川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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885.前2項ノ浄配水設備ハ川崎市ニ於テ施行シ之ニ要スル工事費ハ別途ニ追加予算トスルコト6.分水ニ対スル補償又ハ使用料ハ本市水道経済ニ重大ナル影響ヲ及ホスモノナルヲ以テ此点充分御研究セラレ本市水道ノ運営ニ支障ヲ来ササル様考慮ヲ賜リ度シ7.本件ニ関スル交渉ハ可成両市ノ直接交渉ヲ避ケ監督官庁ニ於テ御斡旋相仰度 東京市への分水に関する具体的な折衝は、昭和17年(1942)10月から開始されたが、県及び川崎市による東京市との直接折衝は避け、内務省国土局の仲介のもとに行われた。協定の締結に当たっては、分水停止とその保証及び水利権の確保、県の河水統制権の確保の3点を、分水する上での根本原則として折衝を重ねた。二十数回に及ぶ折衝の末、神奈川県、川崎市及び東京市3者が合意して、昭和18年(1943)6月29日に協定書を取り交わすことになった。 協定書は以下のとおり神奈川県、川崎市、東京市、内務省、厚生省の間で取り交わされた。東京市ヘノ分水協定書 神奈川県及川崎市ハ東京市ニ於ケル水道ノ現況ニ鑑ミ神奈川県営相模川河水統制事業ニ依ル川崎市ヘノ分水量ノ一部ヲ東京市ニ分譲スル為東京市ト左通協定ス。但シ本分譲ハ暫定的措置タルノミナラズ川崎市ノ需要水量モ逐年増加ノ傾向ニ在ルヲ以テ東京市ハ現在計画又ハ実施中ニ属スル拡張事業ノ進捗ヲ図ルト共ニ別途応急措置ノ実施ニ努メ用水ノ確保ニ遺憾ナカラシムモノトス協定書第1条 神奈川県及川崎市ハ神奈川県営相模川河水統制事業ニ依ル川崎市ヘノ分水量ノ一部ヲ東京市ニ分譲ス第2条 分譲地点ハ神奈川県川崎市小杉御殿町地内トス第3条 分譲水量ハ1日最大20万立方米以内トシ、水質ハ浄水トス第4条 分譲水量ハ分譲地点ニ於テ川崎市ノ施設セル量水器ノ記録ニ依ル、量水器ノ故障其ノ他ノ事由ニヨリ計量不能又ハ計量不正確ト認ムルトキハ3者協議ノ上水量ヲ決定ス第5条 分譲期間ハ神奈川県営相模川河水統制事業ニ依ル川崎市ノ割当水量ニ余剰アル期間トス 前項ノ期間ニ就テハ内務、厚生両大臣ノ承認ヲ受ケ神奈川県知事之ヲ決定ス第6条 神奈川県知事必要アリト認ムルトキハ前条ノ期間内ト雖内務、厚生両大臣ノ承認ヲ得テ分譲水量ヲ減少シ又ハ分譲ヲ停止スルコトヲ得第7条 神奈川県及川崎市ハ速ニ本協定ニ依ル分譲ニ必要ナル諸設備ヲ為スモノトス 川崎市ハ分譲水ノ水質ニ関シ責ニ任ズルモノトス第8条 東京市ハ神奈川県ニ対シ分譲期間中毎年左ノ各号ニ依リ計算セル金額ヲ支払ウモノトシ其ノ納付方法ハ神奈川県ノ指定スル処ニ依リ1ケ月毎ノ概算払トシ満1ケ年毎ニ之ガ精算ヲナスモノトス第1編上水道第3章水道の拡張時代の到来

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