川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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212第1節 施設再構築の背景1 給水能力と配水需要のかい離 川崎市の水道事業は、大正10年(1921)に多摩川の表流水を水源として給水を開始し、給水開始時の給水能力は1日当たり3,320㎥であった。その後、市域の拡大、人口の急増、産業の発展等に伴う水需要の増加に対処するため、水源を地下水、相模川水系、酒匂川水系へと求め、数次にわたる大規模な施設の拡張事業や配水施設整備事業等により供給体制の拡充を図り、昭和55年(1980)には1日当たり102万6,000㎥の給水能力を保有するに至り、安定給水の体制を確立した。 一方、戦後の高度経済成長期まで右肩上がりに増え続けてきた水需要は、昭和40年代の石油ショックを契機に急激に伸び悩み、以後は横ばい傾向となった。近年においても、人口は順調に増加しているものの、家庭用の節水機器が普及したことや産業構造の変化で大口使用者の需要が減少したこと等から水需要は低迷し、平成17年(2005)度には1日最大配水量は52万3,200㎥となり102万6,000㎥の給水能力とは大きなかい離が生じていた。人口と水需要の推移2 施設の耐震化と老朽化 昭和初期に建設された生田浄水場等の基幹施設は老朽化が進み、また、昭和30年代から40年代にかけての事業拡張期に整備した大規模施設が一斉に耐用年数を迎えることによる老朽化への対応が喫緊の課題となっていた。更に、緊急性が高まっている大規模地震に対する耐震性能不足への対応についても重要な課題となっていた。3 再構築計画の策定 給水能力と配水量のかい離、施設の耐震化と老朽化といった課題を一度に解決するため、将来あるべき姿を示した「川崎市水道事業の中長期展望」を平成18(2006)年3月に策定し、その実施計画として、全国の水道事業体に先駆け浄水場の統廃合及びダウンサイジングによる更新を目的とした「川崎市水道事業の再構築計画」を同年8月に策定した。第1編上水道第5章全国に先駆けた水道の再構築

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