川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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125削する工法である。砂礫層中で地下水が水脈となっているところでは、相当な湧水が予想されるので、圧気工法だけでは掘進可能なまで排水が出来るか確信が得られないため、止水を目的として注入工を見込んだ。注入剤にはセメントミルクや各種薬液があるが、現地で試験を行い、それぞれの地質に適したものを使用した。このように工事が可能になるまで坑内湧水を減らし、最終的にはポンプ排水をすることとした。⑤責任施工方式 第2導水ずい道の工事に関しては、工事施行の手段や方法はすべて請け負った建設業者が総合力を発揮して、随意に企画、設計、施工することとした。更に発注者側で仕様したものの変更に対してのみ設計変更の対象とし、その他は一切設計変更の対象としないというものである。この発注方式を便宜的に責任施工方式と呼んだ。 従来の建設請負方式においては、工事の企画、設計、施工管理についても発注者が決定権を握っており、工事の途中で設計変更が起きると、変更のための正式な手続きに時間がかかる等、進行について建設業者との間で摩擦が生じていた。しかし責任施工方式であれば、このような弊害が防げる上に、建設業者の多年にわたって蓄積された技術と経験が意欲的に活かされる利点があり採用に至った。⑵ 潮見台浄水場の築造 潮見台浄水場は、長沢浄水場から南西に約2㎞離れた、約15万㎡の高台の敷地に建設された。施設の主な内容は、凝集沈でん池4池、急速ろ過池12池、配水池2池及び浄水本館等である。 限られた敷地面積の中で、1日最大20万㎥の処理能力を持つ浄水場の築造を実現するため、各施設で効率化が図られた。例えば、沈でん池に傾斜板式、ろ過池に2層ろ過のグリーンリーフ方式を採用し、高いろ過能力を発揮するよう設計された。また、水処理はすべてコンピューターによる集中管理となった。なお、この潮見台浄水場と同じ敷地内には神奈川県内広域水道企業団の西長沢浄水場がある。6 施設の概要〈導水ずい道〉第2導水ずい道口径3,500㎜ 総延長24,153.896m 無鉄コンクリート・円形、無圧、延長11,325.196m 鉄筋コンクリートセグメント型鋼管薬品の注入作業潮見台浄水場第13節第7期拡張事業

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