川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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157第15節 第8期拡張事業1 背景⑴ 施設能力の限界 川崎市の人口は、昭和44年(1969)度末時点で95万人を超え、給水人口も94万人に迫ろうとしていた。昭和46年(1971)3月には、第7期拡張事業が完了し、1日最大配水量58万5,000㎥に達したが、同年の夏季には早くも水需要が57万7,560㎥を記録した。近い将来、施設能力が水需要に追いつかず、水不足の状態に陥るのは明らかだった。 しかし、すでに高度に利用されている相模川に新たな水源を求めるのは難しく、新規水源の確保を早急に図らなくてはならない状況であり、それは神奈川県、横浜市、横須賀市等も同様であった。⑵ 広域水道の計画 このような状況を打開するため川崎市は、神奈川県、横浜市、横須賀市と共同して酒匂川から取水する、「酒匂川総合開発事業」に参画した。 水源として想定している酒匂川は、各都市の供給区域から遠隔地にあるため、建設費の軽減や重複投資の排除等の観点から、県及び関係各都市により事業を実施することとし、前節で詳述した神奈川県内広域水道企業団(以降「企業団」)を昭和44年(1969)5月に発足させた。川崎市は、これにより確保される日量156万4,300㎥のうち53万2,500㎥を得て、将来の水源に充てることとした。 この水源開発計画に関連して、川崎市水道事業の基本計画を整備するため、昭和45年(1970)度に「設置条例」(川崎市水道事業及び工業用水道事業の設置等に関する条例)を一部改正し、計画給水人口を118万4,000人とし、計画1日最大給水量を102万6,000㎥とした。川崎市は、酒匂川表流水(企業団からの用水供給)を水源として、本拡張事業を施行することとした。川崎市水道事業及び工業用水道事業の設置等に関する条例(昭41年12月9日条例第45号)(経営の基本)第3条水道事業等は、常に企業の経済性を発揮するとともに、公共の福祉を増進するように運営されなければならない。(1)水道事業ア 給水区域は、本市区域内とする。ただし、市長が公益上その他必要があると認めるときは、市外に分水することができる。イ 給水人口は、1,184,000人とする。ウ 1日最大給水量は、1,026,000立方メートルとする。(2)工業用水道事業ア 給水区域は、本市区域内とする。イ 1日最大給水量は、626,000立方メートルとする。第15節第8期拡張事業

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