令和6年度 水質検査計画 川崎市上下水道局。 表紙は、第66回水道週間 川崎市小学生作品コンクール, 絵画・ポスターの部 特選作品。 もくじ。 1. はじめに (1ページ)。 2. 基本方針 (1ページ)。 3. 水道事業の概要 (2〜4ページ)。 4. 水源から蛇口までの状況と留意すべき水質項目 (5ページ)。 5. 水質管理の体制と水質検査の精度 (6〜7ページ)。 6. 定期的な水質検査の項目、地点、頻度 (8〜11ページ)。 7. 臨時の水質検査 (12ページ)。 8. 水質検査方法 (12ページ)。 9. 水質検査計画と水質検査結果の公表 (13ページ)。 10. 水質検査結果の評価と水質検査計画の見直し (14ページ)。 11. 関係機関との連携 (14ページ)。 1ページ。 1. はじめに。  川崎市上下水道局では安全で良質な水道水を供給するために、精度と信頼性の高い水質検査を行っています。水質検査計画は、水質検査項目、検査地点、検査頻度などを示した計画で、水道法施行規則第15 条第6項に基づき毎年度策定し、公表することが義務付けられています。令和6年度はこの計画に基づき水質検査を行います。 2. 基本方針。 ・水質検査体制について。  給水栓の検査は、水道水質検査優良試験所規範(水道GLP)に基づく信頼性保障体制のもと、自己検査を基本とします。 ・水質検査項目について。  水道法で検査が義務付けられている水質基準項目と水質管理上必要な項目について行います。 ・水質検査地点について。  水源、浄水場の 原水・配水及び浄水場系統などを考慮した代表的な給水栓で行います。 ・水質検査頻度について。  給水栓は法令で定められた回数またはそれ以上実施し、水源と浄水場は過去の検査結果を評価して定めます。 2ページ。 3. 水道事業の概要。 (1) 川崎市の水源。  川崎市の水源は、富士五湖の 山中湖 及び忍野湧水を源とし、桂川を経て相模湖に貯えられた水です。相模湖下流の沼本取水口で取水され長沢浄水場に送られています。また、川崎市が用水供給を受けている神奈川県内広域水道企業団西長沢浄水場の水源は酒匂川と相模川で、それぞれ飯泉取水堰と相模大堰で取水され西長沢浄水場に送られています。 ・図1 川崎市の水源。 ・相模湖全体を映した写真。 ・水源の水質検査地点について。 採水地点は上流から順に、@桂川橋(桂川の検査地点). A相模湖大橋(相模湖の検査地点). B弁天橋(相模川の検査地点). C三井大橋(津久井湖の検査地点)。 3ページ。 (2) 浄水場の浄水処理方式。 川崎市の長沢浄水場は、原水の水質状況に対応した浄水施設を整備しています。浄水場の概要は、表1のとおりです。 表1. 浄水場の概要。 ・所在地:川崎市多摩区三田5の1の1。 ・敷地面積:198,000平方メートル。 ・施設能力:1日当たり 280,000立方メートル。 ・原水の種類:相模川水系ダム放流水。 ・沈でん池:傾斜板式。 ・ろ過池:重力式二層ろ過。 ・浄水処理方式:薬品凝集沈でん、急速ろ過、塩素消毒、水質異常時には粉末活性炭を使用。 ・図2 長沢浄水場のしくみと長沢浄水場の写真。 ・原水は着水井に着水し、活性炭接触池を通り、沈でん池とろ過池で浄水処理を行い、配水池に一時貯留し、市内へ配水する。 ・浄水場の水質検査地点 @原水(着水井の水)、A配水(配水池の水) 4ページ。 (3) 神奈川県内広域水道企業団からの受水。 川崎市上下水道局では、神奈川県内広域水道企業団の西長沢浄水場から用水供給を受けています。西長沢浄水場の原水は、酒匂川水系と相模川水系の混合水で、概ね良好な水質です。浄水については神奈川県内広域水道企業団が浄水場出口と受水地点で水質検査を行い、水の安全性を確認しています。 飯泉取水堰(酒匂川)の写真。 相模大堰(相模川)の写真。 (4) 給水状況。 市内全域約154 万人に、1日平均494,000立方メートルの給水を行っています。 給水状況は、表2のとおりです。 表2給水状況(令和4年度末)。 給水区域:川崎市内。 給水面積:144.35 平方キロメートル。 総人口:1,541,640 人。 給水人口:1,541,612 人。 普及率:99.99 %。 