川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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294第1節 水源の保全1 相模貯水池大規模建設改良事業 昭和22年(1947)に相模貯水池(相模ダム)が完成して以来、ダムの宿命である堆砂が進行したことから、神奈川県は昭和35年(1960)からしゅんせつを開始した。 平成5年(1993)度からは、新たに神奈川県県土整備局、神奈川県企業庁、横浜市水道局、川崎市水道局、横須賀市水道局が共同で「相模貯水池大規模建設改良事業」を開始した。貯水池上流末端部の堆砂による上流域の災害防止(治水対策)と有効貯水容量の回復(利水対策)を目的とし、しゅんせつ船団を2船団に増強して年間25万㎥のしゅんせつを実施することとした。 しかし、洪水時の上流域の安全性が確保されたことや、貯水池へ流入する土砂の量が当初の想定を下回ったことにより計画の見直しが行われ、神奈川県により、平成21年(2009)度に同事業の後期計画が策定された。事業の目標自体は、上流域の災害防止と有効貯水容量の回復で変更はなかったが、従来、数値目標の一つとしていた事業終了時における総堆砂率25.5%については、事業目標である有効貯水容量の回復を具体的な数値目標として示すために、有効貯水容量4,000万㎥に変更された。 この他、後期計画では主に、①予測流入量の変更(40万㎥→33万㎥→28万㎥)、②堆積土砂実態に合わせた土砂除去予定量の変更(35万㎥→18万㎥、2船団→1船団)、③貯砂ダムの設置については後期後半(平成27年(2015)度)までに方向性を判断する等の変更が行われた。 その後、平成26年(2014)度には、後期計画後半の見直しが行われ、①流入土砂量(28万㎥→26万㎥)、②土砂除去量(18万㎥→15.5万㎥)、③事業の進捗に伴い設置の必要性が薄れてきたため貯砂ダムについての計画を中止する等について主に見直しが行われた。この堆砂対策事業は、令和元年(2019)度に一旦終了し、令和2年(2020)度に新たな事業として引き継がれた。2 相模貯水池堆砂対策事業 令和元年(2019)度に終了した相模貯水池大規模建設改良事業に引き続いて、相模貯水池では上流域の災害防止と有効貯水容量の維持を目的とした「相模貯水池堆砂対策事業」が令和2年(2020)度から令和11年(2029)度までの計画で実施されることとなった。計画の共同事業者は神奈川県県土整備局、神奈川県企業庁、横浜市水道局、川崎市上下水道局、横須賀市上下水道局である。 本計画の目標は、現時点で実施可能な最大限の取組として年間15万㎥のしゅんせつを掲げた。主な対策は、①船団によるしゅんせつ、②河床のポケット化、③流入支川の保全である。 ①船団によるしゅんせつを通じて堆砂による貯水池内の河床上昇を防止し、上流域の災害防相模貯水池でのしゅんせつ第1編上水道第7章安全・安心のための取組

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