川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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285 一方、環境省では、同年9月に「ヘキサメチレンテトラミンの排出に係る適正な管理の推進について」(環水大水発第120911001号)により、水質保全担当行政機関に対し、ヘキサメチレンテトラミンを含む排水の適正管理について排出業者に指導・周知を通知し、続いて同年10月、「水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令の施行について」(環水大水発第121001300号)でヘキサメチレンテトラミンを水質汚濁防止法の指定物質に追加した。 浄水処理対応困難物質のうちヘキサメチレンテトラミン等、PRTR第1種に指定されている物質については、排出する可能性のある事業場は相模川の上流域には確認されていない。6 消毒副生成物⑴ 卜リハロメタン トリハロメタンはメタンの4個の水素のうち3個がハロゲン元素の塩素、臭素に置き換わったもので、水道水中のトリハロメタンは、消毒に用いられる塩素と原水中にある有機物が反応して生成される。 厚生省は、水道水中に含まれるトリハロメタンが人の健康に及ぼす影響を考慮して、昭和56年(1981)3月にその制御目標値、監視方法、低減化手法等の対策について通達を出した。この通達では、トリハロメタンを年4回以上測定し、その年間平均値が制御目標値を超える場合には必要な対策を取るよう指示がされた。 川崎市では昭和55年(1980)11月3日から各浄水場配水池の残留塩素を0.2ppm下げて0.6ppmとしたが、この通達を受けてトリハロメタンの測定を昭和56年(1981)から開始した。 昭和62年(1987)には長沢浄水場で、翌年には潮見台浄水場で水道水の消毒剤等として創設以来液化塩素を使用してきたが、災害時の安全性等を考慮して次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素12%)に切り替えた。 消毒設備の更新に当たっては、トリハロメタンの低減化を図るため、前塩素処理方式に加え中間塩素処理方式も可能にした。中間塩素処理方式は、原水に含まれるフミン質等の有機物と塩素が反応してトリハロメタンが生成されることから、凝集沈でん処理で有機物を除去した後に塩素を注入する方法で、前塩素処理方式に比べて卜リハロメタン生成量が10〜30%低減されると報告されている。 平成5年(1993)に施行された水質基準の改正で、総トリハロメタンの基準値は改正されなかったが、総トリハロメタンの構成物質であるクロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルムの4物質にそれぞれ基準値が設定された。 平成15年(2003)に水質基準が大幅に改正されたが、総トリハロメタン及び4物質の基準値はそのまま維持され、以後も変更はない。 令和元年(2019)度の市内給水栓11か所の総トリハロメタン濃度は、平均値0.0094mg/L、最大値でも0.026mg/Lと水質基準値0.1mg/Lと比べて十分低い数値である。⑵ その他の消毒副生成物 トリハロメタン以外の消毒副生成物は、ハロ酢酸類、ハロアセトニトリル類、アルデヒド類等が主要な物質として知られている。第2節水質問題

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