給水栓数:904,556 栓。 給水能力:1日当たり758,200 立方メートル。 1日最大配水量:522,800 立方メートル。 1日平均配水量:494,000 立方メートル。 5ページ。 4 水源から蛇口までの状況と留意すべき水質項目。 (1)水源の水質状況と留意すべき水質項目。    相模川水系の水質状況は比較的良好です。留意すべき水質項目を、表3に示します。 表3 水源での留意すべき水質項目。 ●留意すべき水質項目。   ・臭気。   ・pH値。   ・濁度。 ●原因。   ・富栄養化による植物性プランクトンの発生。   ・降雨等による濁水発生。   ・水源水質事故。 ●対 策。   ・空気揚水筒及びアオコフェンスの設置。   ・相模湖に堆積した土砂の浚せつ。   ・関係機関への水質保全に関する要請活動。 (2)浄水場から蛇口までの留意すべき水質項目と対応。   浄水場で使用する薬品や給水管等の影響で留意すべき水質項目を、表4に示します。   表4 浄水場から蛇口までの留意すべき水質項目と対応。 ●留意すべき水質項目。 ・トリハロメタン等。 ●原因。 ・水の中の有機物と消毒剤の反応。 ●川崎市の対応。 ・消毒剤注入量管理の徹底。 ●留意すべき水質項目。 ・塩素酸・臭素酸。 ●原因。   ・消毒剤中の不純物。 ・消毒剤の分解。 ●川崎市の対応。 ・高純度消毒剤の使用。 ・貯蔵槽の温度管理。 ●留意すべき水質項目。 ・鉄・濁度・色度。 ●原因。 ・水道管の老朽化。 ●川崎市の対応。 ・老朽管の計画的更新。 ●留意すべき水質項目。 ・鉛。 ●原因。 ・鉛給水管の使用。 ●川崎市の対応。 ・使用者への通知。 ●留意すべき水質項目。 ・残留塩素。 ●原因。 ・水道管や貯水槽内での滞留による濃度低下。 ●川崎市の対応。 ・管路整備における管口径の適正化と管網形成。 ・滞留地域の定期的な排水。 ・貯水槽の管理指導(健康福祉局との連携)。 6〜7ページ。 5 水質管理の体制と水質検査の精度。 (1) 水質管理の体制。  定期的な水質検査は、水源、浄水場及び給水栓で行います。水源は広域水質管理センター、浄水場から給水栓までは川崎市上下水道局が検査を実施します。給水栓の水質基準の検査は、水道水質検査優良試験所規範(水道GLP:次項(2)参照)に基づく信頼性保障体制のもと自己検査を基本とします。 広域水質管理センターについて。 神奈川県企業庁企業局、横浜市水道局、川崎市上下水道局、横須賀市上下水道局及び神奈川県内広域水道企業団(以下企業団)は、平成27年4月から広域水質管理センター(企業団に置く)において共同で相模川及び酒匂川水系の水源域における水質検査と水質事故の対応を一元的に実施することにしました。このことにより水源水質検査の効率化と水源水質事故対応の強化が図れています。 (2) 水質検査の精度と信頼性。  水質検査は、水道水の安全性を確認するもので高い精度と信頼性の確保が求められます。川崎市上下水道局では、平成18年に水道水質検査優良試験所規範(水道GLP)の認定を取得しました(令和5年1月に認定更新)。これは水道の水質検査を実施する機関が、管理された体制の下で適正に検査を実施し、その検査結果の信頼性や精度管理が十分に確立されているかを第3者機関(公益社団法人日本水道協会)が客観的に判断、評価し認定する制度です。今後も水道GLPの運用により水質検査の信頼性と精度の維持向上に努めます。また、環境省をはじめとした外部精度管理に参加し、水道GLPに基づく品質管理システムに則って内部精度管理を充実させることで、水質検査の分析精度の向上に努めます。 水道GLP認定証の写真。 液体クロマトグラフ−質量分析計による有機物質の測定をしている写真。 細菌の検査をしている写真。 8ページ。 6 定期的な水質検査の項目、地点、頻度。 (1)水質基準等の体系。  水道水は水道法に基づく51項目の水質基準が定められており、これに適合するものでなければなりません。水質基準以外にも、水質管理上留意すべき項目である水質管理目標設定項目や、情報・知見の収集が必要な要検討項目が位置づけられています。 また川崎市では、放射性物質やプランクトンなど57項目を水質管理上必要な項目と判断しています。  