川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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2899 東日本大震災後の放射能対応⑴ 川崎市の体制 川崎市では、平成23年(2011)3月11日の東日本大震災及びそれに起因する東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故発生当日に「川崎市災害対策本部」を設置し初動的対応を行った。同年4月5日には市民生活や経済活動等における被害にも的確に対応できるよう、「川崎市災害対策本部」の機能を拡充し、新たに「東日本大震災対策本部」を設置して総合的な施策を機動的に推進した。更に同年9月6日には、「東日本大震災対策本部」に新たに3副市長及び関係局長等からなる「放射性物質対策検討特別部会」を設け、放射性物質への迅速な対応を行うこととした。また、平成24年(2012)4月に環境局に「放射線安全推進室」を設置し、より一層の取組を全庁的に推進した。 平成24年(2012)11月、「東日本大震災対策本部」において事故由来放射性物質を起因とした放射線に係る監視・測定、評価の目安を超えた場合の対応、情報の収集・発信等の安全対策を継続的に実施するための基本事項を定めた「川崎市東日本大震災に伴う放射性物質に関する安全対策指針」を取りまとめ、全庁的な取組を推進した。 発災から2年が経過した平成25年(2013)3月、東日本大震災に係る川崎市の課題についてはある程度具体的解決が進んだことから、以降は既存の会議等での対応が可能であると判断し「東日本大震災対策本部」体制を解除し、同年4月以降は既存の組織体制で個別に対応することとなった。しかし、放射線対策については、引き続き危機管理推進会議の特別会議として「放射線安全対策推進特別会議」を設置して対応に当たり、その後平成29年(2017)4月からは「放射線安全対策推進会議」となった。⑵ 水道水のモニタリング 東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に関連した水道水中の放射性物質について、内閣府原子力安全委員会が定めた飲食物摂取制限に関する指標が食品衛生法に基づく暫定規制値とされた。平成23年(2011)3月19日、厚生労働省は、水道水中の放射能測定値が「飲食物摂取制限に関する指標」を超過した場合の水道の対応についての技術的助言である「福島第一・第二原子力発電所の事故に伴う水道の対応について」(平22健水発0319第2号)を発し、原子力安全委員会が定めた飲食物制限に関する指標値として放射性ヨウ素(飲料水)300Bq/kg、放射性セシウム(飲料水)200Bq/kgを通知した。 川崎市は、同年3月22日から水道水(長沢・生田・潮見台配水池水)の放射性ヨウ素、放射性セシウムについて横須賀市所有のNaIシンチレーションスペクトロメータで毎日検査を実施した。この毎日検査の中で、生田浄水場配水池水の放射性ヨウ素が10Bq/kgを超えて検出されることが継続したため、川崎市衛生研究所所有のGe半導体検出器で確認したところ不検出であった。合わせて国立保健医療科学院に詳細な測定を依頼したところ、微量の自然放射性核種(鉛214、ビスマス214)が検出された。このうち鉛214が放出するガンマ線は、放射性ヨウ素が放出するガンマ線とエネルギーレベルが近いため、NaIシンチレーションスペクトロメータによる測定では、放射性ヨウ素として検出されることが判明した。よって同年4月21日から、生田浄水場配水池についてのみ川崎市衛生研究所に委託し、Ge半導体検出器での毎日検査となった。第2節水質問題

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