これから尻手黒川線トンネル工事の概要を説明します。 こちらの画像は、川崎市麻生区片平の航空写真で、オレンジ色のところが現在行っているトンネル工事の場所になります。 都市計画道路尻手黒川線とは、川崎市を南北に縦断する道路で、幸区小倉から始まり、中原区→高津区→宮前区を通過し、麻生区黒川までつながる約23キロメートルの道路です。 現在は、画面左上の赤丸で示している第4期事業区間の整備を進めています。 第4期事業は、前後が完成している区間のあいだを整備しています。 画面中央右側にある片平2丁目交差点から西側へ約680メートルの赤色で塗られた区間を整備するものです。 この第4期事業が完了すると、幸区小倉から麻生区黒川まで全線がつながり、交通ネットワークが強化されます。 また、柿生交差点を利用する車両が尻手黒川線W期を利用することで分散されるため、交差点の渋滞緩和が期待されます。 現在は、画面中央付近の赤色で着色した範囲において、道路を造るためにトンネルを掘る工事を行っています。 こちらの画像は、上段が工事の平面図、中段が工事の縦断図、下段が完成後のイメージパースです。 今回のトンネル工事は東側を山岳トンネル部、西側を開削トンネル部として、山岳トンネル部ではナトムという工法、開削トンネル部では開削工法を採用しています。 今回は山岳トンネル部で採用しているナトムという工法について説明します。 ナトムという工法は、ニュー、オーストリア、トンネリング、メソッドの頭文字をとった略称です。 地盤そのものの力を利用して安全に掘り進める工法です。 岩盤などの硬い地盤ではダイナマイトを使うこともあり、様々な地質に対応できる、よく使われる工法の一つです。 公園の砂場で山を造り、穴を掘ることをイメージしてもらえば、わかりやすいと思います。 それでは、現在まで行っている工事の流れを紹介します。 まず、建設機械で地山を掘ります。 掘った土、ずりはトンネルの外に運び出します。 次に、掘った面にコンクリートを吹き付けて補強します。 そのあと、鋼製の支え、支保工を設置します。 さらに、もう一度コンクリートを吹き付けます。 最後に、ロックボルトという鉄の棒を地山に差し込んで、トンネルと地盤をしっかり固定します。 それでは、実際の作業の様子を動画で見てみましょう。 掘削作業の動画になります。 3台の重機で掘削しています。掘っている面はきりはと呼ばれます。 灰色の部分がコンクリートを吹き付けたところで、茶色や黄土色の部分が地山です。 この地質は泥岩で、砂が多く、比較的容易に掘削ができます。 左側の重機はツインヘッダーで、先端が回転して掘ります。右側の重機はブレーカーで、アームの先端にあるチゼルで連続的に打撃を加えて掘ります。 掘った土は、中央のショベルカーで後方に集められます。 次は、掘った土を外に運び出すずり出し作業です。 この黄色い重機はホイールローダーで、土をすくう作業をしています。 この機械は、バケットが横に傾けられるので、方向転換せずに積み込める工夫がされています。 すくった土はくるくるダンプに積み込みます。 次は、掘ったばかりの地山が崩れないように、コンクリートを吹き付ける一次吹付です。 エレクター付きの吹付機を使って、ノズルから高速でコンクリートを吹き付けます。 操作はリモコンで行うので、運転席から見えにくい場所でも、目視して作業ができます。 そのあと、マンゲージという作業台を使って、金網を設置します。これは、次の二次吹付の強度を高めるための作業です。 次は、鋼製支保工というアーチ状の鋼材を設置します。 エレクター付き吹付機で鋼材を持ち上げて、トンネルの形に合わせて設置します。 次は、トンネルを強固にするための2次吹付です。 支保工の間にコンクリートを充填する吹付作業を行います。これは二次吹付と呼ばれます。そのあとに、表面を整えるケレン作業を行います。 最後に、ロックボルトの打設です。 ドリルジャンボという機械で、ロックボルトを差し込むための穴を開けます。 次に、モルタルを充填します。 そのあと、ロックボルトを挿入します。 これによって、地山とトンネルが一体化され、より安全な構造になります。 以上の作業を1メートルずつ繰り返して、トンネルを掘り進めていきます。 この山岳トンネルの工事は、令和7年2月から掘削を始めて、ひと月に約20メートルのペースで掘り進めており、工事中に、地元小学校や隣接する方を対象とした見学会を行ったり、地元商店街と協力してイベントを開催したりしました。このような地域の協力のもと、無事に令和8年1月21日にトンネルが貫通します。 貫通後は、トンネル下側の工事や内壁の仕上げを行い、完成となります。 以上で説明は終わりです。