これらの項目から、各検査地点の水質管理に必要な項目について適切な頻度で検査を実施します。 ●水質基準項目(51項目)。  ・水道法に基づく水道水が適合しなければいけない基準項目。  ・給水栓での検査義務あり。 ●水質管理目標設定項目(27項目)。 ・水道水質管理上注意喚起すべき項目。  ・水質基準に準じた検査を要請。 ●要検討項目(46項目)。  ・毒性評価が定まらないことや、浄水中の存在量が不明等の項目で情報・知見を収集している。 ●その他の項目(57項目)。  ・川崎市が水質管理上必要と判断した項目。 9〜10ページ。 (2) 水源及び浄水場における水質検査。 ア 水源。  相模川水系の桂川橋、相模湖大橋、弁天橋、三井大橋の4箇所で水質管理上必要と判断した水質検査を実施します。項目と頻度は別表1〜別表3のとおりです。 イ 浄水場。  原水及び配水池水について水質管理上必要と判断した水質検査を実施します。項目と頻度は別表1〜別表3のとおりです。 (3) 給水栓における水質検査。 ア 法令で義務付けられている検査。 (ア)毎日検査。  給水栓では、法令で1日1回以上の色と濁り及び消毒の効果(遊離残留塩素)の検査が義務付けられています。この検査は市内20箇所の給水栓に設置した水質自動測定装置で毎日測定しています。  20箇所の給水栓は、浄水場からの送配水に係る時間や配水系統などを考慮して選定しています。 (イ)水質基準に係る検査。  給水栓では毎日検査に加えて水質基準51項目の検査が義務付けられています。頻度は項目ごとに定められている回数またはそれ以上の回数で実施し、かび臭の原因物質であるジェオスミンと2−メチルイソボルネオールは、それらの原因となる藻類の発生時期に、月に1回以上検査を行います。項目と頻度は別表1のとおりです。  検査地点は浄水場からの送配水に係る時間や配水系統などを考慮して11か所の給水栓を選定しています。 イ 水質管理上必要と判断した検査。 (ア)水質管理目標設定項目。  水質管理目標設定項目は水質管理上注意喚起が必要な27項目で、水質基準に準じた検査が求められています。このうち給水栓では22項目の検査を行います。項目と頻度は別表2のとおりです。検査地点は水質基準に係る検査と同じ給水栓です。 (イ)要検討項目。  要検討項目は水質基準等の見直しのために必要な情報・知見の収集に努めるべきとされている46項目です。このうち給水栓では12項目を水質管理上必要と判断し検査を行います。項目と頻度は別表2のとおりです。検査地点は水質基準に係る検査と同じ給水栓です。 (ウ)その他の水質検査項目。  その他本市において水質管理上必要と判断した57項目のうち、給水栓においては16項目の検査を行います。項目と頻度は別表3のとおりです。検査地点は水質基準に係る検査と同じ給水栓です。 11ページ。 図7.水質検査地点概要図。 表示内容1:毎日検査(水質自動測定装置)の検査地点。 企業団西長沢浄水場系統の検査地点。 1.白鳥諏訪公園。 9.虹ヶ丘南公園。 12.麻生市民館岡上分館。 20.新百合ヶ丘西調整池。以上4箇所。 長沢浄水場系統の検査地点。 2.上下水道局久末ポンプ場。以上1箇所。 生田配水池系統の検査地点。 3.向原の丘公園。 8.久地の里公園前。 10.上下水道局稲田取水所。 15.多摩区道路公園センター。以上4箇所。 高石配水塔系統の検査地点。 13.百合丘こども文化センター。 19.犬蔵くすのき公園。以上2箇所。 宮崎配水塔系統の検査地点。 5.蔵敷公園横。 14.上下水道局長尾加圧ポンプ所。以上2箇所。 鷺沼配水池系統の検査地点。 6.新川崎ふれあい公園。 7.等々力緑地。以上2箇所。 末吉配水池系統の検査地点。 4.上下水道局入江崎水処理センター。 11.殿町いこいの家。 16.川中島公園。 17.上下水道局京町ポンプ場。 18.上下水道局加瀬水処理センター。以上5箇所。 表示内容2:水質基準に係る検査の検査地点。 企業団西長沢浄水場系統の検査地点。 A.王禅寺けやき公園。 K.栗木台山家公園。以上2箇所。 長沢浄水場系統の検査地点。 I.野川第5公園。以上1箇所。 生田配水池系統の検査地点。 C.