川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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343宜があった。 しかし、市営の工業用水道となれば、特定の3社のみに給水することは地方公共団体本来の目的に沿わないため、この3社以外にも給水できるよう計画を立てることとした。2 計画の概要⑴ 規模給水対象  3社1日給水量 8万1,000㎥⑵ 工事計画 先に、3社によって立案されたさく井による1日5万4,000㎥の取水計画を検討した結果、更に当時休止中の宮内水源地及び稲毛・川崎二ヶ領用水の余剰水1日2万7,000㎥を加えて、1日8万1,000㎥の施設能力を保有することとした。二ヶ領用水の引用に対処するため、沈でん池の築造及び貯水池の規模を拡大することとし、設置場所を上平間に変更した。 なお、3社と川崎市の間で取り交わされた「工業用水道建設寄付に関する契約」については、市議会の議決を得、次に示すとおり、昭和11年(1936)11月17日に締結を完了した。また、本契約書第6条に基づく責任使用水量につき3社から申し込みがあり、昭和肥料1日2万7,000㎥、日本鋼管1日1万8,000㎥、東京湾埋立1日9,000㎥と決定した。契約書 神奈川県川崎市ガ工業用水道ヲ建設スルニ当リ之レカ建設費ノ一部トシテ昭和肥料株式会社、日本鋼管株式会社、東京湾埋立株式会社ヨリ金90万円ノ寄附ヲ受クル為メ神奈川県川崎市長芝辻一郎(以下単ニ甲ト称ス)ト昭和肥料株式会社、日本鋼管株式会社、東京湾埋立株式会社(以上三社ヲ以下単ニ乙ト称ス)ト契約スルコト左ノ如シ第1条 甲ヨリ乙ニ供給スヘキ本用水量ハ、1日平均5万4千立方米トス但シ最大時給水量ハ、1日平均7万2千立方米ノ割合ヲ超過セザルモノトス第2条 本用水ハ、特ニ浄化ヲ為ス必要ナキモ著シキ混濁無ク且鉄分、塩分、アルカリ等ノ含有量少ナキ良質ノモノトス第3条 各支管末端ニ於ケル所要水頭ハ、常時6米ヲ下ラサルモノトス第4条 設計変更及施行方法等ノ一切ハ、甲ノ方針通ニテ異議ナキモノトス第5条 乙ハ甲ヨリ供給ヲ受クヘキ本用水1日平均5万4千立方米ニ対スル設計工費90万円ヲ限度トシ甲ニ寄附スルモノトス    右ノ寄附金ハ全工事ノ竣工後之カ精算ノ上決定ヲナスモノトス 但シ工事中ニ著シキ物価ノ変動其他特別ノ事由アリタル場合ニハ甲乙協議ノ上右限度ヲ変更スルコトアルヘシ第6条 乙ノ責任使用水量ハ1日平均5万4千立方米トシ甲ハ乙ニ対シ其ノ責任使用水量ノ供給ヲ為ス義務アルモノトス第2節我が国初の公営工業用水道の創設

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