川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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286 川崎市では、平成5年(1993)の水質基準省令の改正に伴い、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロアセトニトリル、ホルムアルデヒド、抱水クロラールの5項目が監視項目に設定されたため、同物質の測定を始めた。 その後、平成15年(2003)の水質基準省令の改正により、水質基準項目にクロロ酢酸が追加され6項目に、平成19年(2007)には、要検討項目のトリクロロアセトニトリル、ブロモクロロアセトニトリル、ジブロモアセトニトリル、翌年には、要検討項目のブロモクロロ酢酸、ブロモ酢酸、ジブロモ酢酸、アセトアルデヒド、更に平成21年(2009)には川崎市独自の水質試験項目のクロロアセトニトリル、ブロモアセトニトリルの測定体制が整ったため15項目に増えた。また、塩化ビニルが消毒副生成物として生成していることを確認し、平成22年(2010)から測定を開始し、現在16項目を測定している。7 クリプトスポリジウム等⑴ クリプトスポリジウム等の危険性 クリプトスポリジウム等は、人や哺乳類の腸管に寄生し、水様性の下痢、腹痛を引き起こすクリプトスポリジウム及びジアルジアと呼ばれる寄生性原虫で、環境中ではクリプトスポリジウムが「オーシスト」、ジアルジアが「シスト」と呼ばれるのう胞体として存在する。クリプトスポリジウム蛍光顕微鏡画像クリプトスポリジウム内部構造イラスト このオーシストは、水道水に対する通常の塩素消毒では不活性化できない特徴があり、大腸菌と比較すると約14万倍の塩素耐性(CT値〔濃度(mg/L)×時間(分)〕による比較)があることから、汚染対処には日常的に細心の注意が必要とされる。 クリプトスポリジウムの国内感染例としては、平成6年(1994)に神奈川県平塚市で受水槽汚染を原因として約460人が感染した。また、平成8年(1996)には、埼玉県越生町で水道水を介して8,800人が感染し、全国の水道事業者に衝撃を与え、早急な対応が迫られることとなった。⑵ 対策 川崎市では、平成9年(1997)から浄水場原水の試験を開始し、長沢、潮見台、生田浄水場の原水と配水池水を年1〜5回の頻度で行った。平成11年(1999)以降現在に至るまで、神奈川県衛生部環境衛生課によるクリプトスポリジウム水道原水汚染実態調査に協力している。平成13年(2001)1月に川崎市で初となるクリプトスポリジウムが長沢浄水場原水で1オー第1編上水道第6章安全で良質な水道へ水質の探求

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