川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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296底の方にある冷たい水を表面まで上げるという装置である。調査の結果、水温低下や光遮蔽効果等により、ミクロキスチスの増殖が抑制できることが分かった。そこで、ミクロキスチスの繁殖対策として、「相模湖及び津久井湖に係る環境整備事業」の一環として昭和63年(1988)度から平成4年(1992)度にかけて相模湖に8基のエアレーション装置を設置した。設置前の昭和60年(1985)度には相模湖で1mL当たり最大250万細胞程度のミクロキスチスの発生があったが、設置完了後の平成4年(1992)以降は減少し、発生しても数万から数十万細胞程度に抑えられ、その効果が確認された。 一方、津久井湖にも平成5年(1993)3月にエアレーション装置を5基、表層水流動化装置を4基設置しており、植物プランクトンが多く発生する期間に稼働し、水質改善を図っている。エアレーション装置による湖のかくはん効果は、平成5年(1993)度から毎年夏期に行われた水質調査で確認された。しかし、依然として津久井湖では湖水の栄養塩類濃度が高く、アオコの大量発生が懸念されたため、自然の力を利用した水質浄化策として、平成13年(2001)度に植物浄化施設を整備した。津久井湖岸に設けられたこの施設は三井植物浄化施設と呼ばれ、棚田にハスやセリ等の水生植物を育成し窒素・リン等の栄養塩類を吸収させるもので、湖水の生態環境改善が期待されている。相模湖城山ダムと津久井湖第2節 県内水道事業の広域化1 今後の水道事業のあり方を考える懇話会の設置 新たな水源開発と効率的な施設運用を行うこと等を目的に、昭和44年(1969)5月に神奈川県内広域水道企業団(以下「企業団」という。)が設立された。設立から30年以上が経過すると水道事業を取り巻く環境は大きく変化し、神奈川県内の水道事業者である神奈川県企業庁、横浜市、川崎市、横須賀市及び水道用水供給事業者である企業団の5事業者は、将来的に水需要の増加が見込めず、多くの水道施設が更新期を迎える等、共通の問題を抱えていた。 これを踏まえ神奈川県知事と県内政令指定都市の首長である横浜市長、川崎市長で構成される三首長懇談会での合意に基づき、5事業者は、経営課題や広域化のあり方等を検討するため、平成18年(2006)1月に「今後の水道事業のあり方を考える懇話会」を設置した。1年10か月、14回にわたって議論が重ねられ、平成19年(2007)11月に報告書が提出された。報告書の概第1編上水道第7章安全・安心のための取組

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