川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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129第7期拡張事業 財源及び事業費内訳表(単位:円)財 源事業費1 大蔵省資金運用部13,671,000,0001 貯水工事費1,174,000,0002 郵政省簡保110,000,0002 導水工事費15,597,390,7383 公営企業金融公庫7,204,000,0003 浄水工事費3,384,927,5384 市中銀行2,779,000,0004 配水工事費2,178,979,3815 附帯工事費1,428,702,343計23,764,000,000計23,764,000,000労務管理(飯場のイメージ一掃) 当時、建設労働者やその家族が生活する場所は「飯場」と呼ばれ、生活環境が悪く近隣住民からも変わった目で見られ、労務価値も軽視されがちだった。労務者の定着率も悪く労務者不足となると工事の遅延にもなりかねない。そこで川崎市は、労務管理の改善を建設業者の入札の条件とし、作業員宿舎(家族寮)の条件等の労務管理指針を打ち出した。 以下に作業員宿舎(家族寮)の主婦、作業員や炊事婦の手紙を文集「すいろ」の中から3例を紹介する。①家族寮の主婦 “お母さん、こっちの部屋はあたいの部屋よ”六つになる長女が、この宿舎にきたとき、こう叫んだものだった。今までの宿舎生活は、トタン張りの外装に、ベニヤ張りの内装で隣りの大部屋から酔った嬌声や外部の雑音が、家の間に流れてきて、荒んだ空気の環境の中で、親子3人が6畳一間にひしめいて暮らしていたのだった。押入れもなく、貧しさが部屋中に、むきだしになっていたが、いつの間にかそんな生活が自然であり、恥らいの色も消えていたのであった。・・・(中略)・・・ 今まで一部屋暮らしの生活しか味わったことのない娘が、二部屋あるのを見て一部屋占領したがる細かな願いに、喜びとも悲しみともつかないような涙が出た・・(後略)・・②作業員 ・・(前略)・・“水は方円の器にしたがう”古諺のごとくこの器の中で知らず知らずの間にしたがってゆく、食卓をひっくり返す、窓から小便をする、数え切れぬほどある私達の、今までの所業を考えるとき、現在の食堂やすまいの、家庭的な部屋では、ちょっと手が出ない。すでに私達は、十分とはいえないが、したがいつつあるようだ。 “衣食足って礼節を知る”とは、良くいったものと感心する。住んでみると、いたって住みよい。これが工事に反映したことはうたがえない。立派な家に住むのと、貧弱な家に住むのとでは、人間誰しもおのずからの考えが違うと私は思う。 この飯場がもし今までのあり方とした場合、付近の人達は、一体私達をどのような目で見るであろうかと比較して考えるとき、それ自体で私達の考え方も、必ずちがっていたと思う。数限りないそうした問題を、考えるとき、私達が従来の考えを捨て、一般社会人として、恥じない自負を生み出す、最も適切な方法であることを、うたがわない。 こうしたことを考える時、私達は指導者の方逹の意をくみ、期待に添うよう、もう一度考えて、自らの地位向上に、精進して行きたいものと思う・・・(後略)・・・コラム ①第13節第7期拡張事業

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