川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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1245 工事の特徴⑴ 第2導水ずい道の築造①内径3.5mの大型ずい道 本拡張事業において築造する城山ダムからの導水ずい道は、将来の拡張分を考慮し、当初内径2.8mの大型ずい道を計画していた。しかし、厚生省(現:厚生労働省)からの助言や、県内水道の広域化の検討が進められていたこと、更に施工性や経済性も考慮することとなり最終的に内径3.5mに決定した。公称能力は1日70万㎥であるが、なお大幅な余力を持つこととなった。②公道下の導水ずい道 既設の導水ずい道路線は、丘陵地帯を縫うように選定され布設を行ったが、後に大規模な宅地造成が行われ、導水ずい道の上部に切土や盛土が施されることとなった。新設する導水ずい道の路線は、この経験を活かし、将来にわたって大規模な造成が行われる心配の少ない公道下に布設することとし、適当な公道がない部分だけに限り用地買収を行い、区分地上権を設定した。このことは、用地買収費の削減と工期の短縮にも貢献した。③無圧ずい道と圧力ずい道 相模原から町田の両市市境までは相模原台地となっており、自然流下で導水ずい道を掘るには十分な土被りが得られた。しかし、町田からの路線では、到着点となる潮見台浄水場の着水井より大部分が低いため長大サイフォンを採用した。このため、境目に接合井を設けて上流側は無圧ずい道、下流側は圧力ずい道となった。 圧力ずい道は、最高約7.5kg/㎠という内圧がかかることや、周辺が軟弱地盤であることを考慮してセグメント型鋼管を用いるシールド工法によって施行した。導水ずい道標準断面図④湧水の処理 無圧ずい道路線の大部分は、相模原台地の砂礫層を通過するので多量の湧水が予想された。その処理を誤ると工事の進行に悪影響を及ぼすだけでなく、近隣住民に被害が及ぶ等、重大な事態を招く恐れもあった。湧水をポンプの水替えで処理すると、井戸水を枯らす危険性があり、更に水圧が高いため砂やシルトが湧水とともに流れ出し、地盤沈下を起こすことも予測されたため、本工事では圧気工法を軸に湧水の処理を行うこととした。圧気工法とは、高い空気圧を保つために圧縮した空気を送入して気圧を上げ、湧水を抑えながらトンネルやケーソン等を掘第1編上水道第3章水道の拡張時代の到来

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