金程夕木公園。以上1箇所。 高石配水塔系統の検査地点。 B.犬蔵さくらの丘公園。以上1箇所。 宮崎配水塔系統の検査地点。 J.長尾宮前公園。以上1箇所。 鷺沼配水池系統の検査地点。 D.溝口南公園。 H.上小田中第5公園。以上2箇所。 末吉配水池系統の検査地点。 E.古市場第2公園。 F.東扇島西公園。 G.中留公園の3箇所。 ・給水栓での採水作業の写真。 ・水質自動測定装置の写真。 12ページ。 7 臨時の水質検査。 次の様な事態が生じ水質基準に適合しないおそれのある場合には、臨時の水質検査を行います。  ・水源の水質が著しく悪化したとき。  ・水源に異常があったとき。  ・水源付近、給水区域及びその周辺等において消化器系感染症が流行しているとき。  ・浄水過程に異常があったとき。  ・配水管の大規模な工事その他水道施設が著しく汚染されたおそれがあるとき。  ・その他特に必要があると認められるとき。 8 水質検査方法。 水質検査の方法は水質基準項目、水質管理目標設定項目は、国が定めた水道水の検査方法「水質基準に関する省令の規定に基づき環境大臣が定める方法」などに従い行います。また要検討項目とその他の水質検査項目の試験方法については上水試験方法(日本水道協会)などに従い行います。 陰イオン・陽イオンの検査をしている写真。 長沢浄水場での水質検査をしている写真。 陰イオン界面活性剤の検査をしている写真。 13ページ。 9 水質検査計画と水質検査結果の公表。  水質検査計画は毎事業年度の開始前に作成し、上下水道局ウェブサイトで公表します。水質検査計画の冊子は、かわさき情報プラザ、各区役所の市政資料コーナー及び公文書館で閲覧できます。  水質検査の結果(給水栓の水質基準項目)は、毎月上下水道局ウェブサイトに掲載します。さらに詳しい水質検査結果は毎年度発行する「水質試験年報」でご覧になれます。「水質試験年報」は、上下水道局ウェブサイト、各区図書館(分館を除く)で閲覧できます。各区の市政資料水質検査計画と水質検査結果以外にもウェブサイトでは水道の水質に関する情報を掲載しています。 HP上の水質ページアイコンとQRコード。 14ページ。 10 水質検査結果の評価と水質検査計画の見直し。  水質検査結果については、検査地点ごと、検査項目ごとに水質基準値や過去の検査結果と比較・評価し、異常があれば原因究明等必要な対応を取ります。  水質検査計画については、水質検査結果の評価や法令改正への対応を反映させるため、毎年見直しを行います。  また、水質検査計画や水質検査結果に対するお客さまからのご意見についても、水質検査計画の見直しの参考とさせていただきます。 図9.水質検査計画見直しの流れ(計画の策定、水質検査の実施、水質検査結果、計画の見直し)。 11 関係機関との連携。  県内の水道事業者と連携し、水源水質の保全に取り組んでいます。水道水源域で水質事故が発生した場合は、広域水質管理センターから情報収集を行うとともに必要に応じて現地調査を行い、浄水場で活性炭を注入するなどの適切な浄水処理を行うことで安全な水道水を供給しています。  また水系感染症発生時の情報提供を健康福祉局から受け、衛生上必要な措置に役立てています。   この「水質検査計画」は毎年度更新し、川崎市上下水道局ウェブサイトで公表します。 水質検査計画策定についてお客さまのご意見、ご質問がございましたら水道水質課までお寄せください。 【連絡先】 川崎市上下水道局水管理センター水道水質課。   〒214-0034 川崎市多摩区三田5の1の1。   電話  044-911-3005。   FAX 044-900-9545。   メール 80suisi@city.kawasaki.jp 別表(検査項目と頻度の表)について 15〜17ページは検査項目と頻度の表を記載していますが、複雑な表のため、表題のみ記載します。 15ページ。 別表1 水源、浄水場及び給水栓における水質検査項目と頻度(水質基準項目)。 16ページ。 別表2 水源、浄水場及び給水栓における水質検査項目と頻度(水質管理目標設定項目・要検討項目)。 17ページ。 別表3 水源、浄水場及び給水栓における水質検査項目と頻度(その他の項目)。