川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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273⑹ 水質課・浄水場の排水 昭和45年(1970)に公共用水域及び地下水の汚濁防止を図るため水質汚濁防止法が制定され、工場・事業場等から公共用水域に排出される水に基準値が設定された。 昭和51年(1976)には水道施設の沈でん施設、ろ過施設等が水質汚濁防止法の特定施設に指定され、水質課及び浄水場から公共用水域に排出される水の水質測定が義務づけられた。 水質課及び各浄水場では、水質汚濁防止法に基づき排水の水質測定を行ってきたが、川崎市の下水道が整備され、平成9年(1997)に潮見台浄水場、平成12年(2000)に水質課及び長沢浄水場の排水が下水道に接続されたことから、水質汚濁防止法に替わり下水道法が適用されることになった。生田浄水場は、一般排水等は下水道に接続されているが、一部の排水が公共用水域に排出されていることから水質汚濁防止法が適用された。4 現在の水質管理⑴ 水質管理体制①水質基準項目 水道水の水質は、水道法により、蛇口(給水栓)において採水した水道水が水質基準に適合することが義務づけられている。水質基準は、昭和33年(1958)に制定されて以来、その時々の科学的知見に基づき改正が行われてきた。主な改正として、平成4年(1992)12月に大幅に拡充されたが、この改正は各種の化学物質が河川等の公共用水域から微量ではあるが検出されはじめ、また国民のニーズとしてより質の高い水道水が求められている状況に対応したものである。基準項目として「健康に関する項目(29項目)」と、「水道水が有すべき性状に関連する項目(17項目)」の計46項目が設定された。また、水質基準を補完するものとして「快適水質項目(13項目)」や「監視項目(26項目)」が設定された。 その後10年が経過し、水道水質の状況は臭素酸やハロ酢酸等の新たな消毒副生成物やクリプトスポリジウム等の耐塩素性微生物についての問題が提起され、水道水質管理の更なる強化が求められるようになった。厚生労働大臣からの諮問を受けた厚生科学審議会の答申を踏まえ、平成15年(2003)水質基準等に係る制度の制定・改正が行われ平成16年(2004)度から施行された。これが現在の水質基準で、「健康に関連する項目(31項目)」と「水道水が有すべき性状に関連する項目(20項目)」の計51項目が定められている。また、水質基準項目に加え水質管理目標設定項目の27項目及び要検討項目の45項目が設定されている。水質基準については、最新の科学的知見に基づき常に見直しを行うべきであることから、実効性のある逐次改定方式が取り入れられている。水質基準項目、水質管理目標設定項目及び要検討項目分 類説 明水質基準項目(51項目)法令で基準値が定められ、検査が義務付けられている項目で、人の健康保護または生活上の支障を生じる恐れのあるもの水質管理目標設定項目(27項目)水道水中での検出の可能性があり、水質基準を補完する項目として水質管理上留意すべき項目要検討項目(45項目)毒性評価が定まらない、浄水中の存在量が不明等の理由により水質基準項目及び水質管理目標設定項目のいずれにも分類できないが、情報・知見の収集に努めていくべき項目第1節水質試験の変遷

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