川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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179第1節第1導水ずい道改良事業2 施工方針⑴ パイプイントンネル工法 第1導水ずい道の覆工コンクリートの打設には、木製型枠が使用されていたので仕上がり断面が一定でない箇所があり、また、曲線部は鋼管の異形管と同じように多角形の折れ線形状に打設されていた。 こうしたずい道内面の狭い箇所や曲線区間の対応、改良工事後における必要通水能力の確保及び断水可能期間等の諸条件から各種工法を検討した結果、鋼管を使用したパイプイントンネル工法を選定した。この工法は、既設ずい道内に鋼管を挿入して溶接を行い、ずい道と鋼管の空隙部をモルタルグラウトで充填するものである。⑵ 使用鋼管 既設ずい道内へ布設する鋼管の内径は、改良後の必要通水能力を確保する条件から、ずい道内布設が可能な最大径である2,450㎜とした。鋼管板厚は解析結果を基に14㎜を選定し、現場溶接用の裏当板厚6㎜を加えた溶接接合部での外形は2,490㎜となり、既設ずい道の標準断面が高さ幅ともに2,600㎜のため既設ずい道と鋼管との平均クリアランスは55㎜となった。 直管の長さは作業立坑の掘削面積の範囲で1本4mを標準管として、この管が通過できない曲線部から先の区間に布設する鋼管は、通過可能な長さまで管長を短くした短管の場合と搬入時は外径を縮小する巻込鋼管とを経済性等から比較検討した結果、巻込鋼管を採用することとした。⑶ 内面塗装 内面塗装は、液状エポキシ樹脂を塗膜厚0.5㎜以上で施行することとした。⑷ 鋼管搬入方法 既設ずい道内への鋼管布設には、鋼管搬入用作業立坑と坑内換気及び溶接電源供給用の換気立坑をずい道直上または隣接して築造し、一時的に立坑部分に当たる既設ずい道を取り壊して開口部を設置することとした。⑸ 電気防食設備 既設ずい道内に布設された鋼管は、周囲をグラウト充填され、更に既設ずい道コンクリートに防護されている。しかし、ずい道周辺の環境による自然腐食が原因で、ずい道壁面コンクリートにクラックが発生する可能性がある。また、ずい道の路線上を数か所鉄道が横断するため、迷走電流の影響にも配慮し、腐食環境調査を実施した結果、腐食が発生する環境にあることが判明した。 このことから、布設する鋼管の対地電位を防食電位に保つために外部電源方式による電気防食設備を設置することとした。無筋コンクリート巻立モルタル充填(内面塗装)液状エポキシ樹脂塗装厚さ0.5㎜以上改良断面既設断面新旧導水ずい道標準断面図

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