額)するなど、グループホームの整備に向けた支援を行っています。 ●川崎市障害者共同生活援助敷金等事業補助金や川崎市障害者共同生活援助事業運営費補助金による支援を行うことで、グループホームの安定的な運営を確保しています。 ●「住宅確保要配慮者」居住支援ガイドブックを平成30(2018)年3月に発行し、不動産のグループホームへの活用などについて、不動産事業者等の理解促進を図っています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方の増加に伴い、グループホームの利用ニーズも増加していることから、川崎市障害者グループホーム新築・改修事業補助金等を活用し、民間事業者によるグループホームの整備を促進するとともに、民間事業者により整備が進まない地域については、市有地の活用も含めながら検討していくことが求められています。 ●行動障害などの重度障害のある方に対応したグループホームの整備を進める必要があります。 ③今後の取組 ●川崎市障害者グループホーム新築・改修事業補助金等により、グループホームの整備や運営に対する支援を引き続き行うなど、グループホームの基盤整備に向けた取組を計画的に推進します。 ●行動障害などの重度障害のある方に対応したグループホームの整備を促進するため、市有地の活用も含め、その手法について検討します。 ●令和5(2023)年度を目途に、高津区の市有地を活用し、生活介護や短期入所等の機能を持ち、グループホームを併設した拠点型施設を整備します。 [146ページ] 2 入所施設 ≪施設入所支援の提供≫ ①現状(これまでの取組) ●障害者支援施設(入所施設)(※)において、主に夜間の入浴、排せつ及び食事等の介護サービスを提供し、障害のある方の生活を支援しています。 ●令和2(2020)年度に、川崎市複合福祉センター「ふくふく」(川崎区日進町5-1)において、新たに通過型の障害者支援施設(入所施設)を開設しました。 ※令和3(2021)年3月末日時点で市内6施設(定員347名) ②ニーズ・課題 ●重度障害のある方など、地域で生活することが困難な方の生活する場を確保するため、引き続き、障害者支援施設(入所施設)において生活支援を行う必要があります。 ③今後の取組 ●引き続き、障害者支援施設(入所施設)において、主に夜間の入浴、排せつ及び食事等の介護サービスを提供する体制を安定的に確保します。 [147ページ] ≪入所施設からの地域移行の促進≫ ①現状(これまでの取組) ●入所施設からの地域移行を促進し、障害のある方の地域生活を支える機能の充実を図るため、平成30(2018)年度より、生活の基盤が崩れかけた方を一定期間受け入れて生活を整える「短期入所事業」を障害者支援施設(入所施設)「井田重度障害者等生活施設(桜の風)」で実施しています。 ●地域生活への移行を促進するため、陽光ホーム(2床)において、入所施設や精神科病院等から地域生活への移行を希望する方に対して、グループホームの一時的な体験利用の機会を提供する「障害者地域生活体験事業」を実施しています。 ②ニーズ・課題 ●地域生活を希望する方が地域での暮らしを実現し、継続することができるよう、支援体制を確保する必要があります。 ●入所施設からの地域移行を進めるためには、入所施設及び地域の双方の体制強化について検討する必要があります。 ●そのため、丁寧な意思決定支援の推進、社会資源(グループホーム、相談支援など)の拡充、本人・家族・関係者の地域移行への理解の促進、支援力(専門性)の向上、障害の重度化や高齢化への対応など、入所施設からの地域移行を促進するための様々な取組を進める必要があります。 ③今後の取組 ●障害のある方が「チャレンジ・安心・選択」できるよう、地域における重層的な支援体制の構築に向け、丁寧な意思決定支援の推進、地域相談支援や自立生活援助の促進、本人・家族・関係者の地域移行への理解促進、支援力(専門性)の向上、障害の重度化・高齢化への対応など、入所施設及び地域生活を支えるサービス事業所と連携し、入所施設から地域生活への移行・定着を促進するための取組を実施します。 ●入所施設における(仮称)地域移行コーディネーターの配置や、重度障害のある方に対応したグループホーム(日中サービス支援型、行動障害対応型)の整備促進、地域移行に取り組む入所施設・グループホームに対する支援に取り組みます。 ●地域移行を希望する方などに対するグループホームの一時的な体験利用について、「障害者地域生活体験事業」を陽光ホーム(2床)において引き続き実施するとともに、その他の方法による体験機会の確保に取り組みます。 ●入所施設やグループホーム、通所事業所等の従事者に対し、意思決定支援に関する研修を実施するとともに、強度行動障害支援者養成研修について、既に実施している「基礎編」に加えて新たに「実践編」を実施します。 ●地域自立支援協議会における部会の設置等、地域移行に向けた課題を把握・共有し、その解決に向けた取組を推進するための協議の場を設けます。 ●行動障害や重度障害のある方に対応した生活介護事業所等の整備を促進するための手法などについて検討します。 ●生活の基盤に課題がある方を一定期間受け入れて生活を整える「短期入所事業」を障害者支援施設(入所施設)「井田重度障害者等生活施設(桜の風)」で引き続き実施します。  [148ページ] 川崎市における入所施設から地域生活への移行に向けた仕組み(イメージ図) (図) <丁寧な意思決定支援に基づいた、「チャレンジ・安心・選択」できる地域における重層的な支援体制を目指して> <基本的な方向性> ①丁寧な意思決定支援の推進 ②社会資源の拡充(グループホーム・相談支援など) ③地域移行に向けた理解の促進 ④支援力の向上(意思決定支援・行動障害など) ⑤障害の重度化・高齢化を踏まえた支援 <入所施設> ①(仮称)地域移行コーディネーターの配置 ②入所者・退所者への地域移行・定着支援 ③専門人材の育成 <グループホーム> ①重度障害のある方への対応 ②体験機会の確保 ③専門人材の育成 <居宅> ①地域相談支援の促進 ②自立生活援助の促進 ③生活介護事業所等の整備 [入所施設、グループホーム、居宅などの関係機関による協議の場を設置するなど、入所施設からの地域移行を促進するための連携ネットワークを構築し、支援体制の充実を図ります] [図の説明終わり] [149ページ] 3 高齢障害者への対応 ≪特別養護老人ホームにおける高齢障害者の受け入れの促進≫ ①現状(これまでの取組) ●障害者入所施設やグループホームの入所者の高齢化を踏まえ、高齢障害者のうち、特別養護老人ホームでの支援がふさわしく、かつ移行を希望する方を受け入れるための体制を整備しています。 ●令和3(2021)年4月に川崎区日進町に開設される特別養護老人ホームのうち、一部フロアには視覚障害者や聴覚障害者に配慮した設備・機能を導入します。 <これまでの整備実績> ※平成28(2016)年度以降 (表) [以下、整備時期 地区 規模の順] 平成28(2016)年4月 川崎区境町 定員の1割程度 平成31(2019)年4月 高津区久末 定員の1割程度 令和元(2019)年9月 中原区井田 定員の1割程度(※) ※障害者入所施設の入所者に加えグループホームの入居者にも対象を拡大 ②ニーズ・課題 ●障害者入所施設やグループホームの入所者の高齢化は今後も更に進んでいくことが見込まれるため、引き続き、特別養護老人ホームにおける高齢障害者の受入体制を整備する必要があります。 ●障害福祉サービスから介護保険サービスへの移行にあたり、特別養護老人ホームと障害者入所施設との連携を強化していく必要があります。 ③今後の取組 ●引き続き、高齢障害者を受け入れる特別養護老人ホームを整備することで、障害者入所施設やグループホームの入所者の高齢化への対応を図ります。 <今後の整備予定> ※令和3(2021)年2月現在 (表) [以下、整備時期 地区 規模の順] 令和3(2021)年4月(予定) 川崎区日進町 定員の1割程度 令和4(2022)年4月(予定) 高津区蟹ヶ谷 定員の1割程度 令和7(2025)年3月(予定) 多摩区長沢 定員の1割程度 ●本人や家族の意思確認を踏まえて、特別養護老人ホームと障害者入所施設との連携を強化しながら、障害者入所施設等に入所している高齢障害者の円滑な受け入れに向け、必要な取組を推進します。 [150ページ] 4 民間住宅における居住支援 ≪民間住宅への入居機会の確保≫ ①現状(これまでの取組) ●障害のある方の民間住宅への入居機会を確保するため、「川崎市居住支援制度」や「川崎市あんしん賃貸支援事業」などを実施しています。 ●川崎市居住支援協議会の相談窓口である「すまいの相談窓口」において不動産店へのマッチングを行うなど、関係機関と連携しながら、障害のある方が民間住宅に入居できる機会の拡充を図っています。 ●川崎市居住支援協議会と川崎市地域自立支援協議会の連携により、家主・不動産事業者及び支援機関等の相互理解・連携体制の強化を目的としたセミナーの開催や、事例集の作成など、実効性のある取組を実施しています。 <各事業の実績> ※令和2(2020)年3月末時点 (表) 居住支援制度協力不動産店 253店 市内あんしん賃貸住宅協力店 114店 ②ニーズ・課題 ●障害のある方が民間住宅への入居を望んでも、障害への偏見や安全上の問題などを理由に断られることもあるため、不動産事業者や家主に対する障害の理解促進と普及啓発に向けた取組が必要となっています。 ●障害のある方が一人暮らしをする際に、住まい探しや保証人を立てられないことに対する不安があるとの意見もあることから、「川崎市居住支援制度」や「すまいの相談窓口」等の利用を促進する必要があります。 ③今後の取組 ●「川崎市居住支援制度」や「川崎市あんしん賃貸支援事業」、「すまいの相談窓口」などを引き続き実施するとともに、川崎市居住支援協議会と川崎市地域自立支援協議会が連携し、障害のある方の民間住宅への入居や居住継続を支援するための体制の充実を図ります。 [151ページ] 5 公営住宅における居住支援 ≪公営住宅における住宅環境の整備≫ ①現状(これまでの取組) ●公営住宅のバリアフリー化を進めるとともに、車いす使用者向け住戸の整備を推進しています。 ●公営住宅に知的障害者用のグループホームを3か所設置しました。 ●公営住宅使用料の減免制度を実施しています。 <これまでの整備実績(公営住宅のバリアフリー化など)> ※平成27(2015)年度以降 (表) [以下、竣工年度 住宅名 新築棟数 車いす使用者向け住戸数 EV増築棟数の順] 平成27(2015)年度 南平住宅 1 0 なし 平成27(2015)年度 末長住宅 2 0 なし 平成27(2015)年度 中野島住宅 2 0 なし 平成27(2015)年度 久末住宅 1 0 なし 平成27(2015)年度 有馬第2住宅 1 0 なし 平成28(2016)年度 大島住宅 1 6 なし 平成28(2016)年度 高石住宅 1 0 なし 平成29(2017)年度 末長住宅 2 4 なし 平成29(2017)年度 中野島住宅 1 0 なし 平成29(2017)年度 南平住宅 1 2 なし 平成30(2018)年度 初山住宅 1 0 なし 平成30(2018)年度 有馬第2住宅 1 0 なし 平成30(2018)年度 久末住宅 1 4 なし 令和元(2019)年度 中野島住宅 1 0 なし 平成28(2016)年度 高山住宅 なし なし 1 平成29(2017)年度 京町耐火住宅 なし なし 1 合計17棟(8団地)、車いす使用者向け住戸は16戸、EV増築棟数は2棟(2団地) ②ニーズ・課題 ●車いす使用者向け住戸のニーズは増加傾向であり、更なる整備が求められていますが、一般住戸の供給バランスや敷地等の諸条件により難しい場合があります。 ③今後の取組 ●新築住宅については、引き続きユニバーサルデザイン仕様とするとともに、需要等に応じて車いす使用者向け住戸を整備します。 ●既存住宅の共用部分については、必要に応じて階段のスロープ化や手すりの設置を行うなど、安心で安全な住宅環境の整備を図ります。  [152ページ] 6 居住環境の向上支援 ≪居住環境に関する専門相談≫ ①現状(これまでの取組) ●障害のある方にとって暮らしやすい居住環境となるよう、障害者更生相談所、中部・北部のリハビリテーションセンター在宅支援室及びれいんぼう川崎在宅支援室において、増改築や新築等に際しての専門相談を実施しています。 ●理学療法士や作業療法士等のリハビリテーションスタッフが中心となり、地域の相談窓口の職員、在宅支援を行うホームヘルパー等の関係者、増改築等の施工業者などと連携を図りながら、多様なニーズに対する専門相談を実施しています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方が暮らしやすい居住環境の確保は、介護の負担軽減などの観点からも大変重要となっていますが、障害の多様化や障害のある方の高齢化など、様々なニーズが変化しながら継続する課題であるため、引き続き、専門職のリハビリテーションスタッフによる支援を実施していく必要があります。 ●南部リハビリテーションセンターの開設に伴い、れいんぼう川崎在宅支援室のあり方について、整理する必要があります。 ③今後の取組 ●南部・中部・北部の地域リハビリテーションセンター地域支援室・在宅支援室及びれいんぼう川崎において引き続き専門相談を実施するなど、障害のある方が暮らしやすい居住環境の確保に向けた取組を行います。 ●れいんぼう川崎在宅支援室と、3つの地域リハビリテーションセンター在宅支援室の連携について整理します。 ≪住宅改造への支援≫ ①現状(これまでの取組) ●やさしい住まい推進事業として、既存住宅の浴室やトイレなどを障害の状況に適するように改良するための費用や、階段昇降機やリフトなどの自立促進用具を取り付ける際の費用に対する助成を行っており、障害のある方の自立の促進や介助者の負担軽減などを図っています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方が住み慣れた地域で安心して生活できるようにするため、障害のある方が暮らしやすい住まいの確保に向けた取組について、引き続き推進する必要があります。 ③今後の取組 ●やさしい住まい推進事業による費用助成を継続するなど、暮らしやすい住まいの確保を進めることで介助者の負担軽減などを図り、障害のある方の地域生活を支援します。 [153ページ] 施策5 保健・医療分野等との連携強化 <現状と課題> ●障害のある方のための専門的な医療やリハビリテーションは、障害の軽減や除去とともに、安心して地域生活を送る上でも必要不可欠なものであるため、障害に伴う適切な医療等を安定的に受けられる体制を確保することが求められています。 ●加齢に伴い障害が重度化・重複化する傾向があることから、医療的ケアなどを含めた対応が求められており、保健・医療分野等との連携を強化する必要があります。 ●出生直後からNICU(新生児集中治療室)に入院し、退院後も経管栄養やたんの吸引などの医療的ケアを必要とする「医療的ケア児」が増加しており、医療的ケア児が在宅生活を継続していくための支援の充実が求められています。 <対応の方向性> ●障害に伴う適切な医療等を身近な地域で受けられる体制を安定的に確保することで、障害のある方の地域生活を支援します。 ●障害のある方が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、医療的ケア児・者への支援を充実するなど、保健・医療・福祉サービスの連携を進めます。 日常的に行っている医療的ケア(複数回答) (グラフ) 全体 73人 経管栄養(経口、経鼻、胃ろう、腸ろう) 58.9% 痰の吸引(口腔、鼻腔、気管カニューレ内部) 47.9% 気管切開部の管理 31.5% 吸入・ネブライザー 30.1% 在宅酸素療法 21.9% 導尿 15.1% 人工呼吸器の管理 15.1% 中心静脈栄養 1.4% 人工肛門 1.4% 資料:発達障害児(者)及び医療的ケア児実態調査(令和元(2019)年度) [154ページ] 1 専門的な医療等の提供 ≪精神科医療等の提供≫ ①現状(これまでの取組) ●神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市の4県市の協調事業として精神科救急医療体制を運用しており、平成30(2018)年度から、精神科初期救急の診療日を、他県市が診療を実施しておらず受療ニーズの高い日曜・祝日に変更するとともに、川崎市内に診療拠点を定点化するなど、切れ目のない受入体制を確保しています。 ●平日午後から夜間帯における精神科救急医療体制や、市内開業医の協力による土曜・日曜における精神科救急医療体制などを安定的に確保するとともに、外国人対応に向けた取組などを推進しています。 ●精神障害者が社会復帰できるように支援するため、医療機関と連携し、精神科デイケア、老人性認知症デイケア、復職支援(リワーク)デイケアなどの支援を受けられる体制を確保しています。 <デイケア施設の状況> ※令和3(2021)年2月1日時点 (表) 精神科デイケア 9か所 老人性認知症デイケア 1か所 復職支援(リワーク)デイケア 3か所 ②ニーズ・課題 ●障害のある方のための専門的な医療やリハビリテーションは、障害のある方が地域生活を送る上で必要不可欠なものであることから、精神障害に伴う救急医療やケアを身近な地域で適切に受けられる体制を今後とも安定的に確保する必要があります。 ③今後の取組 ●精神疾患の急激な発症や精神症状の悪化に対し、人権に配慮しながらも迅速かつ適切に対応できるよう、引き続き、精神科救急医療体制を安定的に確保します。 ●基幹病院である市立川崎病院を含め、精神科救急医療体制の基幹的な役割を担う医療機関の充実に向けて検討するとともに、後方病院との連携の強化や、精神科救急医療相談窓口体制のあり方を検討するなど、あらゆる状況に適切に対応できるよう、精神科救急医療体制の充実に努めます。 ●医療機関と連携し、各種デイケアを受けられる体制を確保することで、精神障害者の社会復帰を支援します。 [155ページ] ≪障害児医療の提供≫ ①現状(これまでの取組) ●市内の地域療育センター及び医療型障害児入所施設(ソレイユ川崎)において、障害児専門外来を実施し、障害児への専門的な医療を提供しています。 ②ニーズ・課題 ●子どもの発達に関わる早期診断、早期治療及び適切な早期発達支援は、保護者の不安を軽減するとともに、周囲からの理解を得て社会に適応していく上で大変重要なものです。 ●発達障害をはじめ専門的な診療ができる医師や医療機関が不足していることから、地域療育センターの専門外来に予約が集中し、待機が長期化しています。 ③今後の取組 ●引き続き、市内の地域療育センター及び医療型障害児入所施設(ソレイユ川崎)において、障害児への専門的な医療を提供します。 ●地域療育センターの医師と地域の医師との綿密な連携体制を構築するとともに、発達障害児・者が日頃から受診する診療所等の主治医に対する「かかりつけ医等発達障害者対応力向上研修」を継続的に開催するなど、早期の支援や治療が必要な障害児に対する安定した医療提供体制の構築を進めます。 [156ページ] ≪障害児・者への歯科診療等の提供≫ ①現状(これまでの取組) ●市内4か所(歯科医師会館、中原・久地・百合丘歯科保健センター)において、障害特性などにより一般の歯科診療所では対応が困難な方への歯科治療や口腔ケアを行うため、障害者・高齢者等歯科診療事業を実施しています。 ●重度の心身障害者等に対し、集中的に歯科治療を行うことができる環境を整えるため、市立川崎病院において、全身麻酔歯科治療事業を実施しています。 ●一般の歯科診療所における障害のある方や高齢者の診療受け入れの拡大を図るため、対応力向上研修を実施しています。 ②ニーズ・課題 ●誰もが身近な地域で適切な歯科治療や口腔ケアを受けられる体制を確保するため、引き続き、各種歯科診療事業を実施する必要があるとともに、歯科診療への市民ニーズを踏まえ、歯科保健センター等の今後のあり方について検討する必要があります。 ●障害特性などにより治療が困難な方であっても身近な地域で歯科診療が受けられるよう、一般歯科診療所における対応力の向上を図る必要があります。 ③今後の取組 ●障害者・高齢者等歯科診療事業や全身麻酔歯科治療事業を引き続き実施し、誰もが身近な地域で適切な歯科治療や口腔ケアを受けられる体制を安定的に確保します。 ●障害者・高齢者等歯科診療事業について、二次医療機関としての役割や人材の安定確保、利用状況等を踏まえ、全体の診療枠の拡充及び診療所体制の集約化等による安定的な診療体制の整備に向けた支援を実施します。 ●障害者歯科診療や在宅高齢者歯科診療に関する一般歯科診療所の対応力の向上を図る研修を引き続き実施するとともに、その効果や課題等を踏まえ、研修のあり方について検討します。 ≪地域リハビリテーション推進体制の整備と充実(再掲)(96ページ参照)≫ [157ページ] 2 医療給付・助成 ≪自立支援医療(育成医療・更生医療・精神通院)等の実施≫ ①現状(これまでの取組) ●身体障害を軽減又は身体機能を回復するため、療養の状況に応じた適切な医療が提供されるよう、医療機関と連携して、身体に障害のある子どもに対する育成医療及び身体障害者に対する更生医療を給付しています。 ●精神障害者に対する継続した医療の提供を確保するため、通院医療費の一部を給付するとともに、精神障害者入院医療援護金を支給しています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方のための専門的な医療やリハビリテーションは、障害の軽減や除去とともに、安心して地域生活を送る上でも必要不可欠なものであるため、障害に伴う適切な医療等を安定的に受けられるよう、必要な支援を継続する必要があります。 ③今後の取組 ●障害に伴う適切な医療等を安定的に受けられるよう、身体に障害のある子どもに対する育成医療や身体障害者に対する更生医療、精神障害者に対する通院医療費の給付、精神障害者入院医療援護金の支給を引き続き実施します。 ≪指定難病医療費助成の実施≫ ①現状(これまでの取組) ●難病法(難病の患者に対する医療等に関する法律)が平成27(2015)年に施行された後、平成30(2018)年3月末までは、審査、医療受給者証の交付、医療費給付等の助成事務を都道府県が行っていましたが、同年4月からは、同法の大都市特例の規定が施行され、市内に居住する指定難病患者に対しては、本市が助成事務を行っています。 ※令和2(2020)年4月1日時点:333疾病対象、8,739人受給 ②ニーズ・課題 ●患者の利便性を向上させるため、審査、医療受給者証の交付、医療費給付等の助成事務について、適正かつ円滑な実施が求められています。 ③今後の取組 ●難病は、原因が不明で治療方法が確立されていない希少な疾患であり、長期にわたり治療が必要となることが多く、経済的な負担が大きいことから、医療費の負担を軽減するため、引き続き、指定難病の治療にかかる医療費の一部を助成します。 [158ページ] ≪重度障害者医療費助成の実施≫ ①現状(これまでの取組) ●重度障害者の保健の向上に寄与するとともに、福祉の増進を図ることを目的として、保険医療費の自己負担額を助成しています。 ②ニーズ・課題 ●高齢化に伴う対象者の増加や、神奈川県の補助制度の見直し等により、本市の財政負担が増大している中、持続可能で安定的な制度の構築を検討する必要があります。 ③今後の取組 ●重度障害のある方が必要な医療を安定的に受けられるよう、保険医療費の自己負担額を引き続き助成するとともに、持続可能で安定的な制度のあり方について検討を進めます。 [159ページ] 3 医療と地域の連携 ≪病院と地域連携の仕組みづくり≫ ①現状(これまでの取組) ●平成26(2014)年度に、多職種への医療的な助言や退院調整支援等を行う「在宅医療サポートセンター」の運営を開始しました。 ●平成27(2015)年度より、川崎市病院協会代表が川崎市在宅療養推進協議会委員として参画しています。 ●多職種間の連携を推進するための取組として、平成26(2014)年度に「在宅療養連携ノート」を作成するとともに、平成28(2016)年度に「在宅医療・介護多職種連携マニュアル」を作成しました。 ●令和元(2019)年度に「入退院調整モデル」を作成し、令和2(2020)年度に「入退院支援ガイドブック」を作成するなど、入退院が円滑にできるよう病院と地域が連携するための取組を推進しています。 ②ニーズ・課題 ●急性期から回復期前半にかけての医療機関におけるケアから、病状安定期から維持期における地域でのケアへの移行を円滑に行うためには、医療・保健・福祉などの関係者が有機的に連携し、必要なサービスが適切に提供されることが重要です。 ●入退院に関して、入院医療機関と地域でケアを行う支援者とが有機的に連携できるよう、相互理解を促進する必要があります。 ③今後の取組 ●地域リハビリテーションの充実を図り、様々な専門職が一体となって包括的・継続的にケアを行っていく仕組みを構築します。 ●安定した在宅療養生活を継続するための退院支援が提供される体制の整備を進めます。 [160ページ] ≪川崎市在宅療養推進協議会の開催≫ ①現状(これまでの取組) ●医師会、病院協会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、介護支援専門員連絡会、医療ソーシャルワーカー協会、理学療法士会、地域包括支援センターの9つの多職種関係団体の代表者が定期的に集まり、協議を行っています。 ②ニーズ・課題 ●切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制を構築するため、診診連携による在宅医の負担軽減、多職種での緊密な連携の推進や市民啓発などの課題解決に向けた取組を進めていく必要があります。 ③今後の取組 ●開業医、病院、歯科医師、薬剤師、訪問看護師、介護支援専門員、医療ソーシャルワーカー、理学療法士、地域包括支援センターなどの医療・介護関連団体の代表者が定期的に集まり、多職種連携の強化や、在宅療養者に対する一体的な支援体制の構築に向けた協議を進めます。 ≪在宅医療の啓発≫ ①現状(これまでの取組) ●リーフレット「在宅医療Q&A」の配布、在宅医療情報誌「あんしん」の発行、在宅医療に関する出前講座や市民シンポジウムの開催など、在宅医療・ケアの啓発に向けた取組を推進しています。 ②ニーズ・課題 ●在宅医療・ケアの理解が十分に浸透しておらず、市民の選択肢の一つとなりきっていない状況があるため、在宅医療・ケアについて更なる啓発に向けた取組が必要です。 ③今後の取組 ●医療や介護が必要になっても、本人や家族の状況に応じて生活の場を選択できるようにするため、在宅医療・ケアについても市民の選択肢の1つとなるよう、理解の浸透を図ります。具体的には、在宅医療や病院と地域との連携をテーマとした市民シンポジウムの開催、在宅療養及び在宅看取りを考えるきっかけとなるようなリーフレットの配布など、様々な市民啓発の取組を実施します。 [161ページ] 4 医療的ケアを必要とする方への支援 ≪医療的ケア児への支援の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●出生直後からNICU(新生児集中治療室)に入院し、退院後も経管栄養やたんの吸引などの医療的ケアを必要とする「医療的ケア児」が増加しています。 ●障害者総合支援法及び児童福祉法の改正を踏まえ、医療的ケア児がその心身の状況に応じた適切な支援を受けられるよう、保健、医療、福祉、保育、教育等の関係機関が連携し、情報交換を行うとともに、地域の状況に応じた対応策を協議する「川崎市医療的ケア児連絡調整会議」を開催しています。 ●公立保育所については、公立の役割として、「地域の子ども・子育て支援の機能」、「民間保育所等への支援の機能」、「公・民保育所人材育成の機能」を掲げるとともに、集団生活が可能な医療的ケア児を受け入れており、平成28(2016)年度から公立保育所7園で受け入れを開始し、令和2(2020)年4月現在で7名の子どもを受け入れています。 ●市立小・中学校等に在籍する日常的に医療的ケアを必要とする児童生徒については、文部科学省が示す5つの特定行為(たんの吸引、経管栄養)に加えて教育委員会が認めた医療行為を対象とし、保護者からの申請により、主治医の指示書に従って、訪問看護ステーションの看護師が、学校内において保護者の代わりに医療的ケアを実施しています。また、特別支援学校(市立田島、県立中原、県立麻生)については、医療的ケアを必要とする児童生徒の主治医の意見書に従って、学校に配置している看護師や研修を受けた教員が、医療的ケアを実施しています。 ②ニーズ・課題 ●医療的ケア児の支援には、医療だけではなく、福祉や教育等の一体的な調整や総合的な支援が必要ですが、現状の相談支援体制では応じ切れていない状況があります。 ●医療的ケアを担う人材の不足や緊急時の受け入れ体制なども課題であるため、「川崎市医療的ケア児連絡調整会議」を通じて検討を進める必要があります。 ③今後の取組 ●医療的ケア児とその家族を地域で支えられるようにするため、在宅医療や在宅福祉サービス、保育所、学校等との連携や調整を総合的に実施できる相談支援体制を整備するとともに、「川崎市医療的ケア児連絡調整会議」などにおいて関係機関が連携し、医療的ケア児への支援の充実に向けた検討を進めます。 ●公立保育所については、引き続き、集団生活が可能な医療的ケア児を受け入れていくほか、公立保育所の建て替えに合わせ、地域の子育て支援や、保育士の実践的な研修の場としても活用する地域の拠点として「保育・子育て総合支援センター」を、各区に1か所設置していくこととし、整備に際しては、保育所の医務室を医療的ケアに対応したものとします。 ●市立小・中学校等及び特別支援学校については、引き続き、安全で安心な医療的ケアの実施に努めます。 [162ページ] ≪訪問看護の提供≫ ①現状(これまでの取組) ●医療保険制度等の訪問看護サービスだけでは不足が生じる医療的なケアを必要とする重度障害児・者に対して、これを補完するため、週1回の訪問看護サービス等を提供し、本人及び家族の支援を図っています。 【対象者】 訪問看護ステーション及び医療機関の訪問看護を利用し、重度の身体障害又は重度の知的障害又は精神障害があり、特定疾患入院施設管理料における超重障児(者)入院診療科の対象とされ、レスピレーター管理等が必要とされる状態が継続する方 【サービス内容】 医療機関及び訪問看護ステーション等の看護師等により行われる診療の補助などを内容とした医療保険に基づく「訪問看護」に付属して、1世帯につき週1回を限度に訪問看護サービス等を提供します。 【利用実績】 平成29(2017)年度 196名 平成30(2018)年度 163名 令和元(2019)年度 160名 ②ニーズ・課題 ●重度障害児・者本人及びその家族が安心して日常生活を送ることができるようにするため、引き続き、訪問看護サービスを提供する必要があります。 ●医療的ケア児の特徴として、成長や病状の変化によって支援の内容が異なることから、適切に医療行為を行える人材を引き続き確保・育成していく必要があります。 ③今後の取組 ●日常生活において必要不可欠な通院や冠婚葬祭等の外出、また、兄弟の通院や学校行事への参加等の家族への対応について、保護者が安心して行えるよう、支援の充実を図ります。 [163ページ] ≪障害児通所支援等の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●医療技術の進歩等を背景に、医療的ケア児(重症心身障害児含む)が増加傾向にあることを踏まえ、地域生活の向上に向け、医療的ケア児を受け入れることができる障害児通所支援事業所等の充実に努めています。 <障害児通所支援事業所の状況> ※令和3(2021)年2月1日時点 (表) 医療型障害児入所施設(ソレイユ川崎) 1か所 医療型児童発達支援事業所(地域療育センター) 4か所 児童発達支援事業所(主として重心児を通わせる場合) 5か所 放課後等デイサービス事業所(主として重心児を通わせる場合) 8か所 ②ニーズ・課題 ●障害児通所支援事業所等において医療的ケア児を受け入れるためには、医療的ケアに対応できる環境の整備や看護師等の人材配置が必要であるため、事業所のサービス提供体制への支援が必要となっています。 ③今後の取組 ●医療的ケア児の地域生活の向上に向け、医療的ケアが常時必要な利用者や重複障害のある利用者を受け入れた場合における看護師等の配置などを支援することで、受け入れの促進を図るなど、必要な取組を推進します。 ●未就学の医療的ケア児に対して、地域との交流を経験する機会を提供するとともに、緊急時の一時的な受け入れ先確保を図ります。 <医療的ケア児とは>  児童福祉法においては、「人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児」とされており、厚生労働省においては、「人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童」とされています。  医療的ケア児の定義を厳密に定めることは難しいですが、本計画においても、基本的にはこの両方の考え方に基づき、医療的に個別性の高い対応を必要とする児童を対象にしています。 [164ページ] ≪生活介護における医療的ケアの提供≫ ①現状(これまでの取組) ●既存建築物の改修等により小規模な生活介護事業所の整備を行う事業者に対する補助制度として、川崎市小規模生活介護事業所整備事業補助金を平成29(2017)年度に創設しており、本補助制度等を活用して、医療的ケアが必要な方の利用が可能な生活介護事業所について充実を図っています。平成30(2018)年度には、中原区と多摩区にて、医療的ケアが必要な方の利用が可能な生活介護事業所を整備しました。 ●看護師を常勤体制で配置するための加算制度を運用することで、医療的ケアが必要な方の受け入れができるよう、生活介護事業所における職員体制の充実を図っています。 ②ニーズ・課題 ●医療的ケアが必要な方が増加しているため、医療的な支援も踏まえた日中活動ができる場として、生活介護事業所等の更なる整備が求められています。 ●福祉サービスに携わる人員が不足しているため、医療的ケアが必要な方を受け入れるための看護師の配置に関する支援を引き続き行う必要があります。 ③今後の取組 ●小規模生活介護事業所整備費補助金などを活用し、生活介護事業所等の整備を推進します。 ●医療的ケアを必要とする重度障害者の日中活動の場を確保するため、様々な加算制度を運用し、生活介護サービスを提供する事業所における常勤体制での看護師確保を支援します。 [165ページ] ≪医療機関等における短期入所の提供≫ ①現状(これまでの取組) ●医療的ケアが必要な方が利用できる短期入所先を確保するため、市立病院3か所(川崎、井田、多摩)における短期入所の利用枠をあらかじめ確保するとともに、医療型障害児入所施設(ソレイユ川崎)及び民間医療機関1か所において、医療型短期入所サービスを提供しています。 ●特定医療費(指定難病)受給者証の交付を受けている方など、在宅で療養中の方のうち、医学的な管理が必要な医療依存度の高い方を対象として、居宅での療養が困難となった場合に、医療機関への入院治療又は介護老人保健施設への一時的な入所によって、療養を継続しながら家族の支援を図るため、「あんしん見守り一時入院等事業」(※)を実施しています。 ※これまで実施していた神経難病患者等一時入院事業は、令和元(2019)年度から本事業と統合しました。 ②ニーズ・課題 ●医療的ケアを必要とする方が増加していることを踏まえ、障害のある方本人やその家族が安心して在宅生活を継続できるようにするため、医療的ケアを要する方が利用できる短期入所先を確保するなど、支援の充実が求められています。 ③今後の取組 ●市立病院3か所における短期入所の利用枠を引き続き確保するとともに、医療的ケアを必要とする方が利用できる医療型短期入所の拡充やその他支援体制の構築などについて検討します。 ●在宅で療養中の方のうち、医学的な管理が必要な医療依存度の高い方の在宅生活を支えるため、「あんしん見守り一時入院等事業」を引き続き実施します。 [166ページ] ≪医療型障害児入所施設・療養介護施設における介護・医療等の提供≫ ①現状(これまでの取組) 【対象者及びサービス内容】 (1)医療型入所施設に入所した児童、又は指定医療機関に入院する児童に対して行われる保護、日常生活の指導及び知識技能の付与 (2)障害児入所施設に入所し、又は指定医療機関に入院する障害児のうち知的障害のある児童、肢体不自由のある児童又は重度の知的障害及び重度の肢体不自由が重複している児童(いわゆる重症心身障害児)に対する治療 【施設の概要】 施設名 ソレイユ川崎 運営主体 社会福祉法人三篠会 所在地 麻生区細山1203 ②ニーズ・課題 ●医療技術の進歩等を背景に医療的ケア児が増加しており、その中には歩ける児童や知的障害を伴わない、いわゆる重症心身障害児とはならない児童がいます。 ●こうした重症心身障害児以外の医療的ケア児に対する更なる支援を検討していく必要があります。 ③今後の取組 ●市内の医療型障害児入所施設(ソレイユ川崎)において、医療的ケアが必要な重症心身障害児・者の日中活動の場を確保するとともに、日常生活動作、運動機能等の訓練、指導等の必要な療育を提供します。 [167ページ] 施策6 人材の確保・育成と多様な主体による支え合い <現状と課題> ●障害者手帳の交付を受けていない方も含め、支援を必要とする方が増加しています。また、最も身近な支援者である家族の高齢化も進んでおり、これまで家族が支えていた領域への支援が必要となるなど、障害のある方への支援ニーズは増加・多様化しています。 ●支援ニーズの増加等に伴い、障害福祉サービスの利用者数も増加しています。 ●障害福祉サービス事業所数が増加するなど、サービス提供体制の拡充が図られている一方、サービス提供の現場においては人材の確保・定着・育成が課題となっています。 ●支援ニーズの増加に対応するため、障害当事者や地域・ボランティア団体など、地域の多様な主体による支え合いが必要となっています。 <対応の方向性> ●様々な障害特性に対応した適切な支援が実施できるよう、障害福祉サービスを担う人材を確保するため、事業者や関係機関などとの連携のもと、必要な取組を推進します。 ●支援ニーズの増加に対応するためサービス提供体制を拡充するにあたっては、サービスの質が保たれるよう、第三者評価の実施や苦情解決体制の確保などの取組を推進します。 ●支援ニーズの更なる増加が見込まれる中、支援の担い手を広げるため、ピアサポートによる当事者支援や、様々な地域・ボランティア団体による活動など、多様な主体による支え合いを支援します。 ピアサポート活動への参加意向 (グラフ) 全体 4,205人 とても思う 15.0% 少し思う 18.6% どちらともいえない 10.8% あまり思わない 7.1% まったく思わない 4.4% わからない 26.1% その他 3.1% 無回答 15.0% 資料:川崎市障害のある方の生活ニーズ調査(令和元(2019)年度) [168ページ] 事業運営上の問題点・課題(複数回答) (グラフ) 居宅系事業者 38か所 職員の確保が困難 94.7% サービス単価が低い 47.4% 経理・国保連請求事務など事務作業が多い 28.9% 事務など間接経費が高い 23.7% 人件費が高い 18.4% (グラフ) グループホーム事業者 38か所 職員の確保が困難 84.2% 経理・国保連請求事務など事務作業が多い 44.7% 事業所(営業拠点)の確保・維持が困難 44.7% サービス単価が低い 39.5% 運営・運転資金の確保が困難 28.9% (グラフ) 施設系事業者 147か所 職員の確保が困難 69.4% 利用者の確保が困難 32.0% 職員の雇用条件・福利厚生が不十分 30.6% サービス単価が低い 29.3% 運営・運転資金の確保が困難 28.6% (グラフ) 相談支援事業者 51か所 職員の確保が困難 70.6% サービス単価が低い 70.6% 個別給付の加算が複雑で算定しづらい 47.1% 経理・国保連請求事務など事務作業が多い 43.1% 人件費が高い 37.3% 資料:川崎市障害のある方の生活ニーズ調査(令和元(2019)年度) [169ページ] 1 人材の確保・育成の推進 ≪相談支援従事者の養成≫ ①現状(これまでの取組) ●相談支援従事者の養成を目的として、相談支援従事者初任者研修、現任研修、地域リーダー養成確保推進事業研修などを行っています。 ②ニーズ・課題 ●相談支援ニーズが高まっている中、相談支援従事者が不足し、かつ質の向上も求められているため、相談支援従事者の量的確保と質的向上に向けた養成が必要となっています。 ③今後の取組 ●国の新カリキュラムに基づき、相談支援従事者初任者研修及び現任研修を実施するとともに、体系的な相談支援従事者研修を実施するなど、相談支援従事者の量的確保と質的向上を図ります。 ≪重症心身障害児・者等への医療ケア従事者の養成≫ ①現状(これまでの取組) ●3県市(神奈川県、横浜市、川崎市)の共同事業として、県看護協会にて、市内施設や訪問看護ステーションなどで働く看護師等の医療ケア従事者向けに、スキルアップ講習会を実施しています。 ●医療的ケア児等の支援に係る関係機関の連携促進や総合的な支援の調整を担う人材を確保するため、令和元(2019)年度から「医療的ケア児等コーディネーター養成研修」を実施し、16名が修了しました。 ②ニーズ・課題 ●ニーズがあるにも関わらず、医療依存度が高くケアのリスクが高い医療的ケア児について、その受け入れに消極的な事業所等があるため、訪問看護ステーションや福祉サービス等事業所で働く看護師を養成・確保する必要があります。 ③今後の取組 ●市内施設や訪問看護ステーションなどで働く看護師等の医療ケア従事者について、スキルアップの機会を充実させるなど、ケアの量と質の向上を図るための取組を推進するとともに、医療的ケア児等コーディネーターを適正に配置していきます。 [170ページ] ≪総合研修センターによる取組≫ ①現状(これまでの取組) ●保健・医療・福祉分野に従事する専門職の確保と育成を図るため、各種研修会を開催するなど、これらの専門職の資質と働きがいの向上に向けた取組を進めています。 ②ニーズ・課題 ●医療的ケアを必要とする方への対応などを含め、支援ニーズが多様化する中、障害のある方の特性や状況に応じた適切な支援を行うためには、保健・医療・福祉分野における様々な専門職が相互に連携しながら対応する必要があるため、専門的な人材の確保・育成が求められています。 ③今後の取組 ●心身の機能の障害により支援を必要とする高齢者や障害児・者等が、可能な限り、住み慣れた地域で生活を営むことができるよう、専門的かつ総合的なリハビリテーションを推進することで高齢者、障害児・者等の福祉の増進を図るため、令和3(2021)年4月から総合研修センターを開設し、支援に関する調査研究や、関係機関相互の連携の調整、専門的な人材の育成などの取組を進めます。 ≪情報提供、コミュニケーション支援者の養成≫ ①現状(これまでの取組) ●視覚障害者情報文化センター、聴覚障害者情報文化センター、神奈川県聴覚障害者福祉センターにおいて、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者通訳・介助員、点訳者、音訳者等の人材養成を行っています。 ②ニーズ・課題 ●聴覚障害者の高齢化による医療・介護ニーズの高まりに伴い、手話通訳者・要約筆記者の派遣件数が増加しているため、手話通訳や要約筆記などを担う人材の確保が求められています。 ●新型コロナウィルスやその他感染症への対応、また、災害などの緊急時に手話通訳者・要約筆記者が移動できない場合への対応として、ICT技術を活用した遠隔手話通訳や要約筆記の必要性が高まっており、それらに対応できる人材の養成が必要になっています。 ③今後の取組 ●視覚障害者や聴覚障害者、盲ろう者などにとっては、点訳、音訳、手話通訳、要約筆記、触手話、指点字などは、学習などにおける有効な補助手段であるだけではなく、日常生活において必要不可欠なコミュニケーション手段であることから、支援ニーズの高まりに対応できるよう、人材養成に向けた取組を進めます。 ●ICT技術を活用した遠隔手話通訳や要約筆記などに対応できる人材の養成について検討を進めます。 [171ページ] ≪各種研修による人材の養成≫ ①現状(これまでの取組) ●障害福祉サービスを担う人材を養成するため、様々な研修や事業を実施しています。 【主な取組内容】 ・保育所や幼稚園を対象とした発達相談支援コーディネーター養成研修 ・発達障害や高次脳機能障害、難病患者等への専門的な支援を担う人材の確保・育成に向けた、関係機関職員向けの研修 ・精神障害者の地域移行に関する支援を担う人材の確保・育成に向けた、精神障害者地域移行・地域定着支援従事者研修 ・入所施設からの地域移行を進めるための支援を担う人材の確保・育成に向けた、意思決定支援や強度行動障害に関する研修 ・就労支援機関の支援力の向上に向けた研修 ・障害者差別解消法の理解促進や虐待防止に関する研修 ・地域生活支援拠点における、障害者生活支援・地域交流事業 ・川崎市地域自立支援協議会において、相談支援従事者の人材育成のあり方を明らかにするための「川崎市における相談支援従事者人材育成カリキュラム」の作成 ②ニーズ・課題 ●支援ニーズの増加や多様化が進む中、様々な障害特性に対応した適切な支援が実施できるよう、障害福祉サービスを担う人材を確保・育成するため、障害福祉サービスの提供を担う事業者や様々な関係機関と連携しながら、引き続き、支援ニーズに応じた多様な研修等を行う必要があります。 ●障害福祉サービスを担う多くの事業所においては介護人材等の確保に苦慮しているため、新たな人材の確保・定着に向けた取組について検討する必要があります。 ③今後の取組 ●様々な障害特性に対応した適切な支援を行うため、引き続き、障害福祉サービスの提供を担う事業者や関係機関と連携しながら、支援ニーズに応じた多様な研修等を実施することで、障害福祉サービスを担う人材の養成を図ります。 ●令和3(2021)年に開設する総合リハビリテーション推進センターや総合研修センターにおいて、専門的な人材の育成に取り組みます。 ●障害福祉サービスを担う市内事業所等への就職希望者を対象として、介護に関する知識の習得に向けた研修を行うなどの人材育成を行ったのち、市内事業所等への紹介を行うなど、障害福祉サービスを担う新たな人材の確保及び定着を支援します。 [172ページ] ≪加算制度による人材確保・定着≫ ①現状(これまでの取組) ●障害福祉サービスを担う人材を確保し、その定着を図るため、サービス提供や人材配置等の実績に応じた様々な加算制度を運用しています。 【主な取組内容】 ・通所事業所での送迎サービスや食事・入浴サービスの提供体制を支援するため、サービス提供実績に応じた各種加算制度を運用 ・通所事業所において重度障害がある方の受け入れを促進するため、看護師や栄養士などの専門職員の配置など、職員体制の充実を図るための様々な加算制度を運用 ・通所事業所において医療的ケアが必要な方の受け入れを促進するため、看護師を常勤体制で配置するための加算制度などを運用 ・グループホームにおける支援体制を充実するため、世話人体制確保加算や夜間体制加算など、市独自の加算制度を運用 ・地域活動支援センター(B・C・D型)の安定的な運営を支援するため、利用実績に応じた各種加算制度を運用 ②ニーズ・課題 ●支援ニーズの増加や多様化が進む中、様々な障害特性に対応した適切な支援が実施できるよう、障害福祉サービスを担う人材を確保し、定着を図るため、引き続き、様々な加算制度を運用し、障害福祉サービス従事者の処遇改善に取り組む必要があります。 ③今後の取組 ●様々な障害特性に応じた適切な支援を行うため、引き続き、様々な加算制度を運用することで、障害福祉サービス従事者の処遇改善を図り、障害福祉サービスを担う人材の確保・定着に努めます。 ●障害のある方の増加や高齢化、障害の重度化など、状況と環境の変化が急速に進む中で、様々な支援ニーズに対応しつつ安定的で持続可能な制度となるよう、再構築した加算制度を運用します。 [173ページ] 2 福祉サービスに対する第三者の視点 ≪福祉サービス第三者評価の推進≫ ①現状(これまでの取組) ●これまで本市独自の評価項目を設定し、評価者の研修等を実施の上、第三者評価を推進してきたところですが、神奈川県域では横浜市や各評価機関も独自の評価項目を設けるなど、運用状況の複雑さや、事業者や利用者にとっての仕組みの分かりづらさがありました。また、評価機関や評価調査者の負担軽減等も課題となっていたことから、事業者自らによる質の向上に向けた取組を確認しやすくなるよう、本事業の更なる推進を目指し、県域で第三者評価を推進する「かながわ福祉サービス第三者評価推進機構」や、県及び横浜市との協働のもと、平成30(2018)年度に見直しを行い、平成31(2019)年4月から県全域で共通となる評価基準を導入し、運用しています。 ●平成30(2018)年度の事業見直しの検証について、令和元(2019)年度からの3か年で完了するよう、取組を進めています。 ②ニーズ・課題 ●かながわ福祉サービス第三者評価機構の運営委員会においては、「①評価機関の特性を生かした自己評価・利用者調査の充実」「②評価結果における評価機関コメント内容の充実」「③事業者自らの気づきや改善につながる評価機関の関わり方の工夫」の3点を今後の課題として整理しています。 ③今後の取組 ●受審事業者・評価機関へのヒアリングやアンケート調査結果などを活用し、平成30(2018)年度の事業見直しの検証作業を進めるなど、県全域共通による第三者評価の普及・推進に取り組みます。 ●公正・中立な第三者評価機関からみた評価結果を幅広く情報提供することにより、利用者のサービス選択に寄与するとともに、事業者自身のサービスの質の向上の取組を促すため、今後とも関係機関と連携の上、受審促進や評価活動への支援等を行います。 [174ページ] ≪苦情解決体制の確保≫ ①現状(これまでの取組) ●苦情解決の仕組みや考え方を事業者が共有し理解を深めることを目的として、川崎市障害福祉施設事業協会が設置する苦情解決第三者委員会への支援を行っています。 ●苦情解決体制を安定的に確保する観点から、第三者協力員に対する研修を実施するとともに、第三者協力員を年1回募集するなど、増員を図っています。 ②ニーズ・課題 ●支援ニーズの増加・多様化に伴い、障害福祉サービス事業所が増加していることを踏まえ、提供サービスの質が保たれるよう、引き続き、苦情解決体制を安定的に確保する必要があります。 ●訪問等を行う第三者協力員が不足しているため、増員に向けた取組を推進する必要があります。 ③今後の取組 ●障害福祉サービスの質が保たれるよう、引き続き、川崎市障害福祉施設事業協会が設置する苦情解決第三者委員会への支援を行うとともに、第三者協力員に対する研修や増員に向けた取組などを推進します。 [175ページ] 3 多様な主体による支え合い ≪ピアサポートの充実(精神障害)≫ ①現状(これまでの取組) ●ピアサポートとは、同じような体験に基づく仲間として、対等の関係で仲間を支え合うことを言います。 ●精神障害のある方への支援体制の充実や社会参加の促進に向け、精神障害のある方自身が支援者として様々な支援活動や普及啓発などに取り組むピアサポート活動の充実を図るため、ピアサポーター養成・支援事業を実施しています。 ●ピアカウンセリング事業を実施し、ピアサポート活動を行う関係機関による連絡会を設置するなど、取組の推進に向けた検討を行っています。 ●地域自立支援協議会精神障害者地域移行・地域定着支援部会のワーキンググループにおいて、ピアサポーターの協働・活動体制について検討しています。 ②ニーズ・課題 ●ピアサポートの活動者数が減少していることから、市内の障害者支援機関及び医療機関におけるピアサポート活動への理解促進に向けた取組を進めるなど、ピアサポート活動の担い手を確保するとともに、ピアサポート活動を行うための環境づくりを進める必要があります。 ③今後の取組 ●当事者支援としてのピアサポート活動の充実を図るため、引き続き、精神障害のある方を対象としたピアサポーター養成・支援事業を実施するとともに、各種検討会議において、ピアサポート活動の担い手確保や活動環境の整備などについて検討を進めます。 [176ページ] ≪当事者による相談の提供(身体・知的障害)≫ ①現状(これまでの取組) ●身体障害や知的障害のある方本人やその家族が、家庭生活や養育、福祉制度の利用、就学・就労などに関する悩みや困りごとを安心して相談できる身近な相談先として、身体障害者相談員、知的障害者相談員、身体障害児相談員を設置するとともに、相談員への研修を実施するなど、効果的な相談体制の構築に向けた取組を進めています。 ②ニーズ・課題 ●障害当事者ならではの相談機能の充実を図る観点から、安定的な相談体制の確保に向け、新たな相談員の担い手の確保や効果的な相談員研修の実施などが必要となっています。 ③今後の取組 ●障害当事者の視点を踏まえた身近な相談先として、身体障害者相談員、知的障害者相談員、身体障害児相談員を引き続き設置するとともに、効果的な相談員研修を実施するなど、相談体制の安定的な確保に向けた取組を推進します。 ≪障害者社会参加推進センター事業の展開≫ ①現状(これまでの取組) ●各当事者団体等が参画する障害者社会参加推進協議会において、障害者社会参加推進センター事業の企画・立案を行い、かつ各団体が自ら事業を実施することにより、団体相互の連携を強化するとともに、障害のある方の自立、社会参加の促進、障害の普及啓発等に向けた取組を推進します。 ②ニーズ・課題 ●当事者団体自らが企画運営する活動を支援することで、障害のある方の自立や社会参加などを促進できるため、引き続き、本事業を推進していく必要があります。 ●参加者の増加に向けて、障害のある方のニーズを把握しながら、本事業の枠組みの中で実施する生活訓練の内容について検討するなど、更なる事業の推進を図る必要があります。 ③今後の取組 ●障害者社会参加推進協議会による障害者社会参加推進センター事業を引き続き実施するとともに、障害のある方のニーズを踏まえた事業内容となるよう検討を進めるなど、取組を推進します。 [177ページ] ≪当事者団体等の育成と協力関係の構築≫ ①現状(これまでの取組) ●障害当事者団体や、親の会及び家族会などの自主的な活動を支援することにより、障害当事者同士の交流や、お互いに支え合う互助の仕組みの強化などを図っています。 【主な支援団体】 川崎市身体障害者協会及びその構成団体、川崎市育成会手をむすぶ親の会、川崎市自閉症協会、 川崎市肢体不自由児者父母の会連合会、あやめ会(川崎市精神保健福祉家族会連合会)、 神奈川県難病団体連絡協議会、知的障害者本人部会 ②ニーズ・課題 ●障害のある方の増加や支援ニーズの多様化などを踏まえ、支援の担い手を広げていく観点からも、当事者団体等による活動の活性化は大変重要なものとなっています。 ●当事者団体の中には会員の高齢化が進んでいる場合があることなどを踏まえ、団体相互の協力・協働の関係を更に強化するため、障害のある方やその家族の自主的な活動を促進するための支援を引き続き行う必要があります。 ③今後の取組 ●障害当事者同士の交流や、障害者団体による自立支援のためのサービスの提供や相談支援など、お互いに支え合う互助の仕組みの強化を図るため、引き続き、障害のある方やその家族の自主的な活動を支援します。 ≪多様なボランティア団体等への支援≫ ①現状(これまでの取組) ●社会福祉協議会や、全市的・全領域的な中間支援組織であるかわさき市民活動センター等を中心として、地域でのボランティア情報の提供やコーディネーターの養成を行うなど、ボランティアの地域活動と人材養成を支援しています。 ②ニーズ・課題 ●超高齢社会が到来するなど社会環境が変化する中、ボランティア、NPO法人、その他の住民団体等による地域福祉活動の新たな担い手の確保が求められています。 ③今後の取組 ●引き続き、社会福祉協議会等による障害者関係を含めた市民活動団体への情報提供や、ボランティア同士の交流事業等を支援することによって、福祉活動を行うボランティア、NPO法人、その他の住民団体等が活動しやすい環境づくりを推進します。 [178ページ] 施策7 雇用・就労・経済的自立の促進 <現状と課題> ●障害のある方がいきいきと自立した生活を送るためには、障害のある方の働く意欲が実現できるよう、ニーズに応じた支援を行う必要があります。 ●障害のある方が一般企業などで就労することは、障害のある方が障害のない方と同じく地域の中で共に生活できるよう、地域の理解を進める観点からも大変重要な取組となっています。 ●最も身近な支援者である家族の高齢化も進んでいる中、親族の扶養や援助により生活している方が、親族の高齢化に伴い経済的に困窮することを防ぐ観点からも、経済的な自立に向けた雇用・就労支援が求められています。 <対応の方向性> ●障害のある方の雇用・就労を促進していくため、就労に向けた支援だけではなく、就職後の就労定着に向けた支援も行うなど、それぞれのニーズに応じた適切な支援を受けられる体制を確保します。 ●企業に対する障害者雇用に向けた普及啓発や支援を行うなど、障害のある方の雇用・就労に向けた多角的な取組を推進します。 ●障害のある方が経済的に自立できるよう、福祉的就労の場における工賃向上に向けた取組や、各種手当などによる経済的支援などを推進します。 今後の就労意向 (グラフ) 全体 4,205人 働きたい(企業・自営) 37.3% 通所施設・地域活動支援センターなどで働きたい 11.7% 自宅などで家事のお手伝いをしたい 4.9% 働きたくない 10.7% わからない 16.0% 資料:川崎市障害のある方の生活ニーズ調査(令和元(2019)年度) [179ページ] 働くにあたっての課題(3つまでの複数回答) (グラフ) 全体 1,968人 適職がない(わからない) 28.9% 会社、同僚との関係、職場の理解が得にくい 24.0% 働く自信がなかなか持てない 19.5% 通勤が難しい 16.6% 介助が必要である 10.5% 業務内容のミスマッチがある 7.6% 職場環境(バリアフリー、音、においなど)が合わない 7.0% 支援機関との関係が良くない 1.3% 資料:川崎市障害のある方の生活ニーズ調査(令和元(2019)年度) [180ページ] 川崎市における障害者雇用・就労支援体制のイメージ (図) [就労を希望する方の一般就労までの流れ及び支援体制について、職場に定着するまでの段階を3つに分けると、「就職準備支援期」「職場順応支援期」「就職定着支援期」となり、本人の希望に応じて、様々な支援を受けられます] [就職準備支援期においては、就労移行支援事業所(原則2年)、就労継続支援A型事業所(雇用契約あり)、就労継続支援B型事業所(雇用契約なし)、地域就労援助センター(市内3か所)による支援を受けられます。また、就職や就職準備の希望がない方には、生活介護事業所等のサービスがあります] [職場順応支援期・就職定着支援期においては、地域就労援助センターや就労定着支援事業所による職場定着支援が受けられます。また、雇用先の民間企業等に対してもパターン・ランゲージやK-STEPの活用による職場定着支援を実施しています] [図の説明終わり] [181ページ] 障害者就労支援かわさきモデル (図) [地域就労援助センターにおける就労支援の仕組みは次のとおりです] <Step1 就労に向けた課題の整理と意欲喚起> ・生活状況、障害特性、体力、健康等を踏まえ、支援ニーズを把握します。 ・就労体験による自信づくりや課題の共有をしながら就労意欲を喚起していきます。 ・課題の解決に向けた訓練機関や相談機関の紹介を行います。 <Step2 求職支援> ・ステップアップ就労体験や職場実習などにより、作業の正確さやスピード、挨拶やコミュニケーションなど、働く力を確認していきます。 ・採用前実習などを行いながら就労先とのマッチングを行います。 ・ハローワークへの同行、採用面接への同席などの求職支援を行います。 <Step3 職場定着支援> ・職場訪問や個別面談による職場定着支援を行います。 ・職場での合理的配慮や障害のある方自身のセルフケアについての助言や提案を行いながら、職場におけるナチュラルサポートの形成に向けた支援を行います。 [図の説明終わり] [182ページ] 1 就労意欲の喚起 ≪就労体験・職場実習の提供≫ ①現状(これまでの取組) ●就労意欲の喚起や、障害特性及び作業能力の把握を目的とした就労体験や職場実習事業を行っています。 <各事業の内容と実績> ※令和元(2019)年度の実績 (表) 市庁舎の清掃及び図書館の配架業務など、庁内の一部を実習場所とする就労体験ステップアップ事業(1週間~4週間) 参加延べ人数 667名 参加実人数 54名 スポーツやエンターテインメント等のイベントスタッフとして働く就労体験 参加延べ人数 408名 参加実人数 175名 地域就労援助センター(市内3か所)における職場実習事業(民間企業等における職場実習) 参加延べ人数 314名 参加実人数 128名 ②ニーズ・課題 ●働くことや就労訓練を受けることに対する不安などの理由から、地域就労援助センターに登録後、継続的な相談に繋がらないまま、登録年数が長くなる方が増加しているため、就職後のイメージや障害者雇用で働くことのメリット、就労支援機関の説明等を分かりやすく伝える必要があります。 ③今後の取組 ●就労意欲の喚起や、特性・能力の把握をするため、引き続き、民間企業等における就労体験や実習の場の提供を行います。 ●地域就労援助センターにおいて、就職後のイメージや障害者雇用のメリット、就労支援機関についての理解促進を目的とした求職相談者向けセミナーを開催します。 [183ページ] ≪一般就労を見据えた働く場の提供≫ ①現状(これまでの取組) ●就労に向けた知識や技能等の習得を目的とした、知的障害者を対象とする「チャレンジ雇用」(※)を実施しています。 ※令和元(2019)年度採用4名、令和2(2020)年4月1日時点で6名在籍 ●市役所における精神障害者の雇用に向けて庁内関係部局と検討した結果、平成29(2017)年度から、臨時的任用職員としての採用を開始しました。また、身体障害、知的障害、精神障害の3障害を対象とした常勤職員及び会計年度任用職員の採用に向けた取組を進めています。 ●障害者ふれいあいショップについて、実施法人及び店舗の提供施設と協議・検討した結果、平成30(2018)年度末に事業を廃止しました。 ②ニーズ・課題 ●チャレンジ雇用においては、生活や体調面に課題のある方が増えているため、関係機関との連携を強化していくとともに、職場において本人がセルフケアに取り組めるよう環境を整えていく必要があります。 ●チャレンジ雇用後に一般企業への就労につなげていくためには、本人の適性を考慮し、職場とのマッチングをしていくことが重要であるため、求職活動の支援を行う地域就労援助センターとの連携を強化する必要があります。 ③今後の取組 ●就労に向けた知識や技能等を習得させ、経験を積んだ上で一般企業等への就労につなげるための「チャレンジ雇用」など、一般就労を見据えた働く場の提供に関する取組を継続的に実施するとともに、地域就労援助センターとの連携強化に努めます。 [184ページ] 2 就労移行・定着に向けた支援 ≪福祉施設から一般就労への移行促進≫ ①現状(これまでの取組) ●福祉施設から一般就労への移行を促進するため、就労移行支援事業を実施しています(※)。 ※令和3(2021)年2月1日時点で34事業所 ●地域就労援助センターによる福祉施設への利用者紹介及び就労支援を実施しています。 ●地域就労援助センターを中心とした障害者就労支援ネットワーク会議において、就労移行支援事業所の利用者の増加を目的とした就労移行支援事業所合同説明会や体験会を実施しています。 ●就労支援機関の紹介冊子を作成するとともに、ハローワークが主催する障害者合同面接会の開催について協力しています。 ②ニーズ・課題 ●就労移行支援事業所の利用期間は原則2年となっているため、各就労移行支援事業所では、利用者の確保が課題となっています。そのため、地域就労援助センターにおいては、訓練を受けることで一般就労が可能な方を適切に事業所につなげていく必要があります。 ●就労移行支援事業の対象には大学在学中の学生が含まれますが、学生の方の利用にあたっては、卒業に必要な単位取得が見込まれている等、学生の本分である学業に支障がないように利用する必要があります。 ③今後の取組 ●障害者総合支援法に基づく就労移行支援事業所や市内3か所の地域就労援助センター等の就労支援機関による支援を引き続き実施することで、福祉施設から一般就労への移行促進を図ります。 ●地域就労援助センターを中心とした障害者就労支援ネットワーク会議において、関係機関と連携しながら、就労移行支援事業所の利用者の確保に向けた取組などを推進します。 [185ページ] ≪就労支援ネットワークの連携強化≫ ①現状(これまでの取組) ●地域の就労支援力の向上を目的として、市内3か所の地域就労援助センターを中心とした、南部、中部、北部地区ごとの障害者就労支援ネットワーク会議(※1)を実施し、短時間就労の推進に向けた求人情報や雇用事例など、支援機関同士の情報共有や本市の就労支援施策の共有、勉強会等を行っています。 (※1)令和元(2019)年度:3地区合計21回開催 ●就労支援機関の支援力の向上を目的とした研修(※2)を実施しています。 (※2)令和元(2019)年度:本市主催の研修5回、神奈川県との共催等による研修2回 ②ニーズ・課題 ●就労移行支援事業所においては、職員の異動が頻繁にあるため、効果的な情報共有や研修の方法について検討していく必要があります。 ●障害者就労支援ネットワーク会議は、主に地域就労援助センター及び就労移行支援事業所により構成されていますが、議題・企画の内容に応じて他の関係機関とも連携する必要があります。 ③今後の取組 ●障害者就労支援ネットワーク会議を引き続き実施するなど、地域就労援助センターと就労支援機関等のネットワーク体制を強化することにより、地域の就労支援力の向上に取り組みます。 ●障害のある方の一般企業等への就職や就職後の職場定着に向けた効果的な支援を実施するため、県及び市主催の就労支援研修や就労支援ネットワーク会議における勉強会を行うことなどにより、就労支援機関の支援力の向上に取り組みます。 [186ページ] ≪職場定着支援の提供≫ ①現状(これまでの取組) ●地域就労援助センターや就労定着支援事業所等による個別の職場定着支援を実施しています。 ●セルフケアの意識やセルフケアスキルの向上を目的とした川崎就労定着プログラム(K-STEP)を就労支援機関等で実施しています。 ●地域就労援助センターにおいて、冊子「多様な人たちが輝くためのパターン・ランゲージ」を活用した職場定着支援を実施するなど、雇用企業に対して、障害のある方への配慮の提供や職場環境等に関する助言や提案を行っています。 ②ニーズ・課題 ●福祉施設から一般就労へ移行した方のうち、精神障害者や発達障害者が占める割合が多くなっており、個々の障害特性を踏まえた職場定着支援が必要となっています。 ●最も多い離職理由は体調面の問題であることから、障害のある方を雇用する職場に対し、体調面を含めた障害特性の理解や体調の変化に応じた配慮を求めるとともに、障害のある方が業務中や日々の生活の中でセルフケアに取り組めるよう、引き続き、地域就労援助センターなどによる支援を行う必要があります。 ③今後の取組 ●企業等が障害のある従業員の特性を理解し、効果的なサポートや配慮の提供が行えるよう、地域就労援助センター等の就労支援機関において雇用企業への支援を進めるなど、障害のある方の職場定着に向けた取組を引き続き推進します。 ●障害のある方が自身の体調等を把握して職場に配慮を求めたり、健康や生活の自己管理に取り組めるよう、川崎就労定着プログラム(K-STEP)の活用など、「セルフケア」を重視した支援を推進します。 [187ページ] 3 企業への雇用支援 ≪障害者雇用の拡大に向けた普及啓発≫ ①現状(これまでの取組) ●障害者雇用に関する企業向けネットワークの推進を目的として、障害者雇用促進ネットワーク会議(※1)を実施しています。(※1)令和元(2019)年度:5回開催 ●障害者雇用の拡大に向けた普及・啓発を目的として、ハローワークと連携し、「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」(※2)を開催しています。(※2)令和元(2019)年度:1回開催 ●国が実施する各種助成金制度の周知を行うとともに、冊子「多様な人たちが輝くためのパターン・ランゲージ」の活用など、雇用企業に対して、障害のある方への配慮の提供や職場環境等に関する助言や提案を行っています。 ●障害のある方を雇用する企業の相談窓口として、令和元(2019)年度に企業応援センターを設置し、短時間雇用が可能な職場の開拓などを行っています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方の就職件数は増加しているものの、依然として法定雇用率を満たしている企業は5割に達していないことから、引き続き、障害のある方を雇用することについての理解を広げるための取組を推進する必要があります。 ③今後の取組 ●障害者雇用促進ネットワーク会議を引き続き実施するとともに、国が実施する各種助成金やジョブコーチ制度、市が実施する就労定着支援等の各種支援制度、障害のある方を雇用する企業の相談窓口である企業応援センターなど、障害者雇用の拡大に向けた企業向けの様々な普及・啓発活動を推進します。 ●短時間雇用が可能な職場を開拓するなど、障害のある方が就労しやすい環境の整備に向けた取組を推進します。 [188ページ] 4 福祉的就労の支援 ≪福祉的就労における工賃の向上≫ ①現状(これまでの取組) ●障害者優先調達推進法に基づき、市内障害者施設等からの調達方針を毎年度策定し、障害者就労施設等で供給可能な物品及び役務の情報を取りまとめるなど、優先調達の取組を推進しています。 ●民間企業等からの障害者施設等への発注を促進していくため、共同受注窓口機能として、「障がい者施設しごとセンター」を設置し、規模と受注額が大きい業務を複数事業所で受注できるようにするなどの取組を進めています。 ●障害者支援団体等と連携して製品販売会(※)を開催するなど、障害者施設で製作されている製品の商品力・販売力の向上を図る取組を進めています。 ※令和元(2019)年度:6回開催 ●福祉的就労の利用希望のある高齢障害者の障害福祉サービスの利用については、原則として65歳になった際には介護保険サービスの利用が優先されることになりますが、介護保険サービスに相当するものがない障害福祉サービス固有のサービスについては、サービスを利用することが可能であるため、就労継続支援B型等による支援を実施しています。 <優先調達件数の実績> (表) 平成29(2017)年度 70件 平成30(2018)年度 76件 令和元(2019)年度 120件 <就労継続支援B型事業所の平均工賃> (表) 平成25(2013)年度 14,092円 平成28(2016)年度 15,742円 平成30(2018)年度 16,453円 ②ニーズ・課題 ●障害のある方が経済的に自立できるよう、福祉的就労の場における工賃向上に向けた取組を引き続き推進する必要があります。 ③今後の取組 ●障害者優先調達推進法に基づく障害者施設等からの優先調達、民間企業等からの受注促進に向けた取組、製品の商品力・販売力向上のための取組など、福祉的就労の場における工賃向上に向けた様々な取組について、引き続き推進します。 ●介護保険対象者である高齢障害者が障害福祉サービスを利用する際は、障害特性に伴う真に必要なニーズであることを確認した上で、障害福祉サービス固有のサービスである就労継続支援B型等による支援を引き続き実施します。 [189ページ] 5 経済的支援 ≪障害年金の支給支援≫ ①現状(これまでの取組) ●障害基礎年金について、各区役所(支所)において受給相談及び請求書の受付業務を行うとともに、市独自で作成したパンフレットを窓口にて配布し、市ホームページに制度の案内を掲載するなど、制度の周知を図っています。 ●障害厚生年金については、相談窓口である年金事務所に円滑に案内するため、年金事務所の相談予約受付電話番号を記載したチラシを配付するなどの対応を行っています。 ②ニーズ・課題 ●初診日において加入していた年金制度により相談窓口が異なるため、請求者に対し、分かりやすい案内や周知を行う必要があります。 ③今後の取組 ●障害基礎年金の支給に関する手続を適正に行うとともに、障害厚生年金の対象者については相談窓口である年金事務所に円滑に案内するなど、引き続き、障害のある方の所得を保障する障害年金の支給に向けた支援を行います。 ≪各種手当による経済的支援≫ ①現状(これまでの取組) ●障害のある方やその家族への経済的支援を目的として、国の制度である特別障害者手当、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、福祉手当等を支給するほか、県単独の補助となる神奈川県在宅重度障害者等手当、市単独の補助となる川崎市在宅重度重複障害者等手当を支給しています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方やその家族の自立した生活を経済的に支援するため、国や県の手当制度の動向を注視しながら、引き続き、適切な制度運用を図っていく必要があります。 ③今後の取組 ●障害のある方やその家族に対し、障害により必要となる費用に対する経済的な支援を行い、所得を保障するため、引き続き、特別障害者手当や特別児童扶養手当等を支給します。 [190ページ] ≪税金・公共料金等の減免や福祉サービス等の負担軽減≫ ①現状(これまでの取組) ●所得税及び住民税の控除、自動車税及び自動車取得税の減免、水道料金及び下水道使用料の減免、NHK放送受信料の減免等を実施するとともに、障害者総合支援法に基づく福祉サービス、自立支援医療や補装具等の負担軽減策も併せて実施することにより、障害のある方の経済的な負担を軽減しています。 ②ニーズ・課題 ●各種減免・控除や福祉サービス等の負担軽減については、内容に応じて申請先が異なるため、利用者が申請しやすくなるよう情報を整理し、分かりやすく周知する必要があります。 ③今後の取組 ●障害のある方の経済的な負担を軽減するため、各種減免・控除や福祉サービス等の負担軽減について引き続き実施するとともに、制度の概要や申請方法などについて利用者に分かりやすく周知します。 [191ページ] 基本方針Ⅱ 地域とかかわる ~地域の中でいきいきと暮らしていける「心のバリアフリー都市川崎」の実現~ 施策8 権利を守る取組の推進 <現状と課題> ●障害のある方が一人の人間として尊重され、様々な支援を受けながら地域で自分らしい生活を営むことは当然の権利です。 ●障害により身体能力や判断能力が不十分になったとしても、権利主体としての尊厳が損なわれることはないため、障害のある方に対する不平等や差別、虐待等をなくしていく必要があります。 ●障害者虐待防止法に基づく虐待防止体制の整備、障害者差別解消法に基づく差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供、成年後見制度など、障害のある方の権利擁護に関する様々な制度について、障害当事者やその家族、関係事業者が更に理解を深める必要があります。 <対応の方向性> ●関係機関と連携しながら、障害のある方の権利擁護に関する様々な取組を推進します。 ●障害者虐待防止法や障害者差別解消法の趣旨、合理的配慮の提供など、権利擁護に関する様々な制度について普及啓発を図るとともに、成年後見制度などの利用を促進するための取組を推進します。 制度の認知度 (グラフ) 全体 4,205人 成年後見制度 知っている47.5% 知らない33.7% 無回答18.7% 障害者虐待通報・届出受付ダイヤル 知っている11.4% 知らない64.0% 無回答24.6% 障害者差別解消法 知っている23.1% 知らない68.8% 無回答8.1% 合理的配慮の意思表示 知っている13.7% 知らない77.3% 無回答9.0% 制度の利用意向 (グラフ) 全体 4,205人 成年後見制度 利用したい13.5% 利用しない14.9% わからない38.4% 無回答33.3% 障害者虐待通報・届出受付ダイヤル 利用したい9.9% 利用しない10.8% わからない40.3% 無回答39.0% 資料:川崎市障害のある方の生活ニーズ調査(令和元(2019)年度) [192ページ] 1 障害を理由とする差別解消の推進 ≪障害を理由とする差別解消の推進≫ ①現状(これまでの取組) ●平成28(2016)年に施行された障害者差別解消法に基づき、障害を理由とする差別の解消に向けた関係者の理解促進を図るため、市職員や相談支援従事者への研修の実施、対応要領や「障害のある方へのサポートブック」等の市職員への周知・配付、障害者差別解消法に関する啓発品やチラシの配布などを行い、差別のない「自立と共生の地域社会づくり」に取り組んでいます。 ●障害者差別解消支援地域協議会を開催し、地域における関係機関等とのネットワークの構築、障害を理由とする差別に関する相談事例の共有や情報交換等、様々な課題を協議しています。 ②ニーズ・課題 ●障害者差別解消法に関する理解促進を図るため、これまでは主に市職員や相談支援従事者に対する取組を中心に行ってきましたが、今後は、市内の民間事業者や市民に対する取組についても推進する必要があります。 ③今後の取組 ●障害者差別解消法に基づき、差別のない「自立と共生の地域社会づくり」を進めるため、障害者差別解消法に関する市職員及び相談支援従事者向けの研修や周知を引き続き行うとともに、市内の民間事業者や市民に対する障害者差別解消法の理解促進及び普及啓発に向けた取組を強化するなど、障害を理由とする差別の解消に向け、必要な取組を推進します。 ●障害者差別解消支援地域協議会を引き続き開催し、地域における関係機関等とのネットワークの構築、障害を理由とする差別に関する相談事例の共有や情報交換等を行うことで、効果的な差別解消の取組に繋げます。 [193ページ] 2 障害者虐待防止に向けた取組の推進 ≪虐待防止体制の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●虐待の防止及び早期発見に向けて、市及び各区地域みまもり支援センターにおける障害者虐待防止センター機能を円滑に運用するとともに、24時間対応の専用電話窓口を設置しています。 ●虐待防止に関する研修や啓発活動を実施するとともに、相談支援センターなどの関係機関とも連携しながら、虐待の防止に向け、必要な取組を行っています。 ②ニーズ・課題 ●権利主体としての尊厳が損なわれることがないよう、障害のある方への虐待を防止するため、関係機関や関係団体のみならず、広く市民と連携した取組を進める必要があります。 ●緊急時においては、障害のある方本人の意思の制約が生じる可能性があるため、本人の意思決定支援に基づく虐待対応の普及・啓発が必要となっています。 ●養護者による虐待が繰り返されないよう、養護者に対する支援が求められています。 ③今後の取組 ●虐待の防止及び早期発見に向けて、引き続き、障害者虐待防止センター機能や、24時間対応の専用電話窓口を円滑に運用するとともに、虐待防止に関する研修や啓発活動など、相談支援センターなどの関係機関とも連携しながら、必要な取組を推進します。 ●本人の意思決定支援に基づく虐待対応の普及・啓発や、養護者に対する支援などの取組を推進します。 [194ページ] 3 成年後見制度等の推進 ≪成年後見制度、日常生活自立支援の推進≫ ①現状(これまでの取組) ●判断能力が十分ではない知的障害者、精神障害者、認知症高齢者の方などが自立した地域生活を送れるよう、意思決定を支援し、権利擁護、財産管理及び身上保護を行うための制度である「成年後見制度」の利用促進を図るため、所得の低い方への後見開始の申立費用・後見報酬の助成などを行う成年後見制度利用支援事業を実施しています。 ●成年後見制度連絡会を開催し、関係機関との情報共有やネットワークの構築に取り組むとともに、成年後見シンポジウムを開催し、制度の普及啓発に取り組んでいます。 ●市民後見人養成研修や市民向け研修(親族後見人研修)を実施するなど、成年後見人の人材育成に向けた取組を進めています。 ●川崎市社会福祉協議会が運営するあんしんセンターにおいて、福祉サービス利用援助サービス、日常的金銭管理サービス、書類等預かりサービスなど、日常生活自立支援事業を実施しています。 ②ニーズ・課題 ●障害や加齢などにより判断能力が不十分になったとしても地域の中で自立した生活を送れるよう、引き続き、成年後見制度や日常生活自立支援事業を円滑に運用するとともに、関係機関と連携しながら、制度の利用促進や普及啓発に向けた取組を行う必要があります。 ●成年後見制度の認知度が低いことや、言葉は聞いたことはあるが制度の内容は知らない(※)ことなどから、制度利用につながっていない方が多くいると考えられるため、本制度の利用促進に向けた取組を進める必要があります。 ※川崎市地域福祉実態調査報告書(令和2(2020)年3月)より抜粋 ③今後の取組 ●引き続き、成年後見制度利用支援事業や日常生活自立支援事業を実施することで、判断能力が十分ではない知的障害者・精神障害者・認知症高齢者の方などの地域生活を支援します。 ●成年後見制度利用促進計画を策定し、本人の意思決定支援、財産管理及び身上保護を重視した成年後見制度の運用に資する支援体制の構築に取り組むとともに、広報機能・相談機能・成年後見制度利用促進機能・後見人支援機能などを担う中核機関の設置や、本人を中心とするチーム支援、専門職・関係機関・地域等が連携・協力する協議会の設置など、権利擁護支援に関する地域連携ネットワークの構築に向けた取組を進めます。 [195ページ] 4 消費者トラブルの防止 ≪消費者トラブルの防止≫ ①現状(これまでの取組) ●全国の消費生活センターには、マルチ商法やキャッチセールスなど、障害のある方を狙った消費者トラブルの相談が寄せられていることを踏まえ、消費者トラブルの拡大や未然防止のために、消費者行政センターにて消費生活相談を受け付けているほか、生活相談の一環として、障害者相談支援センターにおいても相談を受け付けています。 ●「障害者の消費生活見守りガイドブック」や「点字付き消費者行政センター啓発カード」「障害者向け啓発物」などを活用し、障害者相談支援センターや地域包括支援センター等を通じて、障害のある方や身近な関係者に対し、消費者トラブルを未然に防止するための啓発活動を実施しています。 ②ニーズ・課題 ●消費者トラブルを未然に防止することは、障害の有無に関わらず消費者の権利を守る観点から必要であるとともに、障害に伴い判断能力が不十分な方が消費者トラブルに見舞われることを防ぐためにも、引き続き、現状の取組を推進するとともに、効果的な普及啓発のあり方などを検討していく必要があります。 ③今後の取組 ●消費者行政センターにおける消費生活相談等を引き続き実施するとともに、啓発資料等を活用し、障害のある方だけではなく、その家族や周囲の関係者等にも周知を行うなど、消費者トラブルを未然に防止するための見守り活動を推進します。 [196ページ] 施策9 心のバリアフリー <現状と課題> ●障害のある方が地域の中で自分らしくいきいきと生活するためには、障害の特性などに応じた多様な支援体制や、公共施設などのバリアフリー化だけではなく、個々が持つ意識のバリアを取り除くことが大変重要となっています。 ●全ての人々が相互に理解を深めようとコミュニケーションを取り、それぞれの個性を生かし合いながら共に暮らせる地域社会を実現するため、全市民的な意識の醸成(心のバリアフリー)が必要です。 <対応の方向性> ●「誰もが自分らしく暮らし、自己実現を目指せる地域づくり」を目指した「かわさきパラムーブメント」の取組を推進します。 ●地域や教育の場で障害の理解促進や普及啓発を行うなど、引き続き、全市民的な意識の醸成(心のバリアフリー)に向け、必要な取組を推進します。 地域の理解を進めるために特に力を入れるべきこと(3つまでの複数回答) (グラフ) 全体 4,205人 障害や病気のある人の一般企業への就労の促進 33.1% 障害や病気についての正しい知識の普及啓発や講演会、擬似体験会の開催 31.3% 学校や生涯学習での障害や病気に関する教育や情報の提供 24.0% 学校や地域などでともに学び、ともに暮らすこと 22.5% 学校や地域などで交流の機会を増やすこと 20.9% 障害や病気のある人の生活を伝えるパンフレットの発行 15.8% 特にない 9.1% 障害者作品展やイベントの開催 6.5% 資料:川崎市障害のある方の生活ニーズ調査(令和元(2019)年度) [197ページ] 1 かわさきパラムーブメントの推進 ≪かわさきパラムーブメントの推進≫ ①現状(これまでの取組) ●かわさきパラムーブメントの推進のため、平成28(2016)年に「かわさきパラムーブメント第1期推進ビジョン」を策定し、平成30(2018)年には、目指すものと理念との関係性を明確化した「かわさきパラムーブメント第2期推進ビジョン」を策定しました。 ●「かわさきパラムーブメント第2期推進ビジョン」で掲げている9つのレガシーが形成された状態の実現に向け、市民や関係団体などと協議を重ね、成果指標の設定や取組内容の検討を行うなど、多様な主体における取組を推進しています。 ●かわさきパラムーブメントの理念浸透のため、平成29(2017)年に策定した「かわさきパラムーブメント中長期的広報戦略」に基づき、平成29(2017)年に第1弾、平成30(2018)年に第2弾、令和2(2020)年に第3弾の動画をそれぞれ作成し、市内各所で放映しました。 ●平成29(2017)年から障害者スポーツの体験やトークショーによるイベント「かわパラ」を毎年開催しています。また、平成30(2018)年から、障害の有無などに関わらず誰もが音楽を楽しめることをコンセプトとして「かわさきパラコンサート」を開催しています。 ●平成30(2018)年から市民参加の取組を推進しており、かわさきパラムーブメントや英国事前キャンプなどに関する市民が企画したマイプロジェクトの実践の場として、市内でイベントを開催しています。 ●平成29(2017)年から主に窓口対応を行う職員を対象とし、心のバリアフリーについて学び、ユニバーサルマナー検定3級取得のための研修を開催しています。 ②ニーズ・課題 ●かわさきパラムーブメントの理念が浸透し、レガシーの形成に向けた取組を推進するためには、より一層、本市・市民・企業等が主体的に(自分ごととして)活動する必要があります。 ③今後の取組 ●本市においては、令和元(2019)年度に作成した「パラムーブメントチェックシート」をもとに、各事業をパラムーブメントの視点から確認するなど、パラムーブメントの理念浸透を図るとともに、ソフト及びハードのバリア解消に向けた取組を推進します。 ●市民に対しては、イベントなどを通じて引き続き理念の浸透を図り、主体的な行動を促します。 ●企業等の多様な主体に対しては、令和2(2020)年度に設立する「パラムーブメント推進協議会」による情報共有等を通じて、他分野間の連携体制を構築し、主体的な取組の推進を図ります。また、先導的共生社会ホストタウンとして、企業や団体などのあらゆる主体と連携し、共生社会の実現に向けた取組を推進するとともに、先駆的・先進的な事例を川崎から発信します。 ●東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の終了後も引き続き、多様な主体による取組が、それぞれ自律的・持続的な活動へと発展し、レガシーが形成されるよう取組を推進していきます。 [198ページ] 2 障害の理解促進と普及啓発 ≪障害への市民理解の促進≫ ①現状(これまでの取組) ●啓発パンフレットの作成、「手をつなぐフェスティバル」や「世界自閉症啓発デー」等のイベントの実施など、障害に対する市民の理解を深めるための取組を行っています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方が地域で安心して生活するためには、市民全体で障害への理解を深めていくことが必要です。 ③今後の取組 ●障害への理解促進のため、引き続き、啓発パンフレット等を作成し市ホームページに掲載するなど、様々な手段により普及啓発を行うとともに、障害者週間や各種イベント等の機会を通じて市民との交流の機会をつくるなど、障害に対する市民の理解を深めるための取組を推進します。 ≪精神障害への理解促進≫ ①現状(これまでの取組) ●精神障害のある方が地域で安心して生活するためには、家族などの身近な人をはじめ、地域全体での精神障害に対する正しい理解が必要であるため、市民向け講演会や精神保健福祉講座を開催するなど、精神障害への理解促進に向けた啓発活動を行っています。 ●地域の実情に応じた事業展開を行うため、各区地域みまもり支援センターや地域リハビリテーションセンター等と連携した手法を検討しています。 ②ニーズ・課題 ●統合失調症やうつ病だけでなく、依存症等も含めた多様な精神疾患への理解が必要となっています。 ●睡眠やアルコールなど、身近なテーマをもとにした講座等を展開する必要があります。 ●地域の支援組織及び団体等と連携した活動を実施するなど、精神障害への理解促進に向けた取組を推進する必要があります。 ③今後の取組 ●精神疾患は誰でもかかりうる可能性がある病気であることを踏まえ、地域の支援組織及び団体等と連携し、身近なテーマをもとにした市民向け講演会や精神保健福祉講座を開催するなど、精神障害に対する正しい知識の普及と理解促進に努めます。 [199ページ] ≪障害者スポーツ体験の推進≫ ①現状(これまでの取組) ●障害者スポーツへの関心や障害に対する理解を一層深めることを目的とし、市内小学校・中学校等において、障害者スポーツ体験講座「パラスポーツやってみるキャラバン」を実施しています。 ●障害者スポーツの普及を目的として、市民を対象に、障害者スポーツの体験イベントを市民祭り等で実施しています。 <開催実績> (表) パラスポーツやってみるキャラバン 平成28年度20回 平成29年度26回 平成30年度29回 令和元年度37回 障害者スポーツの体験イベント 平成28年度3回 平成29年度3回 平成30年度3回 令和元年度2回 ②ニーズ・課題 ●障害のない方が障害者スポーツを体験することは、障害者スポーツへの関心や障害に対する理解を深める観点からも大変重要な取組となっています。 ●「パラスポーツやってみるキャラバン」については、令和2(2020)年度中に市内の全小学校で実施完了予定であるため、今後の取組のあり方を検討する必要があります。 ③今後の取組 ●障害者スポーツへの関心や障害に対する理解を深め、心の障壁をつくらない「心のバリアフリー」を進めるため、引き続き、障害者スポーツの体験講座やイベントを開催します。 ≪障害者雇用の促進(再掲)≫ ●施策7 雇用・就労・経済的自立の促進(178~190ページ)を参照 ≪障害者スポーツや文化芸術活動への参加促進(再掲)≫ ●施策10 社会参加の促進(202~208ページ)を参照 [200ページ] 3 学校における交流・福祉教育 ≪交流及び共同学習の推進≫ ①現状(これまでの取組) ●全ての小・中学校(川崎高等学校附属中学校を除く)に特別支援学級が設置されている利点を生かし、通常の学級の児童生徒と特別支援学級の児童生徒が同じ場で活動する機会を創出しています。 ●第2期川崎市特別支援教育推進計画において、市立特別支援学校における交流及び共同学習の推進を図るため、副次的な学籍のあり方について検討することとしており、田島支援学校小学部分教室及び中央支援学校小学部分教室に在籍する児童について、同敷地内の小学校に交流籍として副次的な学籍を設置しています。 ●特別支援学校に在籍する児童生徒が居住している地域の小・中学校の児童生徒と交流する「居住地交流」を実施しています。 <副学籍交流の実績> ※令和元(2019)年度の実績 (表) 中央支援学校大戸分教室 38名 受入小学校は大戸小学校 中央支援学校稲田分教室 28名 受入小学校は稲田小学校 田島支援学校さくら分教室 14名 受入小学校はさくら小学校 <居住地交流の実績> ※令和元(2019)年度の実績 (表) 田島支援学校 11名 受入校数は9校 中央支援学校 6名 受入校数は5校 聾学校 20名 受入校数は18校 ※令和元(2019)年11月30日時点の報告数 ②ニーズ・課題 ●障害のある方を「共に暮らす市民」として受け入れる社会を実現するためには、学齢期において障害のある児童生徒と交流するなど、障害への理解促進を図る機会を設けることが大変重要となっています。 ●居住地交流については、原籍校が本人や保護者の意見を聞きながら、交流の目標や手だて、その内容等を検討し、交流計画を策定した後に、交流相手校と調整を図った上で実施する必要があり、子どもの障害の状況や必要な支援、原籍校の学習内容、医療的な情報、緊急時の対応、両校の役割分担など、児童生徒が安全で充実した時間を過ごせるよう必要な情報を両校で共有することが必要です。こうしたことを踏まえ、居住地交流を実施する上で必要となる確認作業や手続きなどに関し、原籍校と交流相手校との連携のあり方について検討する必要があります。 ③今後の取組 ●障害への理解促進を図るため、交流籍の設置や居住地交流など、通常の学級の児童生徒と障害のある児童生徒が共に学び、交流する場を提供できるよう、引き続き、必要な取組を推進します。 ●他都市の情報収集を行うとともに、本市の小・中学校の状況を踏まえ、市内の特別支援学校における交流籍のあり方について検討します。  [201ページ] ≪学校における福祉教育の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●小学校や中学校などでは、各教科等において発達段階に相応しい福祉教育を推進しています。 ●特に総合的な学習の時間では、学校周辺の地域を散策することでユニバーサルデザインの観点から街づくりについて構想したり、福祉施設や高齢者施設への訪問を通して多様な方と交流するなど、様々な取組を実施しています。 ●川崎高等学校福祉科において、障害者福祉施設や心身障害者デイサービス等でボランティア活動をしています。 ●市立学校の教員向けに、福祉教育の考え方や具体的な方法などについて、社会福祉協議会等の福祉関係機関と連携しながら研修を行っています。 ②ニーズ・課題 ●義務教育段階から、児童生徒が障害のある方と交流し、障害への理解を深めることは、「心のバリアフリー」を実現する観点からも大変重要な取組となっています。 ●各教科等で行っている福祉教育を横断的につなぎながら、学習者の視点で福祉教育を豊かにしていくことや、児童生徒の実態を踏まえた学習材の選択、ボランティア先との日程調整、福祉教育に取り組める時間の確保、教員への効果的な研修の構築などが必要となっています。 ③今後の取組 ●障害のある方や高齢者との交流などを通して、相手の気持ちに寄り添い、様々な人たちの立場で考えることができるよう、引き続き、社会福祉協議会をはじめとした外部機関との連携を図りながら、児童生徒の発達段階に応じた福祉教育の充実に努めます。 ●高校福祉科の教員や生徒が市内の障害者福祉の実情について理解を深めるため、引き続き、障害者福祉施設や心身障害者デイサービス等におけるボランティア活動を実施します。 ●学校現場における福祉教育の実態を把握しながら、効果的な福祉教育を実践できるよう、社会福祉協議会と連携し、教員の意識向上や具体的な授業づくりに資する研修を行います。 [202ページ] 施策10 社会参加の促進 <現状と課題> ●障害のある人もない人も共にいきいきと暮らすことができる地域社会の実現にあたっては、障害の有無に関わらず、全ての人がスポーツや文化芸術活動などを楽しめるようにする必要があります。 ●平成30(2018)年に施行された障害者による文化芸術活動の推進に関する法律や、令和元(2019)年に施行された視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)などを踏まえ、障害のある方が更に社会活動に参加できるような環境づくりを進める必要があります。 <対応の方向性> ●障害の有無に関わらず誰もがスポーツを楽しめるよう、障害者スポーツ大会の開催、障害者スポーツの普及促進、スポーツ施設の利用促進、スポーツ指導者の養成等の取組を推進します。 ●バリアフリー上映の実施や作品発表の場の確保、点字図書や録音図書の充実など、障害の有無に関わらず誰もが文化芸術活動等を楽しめる環境づくりを推進します。 運動・スポーツをする上での課題(3つまでの複数回答) (グラフ) 全体 4,205人 健康・体力面で不安がある 27.0% スポーツができる施設、場所が近くにない 16.1% 一緒に活動する仲間がいない(少ない) 14.3% 特に問題ない 14.0% サポートをしてくれる人(指導者)がいない(不足している) 11.9% スポーツができる施設などの情報が不足している 11.8% 仕事や家庭・勉強などで忙しい 10.3% 施設使用料が高い 7.2% 施設の利用日や時間帯が限られている 7.1% スポーツができる施設のバリアフリー化やサポート体制が整っていない 5.0% 用具の購入などにお金がかかる 5.0% 施設の予約が取りにくい 3.6% 資料:川崎市障害のある方の生活ニーズ調査(令和元(2019)年度) [203ページ] 1 障害者スポーツの推進 ≪スポーツ活動の推進≫ ①現状(これまでの取組) ●障害のある方が地域でスポーツを楽しみ、スポーツを通して豊かな生活を営むことができるよう、川崎市障害者スポーツ大会の開催、全国障害者スポーツ大会への選手派遣、障害者スポーツ教室の開催、全国規模の障害者スポーツ大会の開催支援など、障害者スポーツ振興事業を実施しています。 ●川崎市障害者スポーツ協会や障害者スポーツ関連団体と連携し、障害者スポーツデーや国際大会の参加選手の市長表敬訪問を実施するなど、障害者スポーツの普及促進を図っています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある人もない人も共にいきいきと暮らすことができる地域社会の実現にあたっては、障害の有無に関わらず、全ての人がスポーツを楽しめるようにするための取組が必要です。 ●川崎市障害者スポーツ大会については、より多くの方が参加できるよう広報を工夫するとともに、他の取組と連動した一貫性のある事業として確立する必要があります。 ●障害者スポーツデーについては、川崎市障害者スポーツ協会と連携を図りながら、より多くの方が参加できるよう、開催場所などを工夫する必要があります。 ③今後の取組 ●障害者スポーツの充実や普及促進を図るため、様々な障害者スポーツ大会や障害者スポーツ教室の開催など、引き続き、各種スポーツ振興事業等を実施します。 ●川崎市障害者スポーツ大会や障害者スポーツデーについては、更なる取組の推進を図るため、広報や開催場所などの見直しに向けた検討を行います。 [204ページ] ≪スポーツ施設の利用促進≫ ①現状(これまでの取組) ●各区スポーツセンターの利用料金の減免、障害者用駐車場や障害者用更衣室、多目的トイレの設置、障害者スポーツ用具(車椅子卓球台・バスケットボール用車いす・ボッチャボールセット)の貸出、初級障害者スポーツ指導員の配置など、障害のある方がスポーツを楽しめるよう、様々な取組を行っています。 ●各区スポーツセンター等において、障害のある方や介助者等に障害者スポーツを楽しんでもらう「障害者スポーツデー」を実施しています。 ●障害のある方がスポーツを楽しむことができる施設の1つとして、リハビリテーション福祉センタースポーツ施設を運営していますが、同施設の体育館については、劣化調査の結果、施設全体としては劣化が進んでおらず、今後も継続した施設の利用が可能と見込まれることから、現行機能の継続を基本とし、大規模修繕による長寿命化対策を実施する方向で検討を進めています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方がスポーツを楽しめる場を確保するため、各区スポーツセンターやリハビリテーション福祉センタースポーツ施設の利用を促進するための取組が必要となっています。 ●障害のある方を対象とした「スポーツデー」については、より多くの方が参加できるよう、実施方法を工夫する必要があります。 ●体温調整が難しい障害のある方に対応するため、冷暖房設備のないスポ―ツセンターについて当該設備の設置が必要です。 ●リハビリテーション福祉センター体育館・プールについては、劣化調査の結果や利用ニーズ等を踏まえ、大規模修繕による長寿命化を図る必要があります。 ③今後の取組 ●各区スポーツセンターにおいて、利用料金の減免や障害者スポーツ用具の貸出、初級障害者スポーツ指導員の配置などの取組を引き続き実施するとともに、障害のある方を対象とした「スポーツデー」の実施回数の拡大など、障害のある方がスポーツを楽しめる環境づくりを推進します。 ●スポーツセンターの体育室への冷暖房設備の設置を進めるとともに、リハビリテーション福祉センター体育館・プールについては、老朽化を踏まえ、機能改善を含めた大規模修繕等を実施します。 [205ページ] ≪スポーツ指導者の養成≫ ①現状(これまでの取組) ●初級障害者スポーツ指導員養成講習会を実施し、平成30(2018)年度からは、年1回から年2回に開催回数を拡大しています。 <初級障害者スポーツ指導員の養成実績> (表) 平成27(2015)年度 29名 平成28(2016)年度 30名 平成29(2017)年度 22名 平成30(2018)年度 33名 令和元(2019)年度 27名 ②ニーズ・課題 ●障害のある方が身近な地域でスポーツを楽しむためには、それぞれの障害の状況に応じたスポーツの指導を受けられる体制が必要であるため、引き続き、初級障害者スポーツ指導員を養成し、資質の向上を図ることが求められています。 ●市の障害者スポーツ大会やイベント等で運営スタッフとして活動するなど、川崎市障がい者スポーツ指導者協議会等と連携しながら、指導員の活動の場を確保する必要があります。 ③今後の取組 ●障害者スポーツ振興の機運が高まる中、その一翼を担う障害者スポーツ指導員の養成は、障害者スポーツの普及において重要な要素であるため、障害のある方々のスポーツ活動を支える指導員の養成や資質の向上を図るとともに、川崎市障がい者スポーツ指導者協議会等と連携し、指導員の活動の場の拡大に向けた検討を進めるなどの取組を推進します。 [206ページ] 2 文化芸術活動の推進 ≪文化芸術活動への参加促進≫ ①現状(これまでの取組) ●障害の有無に関わらず美術鑑賞できるプログラムや、川崎市アートセンターの映画上映における副音声ガイド付きバリアフリー上映などを実施しています。 ●ミューザ川崎シンフォニーホールにおいて、音楽公演における体感音響システム、字幕タブレット等鑑賞サポート環境を試験的に取り入れたコンサートを実施しています。 ●障害者施設等における創作活動を支援するとともに、発表の機会を確保するための作品展を開催するなど、川崎市文化財団と連携し、パラアート推進事業を実施しています。 【パラアート推進事業の取組例】 ・Colorsかわさき展 ※令和2(2020)年度:出展者131名、来場者1,158名 ・パラアート推進公募型事業 ※令和2(2020)年度:5事業 ・パラアート情報発信サイト「ぱらあーとねっと」の開設 ●ハロウィンイベントについて、かわさき基準(KIS)認証福祉製品である車いすを活用するなど、関係団体と連携を図りながら、多くの車いすユーザーの方が参加できるよう支援しています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある人もない人も共にいきいきと暮らすことができる地域社会の実現にあたっては、障害の有無に関わらず、全ての人が文化芸術に親しみ、様々な市民イベントへ参加できるようにするための取組が必要です。 ●障害のある方が文化芸術を楽しむ場や機会の少なさ、また、それらの情報が入手しづらいといった課題があります。 ●音楽公演における体感音響システムは、光や振動を用いた鑑賞サポートシステムであることから、通常のコンサートでの導入が難しいといった課題があります。 ●ハロウィンイベントへの参加促進に向け、更衣室や障害者用トイレなど、ハード面への対応が必要であるため、関係団体と協議していく必要があります。 ③今後の取組 ●障害の有無に関わらず美術鑑賞できるプログラムや映画上映におけるバリアフリー上映、音楽公演における体感音響システムの試験的な実施などの取組を引き続き行うとともに、パラアート推進事業を実施するなど、障害の有無に関わらず気軽に文化芸術に触れ、参加することができる環境を作り、それぞれの状況に応じて文化芸術の楽しさを享受できるための取組を進めます。 ●文化芸術活動に取り組む障害のある方や、新たに参加を希望する方に対する中間支援機能・相談機能の更なる強化を進めます。 ●ハロウィンイベントについて、障害のある方を含めてより多くの方が参加できるよう、引き続き関係団体と連携しながら検討を進めるなど、障害のある方の市民イベントへの参加促進に向けた取組を進めます。  [207ページ] ≪障害者作品展の開催≫ ①現状(これまでの取組) ●障害のある方の創作活動を支援し、発表の機会を確保するため、障害者社会参加推進センターや川崎市自閉症協会による作品展を開催しています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方が創作活動を通じていきいきとした生活を営むことができるよう、引き続き、絵画や書、手工芸品などの作品発表の機会を確保する必要があります。 ●作品展を充実するため、作品の出展数の増加に向けた取組を検討する必要があります。 ③今後の取組 ●障害のある方の創作活動を支援し、発表の機会を確保するため、引き続き、障害者社会参加推進センターや川崎市自閉症協会と連携しながら作品展を開催するとともに、出展される作品数の増加に向けた検討を行うなど、障害のある方が創作活動に取り組める環境づくりを推進します。 ≪身近な場での文化活動の推進≫ ①現状(これまでの取組) ●身体障害者福祉会館において各種講座や交流事業を実施し、障害のある方が文化活動に親しめる場を提供しています。 ●スポーツや創作活動を通じて障害のある方の社会参加の促進を図るとともに、一般社会の障害に対する理解を深めることを目的とした「手をつなぐフェスティバル」を開催しています。 ●視覚障害者情報文化センターにおいて、点字図書や録音図書を製作するとともに、サピエ図書館と連携して、点字図書や録音図書の貸出を実施しています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方が文化活動を楽しみ、豊かな生活を送るためには、身近な地域において文化活動に親しめる場を確保する必要があります。 ●障害の有無に関わらず誰もが読書を楽しめるようにするため、視覚障害等がある方の読書環境を整備するための取組が求められています。 ③今後の取組 ●身体障害者福祉会館において各種講座や交流事業を実施するとともに、「手をつなぐフェスティバル」を開催するなど、引き続き、障害のある方が文化活動に親しめる環境づくりを推進します。 ●視覚障害者情報文化センターにおいて、点字図書や録音図書の充実に努めるなど、視覚障害のある方などが読書を楽しめる環境づくりを推進します。 [208ページ] 3 生涯学習の推進 ≪生涯学習の場の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●地域での体験活動や交流など、障害のある方の学習機会を確保するため、障がい者社会参加学習活動(青年教室)(※)を実施しており、障害のある方の社会参加の促進を図っています。 ※令和元(2019)年度:7事業 ●教育文化会館、市民館、分館など市内13か所で実施している、平和・人権学習、家庭・地域教育学級、市民自主学級等の各種社会教育振興事業において、障害のある方の学びや仲間づくりの場を確保するとともに、障害への理解を深めるための学習機会を提供するため、様々な講座や研修等を実施しています。 ②ニーズ・課題 ●障がい者社会参加学習活動(青年教室)において、ボランティアの高齢化が課題となっているため、今後も引き続き、新規のボランティアの参加を促す仕組みづくりが求められています。 ③今後の取組 ●引き続き、障がい者社会参加学習活動(青年教室)を実施するとともに、各区で活動している障がい者社会参加学習活動(青年教育)のボランティア同士の交流のほか、情報・課題の共有の場を確保するため、全市のボランティア研修会を実施します。 ●平和・人権学習、家庭・地域教育学級、市民自主学級等において、障害への理解を深めるための学習機会を提供し、新規ボランティアとなりうる人材の発掘につなげるとともに、生涯学習の機会に障害のある方が参加しやすくするための取組を進めます。 [209ページ] 基本方針Ⅲ やさしいまちづくり ~誰もが安心・安全で生活しやすいまちづくりの推進~ 施策11 バリアフリー化の推進 <現状と課題> ●障害者差別解消法や、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下「バリアフリー法」という)などの法整備を踏まえ、障害の有無に関わらず地域社会で共に暮らしていけるよう、社会的な障壁を可能な限り除去する必要があります。 ●ソフト・ハード両面にわたる社会のバリアフリー化を推進し、アクセシビリティを向上することが求められています。 <対応の方向性> ●「福祉のまちづくり条例」や、「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方に基づく、施設や公共交通機関などのバリアフリー化を推進するとともに、誰もが分かりやすい情報提供を行う観点から、情報のバリアフリー化を推進します。 外出しやすくするために希望するもの(5つまでの複数回答) (グラフ) 全体 4,205人 交通費の助成 30.9% 市民の理解や協力 23.9% 安く安心して利用できる障害のある方専用の施設 21.7% 建物の中のバリアフリー(トイレ・エレベーター・自動ドアの設置など) 21.3% 外出時の介助者の支援 17.1% わかりやすい案内表示の設置(道路や建物の中) 16.9% 緊急時に相談できる施設の案内(地図など) 15.7% 交通機関の職員の協力 14.2% 歩道や点字ブロックなど道路などのバリアフリー 6.7% 資料:川崎市障害のある方の生活ニーズ調査(令和元(2019)年度) [210ページ] 1 福祉のまちづくりの推進 ≪福祉のまちづくりの推進≫ ①現状(これまでの取組) ●全ての人が安心して快適な生活を営むとともに、積極的に社会参加を行い、心豊かな生活を送ることができるよう、平成10(1998)年に「川崎市福祉のまちづくり条例」を施行し、福祉のまちづくりの総合的な推進に取り組んでいます。 ●「川崎市福祉のまちづくり条例」に基づき、社会福祉施設や医療施設、商業施設、宿泊施設など、不特定多数の者の利用に供する施設について、新築・増築・用途の変更などの工事を行う際には、あらかじめ市と事前協議を行い、一定の整備基準を満たすよう指導・助言等を実施するとともに、整備マニュアル等を活用し、本条例に基づく整備基準の基本的な考え方を事業者等へ分かりやすく明示することで、障害のある方や高齢者等が安全かつ快適に利用できる施設の整備を推進しています。 ●平成18(2006)年12月に施行されたバリアフリー法に対応し、一定の建築物にバリアフリー化を義務付けるとともに、川崎駅をはじめとする拠点地区等においては、バリアフリー法に基づくバリアフリー基本構想を策定し、その他の地区においては、バリアフリー法の推進に向けた基本的な考え方を取りまとめたバリアフリー推進構想を策定しました。 ●学識経験者、福祉事業者、身体障害者、高齢者、市民などの多様な主体により構成される「川崎市バリアフリーまちづくり連絡調整会議」を毎年開催し、バリアフリー基本構想やバリアフリー推進構想の進捗管理等について協議を行っています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方の増加や高齢化の進展などの社会情勢の変化を踏まえ、全ての人が安心して快適な生活を営むためには、ハード面での社会的な障壁を可能な限り除去する必要があるため、事業者等の福祉のまちづくりに関する理解や意識の向上、小規模建築物等のバリアフリー化の促進など、引き続き、「川崎市福祉のまちづくり条例」等に基づく取組を推進する必要があります。 ●平成30(2018)年に公布・施行された「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律」及び「ユニバーサルデザイン2020行動計画」を契機として、共生社会の実現に向けた機運が高まっていることを踏まえ、ハード面の整備だけではなく、移動支援を必要とする方に対する市民・その他関係者の理解促進や協力の確保など、ソフト面での対応についても取組を推進する必要があります。 ③今後の取組 ●「川崎市福祉のまちづくり条例」に基づく事前協議や整備マニュアル等の活用など、本条例を遵守した施設の整備が図られるよう、引き続き、バリアフリー化を推進します。また、事業者等と連携し、普及啓発に努めるなど、ハード・ソフト両面の一体的なバリアフリー化や福祉のまちづくりの総合的な推進に向けた取組を行います。 [211ページ] 2 公共交通機関のバリアフリー化 ≪鉄道駅におけるホームドア等の整備促進≫ ①現状(これまでの取組) ●障害のある方や高齢者をはじめとする駅利用者のホームからの転落や、列車との接触などの人身傷害事故を防止するため、平成26(2014)年度から、特に利用者が多いなど、早期のホーム上の安全対策の強化が課題となっている鉄道駅を対象として、鉄道事業者に対し、ホームドア及び可動式ホーム柵(以下「ホームドア等」という)の整備費の一部を補助しています。 ●これまで、川崎駅、武蔵小杉駅、溝の口駅などの早期の安全対策の実施に向けて、各鉄道事業者との協議・調整を行ってきました。 ●その結果、令和元(2019)年度末時点で東急武蔵小杉駅・溝の口駅の2駅においてホームドア等の整備が完了しています。 ●また、JR東日本では、令和14(2032)年度末までに在来線主要路線全駅におけるホームドア等の整備を予定するなど、その整備に向けた動きは加速しています。 ②ニーズ・課題 ●ホームドア等が未整備である鉄道駅については、ホーム上の安全対策の強化が喫緊の課題となっているため、早期整備に向けた取組が必要となっています。 ③今後の取組 ●引き続き、ホームドア等の早期整備に向けて、鉄道事業者との協議及び調整を進めるなど、必要な取組を推進します。 [212ページ] ≪ノンステップバス導入の促進≫ ①現状(これまでの取組) ●路線バスにおいて、障害のある方や高齢者などを含めた市民の移動の安全性を確保するとともに、移動の円滑化を図るため、低床車両で段差が少なく、誰もが利用しやすいノンステップバスの導入を促進しています。 ●具体的には、市内バス事業者(市交通局含む)が、ノンステップバスの購入費に係る国の補助制度を活用する際に、地方自治体が主催する「地域公共交通会議」における事務手続きが制度上必要であることから、これらの事務を実施するなどの側面的な支援を行っています。 ●これまでの取組を通じて、民営バスについては、市内営業所にノンステップバスが401両配備されるとともに、市営バスについては、ワンステップバスを含めた全343両がバリアフリー対応車両となっています。 【ノンステップバスの導入促進に係る本市の主な役割】 ・学識経験者、交通事業者や市民などにより構成する「地域公共交通会議」の設置、運営 ・ノンステップバスの車両導入計画の取りまとめ及び「地域公共交通会議」への付議 ・車両導入計画に基づく各バス事業者の取組状況の取りまとめ及び国へのフォローアップ報告等 <ノンステップバスの導入状況> ※令和2(2020)年3月末時点 (表) 市交通局 ノンステップ326台(95.0%) ワンステップ17台(5.0%) 総数343台 小田急バス ノンステップ104台(100.0%) ワンステップ0台(0%) 総数104台 東急バス ノンステップ55台(64.7%) ワンステップ30台(35.3%) 総数85台 臨港バス ノンステップ242台(88.3%) ワンステップ32台(11.7%) 総数274台 川崎市合計 ノンステップ727台(90.2%) ワンステップ79台(9.8%) 総数806台 ②ニーズ・課題 ●川崎市全域において、ノンステップバスの導入比率は90%以上を実現していますが、障害のある方や高齢者など、誰もが安全で快適に利用できる交通環境の整備に向けては、引き続き導入比率の向上に取り組む必要があります。 ③今後の取組 ●身近な公共交通機関である路線バスのバリアフリー化を推進するため、引き続き、ノンステップバスの導入促進に取り組みます。 [213ページ] 3 道路のバリアフリー化 ≪歩道のバリアフリー化≫ ①現状(これまでの取組) ●ユニバーサルデザインのまちづくりを推進するため、買い物や通勤・通学などの日常生活で利用する駅やその周辺を対象とした、「バリアフリー基本構想」、「バリアフリー推進構想」にて位置付けられている重点整備地区を対象に、点字ブロックの設置など、障害のある方や高齢者等の移動の円滑化に向けた取組を行っています。 <これまでの整備実績> ※令和元(2019)年度の実績 (表) ○基本構想 新川崎・鹿島田駅周辺地区 点字ブロックの設置 宮前平・鷺沼駅周辺地区 点字ブロックの設置 武蔵小杉駅周辺地区 側溝蓋補修(細目グレーチングへの交換) ○推進構想 梶が谷・宮崎台駅周辺地区 点字ブロックの設置 中野島・稲田堤駅周辺地区 側溝蓋補修(スリット型側溝設置) ②ニーズ・課題 ●障害のある方や高齢者等の移動の円滑化に向けた取組は、全ての人が住み慣れた地域で共に暮らすことができる社会の実現にあたって大変重要なものであるため、引き続き、全ての人が利用しやすい歩道の整備を進める必要があります。 ●国土交通省により令和元(2019)年7月31日付けで追加指定された特定道路(※)については、今後、道路の新設又は改築を行う際に、道路の移動等円滑化基準(省令)又は地方公共団体の条例への適合義務が生じるものであることを踏まえながら、バリアフリー化を推進する必要があります。 ※生活関連経路を構成する道路法による道路のうち、多数の高齢者や障害者等の移動が通常徒歩で行われる道路のことで、国土交通大臣が指定するもの ③今後の取組 ●車いす利用者などの障害のある方や高齢者等の通行が容易となるよう、引き続き、段差の解消、歩道の勾配の改善、点字ブロックの設置など、バリアフリー基本構想及び推進構想に位置付けられた地区を中心に、全ての人が利用しやすい歩道の整備を推進します。 ●令和元(2019)年7月31日付けで追加指定された特定道路についても、歩道の新設や改築を行う際は、バリアフリー法に基づき、バリアフリー化を推進します。 [214ページ] ≪歩行空間の安全確保≫ ①現状(これまでの取組) ●歩道上における置看板や商品販売について、春・秋の交通安全運動の機会などを通じて、所轄警察署と各区役所道路公園センターが連携しながら、除却の指導を実施しています。 ②ニーズ・課題 ●歩道上の置看板や商品等は、障害のある方や高齢者などを含め、全ての市民が歩道を通行する際のバリアとなっているため、引き続き、改善に向けた取組を進める必要があります。 ●除却指導の継続実施により、違反者に対する指導件数は減少傾向にありますが、違反を繰り返す店舗もあるため、引き続き、粘り強い指導を行う必要があります。 ③今後の取組 ●歩道上に障害物を置かないような市民意識の啓発に努めるとともに、所轄警察署などの協力を得ながら、歩道上における置看板や商品等の除却に向けた指導を行うなど、引き続き、歩行空間の安全確保に向けた取組を推進します。 [215ページ] 4 公共施設のバリアフリー化 ≪公共施設のバリアフリー化≫ ①現状(これまでの取組) ●公共施設のバリアフリー化を推進するため、「川崎市福祉のまちづくり条例」等を活用し、障害のある方や高齢者などを含めた全ての市民が使いやすい施設・設備の整備を進めています。 ●都市公園における園路及び広場、駐車場、トイレ等をはじめとした公園施設のバリアフリー化について、順次、整備を進めています。 ②ニーズ・課題 ●全ての人が安心して快適な生活を営むためには、障害のある方や高齢者などを含む不特定多数の方が利用する公共施設のバリアフリー化について、様々なニーズに対応できるよう、関係機関と連携しながら、引き続き、必要な取組を進める必要があります。 ●まちの中で気軽に腰を下ろし休憩できる空間や、誰もが使いやすいトイレは、全ての市民が快適に地域生活を送る上で必要な設備であるため、引き続き、整備を進める必要があります。 ③今後の取組 ●「川崎市福祉のまちづくり条例」に基づくバリアフリー化を引き続き推進するとともに、公共施設において円滑な移動空間等を確保しつつ、一部を休憩施設として活用することや、様々な心身の特性に配慮した多目的トイレの分散配置など、全ての人が安心・快適に利用できる公共施設の整備を進めます。 ●川崎市都市公園条例に基づく公園施設のバリアフリー化を引き続き推進します。 [216ページ] 5 まちの情報提供の充実 ≪まちの情報提供の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●「川崎市福祉のまちづくり条例」に基づき、障害のある方や高齢者等に配慮した案内設備等の整備を進めています。 ●バリアフリー基本構想に示す「目的施設(※)」を中心に、鉄道駅を利用して向かう人が多い施設や不特定多数の人の利用ニーズが高い施設などのバリアフリー化の状況をまとめたバリアフリーマップを作成し、市ホームページにおいて公開しています。 ※バリアフリー基本構想に基づく重点整備地区において、不特定多数の利用ニーズが高い施設 ②ニーズ・課題 ●日常生活で様々な方が利用する公共施設等においては、障害のある方や高齢者を含め、誰もが分かりやすい案内設備等の設置が引き続き求められています。 ●誰もが分かりやすいサイン計画や公共施設における統一的なサイン計画、様々な心身の特性に配慮した案内設備の設置など、関係機関と連携しながら、対応を検討する必要があります。 ●まちのバリアフリー化の進捗状況は、障害のある方や高齢者等の移動支援を要する方やその家族などにとって非常に重要な情報であるため、引き続き、情報発信を行う必要があります。