川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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3066 計量調査 計量調査とは、水道使用の空時間帯の最小流量を瞬時(数秒)にとらえ計量する手法である。夜間の使用水量が最も減少した時間帯に、各戸の止水栓を開放したまま電磁流量測定車を利用して、市内に設定した調査区画内の漏水診断を実施していた。音聴棒や漏水調査機器等を主体とした調査では収集が困難であった漏水量の分析状況や漏水調査による防止水量の効果等基礎的資料を収集することが可能となり、科学的な漏水防止計画を立案するため、この手法が導入された。この手法により、各区画に潜在する漏水量の把握、許容漏水量を基準とした調査手順の効率化、漏水の防止水量や復元率等の算出、得られたデータから調査の重点地区の選定等が可能となり、年次の漏水防止計画に反映しながら調査を実施した。 しかしながら、計量調査は都市化の進展に伴う道路の高級舗装化や下水の流水音及び冷暖房や自動販売機等による都市雑音の増加により、音聴調査作業の条件が悪化したことや、多くの人手を必要とする上、調査延長を伸ばすには不向きな手法で、成果も少なくなっていった。そのため、平成7年(1995)度にロガー型の漏水調査機器を導入し実験的な利用を始め、平成15年(2003)度以降は計量調査から漏水調査機器による漏水調査に移行した。 それ以降は、ロガー型相関式漏水探査器、常設型自動配水管監視装置等、漏水から発生する音データを分析し、その結果から漏水管路を選定する調査方法が主流となった。7 管路音圧監視システム 管路音圧監視システムとは、高感度音圧センサーを搭載したロガーを仕切弁等に設置して連続的に音圧を記録し、管路の漏水判定を行う調査方法である。調査を効率的に実施し管理するために調査区画を設け、一つの調査区画は約4㎞の調査範囲として管理している。 作業の流れは、最初に各区画内の仕切弁等に設置したセンサーから回収される情報を分析し、その結果から漏水被疑管路を選定する(一次調査)。漏水判定がある管路に対して相関式漏水調査機器や音聴棒等を用いて漏水箇所を絞り込んだ(確認調査)後、漏水箇所を特定するために詳細調査(二次調査)を行い、漏水箇所を特定している。 管路音圧監視システムで得られる一次調査の結果は、漏水箇所の推定に非常に有効である一方、膨大なデータ量で紙媒体による整理が煩雑になることから、調査結果を電子的に保存し、地図上で視覚的に確認できるように平成26年(2014)度に給配水情報管理システムとデータ連携機能を搭載した。 この機能により、漏水調査データの蓄積、漏水判定結果の地図上での閲覧、漏水箇所の推定が出来るほか、管路情報や漏水履歴情報との関係性の分析、漏水判定基準の設定等に活用し、漏水調査の精度向上と効率化を図っている。電磁流量測定車第1編上水道第7章安全・安心のための取組

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