川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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224 再構築前の潮見台浄水場、長沢浄水場においても複層ろ過、塩素処理(前・中注入)及び後凝集を導入しており、実績が蓄積されているため維持管理体制へ応用しやすいと考えられた。 以上の観点から、藻類対策としては稼働率が低く追加コストや用地が必要となる前処理は検討外とし、将来の処理方法は既存と同様に「凝集沈でん(後凝集あり)−複層ろ過」とし、殺藻目的で前次亜・中次亜注入とした。 (エ)カビ臭物質・有機物への対応 カビ臭物質・有機物(特に溶解性)への対応としては、「粉末活性炭処理」、「粒状活性炭処理」及び「オゾン・活性炭処理」を検討した。 粒状活性炭処理は、長期間藻類が発生する場合は、そのランニングコストの観点から粉末活性炭に対して優位性が現れるが、現況の発生状況(2か月以下)を考慮すると適切な方法とはいえない。また、オゾン・活性炭処理は、原水中に高濃度でカビ臭が発生した場合(100ng/L以上)や処理水濃度を限りなく低くする場合に有効であるが、現状必要性が低いと考えられた。 粉末活性炭処理を導入する場合は、将来的な課題物質濃度の増加に備え、粉末活性炭と処理原水の接触時間が充分保てるよう、凝集沈でん処理の前段に接触槽等を設けることが望ましい。また、粉末活性炭処理は一般に原水中のカビ臭物質濃度がそれほど高くない場合や注入時期が短期間(おおむね3か月以内)である場合に適している。原水におけるカビ臭物質の検出状況をみると濃度(10ng/L程度)、時期(2か月以内)ともに導入条件に合致していると考えられることから、粉末活性炭処理を導入した。④新たな浄水処理フロー 以上の検討結果から、現行と同様の浄水処理フローに、接触時間の確保を目的として活性炭接触池の導入と薬品注入の強化により、将来処理目標値を達成できることとなり、オゾン・活性炭処理や微粉炭処理の導入については将来の水源水質の変化、目標浄水水質の変化及び社会情勢等に応じて検討するものとした。従って、カビ臭・溶解性有機物対策を考慮した場合の処理フローは、「粉末活性炭−凝集沈でん−複層ろ過」とし、将来に備えてオゾン・活性炭の用地について確保しておくものとした。また、高pHへの対応(凝集効果の向上)として、潮見台浄水場において採用実績のある硫酸注入を採用することとした。以上より、長沢浄水場の新たな浄水処理フロー及び各設備の目的は、以下のとおりである。前・前次亜後・中次亜後次亜新たな浄水処理フロー(白文字:新規)第1編上水道第5章全国に先駆けた水道の再構築

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