川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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197第6節施設改築等整備事業川崎市の配水ブロックシステム 100年を迎えた川崎市の水運用体制は、再構築事業を実施する前段において、水運用の効率化(取水、浄水、送水運用)、災害対応力強化(管路の2重化、給水復旧の容易性向上、漏水の局所化)、給水の均等化(水圧、水質)、配水管網の単純化(更新の効率化)を図る目的で再編し、次の三つの配水ブロックシステムにより構築されている。(1)大配水ブロック間相互融通システム鷺沼系統の一部区域を末吉系統へ区域変更するとともに、配水本管のブロック境7か所に流量制御弁を設置し、臨海系の企業団受水点の水量を増やすことで、配水本管の負担軽減や生田・鷺沼・末吉配水池の容量や流出量を一定の範囲でコントロールし、災害時にも活用することが可能となっている。(現在では高区系も1か所稼働している。)(2)水運用支援システム大配水ブロックごとに需要を予測し、相互融通システムを活用し効率的な送水量を決定するため、浄水場及び配水所の監視制御装置を補完するシステムとして運用している。このことにより、送水量を浄水場と企業団受水に効率良く分配でき、生田、鷺沼、末吉配水池の容量を効率的に運用している。(現在では、再構築事業により更新された統合監視制御システムの一機能である。)(3)大中小配水ブロックシステム既存の16配水ブロックを「大配水ブロック」とした上で、配水管の機能を大量長距離輸送と少量近距離輸送に明確化し、地形や地域性を加味し、日平均給水量1万トンを目安に「40中配水ブロック」に分割して配水している。また、高水圧または低水圧となる地域においては、その区域を区切り減圧弁またはブースターポンプを設置し「小配水ブロック」として配水している。(現在では14大配水ブロック) それぞれの詳細は本編に譲るが、この配水ブロックシステムの再編に当たっては、運転管理の大幅な変更や弁の全閉操作による濁水の発生等市民への影響が懸念されていたが、再構築事業とともに浄水場、工事事務所、営業担当の職員の相互協力や創意工夫により、市民への大きな影響もなく、災害に強い配水ブロックシステムに再編することが出来た。 一方、中配水ブロックは弁の全閉操作のみで分割されており、まだ進化の途中にある。配水ブロックシステムの目的である、更なる安全安定給水を達成するためには、次の100年に向け、縁切り弁による行き止まり管の解消、配水管口径の縮径、高石系の分割、臨海系のバックアップ等、これからも管路更新に合わせた中配水ブロックの進化が必要である。元水道技術管理者 亀山 充 氏コラム

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