川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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300第3節 給配水情報管理システム1 導入経緯 平成2年(1990)に施設情報を一元化し、有効利用を行うためのシステムの構築を目的とする給配水情報管理システム委員会を発足した。委員会による給配水情報管理システム(以下「給配水システム」という。)の構築の手順、開発計画等に関する検討審議を経た後、平成6年(1994)度に漏水防止課に最初の機器を導入した。その後、ソフトウェア開発及びハードウェア導入を順次行い、平成14年(2002)度から本格運用を開始した。 給配水システムに搭載した主機能は、地理情報システム(GIS)による送配水管や給水装置の埋設位置及び属性情報の管理機能、情報検索機能、管網解析や断濁減水範囲設定、漏水調査区画設定等であった。システム機器はエンジニアリング・ワークステーション(EWS)の専用端末を用い、オペレーティング・システム(OS)はUNIXを採用し、多くの機能はソフトウェアを独自開発した。また、専用回線を用いたサーバークライアント方式によるネットワーク環境で、専用端末はサーバーを漏水防止課に、クライアントを本局、配水工事事務所、営業所、水運用部門に配置し、システム運用を行った。この時点での同時使用可能端末台数は、最大で22台であった。2 給配水システムの更新 導入当時の給配水システムは、専用端末であり使用できる職員が限られたこと、機能が独自開発であったためソフトウェア開発やシステムの運用保守に多大な費用を要すること等、大きな課題があった。一方で、IT技術の著しい進歩に伴い、ハードウェアの価格が下落し、一般的なOSでも同様のシステム開発が可能な状況に変わった。 こうした背景から、より高度に利用範囲を広げ利便性が高くかつ経済的なシステムの構築を目指し、平成16年(2004)度に電子計算組織運営委員会による審議を経て、平成17年(2005)度に給配水システムの全面更新を総合評価型プロポーザルによる入札契約方式で実施することに決定した。更新に係る開発業務及びプロポーザルに関する技術提案や評価基準等については、給配水情報管理システム委員会にて審議を行い、新しい給配水システムを選定した。選定後、移行期間に2年弱を要し、平成19年(2007)度から新しい給配水システムの運用を開始し、現在に至っている。3 新しい給配水システムの特徴 新たに開発した給配水システムは、GIS用の汎用パッケージソフトウェア(Smallworld)をベースに構築したもので、既存データを移行し、新しく工事完成図や給水装置完成図等の図面格納・閲覧機能を搭載し、これまで紙媒体で管理していた水道配管図(1:5000)や完成図集を電子ファイル化してシステムに取り込んだほか、漏水履歴情報、水道用地、許認可申請情報等、管理情報を拡充した。 水道料金システムとデータ連携したことで、リアルタイムに近い使用者情報の閲覧が可能となり、管網解析におけるGISの管路情報を用いた自動モデル化、使用水量データとの連携、標高データの取り込みが可能になったことから解析の作業性や精度が大きく改善された。更に各第1編上水道第7章安全・安心のための取組

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