川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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208造りで2池築造することは困難な状況であった。そのため、新設配水塔は、容量を確保したうえで占有面積が小さく、かつ高さが抑制できるステンレス鋼を川崎市の配水塔として初めて採用した。狭あいな用地に新たに2池築造とするため、1池当たりの占有面積は既設配水塔よりも小さくする必要があった。一方で、更新工事施工中や今後の維持管理を踏まえ、1池運用での充分な容量も必要であった。このような制約から、ステンレス製配水塔は高さを抑制しつつ容量を確保できる面で最適と考えられた。 更新工事を行うに当たり、まず仮設配水塔を築造する必要があった。配水塔用地では仮設配水塔を築造するスペースが確保できないため、隣接する鷺沼北公園を借地し仮設配水塔を築造することとした。当初設計では、新設配水塔の運用開始後に、仮設配水塔を撤去する予定であったが、公園用地を借地してもなお施工スペースとしては狭あいであったことから、仮設配水塔を本設と同じステンレス鋼で築造し、新設配水塔1池を運用開始した後に、仮設配水塔を曳家工法により移設する案が検討された。鋼製仮設配水塔の築造、撤去が不要となり、環境負荷の低減や工期の短縮、施工スペースの確保による安全性及び効率性の向上が図られると判断し、曳家工法での施工を採用することとした。配水施設への曳家工法の採用は全国初の事例ではあるが、建築分野では比較的一般的な工法で実績も十分にあることが採用への後押しとなった。2日間で27mの距離を移動し、工事を完成させた。⑵ 工事期間 起工 平成26年(2014)10月 竣工 平成31年(2019)3月⑶ 事業費  24億2,581万3,920円公園借地可能範囲(約1,340㎡)既設配水塔(約330㎡)配水塔用地斜面等平坦部(約620㎡)配水塔用地と公園借地第1編上水道第4章水道の拡張から維持管理への転換

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