川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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131第14節 酒匂川総合開発事業1 背景 昭和40年代に入っても県内における水需要は急激に増大し続け、県が策定した新神奈川計画では、昭和60年(1985)の人口を750万人、上水道需要量を1日約513万㎥と想定した。これに対して上水道保有水源は、昭和60年(1985)時点で相模川等の河川水、その他地下水等を含めても1日約338万㎥であり、約175万㎥が不足するため、新たな上水道用水を開発する必要が生じた。そこで県西部の酒匂川水系に多目的ダムを建設し、180万㎥の用水を確保することとなった。2 企業団の設立⑴ 設立準備委員会の設置 昭和39年(1964)、厚生省(現:厚生労働省)から神奈川県に「神奈川県東部地区における水道の将来について」の通知があったことを契機に、広域水道の積極的な推進のため川崎市、神奈川県、横浜市及び横須賀市の4事業者により「広域水道研究協議会」が設置された。また、政府は各諮問機関に対し水道広域化の方策や水道の経営等について諮問していたが、その答申に基づき、昭和41年(1966)には地方公営企業法の改正による一部事務組合(企業団)の明文化を、昭和42年(1967)には水道水源開発等施設整備費の国庫補助を実施した。 これらのことから、県内の各事業者が、広域水道を積極的に推進しようという考えで一致した。 昭和43年(1968)7月に広域化の方向について4事業者の話し合いが行われ、8月26日、副知事及び3市助役並びに水道事業管理者会議において広域水道計画案が発表された。その中で①建設費の軽減、②重複投資の排除、③水の相互融通、④国庫補助金の導入等の利点が確認され、水道広域化のすう勢のみならず、これまでの共同事業による水源開発の経緯等から企業団設立の意向が固まった。 8月31日には、酒匂川水系の開発を対象に用水供給事業を行うための4事業者共同による広域水道企業団設立についての申し合わせが行われ、準備事務を進めるため、「神奈川県広域水道企業団設立準備委員会」(委員長は副知事)を設置することが決定された。企業団の設立について 本県における急速な産業の発展と人口の都市集中に伴い必要とされる用水の確保について、すでに相模川総合開発事業をはじめとする各種の利水事業を積極的に実施しているところである。しかし、今後に予想される水需要の増大に対処するためには、水利用の効率化、施設配置の合理化等による水の広域的利用を一層促進する必要があると考えるものである。 このため、酒匂川総合開発にかかる用水事業を共同して行なうものとし、次のとおり申し合わせるものとする。1 水道用水の広域的利用をはかるため、神奈川県広域水道企業団(仮称)設立の準備をする。2 企業団の構成その他設立及び運営に関して必要な事項は別に協議して定める。第14節酒匂川総合開発事業

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