また、バリアフリー情報の発信にあたっては、様々な心身の特性に配慮した方法となるよう工夫するとともに、移動支援を必要とする方に対する市民の理解と協力を得るための普及啓発など、必要な取組を進める必要があります。 ③今後の取組 ●「川崎市福祉のまちづくり条例」に基づき、障害のある方や高齢者等に配慮した案内設備等の整備を引き続き推進します。 ●公共施設における統一的なサイン計画などについて、関係機関と連携し、取組を推進します。 ●バリアフリー基本構想に基づく重点整備地区におけるバリアフリーマップを作成し、市ホームページで公開するなど、引き続き、まちのバリアフリー情報の発信を行います。 [217ページ] 6 情報バリアフリーの推進 ≪情報提供の充実≫ ①現状(これまでの取組) ●暮らしや防災など、必要な生活情報を円滑に市民に提供できるよう、市政だより、テレビ、ラジオ、インターネット、携帯電話等へのメール配信システム、市ホームページなどを活用した情報提供を行っています。 ●誰もが分かりやすい情報提供を行う観点から、平易な表現やイラストなどを活用した広報誌等の発行、市ホームページのアクセシビリティの向上などの取組を進めています。 ●様々な障害福祉サービスや支援制度、相談窓口や支援機関などを分かりやすく案内するため、「ふれあい―障害福祉の案内―」を毎年発行し、区役所などで配布しています。 ②ニーズ・課題 ●障害の有無に関わらず必要な情報を得られる環境を整備することは、障害のある方とない方が共に暮らすことのできる地域社会の実現において必要不可欠なことであるため、障害のある方や高齢者などを含む全ての市民が様々な市政情報にアクセスしやすくなるよう、引き続き、情報提供の充実に取り組む必要があります。 ③今後の取組 ●障害のある方や高齢者などを含む全ての市民に対し、暮らしの情報や防災情報などの市政情報を分かりやすく提供できるよう、市政だより(点字版及び録音版を含む)、テレビ、ラジオ、インターネット、携帯電話等へのメール配信システム、市ホームページなど、様々な媒体を活用して情報発信するなど、引き続き、情報提供の充実に努めます。 ●障害福祉関連情報をまとめた広報誌を引き続き作成し、区役所などの市民の身近な場で配布します。 [218ページ] ≪カラーユニバーサルデザインへの取組≫ ①現状(これまでの取組) ●平成22(2010)年度に、色の見え方の多様性に着目したカラーユニバーサルデザインの考え方に関する具体的な手引書として「公文書作成におけるカラーユニバーサルデザインガイドライン」を策定し、活用しています。 ●市職員向けにeラーニングでカラーユニバーサルデザイン研修を開催するなど、公文書作成におけるカラーユニバーサルデザインの取組を推進しています。 ②ニーズ・課題 ●多様な色覚を持つ様々な利用者に配慮し、障害の有無に関わらず全ての市民に対して的確に必要な情報を提供できるよう、引き続き、カラーユニバーサルデザインの考え方に基づいた情報発信を進める必要があります。 ③今後の取組 ●「公文書作成におけるカラーユニバーサルデザインガイドライン」を活用しながら、eラーニング研修を引き続き実施するなど、カラーユニバーサルデザインの取組を推進します。 ≪ウェブアクセシビリティの向上≫ ①現状(これまでの取組) ●本市ホームページは、平成26(2014)年度にウェブアクセシビリティ(※)の標準規格であるJIS X 8341-3:2010の達成等級AAに準拠し、以降、毎年実施している試験でもAA準拠を維持しています。 ※障害のある方や高齢者など、ホームページ等の利用に何らかの制約がある人や、利用に不慣れな人を含めて、誰もがホームページ等で提供される情報や機能を支障なく利用できること ●本市ホームページの掲載内容について定期的に診断し、利用状況を把握するなど、必要な保守作業を継続的に実施することで、全ての市民が利用しやすいホームページとなるよう必要な取組を進めています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方や高齢者などを含め、全ての市民が本市ホームページにおいて必要な情報や機能を円滑に利用できる環境を確保するため、引き続き、ウェブアクセシビリティの向上に向けた取組を推進する必要があります。 ③今後の取組 ●ウェブアクセシビリティの標準規格であるJIS X 8341-3:2016に基づき、全ての市民が利用しやすいホームページとなるよう、本市ホームページの掲載内容等を随時見直すとともに、必要な保守作業や職員向けの研修を行うなど、引き続き、ウェブアクセシビリティの向上に努めます。  [219ページ] 施策12 災害・緊急時対策の強化 <現状と課題> ●東日本大震災や令和元年東日本台風などの発生を踏まえ、地震や風水害などの大規模災害が発生した際にも円滑な支援が行えるよう、災害時における支援体制を整備・強化する必要があります。 ●新型コロナウイルスについては、今後の感染状況などを踏まえ、障害福祉サービスを担う事業所などと連携しながら対応を進める必要があるとともに、今般の新型コロナウイルスの感染拡大における対応経過などを踏まえ、今後、新たな新型感染症が発生した際などの緊急時対応のあり方についても整理・検討する必要があります。 <対応の方向性> ●地震や風水害などの大規模災害や新型感染症の発生時における支援のあり方について整理・検討し、災害・緊急時の支援体制を強化する取組を推進します。 ●防災・災害情報を円滑に伝達するとともに、非常時における通報手段を確保するなどの取組を推進します。 災害発生時に必要と思うこと(複数回答) (グラフ) 全体 4,205人 災害の発生を知らせてほしい 37.4% 避難所までの誘導や案内をしてほしい 29.4% 助けにきてもらいたい・避難所に移送してほしい 26.9% 医療的なケア(人工呼吸器・人工透析など)や薬を確保したい 23.4% 特別の食事を備蓄してほしい 14.3% 特にない 13.7% 排せつ用のストマ用装具等を備蓄してほしい 11.9% 資料:川崎市障害のある方の生活ニーズ調査(令和元(2019)年度) [220ページ] 1 災害時や緊急時における支援体制の充実 ≪災害時における福祉支援体制の構築≫ ①現状(これまでの取組) ●町内会・自治会や自主防災組織などの支援組織と地域に暮らす障害のある方とのコミュニケーションを図り、災害時の支援体制が強化されるよう、「災害時要援護者避難支援制度」を推進するとともに、支援組織の一つである自主防災組織に対する助成を行っています。 ●重度障害者など、一般的な避難所では生活に支障をきたす人に対しては、福祉施設等の運営主体と連携しながら、社会福祉施設等を利用した二次避難所(福祉避難所)の整備を進めています。 ●市総合防災訓練において、実際の発災時を想定し、特別養護老人ホームでの初動訓練と行政からの受入要請、模擬避難者の受け入れに関する訓練を行うとともに、二次避難所の機能の充実を図り、福祉施設の防災力を高めるため、発災時初動訓練及び二次避難所開設訓練を実施する施設に対し、開設・訓練に必要な物資の購入費の一部を負担するなど、災害時に備えた関係機関との連携強化に努めています。 ②ニーズ・課題 ●今後の大規模災害の発生を見据え、災害関連被害の拡大を抑制し、防ぎ得る災害関連死を減らすため、災害時においても福祉サービスや医療的ケアを必要とする人に対してできる限りの支援を提供できるよう、災害福祉の取組を推進する必要があります。 ●令和元年東日本台風においては、「災害時要援護者避難支援制度」が多くの地域で有効に機能しなかったことや、高齢者施設・障害者施設で被災状況の把握に課題を残したことなどを踏まえ、今後の対応を検討・整理する必要があります。 ③今後の取組 ●災害福祉の対応体制を整えるため、福祉施設や在宅の災害時要援護者(自力で避難することが困難な障害のある方や高齢者)の情報を集約し、地域の関係機関や他都市、国との連携を深め、この分野における的確な判断と迅速な対応が行えるよう、「(仮称)災害福祉調整本部」の設置に向けた準備を進めるとともに、高齢者・障害者施設の被災状況等を一元的に管理するための情報共有システムを導入します。 ●発災時においても医療的ケア児・者が必要な療養を続けられる環境の整備について検討を進め、人工呼吸器等を使用する医療的ケア児・者が、停電時にも必要な電源を確保するための仕組みを創設します。 ●災害時要援護者の避難体制については、「災害時要援護者避難支援制度」の登録勧奨を進めつつ、通所施設等において災害時個別避難計画の作成を推進します。また、各入所施設における緊急時のショートステイの活用を図るなど、事業者・支援者・行政等が早い段階からの連携をとることで、的確な避難行動を促す仕組みづくりを検討します。 ●本市との間で協定を締結した社会福祉法人等と協議を進め、二次避難所における備蓄物資の整備や開設訓練等を通じて、より実効性のある二次避難所の開設運営に向けた取組を進めます。 [221ページ] ≪一次避難所等の機能強化≫ ①現状(これまでの取組) ●避難所における災害時要配慮者用の備蓄物資の配備について定める川崎市備蓄計画を改定し、計画的に高齢者及び乳児等向けのおかゆや紙おむつ等を備蓄するとともに、身体障害者に対応した仮設トイレなどの配備を進めています。 ●災害時における医療救護体制を確保するため、各地区に医薬品を備蓄するとともに、精神障害者などに必要な向精神薬など、災害時にも必要な医薬品が円滑に供給されるよう、川崎市薬剤師会等と協定を結んでいます。 ●区役所における医療救護所の考え方などの整理状況を踏まえ、備蓄品の管理場所の変更や医薬品の備蓄のあり方などを検討しています。 ②ニーズ・課題 ●災害発生時において、障害のある方を含む要配慮者に対して必要な支援を行うとともに、医療救護体制を安定的に確保するため、引き続き、避難所等における備蓄品や医薬品などの確保に向けて必要な取組を進めるとともに、市が所有するストーマ装具の保管場所や避難所のバリアフリー化についても検討する必要があります。 ●令和元年東日本台風において、障害のある方や高齢者等専用の「要配慮者専用スペース」を設けた避難所は半数のみであったことから、その運用を検討する必要があります。 ●今般の新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、避難所における感染症対策について検討する必要があります。 ③今後の取組 ●避難所等における災害時要配慮者用の備蓄や災害時の医薬品確保に向けた取組を引き続き推進するとともに、市が所有するストーマ装具の保管場所等について検討します。 ●「要配慮者専用スペース」を全避難所で設置します。また、避難所のバリアフリー化等について必要な検討を行うなど、一次避難所の機能強化を図ります。 ●「避難所における衛生管理ガイドライン」や、令和2(2020)年度に策定した「災害時における新型コロナウイルス感染症対策マニュアル」等に基づく対策等をもとに、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めます。 [222ページ] ≪DPAT(災害派遣精神医療チーム)の整備≫ ①現状(これまでの取組) ●大規模災害の発生直後から、被災地において精神保健医療活動の支援を行うための専門チームとして、DPAT(災害派遣精神医療チーム)を神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市の4県市が協調して整備しています。 ●平成28(2016)年に発生した熊本地震においては、「かながわDPAT」として被災地に派遣されました。 ●4県市が協調して研修や訓練等を実施することで隊員の養成を図るとともに、4県市による運営会議を開催し、災害時派遣体制の整備と本市被災時の受援体制及び被災者支援などについて検討しています。 ②ニーズ・課題 ●地震や台風・豪雨などの自然災害や、航空機・列車事故など、大規模災害等による心理的ストレスを受けた被災者等への「こころのケア」は重要であることから、発災時における精神保健医療活動の支援を行う体制を引き続き確保するため、発災時の派遣・受援に関する体制の整備、隊員の養成、衛生携帯電話などの資器材の確保、市立病院を含む医療機関等との連携強化など、必要な取組を推進する必要があります。 ③今後の取組 ●発災時の派遣・受援に関する体制の整備や隊員の養成、資器材の確保、医療機関等との連携強化など、引き続き、4県市が協調してDPAT(災害派遣精神医療チーム)の体制拡充に向けた取組を推進するとともに、市保健医療調整本部内での役割を整理するなど、本市が被災した際における支援のあり方などについて検討を進めます。 [223ページ] ≪新型感染症への対応≫ ①現状(これまでの取組) ●令和2(2020)年における新型コロナウイルスの感染拡大に対しては、感染拡大防止策や運営に必要な情報などについて、障害福祉サービスを担う事業所へ速やかに周知するとともに、必要に応じて事業所への相談支援などを行いました。 ●障害福祉サービスの継続的な提供体制を確保するため、衛生用品などの必要な物資を確保し、各事業所へ配布するなどの支援を行いました。 ②ニーズ・課題 ●新型感染症の流行時においても障害のある方への支援ニーズに可能な限り対応する必要があるため、各事業所において衛生用品などの必要な物資のニーズを把握し、それを円滑に確保・配布するとともに、入所施設やグループホーム等において感染者が出た場合にも施設の運営を継続できるよう、職員などの法人・施設間の応援体制を構築する必要があります。 ③今後の取組 ●新型コロナウイルスの今後の感染状況などを踏まえ、障害福祉サービスを担う事業所などと連携しながら、引き続き、必要な対応を進めます。 ●今般の新型コロナウイルスの感染拡大における対応経過などを踏まえ、今後、新たな新型感染症が発生した場合において円滑な対応ができるよう、庁内関係部局や事業所などと情報共有・連携しながら、衛生用品等の物資の確保や法人・施設間の応援体制の構築などに向けた検討を進めます。 ●行政職員や事業所の職員向けに感染拡大防止策に関する実践的な研修を行うなど、必要な知識を取得するための取組について検討するとともに、引き続き、必要な情報を速やかに事業所へ周知するための体制を確保します。 [224ページ] 2 情報伝達手段の確保 ≪防災情報の提供≫ ①現状(これまでの取組) ●基本的な防災知識・対策を網羅した啓発広報誌「備える。かわさき」や、避難所・応急給水拠点等の災害時に必要な情報を掲載した防災マップ、各種ハザードマップ等を作成・配布するほか、市ホームページ「防災情報ポータルサイト」でも各種情報を発信しています。また、ぼうさい出前講座や防災イベント等を通じて、防災意識の啓発や防災情報を掲載した冊子の配布等を行っています。 ②ニーズ・課題 ●令和元年東日本台風など、近年の大規模災害の発生を踏まえ、平時から防災情報や災害時に必要となる情報を市民に普及啓発することが大変重要であるため、引き続き、防災情報の円滑な提供に向けた取組を進める必要があります。 ●障害のある方や高齢者など、災害時要配慮者やその家族・支援者などに向けた啓発が一層重要となっています。 ③今後の取組 ●防災情報を網羅した啓発広報誌「備える。かわさき」や、防災マップ、各種ハザードマップについて、最新の情報を正確に提供できるよう、適宜、掲載内容を更新するとともに、市ホームページ「防災情報ポータルサイト」や各種出前講座・イベント等を通じて、障害のある方や高齢者などを含めた市民全体への情報発信に取り組みます。 [225ページ] ≪災害情報の提供≫ ①現状(これまでの取組) ●メールニュースかわさき「防災気象情報」、市ホームページ「防災情報ポータルサイト」、テレビ神奈川やケーブルテレビのデータ放送、かわさきFM、SNS(Twitter)、同報系防災行政無線、かわさき防災アプリ、エリアメール・緊急速報メール等、市民が身近な情報伝達手段により災害関連情報を入手できるよう、機器及びシステムの整備を推進しています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方や高齢者などを含めた市民全体に対して災害発生時に必要となる情報を伝達する体制を安定的に確保するため、引き続き、多様な媒体による災害関連情報の提供に努める必要があります。 ●同報系防災行政無線の音達範囲は市内全域ではないため、障害のある方や高齢者等への情報伝達に課題があります。 ③今後の取組 ●引き続き、様々な伝達手段により災害関連情報を提供するとともに、令和3(2021)年の出水期までに次期総合防災情報システムの構築を行うなど、情報配信をより効率的・効果的に行えるよう検討を進めます。 非常時における通報手段の確保 ①現状(これまでの取組) ●重度の身体障害のある方などの在宅生活を支援するため、緊急事態の発生を連絡するための機器を設置する「障害者緊急通報システム設置運営事業」を実施し、障害のある方の緊急時の連絡体制を確保しています。 ●「FAX119」、「Net119緊急通報システム」、「FAX110番」、「110番アプリシステム」を消防局、警察等で運用し、障害のある方が緊急通報できるよう、体制を整備しています。 ②ニーズ・課題 ●障害のある方が緊急時に必要な機関へ連絡できる体制を確保するため、引き続き、多様な通報手段を確保する必要があります。 ③今後の取組 ●障害のある方の地域生活を支えるため、引き続き、障害者緊急通報システム設置運営事業を実施するとともに、多様な通報手段を消防局や警察等で運用することで、障害のある方の緊急時の連絡体制を確保します。