この動画では、フッ化物洗口についてご説明します。 まず、むし歯についてご説明します。 歯・口腔の役割として、食べること、話すこと、さらに、表情を作ること。 これらの役割があります。 歯科の二大疾病としては、むし歯(う蝕)と歯周病があります。 このうち、むし歯について、むし歯の要因とその予防についてご説明します。 むし歯の要因は、大きく4つの要素があります。 まず歯の質、歯の強さ。 続いて細菌、むし歯原因菌。 そして食べ物。砂糖。 さらに時間の観点があります。 細菌は砂糖を摂取・分解して酸を出します。 この酸により、歯が溶かされます。 通常、「再石灰化」といって唾液による作用で歯は修復しようとされますが、糖分摂取が頻繁で再石灰化が間に合わなくなると、歯が溶かされた状態が続き、歯は崩壊します。 これがむし歯です。 このため、これらの要素それぞれに対応することで、むし歯は予防することが可能です。 歯の質に対しては、フッ化物応用を行うこと。 それから、シーラントといって、歯の細かい溝を埋める処置を行うこと。 細菌に対しては、歯垢(プラーク)の除去、すなわち歯磨きを行うこと。 食べ物に対しては、糖分を含む食品の摂取頻度の制限を行うこと。 そして時間について、むし歯の要因となる要素が重なる時間を短くすることが挙げられます。 続いて、フッ化物についてご説明します。 フッ素とは、化学的に合成されたものではなく、自然界に広く分布している元素です。 毎日飲む水や肉、魚、野菜、海藻、お茶など、ほとんどの食品に微量ながら含まれています。 私たちの体、歯や骨、血液中や軟組織にも存在しています。 むし歯予防に用いられるフッ素は、フッ化ナトリウムです。 お茶などに含まれているものと同じであり、適切に使用摂取すれば人体に害はありません。 有機フッ素化合物とは性質や用途も全く異なります。 フッ化物の作用機序についてご説明します。 大きく3つございます。 まず1点目、歯を強くする歯質強化という作用です。 歯のエナメル質の98%は無機質で、アパタイト結晶構造です。フッ化物により、エナメル質の結晶性の向上や、エナメル質の基本構造であるヒドロキシアパタイトがフルオロアパタイトまたはヒドロキシフルオロアパタイトとなり、酸に溶けにくくなります。 2点目、初期むし歯の再石灰化促進、むし歯の進行抑制の作用です。 低濃度・高頻度のフッ化物応用によって再石灰化を促すことで、むし歯の進行抑制に作用します。 3点目、抗菌作用です。 フッ化物がプラーク中に取り込まれると、細菌の代謝系酵素を阻害して酸産生を抑制します。 これらの作用により、むし歯予防効果を発揮します。 フッ化物応用の種類についてです。 まずフッ化物配合歯磨き剤です。 これは、フッ化物が配合された歯磨き剤を使用し、歯磨きを行う方法です。フッ化物イオン濃度としては1450ppm、950ppmの製品が多く、子ども向けに500ppm、100ppmの製品も販売されています。 続いてフッ化物歯面塗布です。 これは、歯科医療機関などにおいて、歯科医師または歯科医師の指示を受けた歯科衛生士により、歯に高濃度のフッ化物を塗布する方法です。9000ppmの医薬品が使用されます。 最後にフッ化物洗口です。 フッ化物洗口液を用いて、ぶくぶくうがいする方法です。うがいを行う頻度により用いられる医薬品の濃度は異なり、週1回法では900ppm、毎日法(週5回法)では250ppmまたは450ppmの医薬品を用います。 ここから、フッ化物洗口についてご説明します。 フッ化物洗口とは、フッ化物洗口液を用いてぶくぶくうがいする方法です。 フッ化物を利用したむし歯予防は、世界保健機関(WHO)、厚生労働省や専門学会などが、効果的かつ安全な方法として推奨しています。 実施にあたっては、厚生労働省「フッ化物洗口の推進に関する基本的な考え方」を参考に、安全性を確保し、適切な方法で実施します。 フッ化物洗口の方法は大きく二つあります。 まず、毎日法(週5回法)です。この方法では、毎日、また学校などで行う場合は、週5回、約250ppmまたは約450ppmのフッ化ナトリウム溶液の洗口液を使用します。 週1回法は週1回、約900ppmのフッ化ナトリウム溶液の洗口液を使用します。 実施方法は、洗口を行う方の利便性などに合わせて選択します。 フッ化物洗口の対象者についてです。 フッ化物洗口は、特に4歳から14歳までの期間に実施することで、最も大きな効果をもたらします。これは、生えてきたばかりの大人の歯、永久歯のエナメル質の成熟が進んでいない方が、フッ化物がより作用するためです。このため、幼児および児童生徒などに実施することが効果的と言われています。 フッ化物洗口の効果についてです。 左のグラフはフッ化物洗口を行ったグループとそうでないグループを比較したデータです。縦軸がむし歯経験歯数を示していますが、フッ化物洗口を実施した場合、およそ40%のむし歯予防効果が見られたというデータです。 右のグラフは、歯科に関する取り組みを行っている小学校のむし歯経験歯面数を比較したデータです。 黄色が何もしていない学校、緑色が給食後、歯磨きを実施している学校、青色がフッ化物洗口を実施している学校です。歯磨きの励行は、むし歯の罹患状況の改善には有意に作用せず、一方で小学校におけるフッ化物洗口は有意に作用し、同じ年齢のフッ化物洗口を行っていないグループに比べ、むし歯抑制効果が見られたというデータです。 続いて、フッ化物洗口の実施の流れです。 まず、洗口の練習をします。これは初回のみ実施します。 フッ化物洗口の初回実施前に、ぶくぶくうがいとうがい液の吐き出しの練習をします。 決められた時間(30秒)、お口の中で洗口液を保持し、飲み込まずに吐き出すことができるかを確認します。 次に、コップに洗口液を入れて、児童に渡します。児童は、洗口液を受け取ります。 続いて、実際にうがいをします。 5-10ml程度の洗口液を口に含み、約30秒間のぶくぶくうがいを行います。 この際、誤飲を防ぐ観点から、必ず下を向いて行います。 また、小学校や保育園などで行う場合、監督者は児童が正しく洗口ができているか確認します。 続いて児童は終わりの合図で洗口を終え、洗口が終わったら洗口液を吐き出します。小学校や保育園などで洗い場を使用しない場合、紙コップに洗口液を吐き出します。 最後に洗口後の注意として、洗口後30分間程度は可能な限りうがいや飲食物をとらないようにします。 フッ化物洗口の安全性についてです。 フッ化物洗口液については、たとえ一人1回分を全量誤飲した場合でも、直ちに健康被害が発生することはないと考えられています。 フッ化物の中毒として急性中毒と慢性中毒がありますが、まず、急性中毒については、通常のフッ化物洗口の方法であれば、フッ化物の急性中毒の心配はありません。 慢性中毒については、長期間継続してフッ化物を過剰摂取した場合に生じうるフッ化物の慢性中毒には、歯と骨のフッ素症がありますが、フッ化物洗口における微量な口腔内残留量では、歯のフッ素症が発現することはありません。 最後に、まとめです。 フッ化物洗口は、子どものむし歯予防に効果がある安全な取り組みです。 小学校や保育園などで実施する場合、ご家庭での負担はありません。 子どもがフッ化物洗口を実施するにあたっては、保護者の同意が必要です。 説明は以上です。 最後までご覧くださり、ありがとうございました。